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英語を「聞けるけど話せない」あなたに「コンテンツシャドーイング」がおすすめの理由

英語を「聞けるけど話せない」あなたに「コンテンツシャドーイング」がおすすめの理由

英語を「聞けるけど話せない」…

多くの英語学習者の共通の悩みですね。

日本では、大学入試のセンター試験にリスニングが導入されるようになってから、リスニングスキルが高まっている一方、読解や文法に比べると、スピーキングスキルが極端に低いと言われています。

こうした悩みに対して、世の中には、ディクテーション、オーバーラッピング、音読、チャンク音読、シャドーイング、海外ドラマ視聴などさまざまな学習法が提唱されています。

けれど、結局、英語を「聞けるけど話せない」人はどの方法を採用するのが特に有効なのでしょうか?

科学的には、「コンテンツシャドーイング」がおすすめです。

本記事では、まず「英語を聞けるけど話せない」現象がなぜ起きているのかの原因を究明し、その後「コンテンツシャドーイング」について詳しく解説していきます。

英語を「聞けるけど話せない」が起きてしまうワケ

アウトプット不足

アウトプット不足

言語に限らず、学習全般はインプットとアウトプットの両輪から成り立っています。

理解した(=インプットした)知識実際に使う(=アウトプットする)ことで自由自在に使いこなせるようになります。

折り紙で初めて鶴を作ることを想像してみてください。

最初は作り方の説明書を見ながら、納得しながら折っていきます。これがインプットです。2回目に説明書なしで折ってみるとします。最初はできても途中から「どうだったかな?」となりますよね。この苦しい作業がアウトプットです。

インプットし直して、またアウトプットを反復していけば自然と折れるようになることは想像できますよね。英語でもアウトプットの反復学習が不可欠です。

英語ではインプットにあたるスキルは「Reading」と「Listening」、アウトプットにあたるスキルが「Writing」と「Speaking」、いわゆる「4技能」です。

特に、「Reading × Writing」「Listening × Speaking」の組み合わせが直結したスキルになりますから、Speakingを得意にするにはListeningが必要で、Listeningを鍛えればSpeakingの土台ができると言えます。

日本人は極端にアウトプットする機会、つまり、WritingとSpeakingの機会が少ないのです。特に、学生でなければ、意識しない限り、実際に話してみるSpeakingの機会は持てないですから、意識して「話す」環境を作る必要があります。

英語学習の仕方の問題

読解、文法、リスニング重視の学習法

TOEIC(LR)といった資格試験対策や受験対策となると、スピーキング対策不要なケースが多いです。

しかし「話せるようになる」という視点で考えると、上述の理由から、スピーキングの時間を確保することが急務と言えます。

翻訳主義

日本語から英語への直訳や、いったん頭の中で言いたいことを日本語で整理して英語に変換する作業だと、瞬間的に自分の意見を表現できません。

できるだけ多くの場面で、日本語を介在させないようにするには、アウトプットが必要です。実際に話す機会を設けること、そして、コンテンツシャドーイングが解決策の1つです。

メンタリティの問題

「間違えたら恥ずかしい」、「完璧になってからレッスンにのぞみたい」、「レッスンの予約画面まできたけど予約ボタンがおせない」という気持ちをお持ちでしたら、恐れないでください。

第2外国語として英語を話す人々の多くは間違いを「当然」と考えています。

私たちにとって英語は外国語なのですから、間違えて当然です。失敗して当然です。

もちろん、チャレンジしてみて落ち込むこともあるでしょうが、前述の通り、英語を「聞けるけど話せない」問題は、実際に話す機会を増やすことで改善できますから、悩む前に行動に移しましょう(大変な勇気が必要だと思いますが)。

では次項から、実際に口を動かす手段として、「シャドーイング」の解説をしていきます。

シャドーイング(Shadowing)とは

シャドーイング(Shadowing)とは

シャドーイング(Shadowing)とは、音読やリピーティングの進化版であり、非常に効果の高い英語学習方法です。

音読はスクリプト(英文)を見ながら声に出す、リピーティングは音声を流した後にそれをスクリプトなしで復唱。

一方、シャドーイングは、スクリプトなしで音声を「影」のように追っていくプラクティスで、英語の定番アウトプット方法の1つとして知られています。

英語学習のテッパン「シャドーイング」の効果と正しいやり方

英語学習のテッパン「シャドーイング」の効果と正しいやり方

5月 13, 2021

シャドーイングにはどんな効果がある?

