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「ニューヨークで起業したい!」と思ったらまず知っておくべきソーシャルセキュリティーナンバーと会社形態の話

「ニューヨークで起業したい!」と思ったらまず知っておくべきソーシャルセキュリティーナンバーと会社形態の話

こんにちは、NY City Index CEOのMaksimです。

「ニューヨークで起業する」となると、響きこそカッコいいのですが、会社を実際に作るとはどういうことかも理解せず、勢いで起業してしまうと大変なことになります。

今回は私自身がグリーンカードのステータスで会社を作った時に学んだことと、実際に会社を作ってみて感じたことをご紹介いたします。

 

会社って誰でも作れるの?

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会社を作るためにはソーシャルセキュリティーナンバー(社会保障番号)が必要です。つまり、グリーンカードや就労ビザやアーティストビザの人は会社を作ることができますが、学生ビザの場合はソーシャルセキュリティーナンバーが発行してもらえないので会社を作ることは出来ないです。

Social Security Number (SSN) というのは、本来は社会保証を受けるための登録番号であり、同時に納税のための登録番号ですが、戸籍のないアメリカでは個人を特定する唯一の方法であるため、銀行口座開設、運転免許証取得などのいろいろな場面で使用されます。SSNを持っていれば手続きがスムーズに進みますので、是非とも早いうちに取っておきたいものです。最近は、本来の目的から、労働を許可されないビザの所持者(たとえば、学生ビザ所持者やJ-2などの配偶者ビザ所持者など)にはSSNが発行されなくなっています。

引用元:研究留学ガイド:ソーシャルセキュリティナンバー

以上を踏まえた上で、ニューヨークで会社を作る方法は2つあります。

    1. 自分自身のソーシャルセキュリティーナンバーを使って会社を作る。
    2. ソーシャルセキュリティーナンバーを持っている人を代理人にして会社を作る。

 

実際、学生で会社を持ってる人の多くが代理人を立てて会社を作っています。しかし代理人を立てて起業する場合、双方での信頼がない限りやめたほうがいいかもしれません。相手が家族でない以上、想像もしていなかったトラブルに巻き込まれる可能性もあるからです。

また英語が出来ない人が他人に会社設立の書類を任せるのも大変危険です。もし相手が悪い人だった場合、会社の権限に自分自身の名前を加えたりする可能性もゼロではありません。

 

会社を経営するにあたって、絶対敵にしてはいけないIRSとは?

また、会社を作る上でよく聞くのがIRS関連のトラブル。

IRSとは連邦税に関する執行、徴収を司る機関のこと。私もニューヨークで会社を作る際、知り合いの会計士に「何をやってもいいけど、絶対IRSだけは敵にしてはいけない」と口酸っぱく言われました。なぜならIRSを敵に回すことは国税庁を敵に回すことと同じで、彼らを敵に回せば彼らの力で簡単に私たちをアメリカから強制退去を命じることも出来てしまうからです。

要するに、IRSに逆らう=アメリカで生活することは出来ないというくらいに思っておいた方が良いでしょう。

例えばよく聞くIRS関連のトラブルの1つがタックスリターン(税金の申告)。会社の税金は収益関係なしに絶対報告をしないといけない義務があります。しかし新しくCO(株式会社)を作った場合、前年度の売り上げがないということでタックスリターンをしない人もいるそうですが、絶対タックスリターンはしないといけません。COなら3ヶ月に1回開催する株主総会も必要になります。

そうは言っても、タックスリターンをやらない人が多いのも現実。学生でCOを持ってる人でやってない人に理由を聞くと「タックスリターンをするだけでも何百ドルも税理士に払わないからやらない」と言う人が多いのですね。

最近知り合いでも「売り上げ0だったから、タックスリターンしなくても大丈夫だよね?」と言う人がいましたが、税金関連の報告は絶対です。この方の場合は他人のソーシャルセキュリティーナンバーを使って会社を作っていたこともあり、もしタックスリターンをしなかった場合、ソーシャルセキュリティーナンバーを貸した人に迷惑がかかる可能性があります。

 

会社を作る上でCOで作るべきか?LLCで作るべきか?

ビジネスイメージ―会議用資料とタブレット

COという言葉が出てきましたが、会社を作る上でCO(日本でいう株式会社)として作るか、LLC(日本でいう合同会社)として会社を作るのか、多くの方が迷われているかと思いますが、誰もが選択を出来るというわけではありません。

例えば学生ビザで会社を作りたい場合は、LLCとして会社を作ることが出来ません

なぜならLLCのタックスの管理方法として、個人のタックスと会社のタックスが最後は合計されてタックスリターンをしなければなりません。学生ビザでの個人での収入は禁じられていることから、必然的に学生がLLCの会社を作ることは出来なくなります。なので、学生でニューヨークに会社を作ろうとした場合は個人のタックスと会社のタックスが別のCOを作るしか方法はないのです。

COの場合は株式総会を3ヶ月に1度、売上関係なしに開かないといけない義務があります。そして株主総会の度に会計士に依頼をしないといけないため、多大なコストが必要となります。
しかしLLCに比べてCOの方が銀行からの融資や借り入れがしやすいのが特徴です。あとは株を売ることが出来るので、買い手がいるなら株を売ってお金を集めることも出来ます。

しかし、LLCに比べてCOは初期投資が高くついてしまうことから、ソーシャルセキュリティーナンバーのある人はLLCで会社を作ってる人が多いようです。

最後にニューヨークでCO、LLCを作る場合、オンラインで会社を作ることが出来ます。英語での資料作成等が可能であれば、ニューヨーク(アメリカ全土)で会社を作りたい人はオンラインで挑戦してみるのも良いかもしれません。

 

さいごに

最後に私自身2014年10月に会社をニューヨークで設立したのですが、今現在COを潰す手続きを取っています。理由は簡単で、高額の維持費と3ヶ月に1回開かないといけない株式総会が理由です。

今の我が社のような小さな規模ではLLCで十分だったのですが、当時の私は無知だったのもあり、多くの人に相談はしていたのですが、最終的には勢いでCOを作ってしまいました
作った瞬間は「俺もニューヨークに会社かー!」とひとり心の中で盛り上がっていましたが、初のタックスリターンの手続きをした際にCOの本当の大変さと、思った以上のコストの多さを実感し、「自社の事業形態の場合は、LLCで十分だ」という決断になりました。

実際、多くのスタートアップ起業はLLCから会社をスタートしています。理由はやはり利益が出るかどうかわからない中、COとして始めてしまうと高額の維持費と株式総会が大変だからです。

事業形態はCOやLLCの他にも色々形態がありますが、今日は私自身が体験したCOとLLCについてご紹介しました。ニューヨークでビジネスを始めたい!と思った方の参考に少しでもなれば幸いです。