Yoshiko
(更新)
「東京大学受験前の模試では判定がDやE。でも『入試までになんとかすればいい』と、自分を追い込みました。それと同時期に、人と自分を比較するのもやめました」
そう力強く語るのは、ミス&ミスター東大コンテスト2017 準グランプリの大野南香さん。現在大学2年生の彼女は、2018年7月に2週間のマルタ留学をされました。
マルタの存在を知ってすぐに留学の申し込みをし、その後に親御さんに「留学するから!」と告げる行動派の大野さんは一体どんな女性なのか。学生としての一面、英語を勉強している理由、留学中の生活、留学後にご自身で感じる変化などを聞いてみました。
ー まずは大野さんの自己紹介をお願いします。
親の仕事の都合で香港生まれの私ですが、1歳になる前に愛知県に引っ越しました。なので、中国にいた記憶は一切無いです(笑)。それから高校卒業まではずっと愛知県に住んでいました。
ー 2017年の準ミス東大とうかがったのですが、昔から勉強は得意だったり好きだったりしたのでしょうか?
中高一貫の学校に通っていたのですが、当時は友だちと遊ぶことを優先していました。でも、高校2年生くらいになると「進学どうする?」と学校で聞かれますよね。そこで将来のことを考えてみたんです。子どもの頃の夢はお医者さんだったのですが、17歳の私は「医者じゃない」と。でも具体的に何をしたいか分からなかったんです。
可能性を狭めないためにも、今は大学に進学するのがいいだろうと思ったとき、「愛知県を出て東京に住んでみたい」「高校が私立だったので大学は国公立がいい」「中高が女子校だったので、大学は男女共学がいい」といろいろ条件を挙げてみました。それに当てはまるのが東京大学だったんです。受験勉強をスタートしたのは高校2年生の後半でした。
ー いやいや、東大以外にも当てはまる大学は他にありますよ!(笑)。
その時期から受験勉強を始めてみてどうでした?
条件がそろっていて、さらにピンときたのが東京大学だったんです(笑)。科目は文系よりも理系の方が得意でしたので、理科2類を目指して勉強をし始めました……が、イバラの道でした。
高校1年生の時から東大を目指している子はA判定で、高校2年生まで遊びほうけていた自分は模試を受ければD判定やE判定。親や先生には「志望校、変える?」と言われましたが、諦めきれなかったんですよ。
「センター試験と本試験までにどうにかすればいいんだから、今の結果は関係ない!」とがむしゃらに勉強しました。そして、周りの人と自分を比較するのもやめました。その甲斐あって、なんとか東大に合格することができました。
現在大学2年生なのですが、将来的に医学部系の健康総合学科に進みたいなと考えています。大学卒業後は海外の、できればヨーロッパの大学院に進みたいです。
自分の将来の職業を考えた時に「お医者さんではない」と思ったものの、健康や体について興味はあるんですよね。私は生活や食事の変化が体に出やすく、添加物の多い食事を摂ると体調を崩してしまったり、寝不足だと肌が荒れたり。今も体や栄養について学んでいて、それを活かせたらいいなと思っています。
ー 「最後に結果を出せばいい」「人と比較しない」って受験勉強だけでなくいろんな場面で活きる教訓ですね。そんな大野さんが英語を勉強している理由は、海外の大学院に進学するためですか?
海外の大学院に進学したいのと、将来的に海外で働きたいので英語を勉強しています。あと、国境や言葉の壁を気にせずに色々な人と出会って関わりたいですね。
というのも、大学受験後に、道端で外国人に話しかけられたことがあったのですが、そのときに全然スムーズに受け答えができなかったんです。受験用にリスニングのトレーニングをあんなにしたハズなのに……努力がムダになるなんてもったいないし残念ですよね。
あとは、大好きな石原さとみさんが英語を上手に話していて素敵だなと思いました。自分もあんな風に話せたらいいなあって。そんなこともあって英語を勉強し始めて、今回マルタ留学をしたんです。
ー 受験英語はなんとやら…ですね。今回のマルタ留学以前に、留学や海外経験はありましたか?
英語を本格的に勉強する前の海外経験は韓国とグアムだけで、それもほとんど英語は使わない観光旅行でした。昔から海外に強い憧れを抱いていましたが、海外を知らないまま想像の世界で憧れていたんです。
海外のドラマや映画が大好きで、その中に出てくる“ニューヨーカー”ってかっこいいな、と思っていたので「まずは外国を知ろう!」ということで、アメリカのシアトルに3週間、ニューヨークに10日間滞在してみました。
それは語学留学ではなく、“暮らしてみる”という実験的なものでしたね。教会へ行ったり、散歩をしたり、普通に暮らしてみました。同じ時期に知人がシアトルに滞在していたので、その人に色々な人を紹介してもらって、みんなで出かけることもありましたよ。その後、ヨーロッパに4日間滞在してから、マルタで2週間の英語留学をしました。
ー アメリカ暮らしはどうでしたか?
