masa osada
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みなさんは仕事場、プライベート問わず、自分の意見を言うのは得意でしょうか? 意見を言うことに対して苦手意識を持っている方も多いはず。
そして世界的に見ても、日本人は自分の意見を伝えることが不得意、控えめな人種だと思われています。一方、他の英語圏では積極的に自分の意見を口にする人たちが非常に多くいます。実はこの得意・不得意の差は歴史的な背景や、子どもの頃からの教育方法の違いによって生み出されているようです。
そこで今回は、その違いを踏まえて、英語で自分の意見を言えるようになるための4つのポイントと5つのトレーニング方法を紹介します。
トレーニング方法を紹介する前に、どうして日本人は自分の意見を言うのが苦手なのか、また逆にどうして外国人は自分の意見を言うのが上手なのか、その理由を4つのポイントにまとめましたので、ご覧ください。
これらを理解するだけで「英語で自分の意見を言えるようにするためのトレーニング」の半分は終わったようなものです。
日本にいるのは約9割が日本人。最近は海外からの観光客も増えてきたとはいえ、基本的に私たちは同じ文化背景を持った人たちと常に生活しています。そのため「言わなくてもわかる」とか「空気を読む」「察する」と言った暗黙の了解が昔から成り立ってきました。
さらに自分の意見を言いすぎる人は「自己中心的な人」と呼ばれ、ネガティブな印象を持たれる傾向があるため、どうしても自分の意見を言うことに対して消極的になってしまいます。
ところが英語圏の国は、常に多種多様な民族とともに暮らしてきました。そのため、お互いの共通認識が存在しない、もしくは希薄なので、黙っていては何も相手に伝わりません。お互いが思うことや感じることを相手に伝えなければいけないのです。
つまり日本人が外国の人と話す場合には、自分が当たり前だと思っていることでも、相手は当たり前だと思っていないことが多くなります。まずは自分にとって当たり前なことでも相手は知らない、相手にしっかりと伝えていきましょう。
日本では会議中、上司の人が話をして部下の人たちはメモばかりで発言をしない傾向があります。「何か意見がある人はいませんか?」と言われても、お互い様子をうかがうばかりで何も誰も言いません。
この時に働く心理は「質問したら、議題を理解してないと思われるかもしれない」とか「間違った意見をしたら評価が下がるからイヤだ」と言ったネガティブなものがほとんどです。これは、日本人が子どもの頃から正解を求める教育に慣らされてきたからです。
一方、海外では、答えが合っている・間違っていることよりも、その途中のプロセスや姿勢を大切にします。そのため会議の参加者は上司・部下問わず、疑問がある人は質問し、意見がある人は発言をします。間違ったことを言うことにネガティブな感情があまりないので、自分たちが思うことを参加者は思い思いに発言するのです。
もちろん、あまりにも発言が的を射ていなければ次回から会議に呼ばれないかもしれません。でも、大切なのは自分で一生懸命考えて、自分の意見を実際に発言することです。間違いを恐れずにドンドン発言していきましょう。
英語圏の中学生や高校生は、学校の授業で討論(Debate)を学びます。特定のテーマを出されて、そのテーマに沿って生徒たちの間で意見交換がなされます。その中で自分の意見を述べたり、発言者の意見を否定しながら自分の意見を言うことなどを学んでいきます。
一方、日本人の中学生・高校生の多くは討論を学んでいません。大人になっても経験がある人はほとんどいないくらいです。控えめのほうが美徳とされる国民性もあり、意見を言うのが苦手なのは仕方ないのかもしれませんね。その部分についてはあまり卑屈にならなずに、今から少しずつ学んでいくようにしましょう。
日本人は英語がネイティブではありません。相手はこちらの英語の発音を聞けば、英語があまり流ちょうでないことはわかった上で話を聞いてくれます。自分に置き換えて考えてみるとわかるでしょう。外国人がたどたどしい日本語で会議に参加していたら、細かい言い回しは意識しませんよね。
これはポイント2の「間違えても良い」と通じるところがあります。英語を間違えることばかり気にしていては自分の意見は言えません。例えば「YesとNo」を間違えたり、「1,000万円と1億円」を大きく間違えなければ、相手はこちらが思っているよりも「英語が流ちょうでない」ことを気にしません。大切なのは、きちんと自分の思ったことを言えるかどうかなのです。
英語で意見を言うための心構えともいうべき4つのポイントを踏まえた上で、さっそく具体的なトレーニング方法を見ていきましょう。
自分の意見を言うためには相手がいなければいけません。ただ、友だちや家族、会社の同僚に向かって、いろいろな意見を急に言い出したら「この人、どうしたんだろう?」と思われてしまうかもしれません。それに相手も忙しければ、なかなか話を聞いてくれないでしょう。
そこで、おすすめするのがFacebookやTwitter、ブログなどのオンラインに、自分の思うことを書いてみることです。もし知り合いに何を書いているか知られたくなければ、匿名で始めても良いですね。
その日に見た映画やニュース、読んだ本や新聞、そのほか何でも思うことを書いてみましょう。最初は30~40文字程度しか書けなくても、徐々にいろいろなことを書けるようになってくるはずです。
書く内容については「ありふれているかもしれない」とか「間違っているかもしれない」などとは考えず、とにかく自分の考えをアウトプットすることが大切です。
友だちや家族、職場などで意見を求められたら、必ず発言する習慣を付けましょう。
男性なら彼女や奥さんが料理を作ってくれて感想を聞かれたときに「美味しいよ」と答えるだけではなくて、どう美味しいのかまでを言ったり、友だちと遊びに行く場所を決めるときも「どこでも良いよ」ではなくて、何か1つは提案してみましょう。
また職場のミーティングで「他に何か皆さんありますか?」と聞かれたら、そのミーティングの内容に対して自分の意見を言ったり、わからなかったことを質問しましょう。
意見を言うのが苦手な人にとって「必ず発言する」というのは、けっこう大変な作業です。でも、まずは日本語で意見を言うことができなければ、英語でも意見を伝えることはできません。頑張りましょう。
自分の意見を言うのが難しいとき、思い付かないときは、誰か別の人が意見しているときに便乗してみましょう。その意見に賛成して自分の考えや情報を付け加えたり、その意見に対して自分が疑問に感じたことなどを発言してみると、ハードルは下がるはずです。
ただ、注意したいのは、相手が話しているときに口を挟むと相手の話の腰を折ってしまうので、相手が話し終わるタイミングを見計らってから発言するようにしましょう。
なお、英語で自分の意見を付け加えたいときは
"Could I add my thoughts on that?"
