セレン@英語キュレーター™
(更新)
英語キュレーターのセレンさんに、英語に関する悩みを解決してもらう企画、第4回目です!
Q:ずばり直球でセレンさんに伺いたいのですが、
どうすれば英語って話せるようになるんですか?
英語を勉強しはじめて半年経つのですが、
今のままで英語が話せるようになる気がしないのですが…
英語を勉強したい、英語ができるようになりたい、というモチベーションの中で一番多くの人が求め、そして一番苦手、とするものがこれではないでしょうか。
「英語を話す」
これほどまでに苦手意識が強く、こんなにも壁を感じてしまうのは、ひとえに僕らが学校での英語の勉強を通して最もやってこなかったこと、だからなんだと思います。学校でやらなかった、というのは多くの人にとって、ほぼ人生においてやったことがない、のと同じことになるのではないでしょうか。
かくいう僕もそうでした。学校の授業で英語を話したことなどなければ外国人と英語を使う機会もなかった。すなわち、人生において能動的に英語を発したことがほぼ一度もなかったんです。英語を自分でやろう、と思うまでは。それでやってみてわかったこと、そして気付いたこと、が今日のテーマ「英語が話せるようになるために必要なたった一つの事」です。
まず、前提として覚えておきたい事が2つあって、1つ目はさっき書いたように僕らが会話を苦手だ、と感じるのはそのほとんどが「やったことがない」から、それだけだと言う事です。つまり精神的に抵抗がある、ただそれだけのことなんです。
やったことがないものに対して自信満々なわけがありません。それなのになまじ何年も学校で英語の勉強をしてるもんだから(話す、ということを抜きにして)できなきゃおかしい、という周りの空気も相まって変なハードルの高さが設定されてしまってる。まずはそのハードルをなくしましょう。やったことのないものに僕らは今、挑戦しているのです。
そして2つ目は前回の連載でもお話したのですが英語の4技能、話す、聞く、読む、書くの中で一番技能的に低次機能、つまり簡単だとされるのが「話す」こと、だという事実です。
自分の言葉、は選べます。自分の言いたい事、は妥協できます。(せざるを得ない時には。)つまり、話す、というのはほぼ全てを自分のコントロール下に置ける行為なんです。もちろん、人前でどんなテーマでも長いスピーチやプレゼンテーションが英語で自由にできる、というようなレベルになってくると能力的なものが左右してくる世界かもしれません。でも、今僕がここで言っているのはコミュニケーションとして英語を話す、というフェイズのことです。
誰もジャッジしないし、誰も間違いなど指摘しない。放った言葉がどんどん会話に解けて消えていき、次々と話が進んでいく、そんな世界。受け入れ、認め合い、英語を通して理解を深める、という世界。つまり僕ら日本人が今、英語を話す事を苦手としている理由をまとめると、一番簡単なことなのにこれまでした事がない、というだけなのだと思います。
まずはその「こころ」の壁に対するマインドセットを変えてみましょう。それだけでずいぶん有利になるはずです。
さて、そこで本題に入ります。まず、結論から。「結局英語を話すために必要な事ってなんなんですか?」よくこういう質問を受けます。本当に一言で1つを挙げるならば、こうなります。
「英語を話すこと」
英語を話すために必要なことが、英語を話すこと、と書くと怒りだす方もいるかもしれませんね。だってそれは砂漠に花を咲かせるために必要な事は砂漠に花を咲かす事、と言っているのと同じように聞こえるから。ロジックとしておかしい?でも、待ってください。全くもってこれは違う話。そんなややこしい話ではないんです。
まず僕がなぜこう言うかというと、「英語を話したい」のに「英語を話そうとしていない」という人が本当に多い、これに尽きます。びっくりされるかもしれませんが、これは本当です。「英語を話したいのに話せない」という人に共通する最大の問題。それがつまり、そもそも英語を話そうとしていない、ということなんです。
速く走りたいのに走らない?泳げるようになりたいのに泳がない?
