
セレン@英語キュレーター™
(更新)
僕らがオンライン英会話のレッスンを受けるとき、いつも画面の向こうで微笑みながら語りかけてくれる講師のみんなは日頃どんなことを思い、そしてどんな環境でレッスンをしてくれているのだろう。
そんなことを疑問に思ったことはありませんか?
「その笑顔の向こう側でどんな生活があり、なにを思っているのか?」
今回はそんな疑問を解決しに、そしていつも向き合っているスクリーンの向こう側を覗きに、実際にフィリピンのセブ、そしてマニラへ行ってきました。
前後編に分け前編の今回はDMM英会話のフィリピン現地オフィスを訪ね、講師トレーニングセッションの様子、そしてDMM英会話事業部長の上澤貴生さんへのインタビューなどをお伝えします。
いつも僕たちが見ているスクリーンの先、オンライン英会話の向こう側をお届けできたらと思っています。
日本の成田を経ち、5時間のフライトを経て、
セブ空港を降りると蒸すような熱気と肌に迫る太陽の熱さに驚く。
明らかに日本のそれとは違うもので、フィリピンに来たのだなと強く感じる。
太陽が近い。
風に舞う埃に目を瞬かせ、じりじりと照らす太陽に目を細める。
街は活気に溢れ、みな陽気に笑いながら通りを過ぎていく。
時間がいつもより穏やかに流れている。
初日は国内線の飛行機を使いセブからマニラへと飛び、DMM英会話マニラオフィスを訪ねる。
クリスマスのシーズンは、キリスト教徒の多いここフィリピンでは盛大な盛り上がりをみせる。
マニラの市街地も例外ではなく、街のいたるところに、そしてビルの入り口などにクリスマスを祝う飾り付けがされてある。
大きなクリスマスツリーのある立派なビルを上がると、
そこにDMM英会話マニラオフィスはある。
とても整然とした雰囲気で、落ち着いた照明の下に講師の方のそれぞれの好みに飾られた机が並んでいる。
少しすると prospective applicants、つまり採用候補の講師たちがオフィス内の一室に集まってきた。
今からここで講師候補者へのトレーニングセッションが始まるのだ。
今日のものは小規模なものだが、多いときは数十名が一堂に会するとのこと。
1時間のトレーニングセッションの後、実際の授業のデモンストレーションを行い、
そして日本のスタッフの模擬レッスンを通しての評価決定後にようやく採用が決まる、という流れになっている。
自分のスキルを活用し自由な時間に働くという仕事のスタイルはここフィリピンでは非常に人気があり、
オンライン英会話という新しいインフラも新たな雇用機会としてここではしっかりと認知されているのだなあと実感する。
トレーニングセッションではかなり具体的に、そして緻密に講師への教育、指導がされている様子が見て取れる。
発音から笑顔、そして話し方から質問の仕方まで丁寧にそしてテンポよくセッションは進んでいく。
また日本人に特化した指導などもされており、
発音の特徴や、性格の特性などにも言及されていた。
"rapport" お互いをよく理解した上でのよい関係、という単語が幾度となく使われていたのがとても印象的だった。
「ラポートを築くためには生徒と良好な関係を作り上げ、そして共通項を見出そう。
そのためにしっかりと生徒の話に耳をかたむけ、そして質問をしよう。」
とセッショントレーナーの講師ダニエルさん。
力強い言葉だ。
チャットボックスの効果的な使い方、という話で
「生徒のみなさんはレッスンが終わったあとも復習などをして勉強している、
講師にとってのレッスンの終了が生徒のみなさんにとっての勉強の終了を意味するわけではない。
レッスンが終わった後もいつでも生徒のみなさんが復習できるように、
チャットボックスを有効的に使ってください。」
という話がされていて、オンライン英会話レッスンを受けている一人の英語学習者として
なんだか少し胸の熱くなるような思いがした。
僕らの知らないところで、毎日こういう風景が繰り返されている。
海の向こう側で、こんなにも僕らのためにセッションは行われているのだ。
また、レッスンの中では必ず、受講者側が何を求めているかをいつも明確にするよう指導されており、トレーニングセッションの中でも幾度となく
"What was the most important thing at the beginning of the lesson?"
