DMM英会話ブログ編集部
(更新)
アメリカ人のファーストネームを聞いて、「なんだか同じような名前ばかりだな」と思ったことはありませんか?
正解です。アメリカ人の名前は、日本と比べると種類はかなり少ないと言えます。
それもそのはず、「マイケル」を筆頭に、「クリス」「ジョン」など聖書から引用されたものが広く使用されているため、数に限りがあるのです。女性は「ジェシカ」「アシュリー」「アマンダ」など、昔からある伝統的な名前が今も人気を保っています。中にはギリシャ神話やシェークスピアに由来する名前もあります。
したがって、多くの人が同名の友人、同僚、隣人、家族親戚を持ち、
「やあ、ジョン。元気かい?」
「まあまあだよ、ジョン」
などという会話も普通に交わされてしまいます。
以下は1985年生まれ、今年30歳になるアメリカ人に多い名前のトップ10です。
1) Michael「マイケル」
2) Christopher「クリストファー」
3) Matthew「マシュー」
4) Joshua「ジョシュア」
5) Daniel「ダニエル」
6) David「デイビッド」
7) James「ジェームズ」
8) Robert「ロバート」
9) John「ジョン」
10) Joseph「ジョゼフ」
1) Jessica「ジェシカ」
2) Ashley「アシュリー」
3) Jennifer「ジェニファー」
4) Amanda「アマンダ」
5) Sarah「サラ」
6) Stephanie「ステファニー」
7) Nicole「ニコル」
8) Heather「ヘザー」
9) Elizabeth「エリザベス」
10) Megan「メーガン」
参考:Social Security Administration
奇抜な名前はひとつもありませんね。
男性の名前は “Robert(ロバート)” 以外は全て聖書由来です。聖書の登場人物は圧倒的に男性が多いからでしょうか。
こうした名前をつける親の中には信仰深い人ももちろんいますが、もはや信仰とは関係なく落ち着きのある定番の名前として選ぶ人も少なくありません。
こうした定番の名前には決まった愛称があります。例えば、以下は全て “William(ウィリアム)” の愛称です。
Wil, Will, Willie, Willy, Bill, Billie, Billy, Liam |
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シンプルに短縮した “Will(ウィル)” だけでなく、音が近いことから “Bill(ビル)” もよく使われます。またその変形の “Willy(ウィリー)” や “Billy(ビリー)” を使う人も多く見られます。
つまり、元アメリカ大統領のビル・クリントン、歌手のビリー・ジョエル、ミュージシャンのウィル・アイアムは全員、本名は “William” なのです!
とはいえ全てが当てはまるわけではなく、例えば俳優のウィル・スミスの本名は “Willard(ウィラード)” です。こんな変化球もあるので要注意ですね。
また、本名とはまったく関係のないニックネームを持つ人、ミドルネームを通称として使う人ももちろんいます。
女性名の場合も同様で、特に “Elizabeth(エリザベス)” には驚くほどたくさんの愛称があります。
Bess, Bessie, Beth, Betty, Buffy, Elisa, Ellie, Elly, Elsa, Libby, Lilian, Lisa, Liz, Liza, Lizbeth, Lizzy, Elle, Lilliana |
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女優のエリザベス・テイラーは “Liz(リズ)” の愛称で親しまれていましたね。『アナと雪の女王』の “Elsa(エルサ)” も、本名はもしかするとエリザベスなのかもしれません。
ただし、歌手のライザ・ミネリは “Liza” がそのまま本名です。
こうした本名と愛称の組み合せはアメリカ人なら誰でも知っていることですが、日本人にしてみれば 「ウィリアムがビル? どうしてそうなるの!?」と混乱しかねませんよね。
相手の「名刺や書類上の名前」と「呼び名」が違ったり、人名リサーチで戸惑ったり……感覚が掴めないうちはなかなか大変かもしれません。
赤ちゃんの名前トップ10の最新版(2013)を見てみると、1985年の頃とはかなり変わっているものの、大枠ではスタンダードな名前の順位が入れ替わっているだけです。男の赤ちゃんのトップ3は “Noah(ノア)” “Liam(リアム)” “Jacob(ジェイコブ)”。女の赤ちゃんの場合は “Sophia(ソフィア)” “Emma(エマ)” “Olivia(オリビア)” です。
(参考:Top 10 Baby Names For 2013)
それでも近年は、以前に比べると名前の種類が増えています。
Rihanna, Miley, Denzel, Kobe, Beckham |
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などの有名人の名前もチラホラあります。女の子の “Brooklyn(ブルックリン)” は、ニューヨークのブルックリン(ニューヨーク市に5つある区のひとつ)がヒップな街と言われ始めてから増えました。もっとも、ニューヨーカー自身はそれほど付けない名前ですが……。
“Chloe(クロエ)” や “Zoey(ゾーイ)” などフランス語の名前はやはりオシャレに感じられるようです。また、
Apollo, Princess, Diamond, Destiny, Nevaeh(Heavenを逆に綴ったもの) |
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などはいわゆるキラキラネームと言えるでしょう。
男の子の “Ronin(ローニン)” は、なんと日本のサムライ映画に登場する「浪人」からきています。「進学先が決まらない者」という意味もあることは、もちろん知られていません。
他にも、イスラム教徒の “Mohammad(ムハンマド)” や ヒスパニックの “Jose(ホセ)”、ヒスパニックでカトリック教徒の “Jesus(ヘスース)” などは、アメリカ文化の多様性を物語っています。
“Deshawn(デショーン)” “Aaliyah(アリーヤ)” などのアフリカン・アメリカンに特有の名前もたくさんあります。
「トレイシー、私の本読んだ?」
「ケイレブ、大丈夫?」
このように英語では会話の最初か最後にファーストネームを付けることが多く、仕事のメールや電話でもお互いにファーストネームで呼び合うことも多々あります。
つまり、ファーストネームを覚えてもらえないとコミュニケーションやビジネスの妨げになることがあるのです。
そこで苦労するのが、私たちのような外国人。またはアメリカ人であっても英語話者には発音しにくいエスニック・ネームを持つ人たちです。
彼らの中には便宜を優先して覚えてもらいやすい英語のニックネームを使う人がいます。多くの場合は本名と同じイニシャルを使い、例えば「タツヤ」なら “Ted” などとするのです。
名刺には「Tatsuya "Ted" Yamamoto」のように両方を表記します。
その一方で、民族名をプライドとし、周囲の人に本名を覚えてもらえるようがんばる人もいます。
会社や学校では本名で通しても、スターバックスでは「スターバックス・ネーム」を使う人がいます。
スターバックスでコーヒーを注文すると取り違いを防ぐために名前を聞かれてカップに書かれるのですが、エスニック・ネームだと「は? 何もう一回言って? 綴りを言って?」のようになり、たとえ説明しても違う名前を書かれることがあります。
そこで “Emily(エミリー)” や “Michael(マイケル)” などとありふれた簡単な名前を名乗るのです。
ちなみに、気晴らしのジョークで “Ninja(ニンジャ)” などデタラメな名前を名乗るアメリカ人もいるようです。しかし忙しいバリスタは気にもせず、そのままカップに書いてしまいます。
アメリカの名前にまつわるあれこれをご紹介してきました。いかがでしたか?
たかが名前、されど名前。もしアメリカに行ったら、あなたは本名を貫きますか? 英語名を付けてちょっぴり違う自分を楽しみますか?
アメリカでは名前のチョイスさえも自分次第なのです。
【奥深きアメリカをもっと知る!】