Mizuho
(更新)
2000年代後半から一気にハイボールが人気を博し、ウイスキーをたしなむ若い世代が増えました。
ひと昔前は、ウイスキーはダンディーな紳士が飲んでいるイメージを持つ人も多かったのでは?
このウイスキー、もともとはスコットランドやアイルランド発祥なのをご存知ですか?
今回はウイスキーの歴史を紐解きながら、スコッチ、アイリッシュ、そして世界でも話題になっているジャパニーズウイスキーの特徴を見ていきます。
記事後半ではウイスキーの美味しい飲み方を英語表現とともにご紹介するので、ぜひウイスキーを楽しむきっかけにしてくださいね。
ウイスキーは、大麦などの穀物を蒸溜してつくられるアルコールの1種です。
実はウイスキーの英語表記には、whisky と whiskey の2つが存在します。
これは製法や生産地による違いで、前者はスコットランド、カナダや日本、後者は主にアイルランドとアメリカで作られたものに使われるそう。アメリカにはアイルランドから移住した人が多数いますから、同じ表記法を使うのもうなずけますね。
whisky の語源はゲール語 (Gaelic) の usquebaugh という言葉で、「命の水」という意味です。ウイスキーについて述べている最古の文献を確認すると、アイルランドでは1405年に、スコットランドでは1494年にはその記述が見られたとされます。
当初は熟成させることはなかったため、現在よく目にする黄金色のウイスキーとは異なり、白色のものがほとんどだったそう。
世界最古の蒸溜所はアイルランドのBushmills distillity(ブッシュミル蒸溜所) で、1608年から蒸溜を始めました。1707年には、イギリスがスコットランドのウイスキー蒸溜に制限をかけるようになります。
この制限によりスコットランドの人びとは長い間、夜にこっそりウイスキーの密造をする以外道がなくなってしまいました。1828年に合法的に蒸溜できる法律が制定されてようやく、表立ってウイスキーを製造する蒸溜所が現れたそうです。
こうして正式に蒸溜が始まったおかげで、樽保存による味の深みなどの研究・開発が行われ、現在の琥珀色のウイスキーができました。
ウイスキーは熟成期間が必要で、寝かせれば寝かせるほど味の深みが増すので、プレミアがついたウイスキーも多数あります。DMM英会話のオリジナル教材「デイリーニュース」では信じられない価格がついたウイスキーの話題も取り上げられています。
72-Year-Old Scotch Whisky Sells for $54,000
「72年物の古いスコッチ・ウィスキー、5万4,000ドルで落札」
レベル6:Intermediate(中級)
デイリーニュース記事はこちら
Son Sells 28 Years of Birthday Whisky to Buy House
「28年にわたる誕生日のウイスキー、息子は住宅の購入のために販売」
レベル6:Intermediate(中級)
デイリーニュース記事はこちら
ウイスキーの歴史からも見られる通り、2大生産地はスコットランドとアイルランドです。また、それに加えて世界で注目を集めているのが、なんと日本!
そこでここでは、これら3つのウイスキーの違いをご紹介します。
「スコッチウイスキー」はスコットランドのウイスキーを指す名称です。英国で制定されたScotch Whisky Regulations 2009という法律で守られており、ある一定の要件を満たさないと「スコッチウイスキー」と名乗ることができません。
主な要件は以下の5つ:
こうして作られたスコッチウイスキーは peaty flavor (ピート)と呼ばれるスモーキーな香りが主な特徴です。また、スコッチウイスキーには5つの種類があります。
Single Malt Scotch Whisky (シングルモルト)
大麦の麦芽のみと水を原料として、銅製の蒸溜釜を使って一か所の蒸留所で作られたもの。
Blended Malt Scotch Whisky(ブレンデッドモルト)
一か所以上の蒸溜所で製造されたシングルモルトウイスキーを混ぜて作ったもの。
Single Grain Scotch Whisky(シングルグレイン)
大麦の麦芽(その他の穀物の全粒粉を含む)と水を原料とし、一か所の蒸溜所で作られたもの。
Blended Grain Scotch Whisky(ブレンデッドグレイン)
一か所以上の蒸溜所で製造されたブレンデッドモルトウイスキーを混ぜて作ったもの。
Blended Scotch Whisky(ブレンデッド)
シングルモルトウイスキーにシングルグレインウイスキーを混ぜて作ったもの。
アイリッシュウイスキーについては、Irish Whiskey Act 1980という法律でその定義が定められ、2014年にはヨーロッパ連合でもこの定義が認められました。
こうした要件を満たしたアイリッシュウイスキーは、スコッチウイスキーと比べて滑らかで豊かな香りが特徴です。
アイリッシュウイスキーも、4つの銘柄に分けられています。
