wish? それとも hope? 願望「〜したい」の違いと使い分け
願望「〜したい」の意味を持つ英語というと何を思いつきますか? wish、それとも hope? 2つの違いは実はややこしくて、正確に使い分けできている日本人は少ないんです。私ももう長いことアメリカで暮らしていますが、いまだにネイティブに指摘されるんですよ!
たとえば、次の2つの文章。一見似ていますが、日本語に訳するとニュアンスが全然違います。
- I wish it would stop raining.
- I hope it will stop raining.
今回は、wishとhopeの違いをポイントを整理しながらみていきましょう!
wishは不可能な願望
基本的に “wish” は、未来に起こりえないこと、あるいは起こりそうにないことを願う時に使われます。したがって、”wish” の後に続く文章は仮定法となり、一段階前の時節で表現されます。
- I wish I were a bird.
「鳥になれたら良いのに」
“I wish I were a bird.” は「鳥になれたら良いのに」という意味ですが、鳥になるのは実際には不可能ですよね。したがって、この場合はwishを使い、仮定法過去で “I were a bird” が続きます。
- I wish I didn’t have to go to work today.
「今日仕事に行かずに済めば良いのに」
不可能な願望である “wish” を使うことで、I did’t以降の内容が「本当は行きたくないけど、今日は仕事を休むわけにはいかない」といったニュアンスを表現しています。
- I wish I could live in the U.S.
「今すぐアメリカに住むことができたら良いのに」
今すぐにでもアメリカに住みたいけれど、それが叶わないことを表しています。“I wish” を使うことで、この願望が少なくとも今は不可能なことを意味しています。
- You know, I wish I could speak English more fluently.
「僕の考えをみんなに知ってほしいんだ。もっと英語が流暢に話せたら良いのに」
英語をなかなか流暢に話せないような状況で、流暢に話すという「不可能な願望」を意味するため “I wish” を使います。
- I wish I were you.
「君になれたら良いのに」
「君になる」ことは物理的に無理なので、“I wish”(不可能な願望)を使います。
また、“No thank you.” は使わない? 日常英会話で使える丁寧な断り方【4パターン】
の記事でも紹介していますが、相手の申し出を丁寧に断りたい場合にもwishは役立ちます。
- I wish I could, but I still have a lot to do.
「行きたいんだけど、今日はまだやらなきゃいけないことがたくさんあるんだ」
hopeは可能性のある願望
一方、“hope” は未来に起こりえること、あるいは起こりそうなことを願う時に使われます。この場合、“hope” の後に続く文章は現在形および未来形となります。
- I hope to become more fluent at English after my exchange program in England.
「イギリスでの留学が終わったら、英語を流暢に話せたらいいな」
“wish”の例文と比べると、こちらは実際に「留学にいく」ので、「英語を流暢に話せるようになることは不可能ではない」ため “hope”を使います。
- I hope to see you at the party next week! (Hope to see you at the party next week)
「明日来れるよね?」
直訳すると「来週のパーティーで会えるといいね」ですが、会う可能性が十分にあるので、「来れるよね?」という軽い確認のニュアンスになります。
- Let’s hope it will be sunny tomorrow.
「明日、晴れるといいね」
このように、want とhopeにはニュアンスの違いがあるんです。冒頭で紹介した2文は、それぞれ次のように訳すことができます。
- I wish it would stop raining.
「雨が止んだらいいのに」 - I hope it will stop raining.
「雨が止みますように」
実際は雨が止む見込みがない時に「雨が止んだら良いのに」と言う場合は、“wish” を使い、一方、暖かくなる可能性を期待する場合は hopeを使うというわけですね。
wishもhopeも使える場合

さて、wishとhopeのニュアンスの違いを解説しましたが、幸運や幸せ、健康などを祈る場合は基本的に “wish” も “hope” も両方使うことができます。
ただ、意味は同じでも文法的に少々異なり、“wish” を使う場合は「wish+人+名詞」となる一方で、“hope” を使う場合は「hope+(that)文章」となります。
- I wish you luck. = I hope you will have good luck.
「幸運を祈ります」
- I wish you much happiness.=I hope that you will be very happy.
「多幸をお祈りします」
- We wish you a Merry Christmas.=I hope you will have a Merry Christmas.
「良いクリスマスを」
- I wish you well. = I hope that good things happen to you.
「健闘を祈ります」
※ “I wish you luck” は “I make you happy” といった「make+人+形容詞」の構文にカタチが似ていますが、“I wish you lucky” は間違いです。注意しましょう。
おまけ:その他のwishの用法
wishやhopeのように「願望」の意味を持つ英単語にwantがありますね。 wishは “want” の丁寧形としても使われます。ビジネスなどの場面で使われることが多いです。
- I wish to talk to your manager.
「マネージャーと話したいのですが」
- If you wish to discuss this matter further please do not hesitate to contact me.
「この件についてより詳しく協議したい場合は、ご遠慮なくご連絡ください」
おわりに
“wish” と “hope” の具体的な違い、少しでも掴めたでしょうか? 実現の可能性があるかないかが大きなポイントです。
また、年末年始の挨拶ではwish を使った定番の挨拶があるので、ぜひ使ってみてくださいね。
I wish you a happy new year!
Wishing you a happy new year!
「来年も良いお年を」
【セットで覚えてスッキリ!似たもの英単語】