西東 たまき
(更新)
好きな曲、何度も聴いている曲だと、いつの間にか歌詞を覚えてしまい、口が勝手に動いてしまうなんてことは誰しも経験があるでしょう。
それが英語の曲であれば、英語フレーズが口を突いて出て来るわけです。発音やリズムのパターンが分かってくると、リスニングの力が上がってきます。
そんな現象を英語の勉強に活かしてみるというのはいかがでしょうか。
今回は、洋楽でリスニングのトレーニングをしてしまおうというテーマでご案内していきます!
洋楽を聴くことがリスニングの練習になるのか?
それは聴く曲次第、活かし方次第です。
リスニング教材を聴くのと違い、好きな洋楽なら繰り返し聴くのも苦にはなりませんね。純粋に聞こえてくる通りの音に自然と集中できるのも洋楽を利用するメリットです。
とはいえ、リスニング練習という目的で聴くなら、“洋楽ならどれでも”とはいきません。
どんな曲が向いているのか、次は選ぶポイントを見てみましょう。
自分で聞き取った歌詞と実際の歌詞が合っていたかを確認するため、そして聞き取れなかった歌詞を確認するためには、歌詞が分かる洋楽を選んでください。
何度も聴いていると歌詞が頭に入ってきます。どうせなら会話にも役に立ちそうなフレーズが多いと一石二鳥ですね。
速すぎる曲だと歌詞をフレーズ内に収めようとして発音やリズムが調整され、実際に話すときの英語とはだいぶ異なってきてしまいます。そうなるとリスニングの練習に役立つとは言えません。
歌詞を覚えさえすれば一緒に歌えるレベルの速さを目安にするとよいでしょう。
ただの洋楽鑑賞ではなくリスニング練習にするためには、コツを理解した上で聴く必要があります。
選んだ曲を聴いて、まずは歌詞をどのくらい聞き取れるかチェックしましょう。
聞き取れた英単語やフレーズはどのくらいありましたか? もし、聞き取れない部分があまりに多いようだったら、その曲はレベルアップしたときのために取っておきましょう。
何を歌っている曲なのかが分かってくると、文脈から意味が分かるようになる言葉もあります。もう一度聴き直してみましょう。
次は歌詞を確認します。「曲名 lyrics(歌詞)」と検索すれば、たいていの場合、歌詞を見つけることができますよ。
自分が聞き取った言葉と歌詞に書いてある言葉は合っていましたか?
聞き取れなかったところは、実際は何と言っていたのか確認しましょう。
歌詞を知った後で改めて聞き直してみると、「この単語はこのように発音されていたのか!」や「このフレーズは、こんな風に繋がっていたのか!」などといった発見があると思います。
リピート部分を注意して聞けば、発音のパターンも掴みやすいですね。
歌詞の文字にとらわれず、聞こえる音に忠実に一緒に歌えるようにまで聴き込みましょう。
歌えるようになった頃には、発音のコツも身に付いているはずです。また、自分で発音できるということは聞き取りもできるということ。覚えた歌詞は会話で使うこともできますよ!
これらのステップを繰り返していくうちに、だんだんリスニングできる部分が増えていくはずです。
では次に、上記のプロセスにおける具体的なアドバイスです。
インターネットで「洋楽 おすすめ」「洋楽 名曲」「洋楽 ヒット」「洋楽 2023 ランキング」などと検索すると、たくさんの情報が得られます。
そこで得た情報から、YouTubeで実際の曲を検索して、聴いてみると良いでしょう。
英語に自信のある方は、"best songs of all time" や "best rock songs of the 2000s" など自分の世代やテイストに合う曲を英語で検索することで、より好みの曲が見つけやすくなると思います。
英語で「歌詞」を "lyrics"(リリックス)と言います。
(LとRが混在する単語なので、この単語自体が既に英語の発音練習に最適ですね!)
自分の気に入った曲の英語タイトル、歌手名(英語)、そして "lyrics" という言葉をインターネットの検索画面にそれぞれスペースを空けて同時に打ち込みます。
するとほぼ一発で、英語原文の歌詞を探し当てる事が出来るかと思います。
あくまで個人的な意見ですが、英語学習という視点からは、和訳歌詞を参照することはあまりおすすめしません。
既に文章として出来上がった和訳歌詞を読むと、どうしても私達日本人の頭の中の日本語センサーが強く反応してしまい、自らその英語に意味をつけていくことが阻害されてしまう気がするからです。
面倒ではありますが、一つひとつの単語や言い回しの意味を自分で調べて、自らの言葉で理解に努めるほうが長期的な英語学習にはメリットがあると考えます。
どうしても文章のつながりが分からない時などに、ちらっと見てみる程度ならばもちろん構いません。
英語の歌詞にはスラングや特定のグループ、地域でのみ使われるような言葉が出てくることも多く、辞書では見つけられないこともあるかもしれません。そんな時はインターネットで言葉の意味を検索してみましょう。
その単語の英語スペル、それから日本語で「意味」と入れ検索すると、既にその言葉について触れた日本語のサイトがヒットするかもしれません。
もし日本語で探せない場合は、その単語のスペルと英語で"meaning"と入れて検索し、頑張って英語で意味を調べてみるのも勉強になると思います。
洋楽の歌詞を使って英語を勉強する際の注意点です。
歌詞によっては、差別的表現や卑猥な表現、相手を罵る言葉、わざと崩して誤った文法などを用いたものがあります。ジャンルとしては、ラップやヒップホップの歌詞に多い傾向があります。
自分の憧れのアーティストが言っている言葉なのでカッコいい!と思っても、それらの言葉を使う事は英語圏では一般的にかなりタブーとなっていますので、決して実際の会話等では使わないように気をつけましょう。
洋楽の選び方のポイントを踏まえ、好みの曲を選んでください。
参考までに、ここでもさまざまなジャンルや年代からおすすめを20曲ピックアップしました!
