Rina
(更新)
こんにちは。英語ライフスタイリストのRinaです。
みなさんある程度英会話を習ってきたのに、いざ本番でとっさに英語で話してみたら相手に言いたいことが伝わらなかった、または相手の英語が全然聞き取れなかった!なんて経験はありませんか?
海外旅行先で、仕事で、友だちに誘われたパーティーやイベントで…
もしあなたがそんな経験を一度でもしたことがあるのなら、その時に「あーあ、やっぱり私の英語はまだまだだなぁ」と落ち込んでしまったかもしれません。
でも!
もしかしたらそれはあなたの英語力のせいじゃないかも?!
今日は、そんなお話です。
本記事では「海外の人とコミュニケーションをとるために会話を習得したい!」と頑張っている学習者さん向けに、「なぜ非ネイティブの訛りのある英語を理解できるようになる事が大切なのか」をテーマに、私自身の経験も踏まえてお話しさせてください。
このテーマは、特に中級〜上級者さんで、これからもっと実践の場を増やしたいと考えている方やオンラインレッスンに挑戦しようと思っている学習者さんに参考にしてもらえたらと思います。
英語学習者さんの中には、世界中の人とコミュニケーションがとれるようになりたい!という思いを胸にがんばっている方がたくさんいらっしゃると思います。
実際、私もそのひとりでした。13歳で初めてアメリカにホームスティし英語に目覚めてからというもの、「英語ができれば世界中の人と会話できる!」と思い英語に打ち込みました。
でも、私たち日本人は英語学習の時、自然と「英語ネイティブの相手と話す」ことを想定しがちです。
英会話スクールではネイティブティーチャーが人気ですし、テキストや英語関連の実用書も英語ネイティブの録音付き!というものがほとんどだったりしますよね。これはいわゆる「ネイティブ神話」。
・ネイティブからでないときれいな発音が学べない
・ネイティブからでないと正しい英語が学べない
そういった思い込みが、日本には浸透しているように感じます。
もちろん、英語ネイティブのようになりたい!という気持ちはわかりますし(実際私もそうでした)、ネイティブ話者が使う「自然な言い回し」や「発音」などを真似し、参考にしたりして学ぶことはとても大切なのですが、ひとつ忘れてはいけないことがあります。
それは、私たちが実際に英語で話す相手は、実は自分と同じく英語を後から習得した「非ネイティブ」かもしれないという事!
これを見落とすと、先々かなり致命的な事態になりかねません!
なぜかと言うと…端的に、世界には非ネイティブの方が圧倒的に多いから。
特に、旅行や出張でヨーローッパやアジア圏に行く、あるいはアメリカでも人気のニューヨークやロサンゼンルスなどの大都市圏に行くとしたら、実際に英語でコミュニケーションを取ろうとした時、相手が非ネイティブスピーカーである可能性はかなり高いです。
アメリカは人口的に言えば最も英語ネイティブ話者が多い国ではありますが、大きな都市であればあるほど、私たちと同じように海外から短期で訪れる旅行者や、移民の方も大変多い場所です。
このように、私たち多くの日本人がそうであるように、世界的にみたら「英語は第二言語なんです、第三言語なんです」という人は驚くほどたくさんいます。
だからこそ、ネイティブ発音尽くしのテキストでたくさん勉強し、リスニングもたくさん練習して、「まあまあ会話が出来るようになった!」と思っていざ海外旅行に行っても、旅先で相手の英語が聞き取れない、自分の英語も通じない、そんな事態に直面して愕然とする…なんてことは普通にあり得るのです。
過去約7年間、英語教育の現場で、800名を超える英語・英語学習者の方々と出会い、英語力上達のお手伝いをする中で感じたことをお伝えします。
それは、日本人は少なからずどこかに「英語コンプレックス」があって、「自分の英語はダメだ」「完璧じゃないから英語を話すことは恥ずかしい」「ネイティブのように話せないと恥ずかしい」とネガティブになってしまうことが多い、ということ。
なので、本番で英語を話してみて、相手の英語が聞き取れなかったり、逆に ”What was that?” や “Sorry?” などと聞き返されたりすると、すぐに「自分の英語力は低いんだ…」と、落ち込んでしまったり、慌ててしまったり、黙り込んでしまったりします。
でも実は、それはあなたの英語力が足りないとか、間違った単語を使ってしまったとかではなく、単に話している同士が「訛りのある英語=慣れない英語」に出くわしただけなのかも知れません。
例えば “Can I –?“(〜していいですか?)を、「キャナイ?」のように発音してくれれば理解できるけれど、イギリス発音のように「カナイ?」などと言われると途端に分からなくなる、というような感じです。
これは明らかに「英語力不足」が原因なのではなく、「訛りのある英語=慣れない英語への対応力不足」が原因です。
このように、普段英語を学ぶ上で、「相手も英語非ネイティブかもしれない」ということを念頭に置いておくのとそうでないのとでは、いざ本番で英語を使うことが求められた時の心構えや、準備・学習の段階で出来ることも違ってきます。
だからこそ、英語を学ぶ上で、ネイティブ神話を一旦脇に置いて、「非ネイティブの訛りのある英語」に慣れるべく、実践の場を意識的に増やしていくことが大切なんです。
すこし話が前後しますが、
・英語人口って実際どれくらいなの?
