大野 南香
(更新)
こんにちは!
東京大学教養学部理科2類2年の大野南香(@lespros_minaka)です!
今回は、私が受験を終えてすぐに感じた言語の壁、そして受験英語と会話の違いについて、さらにはどうやってそれらを乗り越えたのかをお話させて頂きます。
おそらく私と同じように、言語の壁を感じている方は少なくないはず。
「文法問題や長文問題は出来るのに、TOEICの点数は高いのに、外国人と話す時緊張してしまう…うまく話せない…頭で英訳してから話すからレスポンスが遅くなったり表現がかたくなってしまう…」
こんな風に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。これからお話しする私の実体験が少しでも参考になれれば幸いです。
人生最大の言語への壁を感じたのは、ちょうど受験勉強が終わった高3の終わりの時でした。
地元でスケボーをしている外国人の方とぶつかりそうになったとき、その方がフレンドリーに "Sorry" と話しかけてくれました。それなのに私は自分のスピーキングに自信がなく、言いたいことはあるのに全然言葉が出てこなくて、まともに会話も出来ませんでした。
結局その人は苦い顔をして去っていきました。私は深く自分に失望しました。海外に憧れて「将来は海外で働きたい」という想いを持っているのに、そしてあれだけ1年間勉強したのに、全く英語が話せなかったのです。
今まで留学なんてもってのほか、旅行でさえもアジア圏内しか行ったことのなかった私にとって、英語はコミュニケーションツールではなく、勉強のいち科目でした。
私はこの時、「受験英語と会話英語の違い」を痛感しました。しかし、この苦い思い出のおかげで、日常的に英語に触れようと思うようになりました。この出来事が、後に私にとって大きな分岐点となります。
まず、私は海外が自分にとって合うのかどうかを確かめたかったため、試しに短期間住んでみようと考えました。1年生の夏は大学のコンテストに出場していたため難しく、2年生の春に1ヶ月間行くことにしました。
なのでそれまでは海外ドラマ・映画をみたり、TEDというプレゼン動画を字幕で見たりしていました。あとは、携帯の言語設定を英語にしたり。これは勉強のためという目的だけでなく、スクショした時にかっこいいからという理由もありますが…(笑)。
今でもずっと言語設定は英語にしています。自然と普段の何気ない英単語(「設定」→「settings」など)が目に入るので、私個人的には効果があるんじゃないかなぁと感じています。
初の海外生活として選んだ場所はアメリカ。なぜかというのは、大学1年生の時、響きが好きだからという安易な理由で将来の夢を「ニューヨーカー」と言っていたから、まずはアメリカかなと思った次第です(笑)。
留学だとお金もかかるので、クラスメイトの友達が紹介してくれたシアトル在住のホストファミリーのところに行くことになりました。そしてその頃、ちょうど祖母の友達の娘さんがニューヨークに住んでいたので、シアトルに滞在したあと、念願のニューヨークを観光することにしました。
シアトル3週間、ニューヨーク1週間ちょっと、大体1ヶ月間のアメリカ生活でした。シアトルではホストファミリーに連れていってもらった教会に通って、聖書の勉強会に参加したり、歌の練習に参加したりして、最終日には日曜日のモーニングサービスに歌う側として参加もさせてもらいました。
シアトル在住のアメリカ人と同様の日常生活を送り、たまに1人で出かけて友達を作ったりしていました。初めの頃はやはり話しかけることに対して苦手意識がありましたが、勇気を出してたくさん行動することによって、話すことへの楽しさを覚えました。
「英語であっても日本語であってもコミュニケーションをとるには心が重要。『話したい、自分の気持ちを伝えたい』その想いがあればきちんと伝わる」ということを学びました。
帰国後はニューヨークで見たティファニーで働く人達に憧れて、アパレルをやってみたいと思い、アパレルの仕事を始めました(アルバイトは雇っていなかったので派遣として) 。
表参道の路面店だったので、海外からのお客さんも多く、英語を使う機会が日本でも増えました。そこで接客業に関する英語を勉強することができました。
アパレルを2ヶ月半続けたあと、もっと英語を活かしたいと思い、英語を習おうと考えたのですが、そこでふと「習うより教えたほうがもっと上達するだろう」と思い、英会話講師のバイトを探すことにしました。
幸い、TOEICの点数が採用条件を満たしていたため、講師として採用して頂けることになりました。そして、まだ英会話講師として働き始めてから間もない頃、ひょんなことで”マルタ”についての話を聞く機会がありました。
マルタはイタリアの下、地中海に存在するとてもとても小さな島国で、日本人が英語の語学留学でフィリピンに行くのと同様に、ヨーロッパの人達が英語の語学留学にマルタに行くのだそうです。また、7、8月のシーズンは各国からたくさんの人がマルタにバケーションとして、また留学地として訪れるよう。
それまでマルタの存在すら知らなかったため、少し調べてみると、イギリスとは違い留学費用も安く、マルタに行くついでに、近いイタリアにも観光でき、また7、8月のシーズンにマルタに行くと、色々な国の方と出会えるということで、マルタにものすごく惹かれて「今すぐにでも行きたい!」という気持ちになりました。
ちょうどマルタの存在を知ったのが6月頭。「7、8月中に行かなければ!」という衝動に駆られていたため、気がついたら6月の中旬には、7月スタートの2週間の留学プランに申し込んでいました。まだ夏休みでもない時期でしたが、ちょうど大学のテスト前で授業がなくゆったりとした期間だったので、「この時しかない!」と思い勢いで申し込んでしまったのです (親にも全く相談せずに自分で勝手に申し込み、親には事後報告だったので、とても迷惑をかけたと思います…)。
6/27に日本を発ち、ローマ・ミラノと5日間の観光をした後、マルタに2週間語学留学しました。このドタバタな1人初ヨーロッパ旅は、私にとってものすごく大切な経験となりました。
