
大野 南香
(更新)
こんにちは。
東京大学教養学部理科2類2年生の大野南香(@lespros_minaka)です!
今回は、私の高校生の時のことをお話しようと思います。
今では幸いなことに英語に対して積極的になれていますが、高校生まではほとんど海外経験がなく、英語もあまり話せず、得意科目でもありませんでした。
東大を志望しようと決めたのは高2の終わりで、全く目指せるような状態ではなかったため、本当に1年間の受験生活はいろいろなことがありました。だからこそ受験というものは私の人生のなかで最大の分岐点のうちの一つだと思っています。
私の今からお話する勉強法はあくまで1つの選択肢であって、誰しもがその方法にマッチするとは限りません。なのであくまでも「あっ、この子はこういうやり方で勉強してたんだ」という気持ちで読んでいただければなと思います。
前編である本記事では受験勉強について、後編では大学入学後の英語への向き合い方についてお話します。
まず、私がなぜ東大を目指そうと思ったのかについてお話していきたいと思います。
私は中学受験をして愛知県の中高一貫校に通っていました。中学受験をした時、つまり小学生のときは、将来の夢はお医者さんでした。なぜそう思ってたのかは覚えていないのですが、親に言われたからでもなく、自分からそう思っていたそうです。
高校生になってSNSをよく使うようになり、他校との交流も増え、メイクやファッションに興味を持ち、名古屋のお祭りを制覇したり海やプールに行ったり、BBQをしたりスタバに頻繁に行ったりと、いわゆる「The JK」な高校生活を送っていました。
高校2年生の終わりになって、志望大学をそろそろ考えるという時期になった時、ふとなぜか医者になっている自分が全く想像できず、医療の世界ではなくリミットのない1番広い世界を見てみたいという気持ちになりました(医療の世界も高校生の私が思っている以上に深くて広い世界だと思いますが、当時の私はそう思っていました)。
私が東大を志望したのには、5つの譲れない理由があります。
1つ目は東大の場合、学部を入学後に決められること。高校2年生の時、そもそも学部はなにがあるのか、それぞれの学部がどういうことを学ぶのか、何も知らなかったですし調べようという気もなかったので、決めなくていい学校がいいなと思いました。
2つ目は東京に行きたかったこと。やはりいろんな人が集まる場所、憧れの東京に行ってみたかった。
3つ目は国公立の大学であること。中高が私立だったので親の負担が少なくなるよう国公立に行こうと決めていました。
4つ目は都内にあること。学校終わりにすぐ遊びに行けるように都内の大学がよかったんです(笑)。
5つ目は共学であること。これもとても大事!(笑)
中高女子校だったので、さすがに大学まで女子校は…(笑)
この5つの理由はどれも譲れなくて、そしてこの5つの要望を叶えてくれるのが東大しかなかったため、当時の自分の学力を全く気にせず、東大に行こうと決めました。
今思うと、自分の学力をみて行ける範囲の大学を探すのではなく、まずは何も気にせず自分が行きたいところを優先して考えたのが、1年間諦めずに頑張れた理由の一つなのかなと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、本題の英語の勉強法についてお話していきたいと思います。
高校2年生までは学校の勉強以外に、文法の参考書・問題集に取り組んだり英文を読んだりと、なにかしらしてたかもしれませんが、なんとなくやっていただけでほとんど記憶に残っていません(笑)。
なので、東大を志望してからの“受験生活”での英語の勉強法を綴っていきたいと思います。
まず、私は学校の先生や塾の先生、東大に行った先輩に話を聞くことにしました。そして東大が求める能力、テストの特徴を掴み、自分の学力の現状を把握し、何が足りなくて、それを補うには何をいつまでにこなせばいいのか、大まかな計画を立てることから始めました。
当時、センター英語が120/200点しかとれず、東大模試もE判定の状態からのスタートだったので、1年間という限られた短い期間、しっかり現状とゴール地点を把握した上で計画的にやる必要性がありました。
夏までは英語の総合力を高める時期と決めていたので、夏前までは過去問には全く触れませんでした。その代わりに、文法の問題集『Next Stage』をまず数日間で1週し、少し間隔を空けて2週目をやり、その後間違えた問題を3,4回やり直しました。
学校では中学1年生から英語の授業が始まり、学校で配られる参考書に沿って文法を習っていました。高校2年生でだいたいの文法は習い終えていたので基礎は大体わかっていたと思いますが、文法の問題集に取り組む事で理解がぐんと深まったと感じています。
文法の問題集はたまたま高校2年生のときに買っていたものが『Next Stage』だったのでそれを使いましたが、自分に合ったものを使うのが一番。本屋さんに行って開いてみて、やる気がでるものを買うのをおすすめします!
