さな
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ミュージカル映画といえば、みなさんはどのような作品を思い浮かべますか?
おそらく「Mamma Mia!(マンマ・ミーア)」や「West Side Story(ウェスト・サイド・ストーリー)」、そして「Hairspray(ヘアスプレー)」などでしょうか。どれもミュージカル映画の定番で、素晴らしい作品ですよね。
普通の映画と違って、ミュージカルはキャッチーな歌や楽しい踊り、そして何度も繰り返される歌詞を通して英語フレーズを覚えることができるので、語学学習にも役立ちます。
そこで今回は、映画鑑賞が大好きな筆者がおすすめする、英語学習にも効果的なミュージカル映画12選をご紹介したいと思います!
「RENT」は、「Frozen(アナと雪の女王)」で「Let It Go」を熱唱するイディナ・メンゼルをはじめ、歌唱力に優れている豪華なキャストがお届けするロック・ミュージカル。元々は、1996年に初演したブロードウェイミュージカルでした。
「Seasons of Love」という曲がもっとも有名で、筆者は小学校の音楽の授業で歌った記憶があります。サビの歌詞は以下の通りです。
Five hundred twenty-five thousand, six hundred minutes
Five hundred twenty-five thousand moments so dear
Five hundred twenty-five thousand, six hundred minutes
How do you measure, measure a year?「525,600分
525,600回の大切な瞬間
525,600分
1年をどうやって計るの?」
525,600分という繰り返しのフレーズは、一年間に含まれる分数の数です。この曲を通してこの数字を覚えた人もきっと少なくありません。
また、最近ではNetflixで「tick, tick...BOOM!」という映画が公開されましたが、この映画は「レント」を手掛けたジョナサン・ラーソンという男性の物語を巡っています。これもまたミュージカル映画なので、レントとあわせておすすめします!
設定は1950年のアメリカ。大物スターのジョン・トラボルタ演じる不良のダニーと、オリビア・ニュートン・ジョン演じる正統派美女のサンディーの純粋なロマンスを描いた作品です。
当時の不良の多くは greaser と呼ばれました。これは1950年代から1960年代初頭にかけて、アメリカの労働者階級や下層階級の若者が中心となって生まれた若者のサブカルチャーです。見た目の特徴としては黒い革ジャンと、ワックスでまとまった髪の毛といったところでしょうか。
そして「Grease」からも数々の名曲が生まれています。「Summer Nights」から「You’re the One That I Want」、そしてもちろん「Grease」など、キャッチーな楽曲が多く含まれている定番ミュージカル映画です。
1965年に公開された映画なので少し古いですが、かなりの名作です。みなさんもきっと聞いたことがあるのではないでしょうか。
第二次世界大戦直前、Von Trapp Family(フォン・トラップ・ファミリー)という一家のもとに訪れるのが、オーストリアの修道院のマリア。7人の子供を持つ未亡人の海軍大尉の家で家庭教師となり、家に新しい生活と音楽の愛をもたらします。
「Do-Re-Mi(ドレミ)」から「My Favorite Things(私のお気に入り)」など、複数の名曲と呼べるほどの楽曲が映画内で流れます。そのなかでも今回は「My Favorite Things」の冒頭の歌詞を一緒に見てみましょう!