シアトルに滞在したばかりの頃は英語でのコミュニケーションに自信が無かったのですが、だんだんと慣れて、地元の人と意見交換をできるくらいまでになりました。
でも、それって周りの方が分かりやすい英語でゆっくりと話してくれていたからできたことなんです。ネイティブが自然なスピードで何気なく言うことは全然分かりませんでしたね。そこでまた、がんばって英語を習得しようと燃えるわけですが(笑)。
ー 英語の留学先は色々あると思うのですが、あえてマルタを選んだ理由は何ですか?
マルタの存在を知ったのは2018年の6月頃とかなり最近です。友だちからマルタで英語留学ができると聞いて色々調べてみたら「行きたい!」という衝動に駆られまして、次の週にはECマルタの申し込みを完了させました。親に「マルタに留学します」と伝えたのは申し込み完了後です(笑)。
ー すごい勢い!さすがE判定を巻き返す女ですね。
ECマルタの授業は実際に受けてみてどうでしたか?
英語の授業が本当に楽しかったです! テキストも使うのですが、自分の考えや意見を伝えるトレーニングができます。例えばある航空会社に関する動画を見て、それについて議論するんです。サービスの良し悪しについてとか、自分だったら良くするためにこうするとか。説明を聞いたり、問題を解いたり、単語を覚えたりするだけではなく、自分から発信できる参加型でした。
最初は授業中も周りの様子をうかがっていましたが、「自分の意見を言いたい!聞いて欲しい!」と思うようになってからは自然と発言していましたね。先生1人で生徒6〜12人を見るので、生徒数が多すぎることもありません。先生はおもしろいし、丁寧に教えてくれるので英語が好きになれますね。
ー マルタ留学中の住まいについて教えてください。
通っていたECマルタに近いパチャビルという街で最初はホームステイをし、その後フラットに移りました。フラットはキッチン等の水回りを3人でシェアするタイプで、ベッドルームは2部屋ありましたね。
私はベッドルームをスペイン人の女性と2人でシェアしました。もう一部屋にはイタリア人の男性が滞在していて、その人の話す英語がものすごいクセがあって興味深かったです。彼はスペイン語とイタリア語も話せるのですが、英語を話すときもほとんど巻き舌で聞き取りにくいんです……でも、それも聞いているうちに慣れましたね。マネして本人に披露しておきました(笑)。
ー マルタのどんなところが好きですか?
自由にリラックスして過ごせるところでしょうか。語学学校では週30コマほどのレッスンを受けていたのですが、それでも放課後や週末に色々なところに出かけられるんです。
マルタは大きい国ではないので、学校から滞在先に帰るのも、どこかへ出かけるのも近くて便利。学校は早くて15時に終わりますし、20時くらいまで日が落ちずに明るいんです。治安が良いので夜も出かけられますよ。そのうえ過ごしやすい気候で毎日晴れているので、充実したプライベートを過ごすことができました。
ー 日本に比べると外国は治安が良くないイメージがあるのですが、マルタはそうでもないんですか?
治安はいいと思います。私はよく忘れ物をするのですが、マルタでもうっかり外出先にスマホを忘れてきてしまったことがありました。慌てて戻ったら、現地の方が「これ、あなたの?」と渡してくれたんですよ。外国ではこういうことって、なかなかないいですよね。
ちなみにマルタにいたときにパブリックビューイングでW杯のイングランド対クロアチア戦を見たのですが、みんなが一致団結していてめちゃくちゃ楽しかったです。応援しているチームが点を決めれば盛り上がりますし、一方のチームは分かりやすく落ち込みます。現地の方以外に色々な国から人が集まってくるマルタでは、サッカー観戦も白熱しますよ。
ー 現地で仲良くしていた人はどんな方ですか?
学校内の留学生はブラジル出身の方が多く、他にも色んな国の方と仲良くなりました。帰国後も密に連絡を取り合っているのはスイス出身の大学生と、フランス出身のデザイナーカレッジの学生です。3人とも年齢が近くて、「次に会うときはみんなでパリに集合しよう!」という話をしていますよ。
学校では毎週月曜日に新しく来た留学生たちを迎えるウェルカムパーティーがありますし、毎日のようにパーティーがあるので、他の国から来た人たちと交流できます。治安もいいので夜の街も安心して観光できますよ。
ー 留学中に何か印象的な出来事はありましたか?