とにかく、文法問題は短期間で集中的に多くの問題を解くのが良いと思っています。定期的に少しずつやるよりも、まとめて一気にやることで文法の全体が見えてきますし、頭の整理がしやすいです。
次は英単語について。いろいろな単語帳がありますが、私が本当に本当におすすめしたいのは鉄緑会が出している『東大英単語熟語』です。
この単語帳の素晴らしい点は、東大の試験に必須の単語がおさえられているだけでなく、単語を連想づけながら意味を理解して覚えることができるところ。きちんと意味を理解して、また派生語も一緒に覚えることによって、その単語がどんな形で出てきても対応することができ、また和訳の際にも、文脈にそった自然な日本語で表現することができるようになります。この本は単語帳というよりも、読み込む本に近い感覚ですが、この本をしっかりこなすことによって、色々な方面で英語に対して自信がつきます。
『東大英単語熟語』をやる前までは、学校で配られた『ターゲット1900』を使っていました。毎授業で小テストがあったので、小テスト対策を通して基礎単語を身につけていきました。
単語の勉強は通学などの隙間時間、もしくは数学や理科の勉強に疲れたときにやっていました。数日間単位で「ここまで終わらす」と範囲を決め、確実に無理なく進めることがポイントだと思います。
続いて長文問題に関してですが、私は難しすぎない丁度いい分量の長文問題を毎朝1題ずつ解くようにし、これを朝の日課にしていました。具体的に「難しすぎない丁度いい分量」というと、復習も含めて1時間程度で終わるものです。
復習のやり方としては、まずは文章中の知らない単語や意味の良く分からない英文を確認。長文全体の意味を理解し終えた後、間違えた問題があったら再度解いてみて、なぜ間違えたのかを明確にします。
一文一文丁寧に読み解くというよりは、全体の方向性をしっかり捉えられたかどうかを重視し、全体像を間違って読み解いていた場合はどこでズレが生じたのか(単語が原因なのか、分かりにくい構文が原因なのか)をはっきりさせるよう意識していました。
最初はズラッと英語が書かれている長文問題に苦手意識を持たないよう、毎朝の日課にすることで少しずつ英語に対して慣れさせていく必要がありました。この方法は英語を読み解く力が徐々についていくので、とてもよかったなと今になって思います。
次に、センター試験、二次試験についてそれぞれお話していこうと思います。
まずセンター試験に関しては、焦らずに丁寧に解くことを心がけました。センターは内容が本試験に比べて難しくない一方で、時間制限によって焦る受験生に対しての引っ掛け問題が多く存在します。
焦らず丁寧に解いていくことでミスを少なくすることができますし、また、英語の力が総合的に高ければ時間を気にしすぎなくとも余裕を持って終えることができます。
したがって、センター英語を中心に考えて対策するよりも、まずは総合的な力を高め、二次試験に重きを置くのがいいなと思いました。実際、私は年が明けて1月からセンター試験対策を始めました。
二次試験の中でも、英語は特に気にかけていた教科でした。なぜなら帰国子女、また英語がものすごく得意な人は英語で点数をかせぐことができ、また、年度によって難易度のバラつきが1番小さい科目なので、できる人とできない人の間で最も点差が開きやすいからです。
初めて東大の二次試験の英語を見た時は、見るだけで気が滅入るようでした。たっぷりのリスニング、要約問題、創造性の問われる特徴的な英作問題、難しい文法問題、長い長文問題……とにかくできる気がしませんでした。
