Michiru
(更新)
世界の共通語でもある英語は、必ずしも同じルールが適用されるとは限らないため、ネイティブも認めるくらい非常に複雑な言語です。
厳密に言うと、「exception to the rule(例外)」 がやたらと多い厄介な言語なのです。
例えば、ネイティブスピーカーはよく、「refrigerator (冷蔵庫)」を省略して「fridge (フリッジ)」と言います。「refrigerator」という単語の中に「d」の文字はどこにも見当たらないのですが、なぜか冷蔵庫は略すと「d」が入り、「fridge」になります。
だからと言って、「generator(発電機)」を省略した「gedge」という言葉があるわけではありません。
本記事では、ネイティブ目線から検証する例外だらけの「英語の謎」にスポットライトを当ててみたいと思います。
「box(ボックス=箱)」の複数形は「boxes」。ということは、「ox(オックス=雄牛)」は「oxes」?
いいえ、正解は、「oxen」。
他にも「x」で終わる単語の「index」は、複数形だと「indexes」でも「indexen」でもなく、「indices」に変換されます。
え?どうして?
「英語には常に例外があるから」と、殆どのネイティブがそう答えるでしょう。
「goose(グース=ガチョウ)」の複数形は「geese(ギース)」。
では、似たスペルと発音である「moose(ムース=ヘラジカ)」の複数形も「meese(ミース)」なのでしょうか?
いいえ、何頭いようが「moose」は「moose」のままなのです。
「deer(鹿)」や「sheep(羊)」も同じく、一頭でも二頭でも単数形のまま。
複数でも単数形の場合、群れを成して行動し、獲物として標的にされやすい動物に該当するとも言われていますが、もちろん、例外もあるそうです。
「mouse(マウス=ねずみ)」の複数形は「mice(マイス)」。
では、「mouse」と一文字違いの「house(ハウス=家)」は「hice」?と思いきや、「house」の複数形は普通に「houses」。
そもそも、何故「mouse」が「mice」になるのか?それ自体に疑問を感じるネイティブが多数派です。
「私は本を読む」を英訳すると、「I read a book.」
「私は本を読んだ」を英訳すると、「I read a book.」
ん?現在形も過去形も同じ??
一見、「read」の姿形は全く同じ(どう見ても同じ)なのに、現在形は「read(リード)」、過去形は「read(レッド)」。
同じスペリングでも、発音が全く違うのです。
他には、「leader(リーダー)」の「lead(リード)」は「導く」という意味。例えば「I lead(リード) a team.」という文章は「私はチームを導く」になります。
では過去形にするとどうなるでしょう?上述の「read」と同じように、過去形のスペルも「lead」のままでしょうか??
ところがどっこい。「lead(リード)」は、過去になると「led(レッド)」に変わります。
そして、「lead」には「鉛」という意味もあり、さらにはこちらの意味の場合は発音が過去形の「led(レッド)」と同じに。
「Why??イングリッシュピーポー??」と、某アメリカン芸人も自問自答しているかもしれません。
「womb(子宮)」、「tomb(墓石)」、「bomb(爆弾)」。最初の文字だけが異なる三つの単語。発音をカタカナ表記で表すと、「womb」→「ウゥム」、「tomb」→「トゥム」。
当然、「bomb」は「ブゥム」と思いきや、なぜか「ボォム」。
同じ綴りで発音も同じなのに全く意味が異なるケース。
死を意味する動詞の「die」。そして、サイコロも「die」と言い、発音もスペルも同じです。
ちなみに、サイコロは一つで「die」。二つ以上は「dice」になります。
次の例文を読んでみてください。
First-degree murder is more serious than third-degree murder, but a third-degree burn is worse than a first-degree one.
意味がわかりますか?
問題の表現だけ残して和訳すると―
First-degree殺人はThird-degree殺人よりも深刻なのに、Third-degree火傷はFirst-degree火傷よりも酷い。
実は、同じ「first-degree」と「third-degree」という表現なのに、殺人罪と火傷では、なぜか真逆の意味になるのです。
「a fat chance」と「a slim chance」という表現があります。
「fat」は「太い」、「slim」は「細い」。これらの単語は反対語ですね。
だけど、「fat chance」も「slim chance」も同じ「望み薄」のこと。つまり、同じ確率でチャンスがないことを意味します。「太い」と「細い」なので逆の意味になりそうなのに、ここでは全く同じ意味として使われています。
「fill in a form(用紙を記入する)」と「fill out a form(用紙を記入する)」。
「in」と「out」は反対語だけど、「fill in」と「fill out」はどちらも「記入する」という意味の同義語。
「wise man」と「wise guy」という表現。
「wise」の意味は「賢い」、「man」は「男性」、「guy」は「男性」のカジュアル版。
「man」も「guy」も「男性」を表しますので同じ意味になりそうですが、実は―
そう、なぜか反対語になるのです。
「noses run(鼻が走る)」と書いて「鼻水が垂れる」という意味になります。
「feet smell(足が臭いをかぐ)」と書いて「足が匂う・臭い」という意味になります。
「nose(鼻)」で「smell(嗅ぐ)」のではないの?「feet(足)」で「run(走る)」のではないの?と思ってしまいますね。
「motorcycle(オートバイ)」に乗る人のことを「biker(バイカー)」と呼び、「bike(自転車)」に乗る人のことを「cyclist(サイクリスト)」と呼びます。
「motorcycle」なのに「cyclist」ではなく、「bike」なのに「biker」ではないのです。ちんぷんかんぷん。
* biker は「自転車に乗る人」を意味する場合もあります。
先ず、こちらの文章を見比べてみましょう。
たかが句読点、されど句読点。カンマを置くだけで180度回転する文章の一例です。
他にも―
こちらもまた、カンマがあるか否かで、「Most of the time」または「Most of the time travelers」と、二種類の文章が出来上がります。
最後にもう一つ。
ネイティブにも解明できない英語の摩訶不思議、いかがでしたか?
アメリカ人ノンフィクション作家のビル・ブライソン氏は英語について以下のように述べました。
Making English grammar conform to Latin rules is like asking people to play baseball using the rules of football.
「英文法をラテン語のルールに従わせることは、野球をアメフトのルールでプレイするようにと言っているようなものだ」
もう一つ、英語が如何に厄介な言語であるかをユーモラスにまとめたメッセージをご紹介しましょう。
こちらはアメリカ人ピアニスト・作曲家のデヴィッド・バージ氏の言葉。
English is a crazy language. But it can be understood through tough thorough thought though.
「英語はクレージーな言語だ。だけども、タフで徹底的な思考力によって理解することはできる」
ふむふむ、なるほど。
最後に、この場をお借りして献辞を述べさせていただきます。
「I dedicate this article to my parents, Jane Rita and God.(本記事を、私の両親であるジェインリタと神に捧ぐ)」
あ、すみません、カンマを書き忘れました!
「I dedicate this article to my parents, Jane, Rita, and God.(本記事を、私の両親、ジェイン、リタ、そして、神に捧ぐ)」