と確認している姿が印象的だった。
レッスンの入り方、最初が最も肝心なんです、と何度も話していた。
ダニエルさんは講師候補のトレーニングだけではなく、
全体の講師の中でもかなりの人数の割合を占めるここマニラオフィスでの講師の全体トレーニングも管理している。
「フィリピン人の性格の特性は日本人とはやはり違う部分があります。
お互いに気持ち良くレッスンを進めるために、共有しておかないといけない情報が沢山あるんです。
また、ここで気持ち良く講師のみんなが働けるように工夫し状況を良くしていくのも僕の仕事だと思っています。」
と話してくれた。
こういった日頃のたゆまぬトレーニングなどを経て、僕らがいつも受けている
「当たり前」の環境は保証されているんだな、と感じることができた。
そう、当たり前は決して当たり前ではないのだ。
午後になり、DMM英会話事業部長の上澤貴生さんがオフィスに来られた。
日頃世界中を飛び回る上澤さんの貴重なお時間をいただき、
オンライン英会話の現状、そして上澤さん自身が描く未来のお話を伺うことができた。
セレン:
お忙しい中 ありがとうございます。
本日はどうぞよろしくお願いします。
上澤:
こちらこそ、わざわざマニラまでお越しいただき
ありがとうございます。
どうぞ、よろしくお願いします。
セレン:
今日はですね、上澤さんがオンライン英会話というものを通して描く未来、そして展望、またご自身が日本人に向けて発信したいことを伺えればと思っています。
まず最初に、上澤さんご自身は日本人のみなさんにオンライン英会話というものをどう楽しんでほしいとお考えでしょうか?
上澤:
大前提として英語を使うのは楽しいっていうのが僕の中にあるんですよね。
例えば僕はフィリピンにしばらくいて、改めて最近フィリピンの良さっていうものがわかってきたんですね。
それでもっと知りたいと思いタガログ語も勉強したりしてるんです。
日々新しい単語を覚えて使ってみる。で通じたらやっぱり楽しいんです。
言葉って結局コミュニケーションのツールなので誰にでもできるわけです。
英語ということに関していうと日本人の方の多くに見られるのが、目標設定の間違いなんじゃないかと思ってて、
高すぎる目標によって楽しめなくなってる現状はあると思っています。
タガログ語なんかだと、ほんとにゼロからのスタートなんですけど
タクシーの運転手とのやりとりなんかも初めは
「まっすぐ」とか「右」しか言えなかったものが少しずつ丁寧に言えるようになってきたりするんです。
そういう積み重ね、そういう進歩は本来楽しいはずなんです。
でも、これがフィリピンで政治家や研究者になって国際舞台でタガログ語で発表するとか論文書くって話になると、ハードルが相当高くてきついですよね。
これ英語に話を戻すとわかりやすくて
少なくとも会話ができるようになりたい、英語を話したい
という日本人の方はそんなこと目指す必要はないんですよね。
ビジネスマンですらそんなに高い目標設定はいらないと思っていて、
僕自身ずっとビジネスで英語を使っていて、まだまだ下手くそですけどコミュニケーションは取れているんです。
だからまずはパーフェクトなんか目指さないで、
現実的な目標設定でコミュニケーションを楽しんでほしいんです。
そのきっかけ、またその機会としてオンライン英会話というものを活用してほしいと思っています。
セレン:
ほんとうにそうですね。
話せるようになるというプロセスは話そうとする姿勢がベースにないと動き出さないわけで、
そういう意味ではこの金額で日常にこれだけ英語を使う機会が手に入るオンライン英会話というものは、非常に有益なツールだと感じます。
上澤:
例えばウォールストリートで英語を使ってバリバリとビジネスをしたい、
というのであればかなりの英語環境下に身を置かないと到底無理です。
大人になって始めてたら遅いかもしれない。
でもそんなケースは稀なはずです。
現実はもっと近くにあって、実際にビジネスで英語を使うシーンでも文法を間違えたりうまく言えなかったりしながらコミュニケーションをみんな取っているわけです。
セレン:
そうですよね、日常というのは完全も不完全もごちゃ混ぜになった世界で、
テストのように間違えを減点するのではなく、互いの間違いを補完しながら共通の目的のために歩みを進める、そういう世界なのだと思います。
上澤:
ほんとそうですよ。
本当に大事なのって納期とか金額だったりするわけです(笑)数字だったり、日付だったり。
そういう現実を知らないまま、
文法も発音もパーフェクトを目指す、というスタンスが当たり前のようになっているのは少しもったいないと思っています。
まずはそんなに難しいことを目指さず、
英語を日々使うという経験を通じて、一言ずつ言えるようになる、というようなシンプルなことを楽しんで欲しいんです。
オンライン英会話って、やっぱり安いんですよ、サービスとして。