・そもそも英語って習得する意味あるの?
という大前提の話もしておきます。
私たち日本人にとって「海外の人とコミュニケーションを取りたい!」と思った時に一番に思いつく言語はやはり「英語」でしょう。海外からの旅行者に道を尋ねられたり、逆に助けてあげたり、といったコミュニケーションはたいてい英語で行われるはずです。
これは日本人に限った事ではなく、世界的にみても同じ事が言えます。海外でも、お互いの第一言語を理解できない者同士が会話する時、彼らはおそらく英語を使うでしょう。それくらい英語は「世界言語」として認知され、実際に使われています。
確かに最近では翻訳機の発達などで、お互いが頑張ってそれぞれの言語を勉強したりしなくてもいい時代になってきてはいますが、それでもなお、異言語話者間のコミュニケーションの現場では英語が絶対的な地位を保っていると言えるでしょう。
また、インターネットをみても、英語で共有されている情報量は圧倒的です。あるオーストリアの会社のウェブ調査(W3Techs)によると、世界のトップ1000万のウェブサイトで使われている言語を調査したところ、半数以上が英語で、他言語とは比較にならない情報量の多さだったという結果が出ています。
順位 | 言語 | % |
1 | English (英語) | 54.4% |
2 | Russian (ロシア語) | 6.7% |
3 | German (ドイツ語) | 5.3% |
4 | Spanish (スペイン語) | 4.9% |
5 | French (フランス語) | 3.7% |
6 | Japanese (日本語) | 3.4% |
7 | Portuguese (ポルトガル語) | 2.7% |
8 | Italian (イタリア語) | 2.1% |
9 | Persian (ペルシア語) | 2.1% |
10 | Turkish (トルコ語) | 1.6% |
(Wikipedia “Languages used on the Internet” 参照)
具体的にみると、世界には英語を実用レベルで使っている英語話者は約15億人いると言われています。
世界の総人口が2019年現在で約77億人と推定されているので、世界的にみると、実に約20%の人が英語を実用レベルで使っているのです。5人に1人は英語を実用的に使えるレベルということになります(日常生活レベルで言えばおそらく20億人ほどが英語を話せるとも言われています)。
でも、実はこの15億人の英語話者の中で、英語が第一言語の人は実は4億人に満たないと推計されています(世界経済フォーラム(WEF)参考)。
これを学校に置き換えると、学年全体で77人の学生のうち、15人が英語を普段から使っているものの、その中で英語ネイティブはたったの4人だけ。逆に、11人は英語以外の言語を第一言語として話すけれど、学校では英語を使っている、というようなイメージ。
言葉はあくまでコミュニケーションのツール。ツールとして便利であれば皆使うし、便利でなければ使わなくなる。そう考えると、英語話者の人口が非ネイティブ含めて15億人もいるということは、英語はやはり便利なツールとして世界的に受け入れられていると言えますよね。
「海外の人とコミュニケーションをとりたい!」そう思った時に英語を話せるように頑張るのは間違っていないということです。
ただ、同時に大切なことは、ネイティブよりも非ネイティブの英語話者の方が断然多いという事実を忘れないことです。
そうした前提がないと、実際の現場でいざという時にあたふた!ということが起きかねません!かくいう私自身も、実はこの点については苦い思い出があるので、少しシェアさせてください。
私は、今でこそ海外に行って英語を話したり聞いたりということが自然にできるようになりましたが、生まれは日本です。
国際交流にオープンな家族の影響で交換留学プログラムに興味をもち、13歳で初めてアメリカ、サンフランシスコでホームスティを経験しました。日本では見たこともなかった大きな世界に感銘を受け、ホストファミリーや現地でできた友だちともっとコミュニケーションをとりたい!という想いから、文通を始め、真剣に英語に取り組むようになりました。
東京都内の大学に進学し、在学中はサークルなどに所属せず大学付属の外国語学校に通いました。社会人に混じって複数のコースを履修したり、外国人客の多い大手ホテルでアルバイトをしたりと、自分の生活の重点を英語に傾けるようになり、少しずつ実践的に英語を習得していきました。
