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英語学習につまずく人には特徴が?漢検1級合格者ブレット・メイヤーさんに聞く語学習得のコツ

英語学習につまずく人には特徴が?漢検1級合格者ブレット・メイヤーさんに聞く語学習得のコツ

「英語上級者の人は、いったいどうやって勉強したんだろう?」

英語学習中に、ふとそう思うことも多いのではないでしょうか。

世界には母国語以外の言語を流暢に話す方々が多くいます。日本にいても日本語の上手な外国人に会うと、思わず驚くこともありますよね。では、彼らはどうやって日本語をマスターしたのでしょうか?

今回お話を伺ったのは、アメリカ出身のブレット・メイヤーさん
なんと、非漢字圏で育った外国人として初めて漢字検定1級をとったという、驚きの経歴の持ち主です。

アニメをきっかけに日本に興味を持った青年が、漢字検定1級・漢字教育士という資格を取得し、日本で活動するまでにはどんな努力があったのでしょうか。その秘密に迫ります。

とにかく書き続けた漢検1級合格までの道のり

ー まずはブレット・メイヤーさんの経歴、そして今のお仕事について教えていただけますか?

私はアメリカ出身なのですが、高校時代に『ドラゴンボール』を見たのをきっかけに、日本のアニメが好きになりまして。そのままアメリカの大学に進学したのですが、途中で日本に留学をしたところ、ますます興味が深まりました。

大学を卒業後、某英会話スクールの教師として来日し、その時の配属が静岡県浜松市の教室だったので、その縁もあって今も浜松在住です。

一度途中でアメリカに戻りましたが、その後再び日本へ来て、漢字検定漢字教育士の資格などを取得し、今に至ります。

現在は大きく分ければ2本柱で活動しており、1つは漢字教育士という資格を取り、漢字の先生として様々なところで教える仕事を。もう1つは、日本語と英語の翻訳の仕事をしています。

 
ー 漢字検定1級は、正直日本人でもなかなかクリアできない壁です。途中で、学習につまずいたりしませんでしたか?

漢字の成り立ちが面白いのもあり、最初のうちは順調に学習は進みました。

そして最初につまずいたのは、漢字検定4級のとき。初めて不合格通知をもらったのを覚えています。

4級はレベルでいうと、中学1年生レベルの漢字ですね。小学生で習う漢字までは問題がないのですが、実は中学生レベルから一気に漢字は難易度が上がるんですよ。

日本人は自然と受け入れられるのかもしれませんが、音読み訓読みなどの幅も広がり、外国人はここからが大変。ここからが勝負でした。

 
ー いったいどう乗り越えたんでしょうか?

漢字学習についてはコツなどはなく、とにかく私は書き取りを増やしました。

繰り返し、書く。
何度も何度も、同じ漢字を書き続けるんです。

外国人の中には漢字が苦手な人が多いように思いますが、こういう人たちに聞いてみると、何より漢字の書き取り練習が不足しているんですね。

文字なので、体に覚えこませるにはひたすら書く必要があります。ついつい眺めるだけになりがちですが、見て読んだだけでは自分のものにはなりませんからね。

声に出して書く。これを徹底するようになったおかげで、漢字検定1級に手が届いたと思っています。

 
ー そして今では、漢字のプロとしてなんと日本人相手にも漢字を教えているんですね。

漢字教育士というのは、漢字の成り立ちなどを伝え、漢字の楽しさや面白さを伝えていくことができる資格です。現在は主に中小学校、また公民館や恊働センターに誘われ、または自分で講座を開催しています。テレビやラジオなどでも漢字を解説しています。

「話す」よりも大事なもの

ー ついつい漢字にフォーカスが当たってしまいましたが、こうやってお話をしていると本当に日本語がお上手ですね!どんな学習方法をなさったんですか?