Raindrops on roses, and whiskers on kittens
Bright copper kettles and warm woolen mittens
Brown paper packages tied up with strings
These are a few of my favorite things「バラの上の雨粒、子猫のひげ
明るい銅のやかんと暖かい毛糸のミトン
紐で縛られた茶色の紙袋
これらは、私の好きなもの」
マリアのお気に入りのものをリストアップする、遊び心溢れる歌詞が印象的で、筆者は小さい頃からこの曲が大好きでした。
華麗でエレガントな印象が強いオードリー・ヘップバーンが、いつもとは違うイメージの役を演じる「My Fair Lady」は1964年に公開されたミュージカル映画です。
この物語は、音声学の教授として働くヘンリー・ヒギンズが、コックニー(*)労働者階級の下町の少女を上流社会で通用する教養のある人物に変えることを自信満々で引き受けるところから始まります。この少女(イライザ・ドゥーリトル)を演じるのがオードリー・ヘップバーンです。
*コックニーとは、首都ロンドンの労働者階級が用いる下町独特の英語。
ヒギンズとイライザは衝突しながらも次第に心を通わせていき、徐々にイライザの英語の発音が変わっていくところも見どころの一つ。
キャッチーな楽曲とユーモア溢れるセリフを通して印象的なストーリーを味わうことができる作品です。
「The Greatest Showman」は、「地上でもっとも偉大なショーマン」と呼ばれた19世紀アメリカの興行師P.T.バーナムという男性が、サーカスで有名になるまでの実話を描いた作品。
個性溢れる豪華なキャストによる迫力のあるパフォーマンス、そして必ず感動する楽曲の深い歌詞、そんな要素を詰め込んだミュージカル映画です。
歌うシーン以外は、セリフが少なく、英語も理解しやすいかと思います。
希望に満ちていて、勇気を与えてくれる歌が多く、そのなかでも「A Million Dreams」や「This Is Me」が特におすすめです。おそらく、みなさんも一度はどこかで聞いたことがあるかと思いますよ!
「SING」はこのリストで唯一のアニメーション映画ですが、数多くの歌を含むミュージカル映画でもあります。
実は、1940年代から2016年までのヒット曲を60曲以上収録しているそうですよ! なかにはオリジナルの楽曲もあり、筆者がもっとも好きなのはヤマアラシのアッシュが歌う「Set It All Free」です。
物語の内容は、興行師として働くコアラのバスターが、経営難の劇場を救うために「歌のコンテスト」を開催し、さまざまな面白いキャラクターがオーディションを受けに訪れるというシンプルな設定です。歌を通して出場者たちの人生が変わっていくのも見どころの一つですよ。
コアラの声は俳優のマシュー・マコノヒーが務め、他にもリース・ウィザースプーンやスカーレット・ヨハンソンを含む豪華キャストが率いるハッピーな映画です。
ちなみに、2021年には「SING 2(シング:ネクストステージ)」が公開されました。
ミュージカル映画の定番といえば「Singin’ in the Rain」ではないでしょうか?
1952年に公開されたアメリカ映画で、華麗なジーン・ケリーが主演を務めます。見終わったあとも幸せが心に残るくらい本当にハッピーな映画です。
雨の中、踊りながら歌う名場面で流れる、映画と同じ題名の曲「Singin’ in the Rain」の歌詞を見てみましょう。
I’m singing in the rain
Just singing in the rain
What a glorious feeling
I’m happy again「僕は歌う、雨の中で
ただ歌う、雨の中で
なんて素晴らしい気分
僕は再び幸せだ」
歌詞を見るだけでハッピーになりますよね。古い映画はスラングが少なく、ストレートな表現が多いので、英語の勉強にも役立つかと思います!
迫力のあるオープニングシーンから劇的な展開を通して、見る人全員の心を打つ「Les Misérables」。一般的なハッピーで陽気なミュージカルではないですが、歴史の長い見応えのある作品なのは確実です。
原作は、1862年に発表されたフランスの歴史小説で、19世紀最大の小説の一つと言われています。さまざまな改作がありますが、今回は2012年に公開された、ヒュー・ジャックマンが主演を務める映画をおすすめします。
他にも、アン・ハサウェイや、ラッセル・クロウ、エディー・レッドメインなど豪華な俳優が出演していて、視聴者はそれぞれのストーリーと演技力に圧倒されるに違いないです!
ちなみに筆者は映画館で鑑賞しましたが、本当に感動しました。パワフルな物語と楽曲、記憶に残るパフォーマンスの数々を味わうことができますよ。
筆者の好きな映画TOP10に入るこちらの作品は、タイトルを見ただけでは予測のつかないようなポップでキャッチーな曲が多く含まれています。そしてそこまで「ホラー」ではないのでご安心を。意外とロマンチックな描写もありますよ!
