さな
(更新)
みなさんは Dr. Seuss(ドクター・スース)という名前を聞いたことがありますか?
ドクター・スースは、アメリカの超人気絵本作家!
彼の絵本を読んだことがない人はいないと言っても過言ではないくらい、影響力のある作家さんです。
英語学習を頑張っている人や、お子さんに英語を教えている人、どんな人でも楽しめる作品を生み出したドクター・スースの魅力は偉大です。
今回は、そんな彼の経歴や魅力、ぜひ読んでいただきたい名作やスース氏本人による名言を紹介していきたいと思います! 肩の力を抜いて、ぜひ最後までご一読ください。
ドクター・スースは、1904年3月2日にアメリカ合衆国のSpringfield, Massachusetts(スプリングフィールド・マサチューセッツ州)で生まれました。本名はTheodor Seuss Geisel(セオドア・スース・ガイゼル)。
スースは、Dartmouth College(ダートマス大学)を卒業後、渡英しUniversity of Oxford(オックスフォード大学)に進学。中退し、アメリカへ戻って「LIFE(ライフ)」や「Vanity Fair(ヴァニティ・フェア)」などの雑誌でイラストレーター、ユーモア作家として活躍します。
ダートマス大学に在学中は、Jack-O-Lantern(ジャック・オー・ランタン)という雑誌の editor-in-chief(編集長)を努めていたとのこと。
のちに、1927年7月号の「The Saturday Evening Post(サタデー・イブニング・ポスト)」に掲載された漫画が、「Seuss(スース)」というペンネームを使った最初の作品となり、ニューヨークの週刊誌「Judge(ジャッジ)」のスタッフとして働くことになります。
ちなみに、Seussという名前は、お母さんの旧姓だそうですよ!
ドクター・スースの最初の著書「And to Think That I Saw It on Mulberry Street(マルベリーストリートで見たと思うこと)」は、1937年に出版されるまで、27回もボツになったと言われています。
この作品は、2021年になって、アジア人に対する時代遅れの描写があるとして出版中止が決定された作品です。中国人として描かれた人物が斜視の目だったり、丼ぶりを食べていたり、円錐形の帽子をかぶっていたりする描写が含まれていることが波紋を呼びました。
少し話はズレましたが、1942年になると、第二次世界大戦の徴兵に間に合わなかったスースは、財務省や戦争生産委員会のためにアニメーションの訓練映画を作ったり、プロパガンダ(宣伝)ポスターの作成に従事。
Political cartoons(政治漫画)なども手掛けていたため、戦争関連の絵や描写を多く描いていました。
戦後は主に子供向けの絵本を描き、生前に60冊の絵本を手掛けたそう。
こうしてスースは現在では100ヶ国以上で出版されている人気作家となったのです。
ちなみに、ドクター・スースの誕生日である3月2日は、Read Across America Day(読書の日)とされています。
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ではここで、スースの絵本が面白い理由を3点ご紹介します!
スースの絵本は子供の教育に役立ちますが、読み聞かせをする大人にとっても楽しめる作品なんです。
シンプルに書かれた文章。1ページにある数個だけの単語。カラフルで独特な絵。面白おかしいお話。
これらの要素によって子供は「読む」ことの面白さ、そして読むことができた達成感を味わうことができます。子供が本を読んでいる姿を見て、親御さんも感動するはずです!
韻を踏むことは英語で rhyming(ライミング)と言います。
スースの「One fish, two fish, red fish, blue fish」 という絵本ではこのような韻が使われます。
Say, look!
A bird was in your ear.
But he is out. So have no fear.
Again your ear can hear, my dear.
Ear, fear, hear, dear とすべて韻を踏む言葉が使われていることにお気づきでしょうか?
これを声に出して読むと、自然に文章のリズムをつかむことができます。ドクター・スースの絵本は音読をするととても効果的ですよ!
ドクター・スースの絵本は、クリエイティビティの塊と言っても過言ではないでしょう。
絵本のなかには個性的なキャラクターがたくさん登場します。さらに、急な話の展開や、面白い言葉がたくさん使われることによって、読んでいる方も刺激を受けることが多いのです!
ドクター・スースが発明したと言われている言葉のなかには以下のようなものがあります:
特に意味はないのですが、これらの音の響きや、声に出すときの楽しさから、ドクター・スースはこのような単語を作っていたのではないでしょうか。
正解はないので、自分なりに発音してみてくださいね!
