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どれくらい仲良くなったらハグするの? アメリカの挨拶マナーで気をつけたい「暗黙のルール」について

どれくらい仲良くなったらハグするの? アメリカの挨拶マナーで気をつけたい「暗黙のルール」について

アメリカ文化に浸透する代名詞的な挨拶をイメージしてみてください。

と言われたら、どんな光景を思い浮かべますか?
読者の皆さんの中には、"Hug"(ハグ)や頬っぺに "Kiss"(キス)をイメージしたり、"Eye Contact"(目を合わせる)しながら力強い "Handshake"(握手)をイメージする人もいるかもしれませんね。

でも、アメリカ人が挨拶を交わすとき、ハグやキスはお決まりコースなのでしょうか?相手の目をじっと見つめ返して力強い握手を求められるのでしょうか?また、アメリカ人に挨拶を返すときは、ハグやキスで返さないといけないのでしょうか?

確かに、これらは、アメリカ人の挨拶あるあるの "Body Language"(ボディーランゲージ)ですが、実は「暗黙のルール」が存在します。本記事では、一般的なアメリカ人の挨拶マナーについて掘り下げてみましょう!
 

Eye Contact (目を合わせる)

目を合わせる

日本では、相手の目をじっと見つめることは失礼な行為とされることもありますが、アメリカでは真逆。

"Eye Contact"(目を合わせる)をすることで、相手に対するリスペクトやウェルカムサインを出すのです。逆に、"Eye Contact" をしない人に対して「何を考えているのか分からない」「怪しい」「信用できない」などネガティブな先入観を持つ人は少なくありません。

”The eyes are the window to the soul”(目は心の窓)と言うように、目は口程に物を言うということですね。もちろん、目を合わせない人は怪しい人と決め付けるのもNGです。人と目を合わせられないシャイな人もいます。

それでも、アメリカ社会では、挨拶するときや会話をするときは「相手の目を見る」ことが重要視されます。目力が強過ぎたり、相手を凝視するのは、返って相手に不快感を与えてしまうリスクがあるので、気を付けたいですね。
 

Personal Space (個人の空間)

個人の空間

パーソナルスペースにおいては、大変興味深い日米文化の違いがあります。

ハグ文化があるアメリカですが、実は、日本人以上にパーソナルスペース(個人の空間)を大事にする文化でもあります。

"Arm’s length"(腕の長さ)というフレーズがあります。これは、自分と相手の距離を腕を伸ばした長さに保つ、という意味です。例えば、向かい合って立ち話をするとき、腕を伸ばしたくらいの長さが居心地良い距離感ということです。

スーパーでお買い物しているときや道を歩いているときでも、人にぶつからないように気を付けます。相手に触れてしまう前に、"Excuse me"(すみません)、少しでも相手に触れてしまったら、"I’m sorry"(ごめんなさい)と謝るのが暗黙の了解です。

逆に、日本はハグ文化はないけれど、他人同士がスレスレの距離まで近付いてもOKという不思議な空間があるように思えます。地域や場所にもよると思いますが、混雑している駅などでは、一言の謝罪も反省もなく体当たりしてくる人もいますよね。

アメリカ人的には失礼極まりない行為ですが、ぶつかっても「仕方がない」と割り切っている感覚なのかもしれません。
 

Handshake(握手)

握手

アメリカでは、ビジネスシーン以外でも挨拶代わりに握手を交わすことはよくあります。

特に、アメリカ人の男性同士に多く見られます。例えば、そこまで親しくない女性同士は "Hi" と手を挙げて挨拶をするだけのことが多いのに対して、男性はどちらからともなく手を差し伸べて握手する光景をよく目にします。

特にビジネスワールドでは、"firm handshake"(力強い握手)が重視されます。イメージ的には、ドアの取っ手を回して開けるくらいの感覚が適度な握力と言われています。

握力が弱いと自信がない、握力が強過ぎると高圧的、などと解釈される傾向があります。握手するときは、相手の目を見ることも大事なポイントです。
 

Hugging(ハグ)

ハグ

アメリカ人にも "Non-hugger"(ハグしないタイプの人)はいます。

視線を避けたり、腕を組んでいたり、距離を置いていたりなどは、ハグしないタイプの人の特徴的なボディーランゲージと言われています。

その逆が "Hugger"(ハグするタイプの人)です。にっこり笑顔で目を合わせ、腕を伸ばすように距離を縮めてくる人は、"Hugger" の可能性が高いです。
 

Hug のガイドライン

どれくらいの仲になったらハグするのか?

相手が "Hugger" であれば、相手に合わせてハグをしても良いかと思います。例えば、相手が異性でも、ハグで挨拶する人とはハグをしてもOKです。

ハグをするときの力加減は、強くない方が無難です。フワッとしたソフトなハグが基本です。異性の場合、ギュッと抱きしめるようなハグは変に誤解されてしまうリスクがあるので、要注意ですね。

頬にキスする挨拶もありますが、抵抗がある人はハグのみで十分です。また、唇をすぼめてエアキスするのもOKです。

自分から相手にハグする場合、先ずは言葉で「今からハグするよ」アピールしてからハグするパターンもあります。イメージ的には、両腕を広げながら、相手に向かっていく感じです。

【例文】
• Can I give you a hug?(ハグしてもいい?)
• You’re gonna get a hug!(ハグするよ~!)

 

知人や友人にする Hug の種類

Open arms:両腕を広げて包み込むようにハグ

Open arms

The Side hug:横からハグ

The Side hug

Pat on the back:ハグしながら相手の背中をポンポン叩く

Pat on the back

Kiss on the cheek:ハグした直後に頬に軽くキス、または、頬の近くでエアキスをする

Kiss on the cheek
 

職場でのハグ

#MeTooムーブメント(*1)が根付いているアメリカ現代社会では、職場でのハグには特に細心の注意をはらう必要があります。

うっかりハグしてしまったばかりに、セクハラ容疑者扱いされてしまう可能性も無きにしも非ずです。仲の良い同僚に、友人としてハグするのは許容範囲内かもしれませんが、それ以外のスキンシップはオフィスではご法度。

こちら側が善意をもってハグしても、相手が「セクハラ行為」と解釈すれば、訴訟問題に発展しまうリスクがあります。何かとセンシティブなご時世なので、自己防衛のためにも、職場でのハグは原則としてNGと思っていた方が無難かもしれません。

*1… #Me too(私も)とは、セクハラやパワハラなどの被害体験をSNSで告発・告白する際に使うハッシュタグのことです。「私もセクハラ被害に遭いました」と告発・告白する女性が急増したことから "Me Too" というネーミングが付きました。
 

まとめ

ハグのように、人と人が "Touch" する(触れ合う)ことは、メンタル的にも身体的にもポジティブな効果をもたらすことは科学的に証明されています。

ハグをすると、血圧や心拍数が下がることが分かっています。今では、マッサージセラピーやハンドセラピーなどの「手当て療法」が頭痛や腰痛など様々な痛みを緩和することは一般常識です。

ハグすることで、死に対する恐怖を和らげたり、自己の存在に対する不信感を取り除く効果もあるそう。確かに、不安なときに誰かと手をつないでいるだけでも安心しますよね。

お母さんやお父さんが小さい子供を抱きしめて安らぎを与えるように、ストレス社会に生きる私達に一番必要なのは、バーチャルリアリティーでは感知不能な人肌の "warmth"(ぬくもり)かもしれませんね。