Sheila (谷 しのぶ)
(更新)
「…あれ、文法が間違っているのかな?」
「…もしかして発音が悪すぎる?」
英語で話していて、うまく伝わらず、このように思ったことはありませんか?
もしかしたら、相手に伝わらない理由は話すリズムにあるかもしれません。実は、話しことばにはそれぞれの言語特有のリズムがあります。
皆さんが何気なく話している日本語にも特有のリズムがあります。そしてそれは、日本語を母国語とする私たちが苦戦する英語のリズムとは異なるのです。
そのことに気が付かず、日本語の話すリズムで英語を話している人が多いのが現状。これではせっかく身に付けた英語を聴き取ってもらえず、もったいないです。
今回はこの「もったいない!」を解消していく方法を紹介していこうと思います。
英語の話すリズムに自信のない方や、特に子育て英語に力を入れている方にぜひ読んでいただきたい内容になっています。
子供のうちから英語のリズムを身につけておけば、自然と聴き取りやすい英語が話せるようになります!
まず、英語の話すリズムを意識しないと、どのようにもったいないのでしょうか?
例えば、海外で駅までの道を英語でこのように尋ねたいとします。
Excuse me, how can I get to the station?
「すみません、駅まではどうやって行けばいいですか?」
このフレーズを実際に口にしてみると、以下のようになる方も多いかもしれません。
エックスキューズ ミー ハウ キャン アイ ゲット トゥー ザ ステーション
しかし、これを聴いた相手はどうやら聴き取れなくて困っている様子…
「…あれ、文法が間違っているのかな?」
「…もしかして発音が悪すぎる?」
言葉が通じなかった時には、このような疑問が頭を過りますよね。
しかし、ここでの問題は文法でも発音でもなく、話すリズムにあるのです。
日本語の話すリズムのまま英語を口にしているので、相手にとってこの「エックスキューズ ミー…」は、もはや英語ではなく日本語のように聴こえてしまっているのです。
では、どのように話せば英語らしく聴こえるのでしょうか?
極端に言えば…
クスキューズミ ハーウキャナイゲッ トゥザステーイシュン
という感じでしょうか。
単語一つ一つを発音するのではなく、音がかたまりになったり、消えたり、間があったりしながら一定のリズムに乗っているのが文字を見ただけでも分かると思います。
これが英語の話すリズムといえます。動作に例えるなら、スキップのリズムに似ています。
「クスキューズミ…」なんて、それこそ何を言いたいのか全然分からないじゃないか!と思うかもしれません。
しかし、英語圏の方にとっては「エックスキューズ ミー…」としっかり分けて発音すると逆に何が言いたいのか分からないのです。
英語を話す時は日本語の話すリズムから英語の話すリズムに乗り換えましょう。
では、英語の話すリズムはどのように身に付ければいいのでしょうか?
とにかく英語の話すリズムを耳で聴き取って、口にしてみるという暗唱の繰り返しに限ると思います。
そしてこれを手助けするオススメのツールがナーサリーライム(英語の伝承童謡や詩)です。
英語圏の子供たちに親しまれているナーサリーライム。口伝えで何百年も継承されてきた数多くの短い詩は、英語の話すリズムをよく捉えています。
短い詩なので、すぐに覚えてしまい、何度も何度も口にしているうちに自然に英語の話すリズムを捉えるようになります。
私のオススメのナーサリーライムを幾つか見てみましょう。
日本ではメロディーのついた歌うナーサリーライムが多く知られていますが、ここで話しているのは歌うものではなく朗唱するナーサリーライムです。
感情による抑揚もほぼなく、一定のリズムが保てて、短くて覚えやすい。
この詩を口にして、自分の耳から英語の話すリズムを聴き取り、英語の話すリズムを身体にしみ込ませる気持ちで何度も何度も繰り返します。
何度も口にすればするほど、しっかりと英語の話すリズムが身体に定着していきます。
そして、ナーサリーライムによるリズムトレーニングで英語の話すリズムが身に付けば「聴き取りやすい英語」の軸が育ちます。冒頭で説明したような、日本語のような英語に聴こえてしまうリズムから離れることができます。
ナーサリーライムによるリズムトレーニングは、大人は意識的に継続する必要がありますが、子供のうちに始めてしまえば英語の話すリズムはあっという間に身に付きます。
子供のうちに始める最大のメリットは、子供のうちは音もリズムも聞いたまま素直に吸収できるということ。
いたってシンプルですが、何度もナーサリーライムを言わせていくうちに子供はいつの間にかそれを覚えていき、自ら自然に口ずさむようになります。英語圏の子供たちがナーサリーライムを覚えていくのと同じように、英語の話すリズムが身に付いていくのです。
そして英語の話すリズムが身に付くことによって、発音や聴き取りがよくなります。子供自身は「気が付いたら英語が通じやすくなっていた」という状態になり、その後は特に何かを意識したりする必要はなく、自然な英語を口にすることができます。
ナーサリーライムによるリズムトレーニングの結果、英語の話すリズムの土台が身に付き、「聴き取りやすい英語」の軸ができていくのです。
「日本人は日本人らしい英語でいいじゃないか」
こんな声を最近よく耳にします。
英語を話す民族も増え、それぞれが話す英語に個性があってよいのではないか、と。
しかし、胸を張って日本語にしか聴こえない英語を話していては、日本人にしか伝わらない英語を話しているようなものです。結局は言葉ではなく、身振りや手振りだけで伝える結果になりかねません。
せっかく学んだ英語をそのように伝えるなんて、非常にもったいないことです。
英語の話すリズムにさえ乗り換えれば英語らしく聴こえてきます。発音をそこまで意識しなくても不思議と通じます。日本人らしい発音で、英語の話すリズムに乗り換えた英語が、今後の「日本人らしい英語」になっていくかもしれません。
英語は英語のリズムで!