先述の通り、夏までは総合力を高め、夏終わりになって徐々に英語の過去問に手を出し始めました。夏終わりに受けた東大模試の結果と受けた時の自分の感覚を元に、どの設問が取り組みやすくてどこに苦手意識があるのかを分析しました。
ちなみに、模試は最後まで良くてC,D判定しかとれませんでしたが、模試の結果に全く一喜一憂しませんでした。模試は現状把握のための手段としてしか見ていなかったからです。模試がいくら良くても悪くても、本番で120%の力を出せれば何も問題ありません。
もともと勉強を始めるのが遅かった分、今はまだ間に合っていない状況だ、というのがわかっていたので、最後の本番のみをゴールとして、模試は単なる通過点と見なしていました。
塾の先生にも相談して、まずは取り組みやすい英文和訳から固めることにしました。単語の意味が全てわかっていても、きちんと意味の通る日本語に意訳しなければ点数は稼げないので、過去問を何年分も解いて、毎回先生に添削してもらい、復習していました。
長文問題と和訳問題は英語力があれば比較的解きやすい問題なので、まずはそこから取り組み、また、リスニングは耳を慣らすという点でも、ほぼ毎日やっていました。
リスニング教材は『キムタツの東大英語リスニング』でした。最初になにも見ないで音声を聞き、意味が分かるかどうかを確かめ、その後スクリプトを見て確認。ディクテーションが良いとよく聞きますが、私はわざわざ書き出すのが面倒に感じてしまったので、頭の中で処理していました。スペルのあやふやな単語等が出てきた場合は書き出さなくとも、きちんと目視で確認した方が良いです。
そして、英語は毎日聞くようにしましょう。私は机に向かうのが疲れたら、散歩がてら英語を聞くようにしていました。東大の過去問に並行して、さきほど紹介した鉄緑会の単語帳を何度も読み直し、また、文法に関しても少しでも不安な所が出て来たらすぐ調べていました。
最後に、英語に限らないのですが、何かわからないことが出てきたら、きちんと理解するまで自分で調べたり先生に聞いたりしていました。少しの疑問が後々大きな落とし穴に変わる可能性もあるので、“分からない”を解決することはとても重要です。
全てをお話することは限られた文字数の中では難しいですが、大体のわたしの英語の勉強法はこれまでお話した通りです。
世の中には様々なトリッキーな解き方がありますが、英語に関しては特に、基礎力、総合力が大事になってきます。
たしかに限られた時間の中で多くの問題をこなすのにはテクニックも必要かもしれませんが、なによりもまずは本来の基礎力、総合力を高めるべきだと思います。
文法と単語、そして読み解く能力、これはどの大学の問題、またどの英語の試験に対しても平等に必要になっていくものです。少しでも基礎が不安だなと感じていたら、原点に戻ってしっかり基礎をやるのが1番の近道だと思います。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!
そして、今回このように私の体験をお話できる場を頂けて本当に光栄です。
これまで書いてきたことは個人の見解なので、最初にお話した通り、すべての方にこの方法が合っているとは限りません。やはり一人一人、自分に合った、自分だけの勉強法を進めるのが1番効果的だと私は思っています。
これから受験を控えている方、または英語の勉強を始めようという方、勉強はたしかに楽しくはないですが、学ぶことによって見えてくる世界がたくさんあります。
本記事を読んでくださった方が前向きに考えられたり、行動できたり、少しでも私の思いが皆さんにとって意味のあるものになったらいいなと思います。
後編では受験を終えて感じた言語の壁と、それを乗り越えるまでの軌跡を紹介させていただいたので、そちらもぜひ読んでみてください。