Naoya Okada
(更新)
突然ですが、クイズです。
次の語のアクセントはどこでしょう?
initial
career
・
・
・
答えは後ほど。
英語はスペリングとアクセントが連動しています。
したがって、英語はアクセントが肝。そして、基本ルールを覚えておくことで、アクセントが即判断できるようになります。
「でも、どのルールを覚えたらよいのか…」
お任せください。厳選したルール7つを徹底解説します。
まずは「そもそもアクセントって何?」という疑問を解決するところから始めましょう!
日本語は「棒読み」、英語は「リズム言語」と呼ばれる言語です。
「こんにちは」を例にとってみましょう。
日本語:こ ん に ち は
英 語:こんにい〜ちはあ
日本語は単調な発音なのに対し、英語は「リズム」発音。
TV番組で外国人が「こんにい〜ちはあ」「わたあ〜しは」と話すのを聞いたことがありませんか?
英語は波が生まれる言語だからリズムが出てしまうんです。
逆に、日本人が英語を発音しようとすると、日本語同様「棒読み」をしがちで、それが日本人英語独特のアクセントにつながっています。
MacDonald’s「マクドナルド」、Starbucks「スターバックス」だとこんな感じ。
日本人:マクドナルド スターバックス
英語圏:マクダーノーズ スターバクス
アクセントといえば「強弱」のイメージが強いですが、実は英語では…
「強」=「長くはっきり発音」
「弱」=「短くぼやっと発音」
なんです。「強」=「全力で力をこめてでかい声を出す」ということではないんですね。
日本語は「音程の高低」で話す言語(ピッチ(高低)アクセントと言います)です。
例えば、「かき」は「牡蠣(かき)」「垣(かき)」のように、高低ですね。
実は英語はそこに「長短」が付加されます(ストレス(強勢)アクセントと言います)。
外国人が「牡蠣」を発音すると、「かあき」となってしまうことが多い。「こんにちは」も「に」が「にい〜」になってしまう。これが英語独特のリズムの真の正体です。
日本語では「アクセント」は「音の高低」のことを指しますが、英語では「〇〇にアクセントがある」のときの「アクセント」を「stress(ストレス)」 と呼ぶのが一般的。
辞書では「'」と表記されます。別名「強勢」と言われ、必ず母音におかれます。
その「母音を長くはっきりと発音」=stress です。
accent は、British Accent「イギリス訛り」のように「訛り」の意味で使うことが多く、専門的な発音の話をしていなければ「強弱」の意味ではあまり登場しません。
※ ただし本記事では、日本語での使い方にならい、stress を「アクセント」に統一して表記します。
「about」を例にとってみましょう。
単語自体のアクセントは「word stress」、一方、1つのセンテンスの中でもアクセントが複数あり、「sentence stress」と呼ばれます。
伝えたい情報(=内容語/content words)は「強」、伝える必要のない情報(=機能語 function words)は「弱」になります。
※「日本人アクセント」→「強弱の定義を勘違いした日本人アクセント」→「強弱を長短にしたアクセント」の順。「行く」「スタバ」「今晩」さえ伝われば、相手は理解してくれます。この3つは「長くはっきり」。逆に残りは「短くぼやっと」です。
ですから to は「トゥー」ではなく短く「トゥ」。多くの場合「タ」に聞こえます。リスニングの視点に立つと、実は「強」さえ聞き取れれば内容の理解は可能なんですよ。
伝えたい情報と、伝える必要のない情報の区別はとてもシンプルで、品詞で識別ができます。
英語圏では前者を内容語「content words」、後者を機能語「function words」(あるいは「grammar words」)と呼ぶのが一般的ですのでこの用語で説明します。
上記のセンテンスなら、Going Starbucks tonight? で聞き手は十分言いたい内容が分かりますね。
ただし、文法上正しくないため、機能語の How about や to が必要なのです。なお、通常疑問詞の how は内容語ですが、how about のコンビで機能語とみなされるケースが多いです。
また、機能語は「弱」にあたりますから、その発音のされ方は「弱形(weak form)」と呼ばれ、母音の多くはあいまい母音(schwa)で発音されます。
例えば、of は「オブ[ɔv]」ではなく、「ァブ[əv]」、上記センテンスの to は「トゥー[tu:]」ではなく「タ[tə]」です。強調したいときに限って、前者の発音(「強形(strong form)」)が採用されます。
英語のアクセントが分かると良いことしかありません。
英語では「スペリングと発音」「スペリングとアクセント」は連動します。
例えば、son「息子」は「ソン」ではなく「サン」になります。これは「on、om、ov の o は『ア』」というルール。一度覚えてしまえば、新たな単語の発音を個別に覚えなくても分かるようになりますから学習効率が格段に上がります。
ton「(重さの)トン」の発音は…「タン」。oven は「オーブン」ではなく「アブン」です。
冒頭のクイズの答えあわせをしましょう。
initial → initial「イニショオ」*
career → career「クリアー」
【解説】
なお、initial は単語の最後の「l」はアメリカ英語を中心に「オ」の音に近くなりますから、「イニシャル」を「イニショオ」としています。
このように、スペリングとアクセントの関係性の理解は発音学習の最短ルートです。
使用頻度が高いと言われている代表的なルールがこちらです。
例外はつきものですので登場したら何度も声に出して体になじませてください。
*母音が前に1つしかない場合はその部分にアクセントがおかれます。したがって、famous なら famous となります。
多くの語には接頭辞(prefix)や接尾辞(suffix)という、語の中心(=語根)に意味を付加する補助パーツがあります。
接尾辞は頭、接尾辞はお尻につきます。
例えば、impossible であれば、im「否定の接頭辞」 + possible「可能な」 → 「不可能な」です。
接尾辞はアクセントに影響を与えないため、relationship なら、relation と同じアクセントと考えることもできます。
単語には「音節」(=シラブル/syllables)があり、この理解がアクセント予想に役立ちます。
簡単に言うと、語の音が「1つの母音+1つ以上の子音のコンビ」で「1音節」と考えます。
「子音+母音」の場合もあれば、「母音+子音」「子音+母音+子音」もあります。二重母音は1つの母音として捉えます。
ただし、長い単語の場合を中心に、このルールが当てはまらない例外は多くあります。
アメリカ英語とイギリス英語では、単語や発音、アクセントに多くの違いがあります。
例えば、「地下鉄」を表す英単語は subway(米)、tube(英)。
またアクセントにおいても、同じ単語なのに位置が違うというケースがあるんです。
住所:address(米)/address(英)
広告:advertisement(米)/advertisement(英)
TOEICのリスニングパートでイギリス人ナレーターの方が「advertisement」を読み上げたら「アドバーティスメント」となるため、受験生は「??」となる方が多いそう。
また、訛りとしてのアクセントは地域によっても異なり、アメリカなら、ニューイングランドアクセント、サザンアクセント、イギリスならコックニーアクセント、ヨークシャーアクセント、オーストラリアアクセントなど、さまざまな発音や訛りが存在しています。
地域が違えばアクセント(stress も訛りも)は異なりますから、相手の発音と自分の発音に一喜一憂する必要はありません。
英語の4技能である Listening/Reading/Speaking/Writing をバランスよく高めていくことで、英語全体の力を効果的に伸ばすことができます。
そして、これらの4技能の土台となるのが「ボキャブラリー」「文法」「発音」なんです。
海外では、今回ご紹介した発音やアクセントのルールは幼少期から体系的に教わります。
一方、日本ではまだまだ後出しで高校時代に登場したり、または習わなかったりします。ですが、発音は英語の礎の1つですから、優先順位を高めて一度腰を据えて学習することをオススメします!