傍からみると、不思議に思われるかもしれませんが、そう簡単な話ではないんですね、これが。あまりややこしい話はしませんので、もう少しお付き合いください。英語を話せるようになりたいのに、どうして話さないのか?そこをクリアにすれば少し何かのヒントになるかもしれません。僕から提示できる理由は二つ。
この二つです。
つまり、この状態ではどうすればいいかよくわからない先の見えない道をストレスたっぷりな状態で進まないといけない、ということになってしまいます。こんなハードな状況を乗り越えられる人はそうはいないと思います。そうなんです、だから多くの「英語を話したい人」は「英語を話さない」のです。
でも、これってちょっともったいない。そう僕は思います。
この二つさえ、クリアできれば英語を話す、ということを習慣的にでき、会話ができる、という状態に持っていけるんです。英語を話すことは難しいことではありません。楽な道はないけれど、正しい道はある。いい具合に滑り出し、英語を話す喜びを感じながら、「ああ、もっと上手く話せるようになりたい」という火が点火されるところまで持っていければ、もう半分勝ったも同然です。一度点いた心の火はそう簡単には消えません。
今、英語を話せるほぼ全ての人が自分をその状態に持っていき、そこからしっかりと正しい道を辿り身につけていったのだと思います。まずは、「話せる喜び+話せないもどかしさ」を同時に感じられる所まで自分を持っていく、これがポイントだと思います。
できること、とできないことが同時に感じられることがもたらす成長へのモチベーションは、筆舌に尽くし難いほどのインパクトを持っています。ではその英語を話してみる、に至るプロセスを邪魔してくる先ほどあげた2つの要素に対する解決策を見ていきましょう。
まず一つ目の、何か言おうとしてもどうせ言えない、ということが精神的なストレスになる。という点。これは非常に大きな初期段階での精神的な壁なんです。やろうとしてることがなにもできない、ということをやればやるほど突きつけられてしまうんですね。この時の考え方を少し変える事が大事で僕は、それで乗り越えました。
その考え方とは、
という考え方です。
言えなくて当然なんです。まずはそこのスタート地点に立ちましょう。何でも最初からスラスラ言えると思っていたら大間違い。そんなことは起こりえません。どんな流暢な人でも「流暢でなかった時期」を経ています。今のあなたはその「流暢じゃない時期」にいる、それだけのことで、これから流暢になっていくんです。必ず伸びていきます。嫌でも成長していきます。
だから、「今」できない事に対してがっかりする必要なんてないんです。次にできるようにするかどうか、が最大のポイントです。沢山メモをとりましょう。でないと言えなかったことは、絶対に会話が終わると忘れてしまいます。なにが言えなかったのか、を忘れてしまっては成長のチャンスを逸してしまっています。紙に書き,残しておきましょう。
僕は口癖のように英語での会話で起こる沢山の「言えなかったこと達」をこう言ってメモしてきました。家に帰って調べました。言えるように何度も何度も繰り返し歌うように、口にしました。この方法さえしっかり行っていたら、言えないことのもどかしさ、が自分の言えない事コレクション、のように変わっていき、楽しくなっていきます。言えない事へのストレスが減ってくるんですね。今日はこれが言えなかった、手元に残ったそれをクリアすれば今日の会話で言えなかったことは次言えるようになっている筈です。
はじめのうちは沢山でてきます。僕は今も続けていますが、勿論今でも言えない事なんか山ほどでてきます。
ここに参考に今日のメモがあります。
それでいいんです。
それを一つ一つ丁寧に吸収し、自分の言えない事のゾーンが狭くなっていくんです。
二つ目の、英語を話せるようになる、というプロセスがよくわからない。という問題にも同じ事が言えます。
言いたい事が言えない
↓
なんて言えばいいかがわかる
↓
それを何も考えずに言えるようにする
英語が話せるようになる過程はシンプルで、こういうことなんです。
大人の語学学習で最大のネックになってくるのは「理屈で考えすぎる」という点です。理屈で考えられることが最大の強みでもあることを考えると何とも皮肉な事ですが。理屈、の使いどころがポイントなわけですね。
まずもって言える事は話す、という行為の初期の段階にそんなに頭を捻り、知識や知恵を総動員して解決しないといけないこと、などないんです。言えるようになればいい、ただそれだけのことなんです。意味がわかっているものを感情を込めて、口にすれば、言葉は頭の中に定着します。シンプルなことです。
その素地として文法や単語はある程度です。でも、多くの言いたい事が言えないという理由のほとんどがそもそも口にした事がない、か表現そのもの、単語そのものを知らない、というだけなんです。単語や表現はやはり沢山のものに触れて増やしていく必要がありますが、まずは口にした事がない、という段階を今挙げたことなどを通してクリアしていく事が大事だと思います。
口にすること、をせずに話せるようになどなるはずがないんです。これは基本スタンスとして覚えておいてください。
幼児の母語習得において、今まで話さなかった子供が突然話し出す、というケースがまれにあるそうですが、これも頭の中でずっと考えていたり、親の見ていない所でぶつぶつと独り言を言っているなど、「誰かに話す」行為の代わりになることをずっと行っているケースがほとんどだそうです。つまり、英語を話したければまず、話さないといけない。本当にシンプルなことですが、そういう結論なんです。
僕が英語を始めた時なんて本当に酷いもんでした。本当に何も言えませんでした。出身地や年齢すら正しい文法で言えませんでした。
I am come from Osaka.
I am 31 year olds.
なんて言っていたのを今でも覚えています。伝わりますが、やっぱりどこかおかしい。だから話すたびに哀しくなり寂しくなり、敗北感と寂寥感で本当にいたたまれない気持ちになったのを今でも覚えています。それでも諦めずにここまでこれたのは、「英語を話す喜び」を早い段階で得れたからだと思っています。
伝わる事の嬉しさ、言いたい事が違う言語で言える特別な気持ち、見知らぬ国のだれかと新しい言葉で気持ちを交換する瞬間、僕は何度も新しい扉が開いていく音を聞きました。比喩ではなく、本当に聞こえたんです。重い重い鍵が開き、小さな扉が一つずつ開かれていく、その軋む音を何度も聞いてきました。
そして、事実僕の生活は、人生は英語を通して大きく変わり始めました。英語を話す、そんなシンプルなことだけど、僕らは悩み、悲しみ、そして孤独を味わいます。そうではなく、できないことを楽しみ、知らない事を知る事を喜び、それをできるようにする過程を楽しむ、そんな風に考え方を変えてみませんか?そして時には子供みたいに無邪気に英語を口にし、発する事を楽しんでみましょう。
英語を話すことにプライドや見栄などいりません。まずは、話してみましょう。口にしてみましょう。声に出してみましょう。シンプルなことから、そして言いたい事から始めましょう。さあ、今日のあなたはどんな事を口しましたか?もしまだなら、ぜひ英語で教えてあげてください、今日の出来事、明日の予定、欲しいもの、好きな事、なんでもいいんですまずは自分自身に。
そして心にいつも理想の英語を話す自分を描いておきましょう。
英語学習は、その理想の自分に会いにいく旅なのですから。