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「ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました」の作者、宮﨑大輔さんに聞く「幸せの定義」

「ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました」の作者、宮﨑大輔さんに聞く「幸せの定義」

まっつんです。

パナマ運河で有名な中米のパナマにて、
青年海外協力隊として活躍する宮﨑大輔さんにお会いしてきました。


宮﨑大輔
1988年生まれ、長野県出身。信州大学大学院農学研究科の修士課程を終了後、新卒で青年海外協力隊に参加。2013年6月より中米のパナマ共和国にて野菜栽培員として活動中。電気も水道もない村に暮らす子どもの栄養状態を改善するために、野菜の育て方、食べ方、売り方を教えている。信州伊那谷大使、苺ソムリエとしても活躍中。
ブログ http://jiburi.com/
100万PVを超え、話題になった宮﨑さんの記事
「ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました」

電気も水道もない村で野菜を育てる

現在の活動に関して教えてください

青年海外協力隊の一員として、中米にあるパナマ共和国で活動をしています。
「栄養改善プロジェクト」に野菜栽培隊員として携わり、対象地域の方々に野菜の育て方、食べ方などを教えています。その他、折り紙や書道などの日本文化紹介や村の子供たちへの衛生指導などを行っています。

【野菜栽培1】

山奥の集落が抱える問題

パナマの一部集落では、「子どものビタミン不足」という問題を抱えています。
原因は「ビタミン源の野菜を食べない」ためです。

この地域に住む方々の食事は、白米、鶏肉、豆などが中心で、野菜があまり食べられていません。野菜を食べる平均頻度はわずか週に1.5回でした。このような状況ではビタミン不足に陥るのも当然の状況でした。

【子ども】

週に1.5回から4回に改善!

野菜を食べる頻度以外にもいろいろと調査したのですが、その結果週に2回以上野菜を食べるグループにはある特徴がありました。これらの家庭は野菜の袋栽培(※)をしていました。

袋栽培のメリットはいくつかありますが、一番の利点は身近なところで育てることが出来ることです。台所に置くこともできるので、すぐに収穫して、気軽に料理に使えます。
この袋栽培を野菜を食べないグループに横展開することにしました。

栽培のみが進み、当初は収穫した一部種類の野菜が食べられていないという状況もありましたが、村の方々も好きなオムレツに野菜を入れて食べることを提案し、合わせて調理方法を教える料理教室を開催したところ状況が大幅に改善しました。

週1.5回しか野菜が食べられていなかった2013年12月に比べ、袋栽培の促進を進めた半年後の2014年6月にはなんと週に4回と野菜を食べる頻度が改善しました。

種を買う費用など引き続き問題はありますが、今後も継続的な栄養改善に向けて村の方々のサポートを継続していきたいと思います。

【袋栽培2】

※袋栽培の詳細は宮﨑さんのこちらの記事をご参照ください
メリット&失敗しないコツ!家庭菜園の袋栽培でカンタンに新鮮で美味しい野菜を収穫する方法

青年海外協力隊について教えてください!

青年海外協力隊とはどのような活動なのでしょうか?

名前は知っていても活動の詳細を知っている人はそう多くないですよね(笑)

独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する、海外ボランティア派遣制度のことです。対象者の年齢は20〜39歳で、年間約2,000人の隊員が世界各地に派遣されています。私が派遣されている中米はもちろん、アジアや南米、アフリカなど世界中の地域が対象です。

募集職種は様々で自分のように農業関連やその他教育、自動車、マーケティング、保健、スポーツなど多岐に渡ります。職種ごとに応募条件が違いますが、専門性が強いものはその分野での社会人経験が求められることもあります。

応募のきっかけは同い年の女の子?

応募したきっかけですが、福岡のゲストハウスで青年海外協力隊を目指している同い年の女性に会ったことが理由の一つですね。そのときに初めて活動の詳細を知り、興味を持ちました。

元々地域活性化を推進する、「地域おこし協力隊」になりたいと考えていたのですが、青年海外協力隊でも同じことができる事を知って、応募を検討し始めました。直前まで地域おこし協力隊と迷ったのですが、悩んだ末に青年海外協力隊を選びました。

【インタビュー中】

ズバリ青年海外協力隊に受かるポイントを教えてください!

難しい質問ですね(笑)

基本的には社会人経験を積んでからの応募が推奨されているので、興味のある分野がある方はその業界での実務経験を積んでから検討するのがいいかもしれません。

自分自身は新卒で応募し合格しましたが、ポイントとしては募集倍率の少ない職種を狙うのも一つの手であるかと思います。人気職種は3倍〜5倍以上になることもありますが、場合によっては1倍近くになっているものや応募が少ないものもあります。多くが専門分野になるので、条件が難しいこともありますが、どうしても青年海外協力隊に参加したいという方はその職種を狙うのもありかもしれません。

ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました

100万回を超えるページビュー、8万いいねを超え、話題となった宮﨑さんの記事
「ボクのおとうさんはボランティアというやつに殺されました」

想定とは180度異なり、幸福な暮らしをする人々

青年海外協力隊に参加する前に考えていた国際協力は、貧しい暮らしを変えることを想定していました。今回のプロジェクト対象地域の集落も「どんなに不幸で貧しい暮らしをしているのか」と非常に辛い環境で生きる方々を想定していました。