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ドクター・スースといえば、「The Cat in the Hat」! 邦題は「帽子をかぶったネコ」です。
赤と白のボーダー柄で、縦長の帽子。赤い蝶ネクタイ。そんな特徴を持つネコのキャラクターは、何世代にも愛されてきました。
実は、「The Cat in the Hat」は236個のbeginner words(初心者向けの単語)だけでできているんですよ! 限られた数の単語だけで面白いお話が書けるのはすごいことです。
スースはのちに言葉遊びの才能が賞賛され、この作品の成功によって、絵本の世界で有名人となりました。
こちらの read aloud(本を読み上げる)動画ではリーディングとリスニングの勉強ができるので、ぜひ活用してみてくださいね!
「グリンチ」というキャラクターをご存知ですか?
赤いサンタ帽に、ふさふさでみどり色の細い体を持つキャラクターです。
英語圏では、クリスマスの時期になるとこのキャラクターを思い浮かべる人が少なくありません。なぜなら、スースの名作「グリンチ」は、クリスマスが嫌いなみどり色の主人公のお話だからです。
小さなハート(心)を持つグリンチは、近所の町でクリスマスが祝われているとイライラしてしまいます。そこで、町に住む人たちが家族のために用意をしたプレゼントを、全部盗もうと企むのです。
しかし、町の少女との出会いやいろいろな出来事を経て、グリンチはクリスマスの本当の大切さを学び、最終的にはハートが大きくなります。なんとも可愛らしいお話ですよね。
アニメーション化、そして実写化などもされている有名な物語であるグリンチ。ぜひこちらの動画を観てドクター・スース・ワールドをご堪能ください!
こちらは、名作中の名作。
みどり色の卵とハムを出されたら、誰しも奇妙に感じるのではないでしょうか。
この絵本のなかでは、「Sam-I-am」というキャラクターが、主人公に対して「誰もが食べてみたいと思うものだ」とさまざまな方法でオススメします。
とてもリズミカルな作品です。
また、この green eggs and ham というフレーズはさまざまな曲の歌詞に登場することもありますよ。Princess Nokia(プリンセス・ノキア)というアメリカのラッパーや、Eric Bellinger(エリック・ベリンジャー)というアメリカの歌手の曲の題名にもなっています。
それだけ有名なタイトルなのです。
以下の動画は文字がないのでリスニングのみになります。どれくらい聞き取れるか試してみてくださいね!
これは筆者がかなり好きな作品で、小さい頃にもっとも読んでいた本のひとつです。
和訳すると「1匹の魚、2匹の魚、赤い魚、青い魚」になります。
外へ出かけて、個性的なさまざまなものや出来事を見るという、シンプルなお話です。
こちらの動画も音声のみになりますが、聞いてみてくださいね!
「One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish」からちょうど30年後に出版された「Oh, the Places You’ll Go!(きみの行く道)」。
なんとアメリカの44代目大統領のバラク・オバマ夫人のミシェル・オバマが読み上げてくれる動画があります。必見ですよ!
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最後に、ドクター・スースによる名言をいくつかご紹介します。
You have to be odd to be number one.
「奇をてらわないと1番にはなれない」
周りに馴染む必要はないということですね。
実は、odd という単語には2つの意味があり、1つは「妙」や「変」という意味で、もう1つは「奇数」という意味です。この2つの意味をかけて言葉遊びをしているのです。
Only you can control your future.
「自分の未来をコントロールできるのは、自分だけ」
これはわかりやすいですね。まさにその通り! という名言です。
You'll miss the best things if you keep your eyes shut.
「目をつぶっていると、いいものを見逃してしまう」
視野を広げることの大切さが伝わってくる名言。目を開けて、現実を見ることが大事ですね。
Don't give up. I believe in you all. A person's a person. No matter how small.
「あきらめないでください。私はみなさんを信じます。人は人だ。どんなに小さくても」
自分がどんなに小さく思えても、人はみんな人なのだから、みんな平等。そんなふうに励まされている気がしますよね。
So, open your mouth, lad! For every voice counts!
「さあ、口を開けよ、若者よ! すべての声が重要なのだ!」
自分にはものをいう価値がないと思っている人も、そう思わないで、言いたいことは言いましょう。話をまともに聞いてもらえないと思っても、とりあえず伝えてみよう。
ひとりひとりの小さな声が合わされば、ひとつの大きな声になる。自信を持って自分の感情、そして思っていることを伝えようということですね。
いかがでしたか?
ドクター・スースの偉大さと魅力は伝わったでしょうか。
英語圏だけではなく、さまざまな国で愛されているドクター・スースの絵本は、ぜひ一度は読んでみたいものです。
今回ご紹介した絵本のなかから好きなものを選んで、目を通してみてはいかがでしょうか?