(僕の考えを付け加えても良いですか?)"Would you mind if I ask you some questions related to your comment?"
(あなたの意見に関連することを質問しても良いですか?)
といった言葉を付け加えて聞くとスムーズです。
いざ英語で思っている意見を伝えようとしても、英語表現が分からないとどうしてもためらいがち。そこで英語で自分の意見を言えるようになるために、普段から「このシチュエーションって英語だったらどのように言えば良いんだろう?」という疑問を持ち続けることが大切です。
一番良いのは自分が誰かに何か意見したあとで、その発言内容を英語ではどのように言えばよいのかと考えてみること。自分の生活や仕事に密着したフレーズを学べますし、同じような機会は必ず訪れるので実際に試すこともできるでしょう。
例えば、職場でライバルの会社に先を越されて、大口契約を取り逃してしまったときに、ミーティングで「もう少し早く先方に持ちかけるべきでした」と意見したとしましょう。このフレーズは英語で
"We should have approached them earlier"
と言うことができます。
「"するべきだった"は"should have + 過去分詞"を使うんだな」とか、「"早めに"には"earlier"を使うんだ」など、日常生活でも使い回しが効きそうな表現を知ることができますね。そのような英語の言い回しはノートに書き溜めていくと、あとで復習もできますし、自分だけの辞書にもなるので非常に便利ですよ。
英語で意見を言えるようになる一番の近道は、英語の意見をたくさん聞いたり、読んだりすることです。インプットの量を増やすことで単語や表現の幅が増えていきます。でも、日本で生活していて英語の意見を聞いたり、読んだりする場所はあまりありません。
そこで、おすすめしたいのが「TED」です。「なんだ、TEDは有名だし知っているよ」だなんて思わないでください。今回おすすめしたいのは、皆さんが知っているTEDの動画ではなく、TEDの中にある掲示板のようなページ「TED | Conversations」です。
現在はもう新しい投稿は受け付けていませんが、過去に寄せられた投稿が15,000ほどあり、その一つひとつの投稿に数十、多いトピックでは数千のコメントが寄せられています。
例えば、"Can you make up for the lack of sleep?"(あなたは寝不足を補えますか?)という質問が投稿されていました。その質問に対するコメントの一文を紹介します。
From what I've learned, it doesn't matter when we sleep (weekends, naps, etc.) and it is important to get enough sleep to support the body/mind systems.
私が学んだことから言うと、いつ寝るか(週末や昼寝など)は関係ありません。大切なのは体や心のシステムをサポートするのに十分な眠りが取れているかです。
こういう"From what I’ve learned"など、自分の意見を言うために役に立つ言い回しが、この「TED | Conversations」にはたくさん載っています。
このように、上質なコメントをたくさん吸収することも、英語で意見を言えるようにするためには大切なことです。通勤時間などを使って多くインプットしていきましょう。
英語で意見を言うためのトレーニングをする前に知っておきたい4つのポイントと、5つのトレーニング方法を紹介しましたが、いかがでしたか?
英語で意見を言うことは、実はそんなに難しいことではありません。まずは日本語で意見が言えるようにして、あとは意見を言うときに使える英語の定番フレーズをある程度覚えて、英語ならではの意見の言い方やコツを知っておけば怖くないでしょう。「案ずるより産むが易し」なんて言うことわざもありますが、最初は英語で意見を言うのに勇気が必要かもしれませんが、1回言えればあとは大丈夫です。
次回は「英語で意見を言うために知っておきたいフレーズとコツ」を紹介しますので、そちらも参考にしつつ、今回紹介したトレーニングを日々行って、英語で意見を言えるように頑張りましょう!
Let's enjoy leaning English!