さな
(更新)
カンマは「文章や言葉を区切る」役割で使われる句読点。
英語では comma と書きます。
羅列してリストを書くときに、複数の単語をカンマで区切るのが主な使い方だと思っている人も多いかもしれません。
しかし、カンマにはさまざまな異なる使用方法があるのです!
当記事では、英文でのカンマの正しい使い方14パターンを、例文と一緒にご紹介していきたいと思います!
最初に覚えておきたいルールは、下記の接続詞とカンマを使って2つの文章をつなげることです。
英語では independent clause と呼ぶ「独立した文章」を2つ繋ぐときは、接続詞の前にカンマを入れましょう。
「テレビを見るのは好きではないですが、映画を見るのは好きです」
この例文では、「I don’t like watching TV」と「I do love watching movies」という別々の文章が2つあります。それらを but で繋げているので、but の前にカンマが入ります。
「これは私の妹ですが、彼女はあなたが本当にキレイだと思っています」
この例文では、2つの別の文章を and で繋げています。そのため、and の前にカンマが入ります。
ここで再度注意しないといけないのは、これらの接続詞が繋ぐのは2つの独立した文のみということです! それぞれ別の文章に分けても「一文」として成立する文章をまとめるときにカンマが必要になります。
「私の犬はとてもうるさいけど可愛いよ」
この例文は but を使っていますが、but の後が独立した文章ではなく、ただの単語なので、カンマは入れません。
ひとつの単語や、文章として成り立たない節のことを dependent clause または subordinate clause と言います。日本語では「従属節」です。
「食べる前に手を洗ってね」
ここでの before は接続詞として使われています。Wash your hands は独立した文章ですが、before you eat は独立していないので、カンマを入れる必要はありません。
しかし、順番を変えると以下のようになります。
「食べる前に手を洗ってね」
この例文では、before you eat が「導入節」として働いています。この導入節については、次に説明します!
文章のメインの内容(主文)までの「背景」を表すフレーズを introductory clause(導入節)と言います。 Although, even though, once, while, until などの言葉で始まる文章が多いです。
「準備が終わり次第、行けるよ」
この文章では、we can go(行ける)がメインの内容です。この人が準備し終わったら行けるということなので、「準備が終わり次第」の部分が導入節になります。
「普段ブロッコリーはあまり好きではないのですが、この料理はとてもおいしいです!」
この文章が一番伝えたいのは、「この料理がとてもおいしい」ということです。「普段ブロッコリーはあまり好きではない」という部分が導入節になります。
副詞とは、文章の中の他の言葉(名詞以外)の意味を詳しく説明するためにある語です。
「いつもなら、今頃は出勤しているところです」
Normally(いつもなら)が副詞なので、後にカンマを入れます。
「正直、会社に行くくらいなら、毎日家で仕事をしたほうがいいと思っている」
上と同様。Honestly(正直)の後にカンマが入ります。
直接誰かに話している場合は、名前の前後にカンマが入ります。直接話法は英語では direct address と言います。
「トム、ボスが君と話したがっているみたいだよ」
「あなたと夕食を食べに行きたいです、サラ」
日本語の「、」と同じで、さまざまな羅列を区切るときにはカンマを入れましょう。
「残された色は、赤、緑、青だけです」
「ローリング・ストーンズ、メタリカ、ニルヴァーナなどのバンドが好きです」
ここで注目したいのは serial comma または Oxford comma と呼ばれる、最後のカンマです。
3つ以上のことをリストとして並べるときに、最後の and の前にカンマを入れても入れなくても問題ありません。
「私は犬が2匹、そして猫と馬が1匹ずついます」
この文章の one cat の後にカンマを入れることもできますが、入れなくても間違いではないのです。
しかし、同じレポートやメール、ドキュメントなどの文章内でカンマの使い方を統一することも重要です。一行目では Oxford comma を使って、次の行では使わないというライティングスタイルは避けましょう。
また、カンマの有無で文章自体の意味が変わってしまうこともあるので、さらに注意が必要となります。これについては記事の最後で説明します!
