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感謝してないのにありがとう? 英語のユーモア “sarcasm”(皮肉)を使いこなそう!

感謝してないのにありがとう? 英語のユーモア “sarcasm”(皮肉)を使いこなそう!

「あなたのおかげだよ!」「なんて頭が良いんだ!」「君は素晴らしいね!」

ハリーウッド映画やTVドラマを観ていると、このような褒め言葉がよく出て来ます。でも、話の流れからして、感謝しているようには見えないのに、「ありがとう」と言っている。

何故、そこで「ありがとう」なのか?

ネイティブスピーカーの日常会話には、同じ「ありがとう」でも、真逆の意味として使われる皮肉交じりのユーモアがよく登場します。

"Sarcastic"(嫌味な)「ありがとう」は、どんな場面で登場するのでしょう?

本記事では、ネイティブ流 "Sarcasm" についてご紹介します!
 

Sarcasm とは?

Sarcasm とは

"sarcasm" は、当事者同士の間に暗黙の了解として成り立つことが多く、トゲのない嫌味、アメリカンらしいユーモラスなコミュニケーション方法とも言えます。

お互いに "sarcasm" だと理解していれば、「ハハハ」的な愛想笑いが起こり、後腐れなく会話を続けることが出来ます。

もちろん、時には本気モードの "sarcasm" が出ることもあります。ですが、このような場面でも、 "sarcasm" には "sarcasm" で対抗し合うのがネイティブ流です。

では早速、シチュエーション別に例文を見てみましょう。
 

「ありがとう」から見る Sarcasm

ありがとうから見る Sarcasm

ありがとうじゃない「ありがとう」

ケイトは、自分のために残しておいたピザをケヴィンに食べられてしまったことに腹を立てています。

そこで、ケイトは "sarcasm" を使って不平不満を表現しています。それに対して、ケヴィンは何故ピザを食べたのかを弁解し、ケイトに "sarcasm" で返しています。
 

他の使用場面の例

上記の例以外にも、本当は感謝していないのに皮肉交じりに「ありがとう」を言う場面は多々あります。いくつか見ていきましょう。

連絡を待っていた相手から、ようやく返事があった時

【使用例】
That was quick! Thanks for making me your top priority!
「(返事が)速かったね!私を最優先してくれてありがとう!」
解釈:どれだけ待ったと思ってるの?
 

Thank you for getting back to me right away!
「すぐに返事をくれて、どうもありがとう!」
解釈:随分遅かったわね。

 

友人宅に自分が招かれなかったとき

【使用例】
How nice of you to invite me over!
「私を招いてくれるなんて、優しいわね!」
解釈:誘ってくれなかったよね。
 
Thanks a lot for asking me to come over!
「声を掛けてくれてありがとう!」
解釈:声も掛けてくれなかったわね。

 

相手がしたこと・しなかったことが理由で、思うように行かないとき

【使用例】
Thanks for making it easy for me!
「手間を省いてくれて、ありがとう!」
解釈:君のせいで、やることが増えたじゃないか。
 
Thanks, you were a great help.
「手伝ってくれて、ありがとう」
解釈:全然役に立たなかったよ。

 

あなたに感謝しているのではなく、あなたを責めている

“Thanks to ○○”(○○のおかげで)の "sarcasm" 版は「○○のせいで」という解釈になります。

Kate と Kevin の「ピザ事件」の続きを見てみましょう―

 

本気モードのようにも取れますが、お互いに「ユーモアにはユーモアを」と解釈できるシナリオです。
 

よく使われる Sarcasm

よく使われる Sarcasm

本気でない「ありがとう」以外にも様々な "sarcasm" が存在します。ここでは頻繁に使用されるものをいくつかご紹介します。

すごくない「すごいね」

"sarcasm" の「最高」は「最悪」という意味です。

例えば、スムーズに事が進まないときや思うように行かないときに使います。相手に対して言う時と、自分自身に対して独り言を呟くように言う時のパターンがあります。

【使用例】
Oh, great! Now I gotta (have got to) do it over from scratch! (Sigh)
「最高(最悪)!初めからやり直さないと。はぁ~っ(ため息)。」
 
Perfect! What else could go wrong?
「完璧(滅茶苦茶)!これ以上どんな悪いことが起きるって言うの?」
 
Wonderful! Just wonderful! Who told him about the surprise party??
「素晴らしい(最悪)!彼にサプライズパーティーのことをばらしたのは誰?」

 

面白くない「面白いね」

からかわれたり、お世辞でも面白いとは言えないジョークを飛ばす友人に、ドライな感じでお愛想笑い風に応答するときに使います。

【使用例】
Ha ha ha.
「ハハハハハ…」
 
Ha ha ha. You’re so funny!
「ハハハハハ…あなたってホント面白いね(全然面白くないんだけど)」
 
That’s funny!
「ウケる(つまんない)」

ピザを横取りした Kevin に「君のためにしたことだ」と "sarcasm" を言われた Kate が、

と "sarcasm" で言い返す感じです。

例えば、本当は、 Kevin はピザを食べていないのに、 Kate をからかうために食べた振りをしているだけ、というシナリオの場合―

 

頭悪いのに「頭いいね」

とんちんかんなことを言ったり、ちょっとしたヘマをした時に使います。

【使用例】
I didn’t know you were so smart!
「君がこんなに頭いいとは知らなかったよ(あんたってホント馬鹿ね)」
 
Wow. You are a real genius!
「ワオ。君は正真正銘の天才だ(マジ頭おかしいんじゃないの?)」
 
Way to go! That’s just brilliant!
「よくやった!お見事!(あんたならやらかすと思った)」

 

知っているのに「知らなかった」

一般知識や常識など、フツウは誰でも知っているようなことをあたかも初めて知ったかのようなリアクションをするときに使います。例えば、

【使用例】
No! Really?! I had no idea!
「ウソっ!マジで?全然知らなかった!」
 
No way! I did not know that!
「ウソでしょ?!知らなかったよ!」
 
I don’t know what that is! What’s an iPhone? I’ve never even heard about it.
「それが何だかわかるわけないよ!iPhoneって何?聞いたこともないよ」
 
Who’s Michael Jackson again? Is he famous?
「マイケル・ジャクソンって誰だっけ?有名人なの?」

例えば―

 

まとめ

いかかでしたか?

ユーモラスな "sarcasm" は、その場の雰囲気や緊張感を和らげるクッション役とも言えます。上記以外の場面でも、 "sarcasm" は日常会話によく登場します。

例えば天気の話題。アメリカでもお天気の話は見知らぬ人同士が言葉を交わすときの無難なトピックです。

例えば、明らかに雲行きが怪しい日に、”What a beautiful day!” (なんてビューティフルな日なんだ!)と言ったり。寒波なのに、 ”Is it hot enough for you?” (君には十分な暑さかい?)と聞いてみたり。連日マイナス気温が続いた後に、通常の冬の気温に戻れば、 ”I’m going for a swim!” (泳ぎに行ってくるわ!)とおどけてみたり。

相手も、それに対して、 ”Yeah, it’s a perfect beach day!” (ビーチ日和だね!)と返します。 "sarcasm" は、ユーモアセンスが根底にあるコミュニケーションなのです。

慣れないうちは、日常会話に "sarcasm" を取り入れるのはハードルが高いかもしれませんが、映画やドラマのワンシーンを演じるような気分で練習してみて下さいね!

"sarcasm" が自然と出て来るようになれば、怖いものなしです!