この20日間について話そうと思えば、ずーーーっと語っていられるほど長くなってしまうので、マルタ留学については別のインタビュー記事をぜひ読んでみてください。
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この記事では、マルタ留学を通じて感じた「英語」についてお話させてください。
マルタにはヨーロッパからだけでなく、ブラジルやペルーなど本当に様々な国の人が集まっていました。そしてまず思ったのが、「平均的にどの国の人も、日本人より英語力がはるかに高い」ということ。
ここで、語学学校の先生の言葉が印象的だったので紹介させてください。
「ここにくる日本人はほとんどみんな最初は英語を話せなくて、なにを尋ねても "Yes!" としか言わないんだ。それがネガティブな質問だとして "Really?!" と返すと、慌てて "No!!" と答える。とにかく全く話せず、シャイな人が多い」
欧米圏の言語と比べ、日本語は扱う文字や音がまるで違うので、習得しにくいのかななどと色々考えたりもしましたが、とにかく、私は他の国の平均的な英語力の高さに驚きました。
マルタに来てすぐのときは授業中に発言するのを少し躊躇していましたが、授業自体がとても楽しいのと、どう言っていいかわからなくなった時も先生がサポートしてくれたおかげで、なにも恐れずに発言することができるようになりました。
マルタには元々日本人は少ないですが、数少ない日本人の友達も同じような経験をしていました。マルタに来る日本人は全く話せない状態で長期で留学に来る方が多く、その方達は「最初はまっっったく話せなかったのに、授業を受けているうちにどんどん話せるようになっていって、今では英語を話すのがとても楽しい!」と仰っていたのが印象的でした。
マルタでは知らない単語が出てきても、先生が英語でその意味をわかりやすく説明してくれたので容易に理解することができました。普段は英語を読んでいる時にわからない単語が出てくると、すぐ日本語に訳してしまいますが、英語を英語で理解することによって、その単語自身を理解することにつながり、とても理解が深まります。
それに気づいてからは、なにか知らない単語に直面すると、英英辞書を使うようにしています。紙の辞書は重くてかさ張るので、Googleで調べています。
例えば「premise」という単語がわからない時は、「premise 意味」で検索するとすぐにGoogle翻訳が出てきてしまうので、「premise」のみで検索します。もしくは出てこなかったらまず「英英辞書」と調べて、リンク先でわからない単語を検索するといいと思います。
よく学校の英語の授業では英語の文をまず日本語訳しますが、これをすることによって英語を日本語に、日本語を英語に訳すという習慣がついてしまって、このことが多くの日本人英語学習者を苦しめているのではないかと思っています。
“英語を英語で理解する”。英語と日本語は別の言語であり、いつでも綺麗に訳せるわけではありません。英語を英語で理解することによって、むしろスムーズに言葉の意味が入ってくるのでは、と感じています。
たったの2週間の留学。2週間では何も意味がないだろうと思われるかもしれません。たしかに2週間で英語を完璧にするのは不可能です。ですが、自分の英語に対する自信をつけること、そして自分に何が足りないのか、これからどうすればいいのかを見つけるために、2週間は十分な期間だと思います。
最後に、これまでの学習経験、海外経験を通じて新たに見つかった自分に対するこれからの課題をお話しようと思います。
勉強をして知識を取り入れることを「インプット」、実践することを「アウトプット」といいますが、アウトプットはインプット以上のものは出せません。常に「インプット>アウトプット」という関係性です。
今まで述べたように、確かに英語を実際に使っていくことはとても大事ですが、それと同じくらい“新たに知識を広げていく”ことも大切だなと感じています。それによって英語を話す時も表現力がぐんと上がります。
私はいつも同じような表現しか使えていないように感じたので、しっかりこれから先もインプットはしていこうと思っています。
具体的には、IELTSなどの英語の公式テストの勉強をしながら忘れてしまった文法や新たな英単語を習得する。あとは「last week tonight」というアメリカの情報番組をみて日本語字幕なしで理解できるようにしたり、「the conquest of happiness(日本で言う「幸福論」)」をよんで正しい英語の使い方や英語圏の文化、バックグラウンドを知って教養を身につけたいなと思っています。
また、英会話講師をやっていく中で英語でのレスポンスの精度を上げること。今すぐこれらのことを達成できるとは思いませんが、継続して学んでいって少しずつ少しずつ習得していけたらなと思っています。
前編に引き続き、後編も読んでいただきありがとうございました。
うまくまとめられているかどうか分かりませんが、最後に私が大事だなと思う2つのことについてお話します。
1つ目は「思い立ったらすぐ行動」です。英語に限らずではありますが、何が良いか悪いか話を聞いて理解しているつもりでも、実際と違っていることが多いです。やはり実際やってみて自分の目で耳で感じるのが1番。論理的に考えることも必要ですが、まずは行動してみることがとてもとても大切だと思っています。
2つ目は「常に前向きであること」です。私は英語の話せない自分に失望した時、「なんで高校生のときから留学しておかなかったんだろう」と思っていました。でもその時、英語を話せない自分に気づいてこれから頑張らないと、と気づけたからこそ今の自分があります。なので過去を後悔するのではなく今の自分を把握出来ていることを幸せだと思って、これから先、成長していく自分を楽しみながら頑張って行ってください!
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!
私の話がみなさんになにかしら与えることができたら幸いです。