いえいえ、そんなに上手ではないですよ、私なんかまだまだです(笑)。

実は漢字学習に一生懸命だった頃、勉強をするために家にこもってばかりいました。いわゆる引きこもり状態ですね、あまり人と会話をすることもなく勉強に打ち込んでいたんです。

その後、漢字検定には合格しましたが、会話の方はあまり進歩がないままでした。「漢字がこんなにできるのに、日本語はそんなに上手じゃないんだね」なんて言われるのも悔しいので、そこからは一転、たくさん話すようにしました。

やはり言語は使わないと成長しません。

 
ー とにかくたくさん話すのが大事、と

ええ。話すようにするのはとても大事ですね。

でも、もっと大事なことが先にありますよ。

 
ー もっと大事なことがあるんですか?
ぜひ教えてください!

それはですね、習得したい言語をあらかじめたくさん聞いておく、ということなんです。

日本人の英語学習者には、これが足りていない人が多いような気がしています。

例えば、英語を学びたいのであれば、英語の動画などにたくさん触れておくことが大事です。

 
ー でも、CNNのニュースなんかを毎日聞くようにしている方も多い気がしますが…。

毎日ニュースを聞き、耳に英語を慣れさせる。これも大事なことですが、それよりも無理せず、もっと自分が興味を持っている分野のものから始めていいんです。

ニュースだと、自分の興味ある内容が必ず流れるとは限りませんよね。それに難しい話が続くと、ついつい耳は聞いていない状態になってしまいますから。

ですが、例えばドラマの『24』や『フレンズ』など、本当になんでもいいので好きな海外ドラマを観るのはいかがでしょうか。

このような有名どころのドラマであれば、ちょっと検索すればそれぞれ各エピソードのセリフが書き起こされた台本、いわゆる『プロット』がインターネットで簡単に見つかるはずです。

まずは何も考えずにドラマを見る。きっと最初は、一部の内容しかわからないことでしょう。

そして次に、プロットを読む。すると「なるほど、こういう意味だったのか」と理解が深まっていくんです。

辞書も使って、意味を理解してから、もう一度同じドラマを見る。不思議なことに、2回目は英語がきちんと聞き取れているはずです。

 
ー その方法でしたら、興味あるものでスタートできそうなので続きそうですね。
 

興味のあるものを使って英語の種をまいておく

ー 語学学習でつまずく人の共通点は何だとお考えですか?

そのような学習者の特徴として、続けることができない人が多い気がしています。

毎日これだけやらなきゃ、と思っているとなかなか続かなくなっていくものです。1日サボってしまうと、じゃあ今日もいいや、明日もいいや、と諦めていってしまう。

これを乗り越えるためには、自分の興味を持てる範囲から始めることが大切です。そして習慣化すること。歯磨きをしないで寝ちゃったら気持ち悪いな、というようなレベルまで、習慣にしてしまうのが理想ですね

語学学習は続けることが一番難しい。でも、続ければ必ず結果につながるんです。諦めないでほしいなと思います。

 
ー なるほど。日本語をマスターしたブレットさんの言葉だからこそ、説得力を感じます。他にも気をつけるべきポイントなどはありますか?

今言ったのは、いわゆる「種まき」

毎日せっせと、ドラマを見て触れることで、英語の種をまいておくんです。

するとある日、英語に触れた時に「この意味、知ってる!わかる!」という出会いにつながります。この時に初めて、言葉は自分のものになるんですね。

最初に単語を調べた時、意味を読んで覚えますけど、その時にはまだ本当の意味で自分のものにはなっていません。ついつい丸暗記をすればいい、知らない単語を調べていけばいい、と思いがちですがそこに気をつけていただきたいです。

種まきをし続けることを、どうか忘れないでくださいね。

 
ー はい、心に刻みます!ありがとうございました。
 

おわりに

ちなみに、漢字のプロであるブレットさんの一番好きな漢字は「魁(さきがけ)」という字なんだそうです。

普段使うことが少なく馴染みのない漢字ですが、ブレットさん曰く「鬼と斗の字のバランスが絶妙で、意味も美しいから」とのことでした。

ちょっと意外な目の付け所に、外国人目線を感じますよね。

小さな積み重ねのように見えることも、語学学習には実はとっても大切な種まき作業。いつかその種がパッと花開く瞬間はきっと訪れるので、それを楽しみに頑張っていくことが重要だということをブレットさんは教えてくれました。

日本語習得に苦労したブレットさんが気がついた語学学習のヒント。

あなたもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?