西東 たまき
(更新)
海外で「トイレ」と言いたいとき、「トイレット」とでも言えば通じると考えるかもしれません。確かに toilet と言えばどこでも通じるでしょう。
でも、眉をひそめられたくなかったら toilet 以外の英語を覚えることをおすすめします。
実は英語には「トイレ」を意味する表現がいろいろあります。日本語でも「洗面所、お手洗い、化粧室」など、いろいろありますよね!
今回は、「トイレ」を表す英語のなかでも toilet / bathroom / restroom の違いと、トイレを表すその他の英語表現についてご案内していきます!
「トイレット」は英語では「トイレ設備/便器」を指します。もちろん意味は通じますが、直接的過ぎてスマートな言い方ではありません。
トイレという設備を指す言葉ですから、次のような表現で使われます。
では、ここで例文を見てみましょう。
このように、トイレそのもの(便座や便器など)を表す場合に使うことが一般的です。
英語で「トイレ」を指すもっとも基本的な表現は bathroom(バスルーム)です!
日本語でバスルームといえば「浴室」でしかありませんよね。しかし、海外の家庭では、お風呂・シャワールームとトイレが一緒になった作りが一般的です。
人の家でトイレを借りたいときは次のように言いましょう。
なお、日本語で「借りる」というからといって borrow(借りる)を使うのは誤りです。英語では use(使う)を使ってください。
家庭のトイレは bathroom と呼ぶわけですが、公共施設のトイレを指して使ってもかまいません。
アメリカではトイレを指すのに restroom という言葉も使われます。家庭ではなく公共のトイレを意味する婉曲的な表現です。直訳で「休息する場所」という意味になるのは、用を足してさっぱりすることからイメージがつながりますね。
しかし、restroom という表現はアメリカ以外だと文字通りの「休む場所」の意味に聞こえてしまいます。必ずしも「トイレ」の意味にはならないので注意しましょう。
この例文の英語表現はかなり丁寧です。年配の方などが言うイメージがあります!
アメリカでは公共のトイレを指して restroom という言葉が使われますが、カナダではあまり耳にしません。代わりに聞かれるのが washroom(ウォッシュルーム)です。
日本の「手洗い」「洗面」というニュアンスから、これもまた納得できる表現ですよね。Wash(洗う)という言葉を使うことによって直接的な言い方を避けた婉曲表現です。
飛行機のなかではトイレはいつも lavatory と表示されていますね。それ以外の場所で見かけることはあまりない言葉です。もともとラテン語の「洗う」という言葉から来ている言葉で堅苦しい響きがあります。
「男性/女性」という言葉が入った表現なのでわかりやすいですね。公共施設のトイレでは Gents*(男性用)、Ladies(女性用)と書かれた表示を見かけることも多いです。
*Gents とは gentlemen の省略形です。
また、場所によっては、特定の性別に限定されない「ジェンダー・ニュートラル」なトイレもありますよ。
イギリス英語ならではの、こんな呼び方もあります。ちょっとチャーミングな響きがあり女性が使うことが多いかもしれません。カジュアルな表現ですが、ちゃんとした大人でも使うことができますよ。
ご存じの通り「ジョン」は人の名前ですが、英語ではトイレの意味にもなります。男性が仲間内でくだけて使うような言い方です。人の名前として書くときであれば大文字から始めますが、トイレの意味で使うときは大文字から書く必要はありません。
でもなぜ「ジョン」と言うのでしょうか? 実は、1500年代のイギリスでは、「田舎者」や「教養のない人」などに対する軽蔑的な表現として「Jake(ジェイク)」や「Jack(ジャック)」という名前が使われていました。
のちに、このあだ名はトイレのあだ名にもなり、誰かがトイレに行く際には冗談として、「ジェイクに会いに行く」や「ジャックを訪ねてくる」と言うのが流行っていたそう。そして最終的に「ジェイク」という名前が「ジョン」に変わったとのことです。
また、「ジョン」は水洗トイレを発明したとされる人物の名前でもあるんですよ!
日本のトイレでもときに見かけるこの表示。WC と書かれていれば日本でもたいていの人はトイレのことだとわかると思いますが、WC という文字が具体的にどういう意味なのかまでわかる人は少ないかもしれません。
WC とはトイレの意味を持つ Water Closet の頭文字です。古臭い響きがある言葉なので、今では実際に見聞きすることはなかなかないでしょう。
また、会話にこの言葉が出てくることはありません。トイレのドアやサインなどに記載されていることがほとんどです。
日本で年々少なくなっている和式トイレ。こういったしゃがむタイプのトイレは英語では squat toilet と言います。文字通り「しゃがんで使うトイレ」です。
実は、しゃがんで用を足すタイプのトイレは日本だけでなく、他のアジア諸国~中東~アフリカでも目にすることができます。しかし、しゃがむというスタイルは同じでも和式トイレは前部に覆いがある点、便器の形状が異なります。
和式ならではのトイレを指したいなら Japanese squat toilet と言えば違いがあることが伝わるでしょう!
トイレの場所をたずねたいときもあれば、トイレを借りたいと頼みたいときもありますね。ここでは、「トイレに関する英語のフレーズ」を一通りご紹介します。
トイレの場所を知りたいときは、場所を聞くときの定番英語フレーズ Where is 〇〇? を思い出しましょう。
「借りてもいいですか?」と許可を得たいときも、使用許可を得るときの定番英語フレーズ May I use 〇〇? を応用します。
日本語で「借りる」というからといって、モノを借りたいときに使う borrow としないように注意しましょう。トイレは「借りるものではなく、使わせてもらうもの」と考えるからです。
聞く相手がトイレの場所を知っているとは限らない場合は、次のような言い方にしてみましょう。
「トイレに行ってきます」というときは次のように言います。
あからさまに「トイレ」という言葉を持ち出したくなければ Excuse me とだけ言えば通じますよ。
トイレの前で戸惑っている人を見掛けたときは、こんな風に声掛けすれば良いでしょう。
なお、せっかくトイレが見つかっても、空いているのか使用中なのかが大事ですよね。vacant「空き」と occupied「使用中」という英語表現を使います。
トイレを意味する英語が複数ありますが、どれか一つを覚えようとするなら bathroom が万能です。日本語のバスルームとは意味が異なるのが面白いですね。
日本語のなかで使う「バスルーム」には「トイレ」の意味はないので、ちゃんと通じるか不安になってしまうかもしれませんが心配ありません。どこでも誰でも当たり障りなく使える表現です。
そしてさらに今回ご紹介したようなその他の表現も知識として知っておけば、どんな表現に出会っても迷うことなく安心です!