Memorial Day(メモリアルデー)とは?歴史や祝い方を紹介
アメリカでは5月の最終月曜日は Memorial Day(メモリアルデー)という祝日です。日本語では「戦没将兵追悼記念日」、あるいは「戦没者追悼記念日」とも呼ばれることもあります。
Memorial Day という祝日にはどんな由来があるのでしょうか? 「戦没」とは、どの戦争を指しているのでしょう?
今回はアメリカの連邦祝日 Memorial Day についてご紹介します!
連邦祝日とはそもそも何?
5月最終月曜日・Memorial Day(メモリアルデー) はアメリカの連邦祝日です。
連邦祝日(Federal holiday)とは、州が独自に定めた祝日(State holiday)に対し、連邦政府によって定められたアメリカ全土で共通の祝日を指します。
2021年にバイデン大統領が署名した最も新しい連邦祝日 Juneteenth(ジューンティーンス) が加わり、現在11の連邦祝日があります。メモリアルデーはそのうちの一つです。
Memorial Day とは?
さて、別名 Decoration Day(デコレーションデー)とも呼ばれるメモリアルデーとはどんな日なのでしょうか。その意義は次のように定義されています。
A day of remembrance for those who have died in service of the United States of America.
「アメリカの兵役中に亡くなった人を偲ぶ日」
引用元:Memorial Day
もともとは、5月30日をデコレーションデーと呼んで南北戦争/the Civil War(1861年~1865年)の戦没者を称えたことが始まりです。
やがてその日は、南北戦争のみならずアメリカを守るために戦ったあらゆるアメリカ兵を称える日となりました。亡くなった兵士の墓標に花やリース、国旗などを飾ったことが、デコレーションデーと呼ばれるようになった所以です。
メモリアルデーが最も最初に祝日化されたのは1873年、ニューヨーク州でした。南北戦争に勝利したアメリカ北部の各州がそれに続きます。南北戦争に負けた南部の州はこの日を祝日とすることを拒んでいましたが、第一次世界大戦後、追悼の対象を南北戦争のみならず、アメリカのために戦ったあらゆる戦没者に広げてから南部でも祝日として受け入れられるようになっていきました。
Memorial Day の風景
メモリアルデーには戦没者の墓地に星条旗が飾られ、半旗が掲げられます。バージニア州にある軍人墓地・アーリントン国立墓地(Arlington National Cemetery)で大統領がスピーチを行うのも習わしです。
メモリアルデーの午後3時、すべてのアメリカ人は作業の手を休め、国のために身を捧げた兵士とその家族への思いを込めて1分間の黙とうを捧げることが奨励されています。
また、「赤いポピー」はメモリアルデーのシンボルになっていますが、その経緯は次のようなものです。
カナダの軍人であり詩人でもあるジョン・マクレー(John McCrae)が、戦争で友人を失った悲しみのさなか、墓地に咲き誇るポピーの花の風景を描いた詩「In Flanders Fields(フランドルの野に)」(1915年)がインスピレーションのもとになっています。
この詩に触発されたアメリカ人の教師 モイナ・マイケル(Moina Michael)がメモリアルデーにポピーの花を身につけて戦死者を偲びました。ポピーの造花を作っては戦争孤児や未亡人、退役軍人のために収益金を集めたりしたことなどから赤いポピーがこの祝日のシンボルとなりました。
兵士を称えるアメリカの祝日は他にも
実は、メモリアルデーの他にも、アメリカには軍人を称える日があります。
11月11日は Veterans Day(ベテランズデー/退役軍人の日/復員軍人の日)と呼ばれる連邦祝日で、この日も従軍した兵士たちを称える日です。1918年の11月11日に終結した第一次世界大戦が終結した日を記念しています。
戦争で戦った兵士たちを称えるこういった祝日には、アメリカ大統領がアーリントン国立墓地での式典に参列し、無名戦士の墓(the Tomb of the Unknown Soldier)にリースを供えます。
そして、メモリアルデーのシンボルである赤いポピーの花はまた、ベテランズデーのシンボルでもあります。赤いポピーは、広く戦没者を追悼する花として認識されているのです。
季節の節目としてのメモリアルデー
5月最後の週末にあたるメモリアルデーを迎えると、アメリカではいよいよ夏の到来。そして、夏の終わりを象徴するのが9月の第1月曜日にある連邦祝日 Labor Day(レイバーデー/労働者の日)です。
また、11月11日のベテランズデーは Thanksgiving Day(サンクスギビング/感謝際)や Christmas Day(クリスマス)などが続くホリデーシーズンに先駆けて訪れます。
このように連邦祝日を季節の節目として捉えている人も多いようですね。
他の国の祝日も調べてみよう
余談ですが、メモリアルデーと関連してご紹介した11月11日のベテランズデーは、アメリカ以外の国でも同じ日が Armistice Day や Remembrance Day として祝日となっています。
一方、日本には戦争に関連する祝日はないことにも気付きます。8月15日に終戦の日がありますが、これは「国民の祝日」にはなっていませんね。
このように海外の文化や習慣を知り、情報を得ることで日本との違いに気付くことができます。