シャドーイングをすることで期待される効果は次のようなものがあります。

  1. 発音スキルが強化され、音声処理力が高まる
  2. 聞こえてきた内容がスムーズに頭に入ってくる
  3. 英文の構造把握力が高まる
  4. ボキャブラリーUP

1と2について補足すると、私たちの頭はリスニングをするときに「音声処理」「意味処理」を同時に行っています。前者は簡単に言えば「音の聞き取り力」、後者は「内容をすぐに理解できる力」です。

発音の苦手な人の場合、頭の中で「音声処理」が多くのウェイトを占めますので、リスニングしても、聞き取りに精一杯で内容が入ってきません。

例えば、「travel」はアメリカ英語を中心に「トゥラヴォ」と発音されますが、「トラベル」と思ってリスニングをすると、travel っぽい語が聞こえてきた時点で「今の何??」となります。その結果、意味処理が追いつかなくなり、内容理解ができません。

ところが、シャドーイングをすると、発音レベルが高まりますので、「意味処理」を優先的にでき、「内容把握」に精力を注げるようになるのです。

音声処理から意味処理へ

シャドーイングの良い点は、音声さえ聞ければいつでもどこでもできること。音源をダウンロードしておいて、歩きながらシャドーイングという学習方法を実践している学習者の方は多いです。

筆者の周りには「シャドーイングサークル」というグループがあり、教材や回数、時間数を共有してモチベーションを高め合っている学習者もいるくらいです。

実はシャドーイングには2種類ある

あまり知られていませんが、実はシャドーイングには方法が2種類あります。

  1. プロソディシャドーイング(Prosodic Shadowing)
  2. コンテンツシャドーイング(Contents Shadowing)

詳細は後述しますが、英語を「聞けるけど話せない」という悩みをお持ちの方には、「コンテンツシャドーイング」が圧倒的におすすめです。

それでは、本題に入っていきましょう。

「コンテンツシャドーイング」のイロハ

「コンテンツシャドーイング」のイロハ

先ほど、シャドーイングには2種類あるとお伝えしました。それぞれの違いや特徴について見てみましょう。

「プロソディシャドーイング」とは

一般に、日本では「シャドーイング」と言えばこちらの方法を指します。

「音」の理解を重視した方法がプロソディシャドーイングで、発音やイントネーション、声の出し方、間のあけ方等のものまねに全エネルギーを注ぐのが特徴です。

この方法を採り入れると、発音やイントネーションレベルが高まり、いわゆるネイティブっぽい感じに近づきます。「音声処理」力が高まりますから、リスニング時に内容がスッと入ってくるための土台ができあがります。

プロソディシャドーイング

→ 発音に焦点を当てると、①-⑤のように発音できるようにすればよいのです。

「プロソディシャドーイング」の効果・やり方などはこちらの記事をチェック!