この時代の曲はどれも比較的テンポがゆっくりで、聞くのにも歌うのにも英語学習に適しています。
往年のヒットソングもあるので、知っておくといろいろな世代の人と楽しむことができるでしょう。
R&Bの名曲。ゆっくりで聞き取りやすい歌詞が特徴です。再生時間が長く繰り返しも多いので、一度の再生で効率よくリスニング練習できます。
使われている単語も歌詞自体もシンプル。発音も分かりやすいので、初心者におすすめ。
少し速めですが、意外と歌詞を聞き取りやすい1曲。試してみてください。
いろいろなアーティストにカバーされている名曲です。スローテンポかつクリアな発音なのでリスニング練習だけでなく、一緒に歌ってスピーキング練習するにもおすすめです。
情景が目に浮かぶような歌詞なので、言葉も理解しやすいです。単語同士、音がつながる「リエゾン」の聞き取り練習をしたい中級レベルの人にもおすすめ。
英語ならではの発音パターンを掴む練習に向いています。リスニング力アップに必要なステップなので、ぜひ取り入れたい1曲。
イギリス英語の発音が確認できます。応用して会話でも使える英語表現の型がいろいろ出てきますよ。使われている単語も「知っておくと、ちょっと良い」感じのものが散りばめられています。
一流アーティストたちが集結して歌う、音楽史に残る名曲。人によっていろいろな発音や表現があることを実感できます。
発音を一つ一つ確認しながら練習できます。日本語は口をあまり開けなくても発音できてしまいますが、英語らしい音を出すためには口をしっかり開けて発音することも大事です。
大きく口を開けて一緒に歌いながら、リスニングした音を発音してみましょう!
ピアノの弾き語りで、テンポもそこまで速くないので聞き取りやすいでしょう。
歌詞も応援してくれるような内容になっているので、聞いていて晴れやかな気分になるはずですよ。
2006年あたりから、どの人気ソングもテンポが速めになります。ただ、それでも最近の曲なら「聞いたことがある!」というものも多いはずなので、比較的聞きやすいはずです。
リスニングだけでなく、歌う練習もしてみると、英語発音の上達はもちろん、カラオケでも盛り上がるはずですよ!
R&Bでテンポがゆっくり目であるうえ、親しみやすい表現、短めのフレーズが多いので取り組みやすいでしょう。
この曲を知らない人はいないのではないでしょうか。
「ありのままでいてね」と女性に語りかけるような歌詞にグッときます。
リスニング練習に使うこともできますし、カラオケで試しに歌ってみるのもおすすめです。
2013年に公開され世界的に大ヒットしたディズニー映画「FROZEN(アナと雪の女王)」。特に劇中歌の「Let it go」は子どもから大人まで、多くの人の記憶に残っていることでしょう。
聞き取りやすい英語で、英語学習者に特におすすめしたい1曲です。
この曲はポップなリズムで、「It's always a good time」と繰り返しのフレーズがあるので、サビの部分は思わず一緒に口ずさみたくなってしまうはず。
グラミー賞を受賞した「Stay With Me」。少し悲しい失恋ソングです。
ただ、別れた相手にメッセージを届けるかのように想いを込めた歌い方なので、とてもリスニングしやすいでしょう。
Ed Sheeranは弾き語りの曲が多いですが、特にこちらの曲はバラード調で聞いている人にメッセージが伝わりやすい曲です。
聞いていると心がほっこりするはず。
こちらはほかの曲と比べると少しテンポが速くなっています。しかしリズムにあわせて言葉が切れるため、意外に聞きやすく、歌いやすいのが特徴。
ゆっくりとしたテンポの曲を聞くのに慣れてきたら、こちらの曲を聞いてみるといいでしょう。
2002年夏の出来事を思い返すかわいらしい曲。歌詞を聞いていると、甘酸っぱい学生時代の恋愛を連想させます。
サビの部分は少しテンポが速くなりますが、繰り返しのリズムに慣れると聞き取りやすくなるはずですよ。
クリスマスシーズンがテーマのこちらの曲。恋人への愛しさをつのらせた歌詞になっています。
とてもスローテンポなので、聞き取りの練習にピッタリです。
「君には幸せになってほしい。だから僕は去るべきなんだ」というメッセージの切ない曲。恋人に向けたような歌詞ですが、こちらのミュージックビデオは少し違うメッセージ性があります。
Bastilleの曲はどれもしっかりと発音されていて聞きやすいので、気に入ったらほかの曲もチェックしてみてくださいね。
洋楽ファンならきっと、英語の歌詞の一部ないし全部歌えるというお気に入りの曲がいくつかあることでしょう。
洋楽を聴き続けていれば「勝手に」英語のリスニング力が上達するという訳ではありませんが、「意識的に」聞くことでリスニングのトレーニングをすることは可能です。
ちょっとした意識の違いで、音楽鑑賞の時間さえ英語のリスニング練習の機会に変えることができるのです。ぜひお試しを!