Pot Still Irish Whiskey(ポットスチルウイスキー)
麦芽などの穀物をすりつぶし、指定の蒸溜釜(pot still)で蒸溜したもの。
Malt Irish Whiskey(アイリッシュ モルト ウイスキー)
麦芽100%と水、イーストから作られるもの。
Grain Irish Whiskey(アイリッシュ グレーン ウイスキー)
30%以下の大麦の麦芽を原料として、その他の穀物の全粒粉と混ぜて作られるもの。
Blended Irish Whiskey(アイリッシュ ブレンデッド ウイスキー)
アイルランドで製造される上記3つのなかから、2種類以上のウイスキーをブレンドして作られるもの。
日本のウイスキーは1923年に日本で初めて設立された「山崎蒸留所」が始まりと言われています。
創業者である鳥井信治郎氏は、スコットランド留学でウイスキーの知識と経験を得た竹鶴政孝氏を迎え、国産ウイスキー作りに挑戦しました。
この背景もあって、日本のウイスキーはスコッチウイスキーの影響を強く受けているそう。そのため、ジャパニーズウイスキーを英語表記するときにはスコッチウイスキーにならって whisky とすることが多いそうですよ。
以前はスコッチやアイリッシュウイスキーのような厳格な決まりはありませんでしたが、2020年に日本洋酒酒造組合によってジャパニーズウイスキーの「自主基準」が定められました。
引用:日本洋酒酒造組合
「デイリーニュース」でも話題として取り上げられていますが、最近は日本製ウイスキーの在庫が少なくなってきていることが問題となっており、2022年4月からはそのためにいくつかのブランドの価格が引き上げられます。
これは2015年にサントリーの「山崎シングルモルト シェリーカスク2013」が「世界最高のウイスキー」と評価されて以来、日本製のウイスキーに注目が集まったため。
世界でも認められている日本のウイスキー、なんだか誇り高いですね!
冒頭で触れたように、近年ではハイボール人気でウイスキーをたしなむ人も増えてきました。でもウイスキーの楽しみ方は、ハイボールだけではありません。
ここではウイスキーの楽しみ方とその英語での表現方法をご紹介します。
「スコッチウイスキーをニートでください」
ウイスキーを常温でなにも入れないで楽しむときは、neat (ニート)という飲み方になります。この「ニート」には常温という意味も含まれており、「ストレート」とは厳密には異なります。
ただ、通常の会話では「ストレート」と伝えても「ニート」と同じ状態で出されることがほとんどでしょう。
「アイリッシュウイスキーを、水を少し加えてください」
ウイスキーはアルコール度数が高いうえ、香りも強いので初めて飲む人には抵抗がある場合があります。そんなときは、少し水を加えるとマイルドになって飲みやすくなりますよ。
「タリスカー*をロックでお願いします」
*スコッチウイスキーのブランドの1つ
on the rock「オン ザ ロック」は日本語でも聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。「ロック」で飲む場合は、手にちょうど収まる程度のサイズの「ロックグラス」に氷を入れて、ウイスキーを注ぎます。
少しずつ氷が溶けてくるので、さまざまな味わいを楽しむことができる飲み方です。もしも「ただ冷えているものが飲みたい」という場合は、「ウイスキーストーン」という石を冷やして氷の代わりに入れることもできますよ。
「私がいつも飲むのはジョニーウォーカーのハイボールです」
*スコッチウイスキーブランドの1つ
この例文で登場する go-to は日常会話で耳にすることが多いフレーズで、「いつもの」とか「〜すべき」という意味があります。
日本では「ハイボールをお願いします」と特に銘柄を特定せずにオーダーすることが多いですよね。英語でハイボールは whisky and soda と表現することができますが、この場合はどんなウイスキーが使われるかはわかりません。
もしもお気に入りのウイスキーがあって、ハイボールで楽しみたいのなら、例文のように「ウイスキー銘柄+soda」でオーダーするといいでしょう。
「あまり体調がよくないんだよね。ホット・トディーを作ってもらえる?」
under the weather は「体調がよくない」ことを表す英語表現です。意外と日常会話で登場するので、覚えておくといいですよ。
そしてここで登場したHot toddy。これはウイスキーをお湯で割ったカクテルで、ハチミツなど甘さを加えて楽しみます。特に寒い日や、「少し喉の調子がおかしいな」といったときによく飲まれるカクテルです。
いかがでしたか?
ウイスキー発祥の地、スコットランドやアイルランドに加えて、日本も素晴らしいウイスキーを作っていることがわかったのではないでしょうか。
ウイスキーには高価なものはもちろん、低価格なものもありますから、意外と気軽に挑戦できるドリンクです。
ブランドや銘柄によって味や香りも異なるので、さまざまな楽しみ方ができるはずですよ。