「コンテンツシャドーイング」とは

コンテンツ、つまり、「内容」や「意味」の理解に焦点を当てるシャドーイング方法です。

音声を追いかけながら、「内容」がスッと頭に入ってくるまで反復学習をします。

よどみなくできるまで何度も繰り返してください。場合によっては、50回程度こなす必要もあるかもしれません。

コンテンツシャドーイング

→ 内容に焦点を当てて、聞こえたままに内容を把握していくと、英語を英語の語順のままで処理する力が身につきます。

なお、「kind of」は、意見を濁すときに使う表現で「なんか」や「なんとなく」のようなイメージ。

「call it a night」は「call it a day」と同じで、「おしまいにする」「切り上げる」という意味です。

コンテンツシャドーイングの効果

コンテンツシャドーイングの効果の1つが、英語を「聞けるけど話せない」という症状を改善してくれることです。

英語を英語の順番で処理していくため、スムーズな発話の土台ができます。さらに、シャドーイングは反復学習ですので、表現力や語彙力の定着につながります。

実際に外国人と会話する中で、教材に登場したフレーズやセンテンスをそのまま、または、組み替えて使えるという場面が増えるでしょう。

例えば、「なんか旅行したい気分だな」と言いたい場面があったとしましょう。

そのときに、上記の英文「I kind of want to just call it a night.」をシャドーイング素材として反復学習しておくことで、「なんか=kind of」を即座に引き出し、「I kind of want to travel.」とスッと口をついて出てくるようになるのです。この瞬間は本当に感動的ですよ。

他にも、英語の順番通りの処理が習慣づくことで、リーディング時の返り読みを矯正できますから「速読力」がつきます。またリスニング時には、英語の順番通りでの理解がしやすくなります。

英語学習の最強のアウトプット方法は、レッスンの受講や外国人との対話といった「実際に話す」機会を設けることです。ですから「人と話す環境」の構築をしっかりおこなってください。

とは言え、自己学習に何かプラスアルファを追加してアウトプット量を増やしたい、または、実践の前に英語をアウトプットする練習がしたい、という方も多いでしょう。

そこでおすすめなのがシャドーイングなのです。さらには、「聞けるけど話せない」方には「コンテンツシャドーイング」が最強の学習法の1つです。

コンテンツシャドーイングの方法

上級者を除いて、使用素材をすぐにコンテンツシャドーイングするのは負荷がかかりすぎてしまうため、効果が上がらず、挫折のもとになります。

次のステップを踏んで十分な下準備をしておきましょう。

  • 【STEP1】 使用テキストを黙読で理解(下準備1)
  • 【STEP2】 音読①:リッスン&リピート(下準備2)
  • 【STEP3】 音読②:オーバーラッピング
  • 【STEP4】 音読③:スピードオーバーラッピング
  • 【STEP5】 プロソディーシャドーイング(下準備3)
  • 【STEP6】 コンテンツシャドーイング(本番)

【STEP1~5】の詳細はこちらの記事を参考にしてみてください。

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やさしい素材を使う場合や、中上級者の方は、下準備2をスキップしてよいですが、【STEP1】使用テキストの内容(センテンスごとの内容の確認、語句の辞書検索)は黙読で一通り理解できた状態にしておく、ことを忘れないようにしてください。

【STEP5】からは標準スピードが速すぎてどうにもならないケースが多いですので、「Audipo」等のスピード調整アプリを使用して、最初はゆっくり→徐々に速く、という流れで進めるとよいでしょう。

また、シャドーイングはテキストなしで行うのが通常の方法ですが、うまくできない場合は、テキストを見ながら音源とややズラして発話する(シャドーイング疑似体験)のがおすすめ。字幕つきの海外ドラマでも気軽にできる方法です。

シャドーイングを生活の一部にしよう

言語学習は「継続」が命です。
成果は反復学習の先にあります。

ですから、毎日1分でも5分でも継続することが重要です。朝起きる→歯を磨く→シャドーイングをする→朝食を食べる、のように生活の一部に組み込むことで、学習を自動化したり、1日に何度もある隙間時間(通勤・通学)をシャドーイングに当てたりして学習時間を確保しましょう。

また、英語を「聞けるけど話せない」の特効薬はコンテンツシャドーイングですが、実際に人と話すことに勝るものはありません。

オンラインレッスンを受けるなど、十分なアウトプット量の確保にも努めてみてください。