ここで追加する説明文は「必須ではない文章」と考えてもいいでしょう。
英語ではこれを interruptors(割り込む、邪魔をするもの)または parenthetical elements(カッコに入れるような内容)と呼ぶことがあります。
文章の意味が成り立つには必要ないけれど、あった方がイメージが湧きやすいような文をカンマを使って入れることがほとんどです。
「独身の友人が、金曜日に一緒に映画を観に行きたいと言っている」
「5歳のときから持っているこのぬいぐるみは、私のそばを一度も離れたことがないの」
「オハイオに住んでいる従兄弟が感謝祭に来たいと言っている」
この例文に出てくる「the one who lives in Ohio」は、カッコに入れて記載することも可能ですよね。そういうときにあえてカンマを使うことが多いのです。
上記では、文中に説明文を加えましたが、次は最後に補足を加える例を見てみましょう。
「その本、前に読んだことがあるような気がする」
「この色はあまり合わないと私は思います」
相手に同意を求めるときに、「〜ですよね?」のような表現をするかと思います。英語ではこれを question tag と呼びます。
そんなときは、その単語やフレーズの前にカンマを入れましょう。
「あなたは肉を食べますよね?」
「これらの絵はとても美しいと思いませんか?」
Yes, no, so, well, now のような言葉のあとにはカンマを入れましょう。
「はい、コーヒーをいただきたいです」
「いいえ、他には何もいりません」
「では、さっそく始めましょう」
「まあ、夜9時以降は外出禁止なんだけどね」
手紙やメールを書くときに「拝啓〇〇様」のように書き始めますよね。英語でも同じです。
Dear や Hello のあとに相手の名前を書き、カンマを入れてから改行しましょう。
「スミスさん、
昨日はお会いいただき、ありがとうございました」
「こんにちはマイケルさん、
金曜日にお話できてよかったです」
セリフを使うときは quotation marks(クオテーションマーク)を入れますよね。
クオテーションマークを使用する場合にも、カンマは欠かせません。
「ジェーンは、『昨夜は眠れなかったから気分が悪い』と言った」
「『仕事には間に合わないわ』とジェーンが電話越しに言った」
「『どうしてこんなことになってしまったんだろう』とジェーンは自分に言い聞かせるように言った」
ちなみに、クオテーションマークの中の文章が ? や ! で終わる場合、カンマは不要です。
「『この曲大好き!』とジュリーが興奮気味に言った」
「『髪の毛大丈夫?』とハンナが聞いた」
しかし、本や映画のタイトルをクオテーションを使って記載し、そのタイトルが ? や ! で終わるときは、カンマを使います。
「『マンマ・ミーア!』に主演するメリル・ストリープが主演女優賞にノミネ ートされました」
カッコの前後にはどのようにカンマを使うのでしょうか? 例文を見てみましょう。
「明日、新しい子犬を飼うのですが(とても楽しみ!)、まだペット用品を買っていません」
まず、カッコがない状態で文章を見ましょう。2つの文章をカンマと but で繋げているため、カッコの後にカンマを入れます。
しかし、元の文章でカンマが不要な場合は、カッコがあってもカンマは入れません。
「新しい子犬(ゴールデン・レトリバー)はとても可愛い!」
英語で住所を書くときは、それぞれの地名をカンマで区切ります。
「東京都渋谷区上原1-2」
英語で日付を書くにはさまざまなルールがあります。ここで、カンマが必要なパターンと不要なパターンを紹介します。
【パターン1】月+日付、年
「私たちの結婚式は2022年8月12日に行われます」
【パターン2】曜日、月+日付
「4月15日の火曜日で良いと思います」
どのパターンでも、月と日付の間にカンマは入りません。
【パターン3】月+年
「新しい仕事は2022年の1月に開始しました」
【パターン4】日付+月+年
「期限は2022年6月15日です」
パターン3と4ではカンマは不要になります。覚えておきましょう!
カンマの有無や位置によって、文章全体の意味が変わってしまう例を見てみましょう。
【サンプル1】
「ジョン、ご飯食べよう!」
これは正しい場所にカンマが入っていますね。では、カンマがなかったらどうなるのかを見てみましょう。
「ジョンを食べよう!」
カンマで区切らないと、ジョンを食べたいという意味になってしまいます!
【サンプル2】
「私に書くきっかけをくれたのは、両親、ウィリアム・シェイクスピア、そしてシルヴィア・プラスです」
この人は、自分の両親と、好きな詩人のシェイクスピアとシルヴィア・プラスにインスパイアされたということですね。ではカンマの数を変えてみるとどうなるでしょうか?
「私に書くきっかけをくれたのは、両親のウィリアム・シェイクスピアとシルヴィア・プラスです」
この例文は、シェイクスピアの後にカンマがないことによって、この人の両親がシェイクスピアとシルヴィア・プラスであるように見えてしまいます!
このサンプルが、先ほど説明していた Oxford comma の有無で意味が変わってしまう文章です。
【サンプル3】
「食べること、そして愛犬と家族が大好きです」
この人が大好きなのは、食べること。そして、愛犬と家族のことも大好きだということですね。では、この文章をカンマを入れずに書いてみると、どうなるでしょうか?
「愛犬と家族を食べることが大好きです」
カンマが抜けてしまうと、この人が好きなのは「犬と家族を食べること」になってしまいます!
カンマの位置や有無の大切さをなんとなく理解できたでしょうか?
カンマの使い方にはネイティブでも苦戦することがあります。
誰しもが毎回正確に使えるわけではありません。
しかし、しっかりルールを理解し、文章をたくさん書き、練習を重ねていけば自然と使えるようになるでしょう!
もしカンマの使い方に迷ったら、ぜひこの記事を見返してルールや例文を参考にしていただければと思います!
また、コロンやセミコロン、ダッシュなど英語の句読点の使い方をまとめた記事もあるので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。