そうした中、将来について考え始めていた学部2年が終わる頃、これまで学んできた英語力が実際に海外でどれくらい通用するのだろうと考え、単身ニューヨークでホームスティをすることに。
この時受けた衝撃は今でも覚えています。
「わ、わからない・・・!」
ニューヨークに到着してすぐ、ホストファミリーの話す英語が予想以上に、というかほぼまったく理解できなかったのです。
この頃までには、英語の先生やネイティブの友人の話す英語はほぼ理解できるようになっていたにも関わらず・・・。驚き、焦る気持ちと共に、大きなショックを受けました。
それもそのはず、最初に言った通り、ニューヨークは移民も多い大都市。この時私を受け入れてくれたホストファミリーはジャマイカからの移民のご夫婦でした。
そのため英語にジャマイカンの訛りが強く残っていて、「ア」というような音を「オ」と発音したり、そもそもすべての音がこもっていたり…。
翌日マンハッタンでの待ち合わせについて話していた時、「オップトーン、オップトーン」と何度も言われてさっぱり何の事を言っているのか分からなかったのですが、後から ”Uptown” と言っていたんだと理解できたなんてこともありました。
それは、今まで聞き慣れてきた英語、自分が「英語ってこういうもの」と信じていた英語とはまったく異質なものだったのです。
「そうか!英語を使って世界の人と話すっていうのは、こういうことなのか!」
私はその時初めて気付かされました。
その後滞在中は本当に大変な思いをしましたが、ニューヨークで生活できたことで、英語の奥深さや広がりを体感し、たったひとつの正しい英語があるわけではなく、いろいろなかたちの英語があって良いと思えるようになりました。
通常日本の学校のテストでは「×」とされてしまうことが、現場では問題なく通じていたり、ひとつの事を言うにしても何通りもの良い方があったり。そんなリアルな英語に触れることで、
・ネイティブのように話せていないとダメ
・文法を間違えて話してしまうと恥ずかしい
そうした思いにとらわれていた自分に気付かされました。
もっと自由に自己表現すること、「正しい英語」「ネイティブぽい英語」よりも「伝わる英語」を!、と英会話学習のベースにあったマインドをシフトすることになったのです。
その後大学院へ進学し、在学中2年間はレジデントアシスタントとして国際寮で生活したのですが、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、南米、北米など世界各地からの留学生と暮らす中で、本当にさまざまな訛りの英語に触れることになり、時に苦労することもありました。
でもネイティブの様に話すことより、伝えたい事をどうしたらわかってもらいやすいか、逆に相手の言いたいことを理解してあげられるかという、本来のコミュニケーションにとって一番大切なことに取り組むことができたと思っています。
英語は今も勉強中で、一生学び続けていくと思いますし、個人的にはインド系の多くの方が持っている独特の訛りは未だにうまく聞き取れないこともありますが、相手が誰であっても分からなかった時は素直に聞き返せばいい、というスタンスが当たり前になっていることは大きいです。
非ネイティブの訛りのある英語を理解できるようになることで、どんな土地でどんな相手と話しても、ある程度スムーズに、そして安心して会話をすすめられるようになるでしょう。
でもそれだけではなく、非ネイティブ同士、お互いを理解しようと努力するコミュニケーショの中で、「訛りがあっても発言する!自分の思いを伝える!」という、世界中の非ネイティブの姿勢に学ぶことも多いのではないでしょうか。
いかがでしたか?
今回は、「非ネイティブの訛りのある英語を理解することが大事な理由」というテーマで、私自身の経験もシェアされていただきました!
英語の単語や文の作り方などの基礎知識がある程度ついてきて、さあ実践の中でたくさんのリアルな英語に触れようと思った時、「相手がネイティブでなきゃだめ!」という思い込みは、デメリットの方が多いです。
もしあなたが、
「世界中の人とコミュニケーションを取れるようになりたい!」
そう思って英語を頑張っているのであれば、ぜひ非ネイティブの人々との会話にもたくさんチャレンジしていって欲しいと思います。
最初は勇気がいるかもしれないし、お互い気持ちが伝わらず歯がゆい思いをすることもあるかもしれません。でもそれこそが世界の人と関わることの「リアル」ですし、そうした会話を通して、あなたの英語での自己表現はもっと自由になり、もっとたくさんの素敵な出会いを運んできてくれるかもしれません!
そのために、今日の記事が参考になれば幸いです。