この映画は、オフブロードウェイ(*)のミュージカルを原作とし、1960年に公開されたオリジナルと、1986年に公開されたものがあります。
*オフブロードウェイとは、ブロードウェイの劇場街よりも規模が小さく、一般的に安価な作品や商業的な作品を上演するニューヨークの劇場群を指します。
設定としては、Skid Row(スキッドロウ)と呼ばれる場所にある小さな花屋さんが宇宙から突然やってきた人喰い植物に乗っ取られてしまうというお話です。
この植物の声を担当するのが、The Four Tops(フォー・トップス)というアメリカの人気R&Bコーラスグループのメンバーの1人なので、迫力のある、忘れられないパフォーマンスが期待できます。
スリル満点な作品で、英語もわかりやすいと思うので、ぜひ見てみてください!
ここからは、筆者が個人的に好きなミュージカル映画をおすすめしたいと思います。
これは、筆者が世界で一番好きな映画です。とにかくすべてがオシャレなんです。ファッションも、セットも、色使いも、曲も全部が完璧と言えるでしょう!
旧東ドイツで生まれたヘドウィグは、女性になることを夢見て性別適合手術を受けるのですが、それは失敗に終わります。そんなヘドウィグがロック・シンガーを目指し、幼い頃に母から聴かされたプラトンの「愛の起原」のような自分のかたわれである愛を探してアメリカを巡る物語です。
この「愛の起源」をもとにヘドウィグが歌う「Origin of Love」という曲は、ミュージカル内でももっとも有名な曲で、筆者はこのシーンで心打たれました。この曲は、プラトンの「シンポジウム」に登場するアリストファネスの演説がもととなっています。
アリストファネスの演説では、男性、女性、そして両性合一(男女性)という三つの異なる性が描かれていて、彼らは神様によって二つに分けられ、もう片方を求めるという絶え間ない欲望を抱いたまま過ごすと言われています。
こんな概念のように、映画内で流れる楽曲の歌詞はときには深く、ときには笑えるユーモア溢れたものもあるので、そこも見どころの一つですよ。
「Hedwig and the Angry Inch」もまたオフブロードウェイで大ヒットしたロック・ミュージカルを2001年に映画化した作品です。
筆者が見てきた映画のなかでオシャレ映画代表の「God Help The Girl」は、映像美だけではなく、アコースティックなオリジナル・ソングも最大限に生かされ、独特な雰囲気を醸し出しています。
スコットランドのグラスゴーで、精神病院に入院中の少女が病院から抜け出し、同じように心に傷を負った2人に出会い、ポップグループを結成するという物語です。音楽と仲間を通して、自分に自信を持つようになるというほっこりしたお話になっています。
Belle and Sebastian(ベル・アンド・セバスチャン)というスコットランドのポップデュオによる楽曲を映画のなかでは役者たちが演奏します。曲の特徴としては、話し言葉のようなカジュアルさがあって聞きやすいですよ!
「Let’s do the time warp again〜」で有名な「The Rocky Horror Picture Show」は、日本でも古田新太さんや小池徹平さんなどが出演した舞台版が上演されたくらい、未だカルト的人気を誇る作品の一つです。
この映画は、1975年に公開されたコメディ・ホラー映画で、たくさんの個性溢れるキャラクターが登場します。また、当時では珍しかった「女装をする男性」が主人公で、LGBTやセクシュアル・マイノリティにスポットライトを当てたことで最先端な映画として捉えられていました。
しかし同時に、そのキャラクターの表し方が典型的すぎる、そして失礼だという批判も受けています。
そのなかでも「自分らしさ」や「本当になりたい自分」を強調するメッセージ、そして「本当の自分を隠す必要はない」というメッセージ性が、多くの視聴者に勇気を与えたのも事実です。
すべての曲が名曲レベルで、もう50年近く人々を虜にしている作品なので、かなりおすすめです!
今回ご紹介したミュージカル映画は、数ある名作のなかのほんの一部だけでしたが、いかがでしたか?
みなさんもぜひ、今度お時間があれば、今回ご紹介させていただいた作品のなかから興味のあるものを見てみてください!