だから毎日沢山話すことができます。
そういう中でさっきの僕のタガログ語じゃないですけど、1日ずつ進歩していく喜びを感じてもらえたら嬉しいんです。
ウォールストリートで働くことを目標にするより、
まずは身近な誰かに届く言葉を身につける。
それを目指して欲しいんですよね。
通じると嬉しい、わかると楽しい、
すごくシンプルなんですけど、そこをみんな忘れてるんじゃないかと思って。
セレン:
そこですよね。
理屈じゃない、論理じゃない喜びって本来人間に備わっているのかもしれません。
そこを一番刺激してくれるのが語学であり、コミュニケーションなんでしょうね。
まずはそこを楽しんでほしいと。
そして本来の混じり気のない喜びを思い出してほしい、と。
上澤:
はい、例えばDMM英会話の講師には世界中60カ国以上の講師がいます。
フィリピンの講師は人を楽しませ、励ましながら授業をするのが
本当にうまいんです。
ただ、それだけでは偏りが出てしまう、特に毎日話すということを考えると。
様々な話題を様々な視点から話せることというのが非常に有意義で、ヨーロッパの講師なんかは旅行なんかの経験が豊富で、そういう話題にすごく強いんです。
沢山話して、コミュニケーションを取って、英語だけではない経験を身につけて欲しいんです。
英語力の向上はスポーツに近く、
英語の反応って運動神経みたいなものなんですよね。
毎日やれば必ずできるように伸びていく。
そしてできるようになると楽しいんです。
通学制の英会話スクールは質が高いものを提供できるかもしれませんが、
スポーツでいうと伸び盛りの子供がプロのゴルフコーチに週に一度教わっていても伸びる範囲には限界がある。
ジャンボ尾崎さんに週一回習えるという貴重な機会ではなく
名もないレッスンプロでもいいから毎日30分習い、練習できる機会
というのを僕は提供したいんです。
そしてそれが僕が大事だと思っていることのすべてなんです。
そのためには継続して使って欲しいですし、そういう意味では世界中の人と話せたほうが単純に楽しいじゃないですか。
楽しくないものは続かないですよね、やっぱり。
セレン:
なにか上澤さんの中に今後の展開というか、ビジョンのようなものはありますか?
上澤:
現状で言うと日本でオンライン英会話の利用者って6万人に満たないくらいなんですよね。
ぼくはオンライン英会話というものが日本人が英語を使えるようになるために有効なサービスであると実感しています。
また日本の外に目を向けるとアジアの中、ヨーロッパのほうにもまだまだ発展途上の国はあって、雇用機会という点で問題の多い国が多いのも事実です。
そういうところに雇用を生み出し、日本との橋渡しができれば
今まで日本なんて知らなかった人たちにもっと日本というものが身近になっていくはずです。
これまでもそうやってきて、それは我々が誇れることだと思っています。
でも、まだまだ6万人という数字は英語を話せるようになりたいという日本人を分母に取ると少ないと思っています。
通学制の英会話スクールって一番多かった時は100万人くらいだったんです。
オンライン英会話というものもまだまだ成長できるはずです。
DMM英会話だけではなく、オンライン英会話というもの、そのものをもっとみんなに知ってもらって使ってもらえるか、そこが課題であり、目標だと思っています。
セレン:
それは楽しみですね。
僕自身、海外経験のないところから英語をスタートし、一番英語を使ってきた機会、というのはオンライン英会話だったのは間違いない事実です。
もっともっと多くの英語を話せるようになりたい
という日本人の人に使ってもらえるサービスになっていくといいですよね。
上澤:
はい。僕はできると思っています。
数字は実際に今上がってきていますから。
ぜひ、これからのオンライン英会話に注目していて欲しいです。
上澤さんの熱い思いは確実に日本の英語学習環境に影響を与えていると感じる。
日本人の英語に対する意識を変え、そしてそのための機会をサービスとして提供し、
また文化的つながり、雇用機会を創出する。
インタビューを終えた上澤さんは、そのままドアを出て、
さらなる未来を見据え次の国へ、その足で飛び立っていった。
僕たちはタクシーに乗り、空港へ向かう。
しばしカフェで休憩を取り、
国内線に乗り、マニラを発ちセブ島へ向かう。
セブ島レポート後編はシステムを管理しているプログラムチームや
セブオフィスを訪問させてもらい、
講師の個別インタビューやまたマニラオフィスとは違うメニューで行われている
講師トレーニングなどをレポートしたいと思っています。
オンライン英会話のスクリーンの向こう側では
今日もまだまだ僕らの知らないことが沢山起こっているはず。
セブ島レポート後編「スクリーンの向こう側〜オンライン英会話レッスンの今とこれから〜後編」
お楽しみに!