留学後なのですが、マルタから日本に帰国する際のドバイでのトランジットで、ちょっとしたハプニングがありました。お土産を買おうとしたら「財布が無い!そうだ!預け荷物に入れちゃったんだ……」、使用した航空会社の無料の食事サービスは2017年で終了していましたし、ホテル利用はトランジット8時間以上からで私は7時間50分…一歩届かず!(笑)
スタバカードのアプリがスマホに入っていたのですが日本でしか使えない! 飲み食いもできず、タクシーにも乗れず、お土産も買えず。無一文でドバイですよ(笑)。ということで財布無しで約8時間ドバイにいました。やっちゃいましたね。唯一の救いはサッカーのフランス対クロアチアを見れたことでしょうか。
ー 飲まず食わずはツライ! でも、そんな状況でも大野さんはなんだか楽しそうですね。色々な体験をされたとは思いますが、留学を終えて何かご自身の変化は感じますか?
以前は英語で聞かれたら一度日本語に置き換えて、言いたいことを日本語から英語に直して発言していました。でも今は、英語で聞かれたらそのまま英語で考えて英語で発言できるようになりましたね。自分の思いを英語で組み立てられるようになったと感じています。
組み立てようとしても分からないときは先生に質問する、それを繰り返しているとどんどん英語力が鍛えられていきます。先生は「分からないことは調べる前に発言してみて」というスタンスなので、英語を発することが億劫でなくなるのだと思います。先生との距離が近くてフレンドリーだったのも良かったですね。
ー どんどん英語脳に近づいている大野さんですが、英語学習における今後の課題はありますか?
受験勉強を終えてからは、机に向かって英語を勉強するというよりは、話すことに重点を置いてきました。けれど今後は、文法や単語、表現について、もう一度しっかり復習をしたいです。
ECマルタの先生も言っていましたが、アウトプットはインプットをした範囲内でしかできません。インプットとアウトプット両方をバランスよく学習すれば、もっともっと英語の能力を伸ばせると思っています。
ー 今後、留学の予定はありますか?
今は留学というよりも旅行をしたいです。もう少しヨーロッパを巡ってみたいですし、留学中に興味を持ったブラジルにも行ってみたいです。美しい自然が残るブラジルは経済的に豊かな国とは言いがたいく、人件費がとても安いんですよね。
日本は経済的に豊かな国なので、私たちは遊んだりするのにもお金を使えますが、ブラジルでは生きていくのに精一杯で、稼いだお金の8割が家賃等の生活費で消えてしまう人も多いと聞きました。そんな現状を肌で感じるためにも、南米に行きたいなと思っています。
また、お仕事でも海外に行ってみたいです。自分の今までの頑張りや経験がお仕事にも繋がったら、それほど嬉しいことはありません。
ー では最後に、留学や海外に興味を持っている方へメッセージをお願いします。
「まずは行動! まずは行こう!」ですね。
日本の治安が良い故に、「海外は怖い」「住むのは不安」「スリや犯罪に巻き込まれるのでは」と不安になる気持ちも分かるのですが、日本でしっかり生活できているなら大丈夫です。想像するよりも怖い場所ではありません。
それよりも、行かないと得られない気づきってありますから、少しでも行ける可能性があるならぜひ行ってみてください。行動してから考えればいいと思いますよ。
私は「マルタいい! 行こう!」と即決したので、正直なところ準備不足な点があったことは否めません。でも、以前の自分よりも成長できて、本当に行って良かったと思っています。2週間の留学は期間としては短いですが、内容はかなり濃いものでしたよ!
日本では出会えなかったであろうたくさんの人と出会って、授業でもプライベートでも国際的な問題について考える機会ができて、それについて自分の意見を持ったり考えたり、英語で自分の考えを発言する自信もつきました。
そのおかげか、日本に帰国した自分に何ができるのかな、ということまで考えられるようになりました。あと、日本の良いところが客観的に見えるようになって、さらに日本が好きになりましたよ。
ー ありがとうございました!
留学から戻った翌日に実現した今回のインタビュー。顔を合わせるなり「マルタ最高でした!」と満面の笑みを浮かべてくれた大野さんの表情が、彼女の留学生活の全てを物語っていたように思います。
空港でのハプニングエピソードも含めて、目を輝かながら興奮気味に話してくれた大野さんを見て、今後も世界中を明るくかけ巡る彼女の姿をありありと思い描くことができました。
今後もアグレシッブに行動し続ける彼女から目が離せませんね!
◆ 大野南香さん公式 Instagram
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