1日1.5ドル以下で暮らす劣悪な生活、栄養失調で苦しむ子どもたち、病気にかかっても病院に行くことが出来ない環境などですね。

しかし、実際に行ってみると現実は大きく異なりました。

そこには大自然が広がり、家族と一緒に暮らす元気な子どもたちや狩りを楽しむおじさんたちがいて「どんなに幸福で豊かな生活なのか!」と驚かされました。

【幸せな家族】

いつまでも尽きることのなかった悩み

赴任してしばらく経ってから自身の活動が、幸せな生活をしている村の方々に対して「不幸な人生を送っている」という劣等感を植え付け、その上で伝統的な食文化や暮らしを壊す行為ではないかと考えるようになりました。

ブログにも書きましたが、物事には常に表と裏があり、見方を変えると正義が悪になり、悪が正義になる側面は何事にもあると思います。

青年海外協力隊として活動を始めてから1年が経ちましたが、

「そもそもボランティアやプロジェクトなど必要ないのではないか」

という悩みが消えることはありませんでした。

焦って答えを求めずに悩み続けたらいい

「協力隊に参加すると国際協力の意義を悩むだろうが、焦って答えを求めずに悩み続けたらいい」

これはとある先輩に協力隊参加前にかけてもらった言葉です。
この言葉をふと思い出してから、悩める環境にいることに幸せを感じました。
青年海外協力隊は国際協力について考えることが出来る、この上ない状況です。

残り半年ですが、いろいろと考え、悩みながら前進していきたいと思います。

【インタビュー中2】

スペイン語学習に関して教えてください!

「お前出て行け」とお店で怒られる日々

青年海外協力隊では派遣される前に事前研修があるので、そこでみっちり勉強をしてからパナマに赴任しましたが、最初の頃は大変でしたね。

基礎はほぼ問題なかったのですが、現地の方が話す言葉は早口だったり、訛っていたり、省略されていたりと、慣れるのに苦労しました。

飲食店で満足に注文出来ず、店員さんに「お前出てけ」と言われたこともありました(笑)

半年経ったらわかるようになる!?

先輩隊員にも「最初の半年は話せないと思うけど、半年経ったらわかるようになるよ」と言われていたのですが、実際に6ヶ月経った頃から聞き取れるようになり、日常会話や仕事に関連することであれば話せるようになりました。

最初の頃にやっていた、聞き取れない単語や意味のわからない単語はノートにメモして後で覚えるといった作業が非常に役に立ちました。

あとは文法用語はあらかじめ覚えてきてよかったですね。パナマに来てから日本語でスペイン語を学ぶことはほぼないので、これから留学等を控えている方はぜひ、文法用語だけはぜひ覚えていくことをおすすめします。

【インタビュー中】

パナマのおすすめを教えてください!

見どころの多いパナマですが、今回は宮﨑さんに3つご紹介いただきました。

その1.パナマといえば!パナマ運河

パナマと言えば多くの方が思い浮かべるのがパナマ運河ではないでしょうか。
市内中心部からも簡単にアクセスできます。

北米大陸と南米大陸、また太平洋、大西洋と各拠点をつなぐ重要なポイントとなっているため
「世界の十字路」
と呼ばれています。
パナマ運河の通行料金は政府の主要財源になっているとのこと。パナマに行かれる方はぜひ!

【パナマ運河】

その2.太平洋と大西洋が同時に見える場所!ボルカンバル岳

パナマには「太平洋と大西洋を同時に眺められる場所」があります。
ボルカンバル岳というコスタリカ国境付近にある富士山とほぼ同じ標高の山がそのポイントです。

登山口から6時間ほど登ると頂上に到着します。
ちなみに僕が行った時は霧がひどく、大西洋も太平洋も見れませんでした。泣
天気がいい時にぜひ登ってみてください!

【ボルカンバルー岳】

その3.世界最高の呼び声高いゲイシャコーヒー

パナマのボケテ高原産のコーヒー品種ゲイシャは、「世界最高のコーヒー」と言われています。日本でもスターバックスで1杯2,000円で販売されたことが話題になりました。

出来たてのゲイシャコーヒーが味わえるのはパナマだけです。今まで味わったことのないフルーティーさがありました。

【ゲイシャコーヒー】

これからの活動について

残り半年を切りましたが、プロジェクトからは徐々にフェードアウトしていこうと思います。
自分たちの滞在中だけ上手くいっても意味が無いので、プロジェクト終了後も継続して野菜を食べてもらえるように上手く仕組みの部分でバックアップできればと考えています。
現状では野菜の種を買う資金に問題があるので、作った野菜の販売支援をよりサポートしていきたいです。

協力隊の活動を今後どのように活かすが大事になってくるので、現在の活動に注力しつつも次の展開に向けての準備も始めていきたいと思います。

【インタビュー終了後】

宮﨑大輔さんとのインタビューを終えて

メインの野菜栽培、ならびに栄養改善プロジェクトのみならず、日本文化紹介や衛生指導、ブログなど多様な活動をされている宮﨑さんの行動力、実行力に圧倒されました。
電気も水道もない集落での生活や日本とは異なり、1年間働くと30日間有給が取れるパナマの労働環境についての話など大変刺激的でした。

まもなく青年海外協力隊の任期が終わる宮﨑さんですが、今後の活動にも要注目です。
宮﨑さんの活動やパナマについて気になる方は宮﨑さんのブログ(JIBURi.com)もぜひご覧ください。