Erik
(更新)
英語には、同じ単語なのに文脈によって正反対の意味になる言葉が存在するということをご存知でしょうか。
このような単語を "contronym(コントロニム)" と呼びます。
決して難しい言葉だけではなく、日常会話で頻繁に使われる単語も多く、例えば "original" "rent" "screen" などがそうです。
今回はそんな "contronym" を例文とともにご紹介します!
・ある場所へ向かっている
・束縛された、縛られた
電車の行き先の案内でよく聞く "bound"。「ある場所へ向かっている」の他に「縛られた(動けない)」の意味もあります。
I'm bound to my room in Tokyo.
東京の部屋から出ることができません。
・切り取る
・留める
"nail clippers(爪切り)" のように「切り取る」という意味と、クリップでくっつけるイメージの「(つなぎ)留める」の意味を持ちます。
Could you clip this to the wall?
これを壁に留めておいてくれる?
・習慣、常例(普通)
・あつらえの(特別)
「習慣」「常例」という意味の "custom" ですが、日本語でも「カスタムメイド」というように、「あつらえの」「注文の」という特別なものを表現するときにも使います。
I bought a custom Japanese kimono.
あつらえの着物を買いました。
・大量
・少量
ジャムやペンキなどの液体の量を表現するときに使う "dollop" は「大量」と「少量」どちらの意味でも使われます。「大量」は主にイギリス英語だと言われています。
Please give me just a dollop, please.
ちょっとだけでいいです。
・ちりを払う
・粉末を振りかける
名詞では「ちり」「粉末」の意味の "dust" は、動詞だと掃除などの際の「ちりを払う」意味の他に、「粉末を振りかける」という意味があります。
Dust some sugar on top.
上に少し砂糖を振りかけて。
・速い
・固定した
「速い」と覚えている方が多いかと思いますが、実は "fast" には「固定した」の意味も。ちなみに「断食する」の「ファスティング」も同じ単語です。
The bike was chained fast to the fence.
その自転車は柵にしっかり固定されていた。
・素晴らしい
・十分な、許容範囲の
"How are you?" と聞かれて "I'm fine" と答えると、「普通です」「悪くはないです」のようなニュアンスになると聞いたことがある方もいるかもしれません。
"fine" は「素晴らしい」という意味と、「十分な」「許容範囲の」といった「悪くはない」意味もあります。
He'll be fine, don't worry.
彼はきっと大丈夫、心配しないで。
・消えている、止まっている
・発動している
電気やガスなどが「オフ」になっている状態といえば、「消えている」「止まっている」状態のことを意味します。
しかし、アラームなどは同じ "off" を使って「発動している」状態を指します。
The alarm went off.
アラームが鳴った。
・最初の、元祖の
・新たな、独創的な
日本語でもしばしば耳にする「オリジナル」という言葉。「元祖の」という意味を持つ一方で「新しい独創的な」の意味でも使われます。
They're known for their new and original ramen flavors.
その店は新しくて独創的なラーメンの味で知られています。
・監視する
・見逃す、大目に見る
「上」の "over" と「見る」の "look" から成る "overlook" は、「監視する」と「見逃す」両方の意味を持ちます。
The manager decided to overlook the worker's mistake.
マネージャーは従業員のミスを大目に見てやることにした。
・借りる
・貸す
「レンタカー」などでおなじみの "rent" という言葉。「家賃」の意味でも使われます。
そんな "rent" は、「借りる」と「貸す」両方の意味で使うことが可能です。
We decided to rent out the car.
車を貸し出すことにしました。
・詳しく調べる
・ざっと目を通す
"scan" はゆっくりじっくり「詳しく調べる」ことも、ちらっと読み通すだけのような「ざっと目を通す」ことも意味します。
He quickly scanned the headlines of the newspaper.
彼はざっと新聞の見出しに目を通した。
・上映する、見せる
・隠す
名詞の "screen" はパソコンなどの「スクリーン」を意味しますが、動詞になると映画などを「見せる」「上映する」の意味と、反対の「隠す」の意味の両方で使われます。
The movie theater was screened off from the public.
映画館は一般の人から隠された。
・種を蒔く
・種を取り除く
「種」の意味の "seed" は動詞「種を蒔く」と「種を取り除く」のどちらの意味でも使われます。
I'm going to seed the tomatoes.
トマトの種を取り除きます。
・風化する、色あせる
・耐える、色あせない
"weather" は名詞「天気」の意味でご存知の方が多いと思います。
加えて、「風化する、色あせる」という意味も持ち、さらにその逆の「耐える、色あせない」意味でも使われます。
The ship weathered the storm.
その船は暴風雨に耐えた。
いかがでしたか?
同じ単語なのに正反対の意味になるなんて不思議ですよね。
多くの場合は文脈でどちらの意味になるのかの判断はそう難しく無いと思いますが、複数の意味を持つということ自体を知らなければ、理解するのが難しいこともあるかもしれません。
知っている英単語の一つの意味だけにとらわれず、他の意味があるのかもしれないという柔軟な発想を持つと、英文読解の幅が広がるのではないでしょうか。
今回の記事がみなさんの英語学習に少しでも役に立てば幸いです。