西東 たまき
(更新)
英語を実用で使おうとするなら、どうしても長文の読解は避けて通れません。
英語の長文が正しく読めないと、せっかくの英語知識を活かせる場面は限られてしまいます。仕事で英語を使う人なら文書を読み込めず、やりとりにも不都合が生じます。
確かに、文字がギッシリ並んだ長文は見るだけで圧力を感じますが、読み解くにはコツも存在します。
今回は、英語の長文が読めない理由を明らかにし、その対処方法をお伝えしていきます!
英語学習者が英語の長文に取り組む場合、どのように進めていけば良いでしょうか。
まずは、読めない理由を考えてみましょう。そうすれば対処も可能になります。
英語の長文が読めない理由の一番は、そもそも語彙が不十分なことです。
せめて単語の意味が分かれば、そこで何が語られているのかを推測することができます。
どれくらいの語彙力が必要かの目安が知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
基礎的な文法を知らないと、語彙を増やしても文章の組み立てが理解できません。その結果、意味を取り違えてしまう可能性が高くなります。
否定文の形になっているからといって否定の意味とは限らなかったりもするのですよ。
効率的な文法の学び方については次の記事もおすすめです。
ご存知のように日本語と英語では語順がまったく違います。
その違いに対処するために学校英語で行われて来たのが「返り読み」というテクニックでした。これに慣れてしまうと、長文になればなるほど限界を感じてくるでしょう。
文章とは文頭から順々に理解していくものであり、前後しながら読むのはそもそも不自然。
返り読みをせずに英文を読み解くコツは以下の記事もぜひ参考にしてください。
では次は、上記で明らかになった問題点を克服するにはどういった努力をすれば良いのかを見ていきます。
まずは語彙を増やす方法からです。基礎体力作りのような取り組みが必要です。
母語と外国語では身に付けている語彙の数が圧倒的に違います。
上達したければ、そのギャップをできる限り埋める努力が必要ですが、やみくもに覚えようとするのは効率良くありません。
新聞に出て来る英語と小説によく出て来る英語は異なるのです。
自分が必要とする分野、読んでみたい文章の中で、分からない言葉探しをしていきましょう。
繰り返し出て来る言葉や、文章の意味を知るカギと思われる言葉などを中心に意味を調べ、覚えるようにします。
膨大な数の単語を記憶するのは大変です。
しかし、語源を助けにすれば、その作業が各段に容易になります。ぜひ辞書の語源の欄もチェックする癖をつけてください。
たとえば、中国語が分からなくても漢字が分かると意味を推測できたりしますね。
英語でも語源を知れば同じ効果を得られます。初めて見た単語でも意味を推測できるようになるんです!
まずは、いくつかの接頭辞を覚えることから始めてみると良いでしょう。
たとえば、「re-」から始まる英語は「再」の意味であることが多く、「un-」や「in-/im-」から始まる英語は「不」や「非」の意味を持っています。
下記の記事ではさまざまな英語の接頭辞をご紹介しています。
1つの単語でも意味がたくさんあったり、意味が抽象的だったりして掴みにくい英語はよくあります。
そんなときは同義語を助けにすると良いでしょう。
たとえば、object を英和辞書で調べると「物、物体、対象、目的、目標、おかしなもの、目的語、客観、客体」といった意味が書かれています。
今一つ共通項が掴みにくく、「分かるような、分からないような」という感じですが、英英辞典で同義語(synonym)を見ると、object とはつまり thing、item のことであり、target、purpose のようなニュアンスであることが分かります。
「音」で覚えるのも有効です。CMのフレーズが勝手に頭に入って来たりすることを想像してみてください。
大抵のインターネット辞書には音声再生機能が付いています。耳で聞き、口で発音してみましょう。
予想外のところにアクセントが付いている単語があったりもしますよ。効率よく言葉を体に染み込ませるには、耳や口も活用すると良いでしょう。
使う当てもない言葉を覚えるのではモチベーションが保てません。覚えた言葉は実際に使ってみましょう。
日記ならすぐに始められますし、SNSでコメントすれば反応も得られるかもしれません。
人とのやりとりで使ってみると、表面的な意味だけでなくニュアンスも分かって来ます。「こういうときはこんな言葉を使うんだな」といった気付きもあると思いますよ。
文章が正しく作れたかチェックするには「Google Translate」などの翻訳機能を利用してみると良いでしょう。
自分が書いた英語は意味を成す日本語訳になっていますか?
英語日記に興味がある方はこちらの記事も参考にしてみてください。
さて、上記のような努力で語彙力を上げ、基礎的な文法も理解したからといって長文が自動的に読めるようになるとは限りません。
次に必要なのは日本語の長文読解で使うのと同じようなコツです。日本語の長文に臨む要領でいきましょう!
「しかし」「したがって」「なぜなら」などの言葉があったら、次にどういった流れの文章が来るのか想像が付きますよね。英語でも同じです。
英語にはたくさんの接続詞がありますが、よく使われるものは限られているので、ピックアップして覚えましょう。
以下の記事では英語の接続詞について詳しく解説しています。
大きめのチョコがゴロゴロ入った「チョコレートチャンククッキー」というものがあるように、「チャンク(chunk)」は「かたまり」の意味です。
ネイティブが長文を読んでいる音声を聴いてみてください。息継ぎせずに一気読みしているところは、1つのかたまり(チャンク)として意味を成しているところです。
かたまりごとに理解して繋げれば、全体を理解する近道になります。
また、長文には、複数の単語から成る「よくある表現」がたくさん含まれていることにも気付くでしょう。
as a result「その結果」、take ~ into consideration「~を考慮すると」などといった「よくある表現」を知っておくと、余計な頭を使わずに長文を読むことができます。
人が書いた文章を目で読むのと、それを自分の手を使って書き写すのでは、頭の使い方が思いのほか違うことに驚くと思います。
黙読してもスッキリと頭に入ってこないときは、騙されたと思って書き写しを試してみてください。音読でも良いでしょう。
英語の文章構成が冷静に見えて来るはずです。
一通りのコツを知ったら、あとは数をこなして「筋力」を上げて行きましょう。
文章に挑む際は、まったく知らない内容より知っている内容・興味がある分野など、内容に予備知識があると断然読みやすくなります。
たとえば、日本語の記事を英字バージョンで読み直してみる、日本語の本を読んでから原文/英訳本を読んでみるといった具合です。
今回は、「英語の長文が読めない」問題の原因と解決策を特集しました。
長文読解は国語のテストでも付きものだったくらい大事な技能です。英語でも、使えるレベルになりたいなら、向き合わなければならない目標です。
一朝一夕にたどり着ける目標ではありませんが、そのためのコツはシンプルかつ腑に落ちるものだったかと思います。
英語のネイティブなら小中学生でも出来ていることですから、努力しただけの効果は期待できます。
いざ、長文が読めるようになったときのメリットは多大ですよ!