平 理沙子
(更新)
単なる外見の美しさだけではなく、知性・感性・人間性などの内面も重視したビューティーコンテストである「ミス・ユニバース」。
世界90か国以上から代表が集まるこの国際コンテストでは、英語が話せることだけでなく、他国の文化への理解なども求められ、まさに“世界基準”の内面と外面の美しさを競うコンテストと言えます。
Miss Universe Japan®
そんなミス・ユニバース元日本代表で、現在はミス・ユニバース・ジャパンでナショナルディレクターを務めるのが、今回取材をさせていただいた美馬寛子さん。
「ミス・ユニバース」と聞くと、ほとんどの人にとっては自分とは違う世界のように感じられるかもしれません。
しかし、候補者には看護師さんなど、一般のお仕事をされている方もいらっしゃるそう。彼女たちが世界で活躍すれば、多くの日本人女性たちに「私も、一歩踏み出せるかも」と勇気を与えられる ― そんな日本人女性のロールモデルとして候補者を育成したい、と美馬さんは語ります。
「候補者たちがどんな人で、どういう気持ちで、世界に何を伝えたいのか、をミス・ユニバースのプラットフォームを通じて発信し、世の中のたくさんの人を後押ししたい」と熱く語る美馬さんに、その真意や世界基準の美しさ、マインドセットについて伺いました。
ー 本日はよろしくお願いします。まずは美馬さんのこれまでのご経歴を教えてください。
美馬寛子です。2008年にミス・ユニバース日本代表となり、同大会でTop15、Best of Asiaの成績を収めました。
その後、ミス・ユニバース日本代表時代の師匠であるイネス・リグロンから、世界基準のファッション・ヘアメイク・立ち居振る舞いなどの外見の美しさと、メンタル部分の内面を磨いていくワールドクラスビューティーのメソッドを学びました。
2012年以降は、一般の方も含む多くの女性に指導しています。2018年に「ミス・ユニバース・ジャパン」のライセンスを獲得し、ナショナルディレクターとして候補生の指導にあたっています。
ー 現在のお仕事の拠点は、日本と海外どちらが多いのでしょうか?
拠点という意味では、日本にいることの方が多いです。大会の打ち合わせや、プライベートで月に数回海外にも行きます。
ー お仕事で英語を使う機会は多いですか?
半々くらいですね。日本でのお仕事はだいたい日本語ですが、日本でもサポートや応援してくださっている方の中には海外の方も多いので、そうした方とお話するときは英語です。ミス・ユニバースの本部はアメリカにあるので、本部の方はアメリカ人がほとんどです。
ー もともとご自身がミス・ユニバース日本代表であった美馬さんが、育成側に回ろうと思ったのはどうしてだったのでしょうか?
実は、将来の夢が学校の体育の先生になることだったんです。大学では教職も取っていましたし。なので、「指導する立場になる」ということには昔から興味がありました。
あとは、「先生になりたい」という思いの根底には、学校の先生方がこれまでの自分の人生に、大きな影響を与えていたからというのもあります。
そういう意味では、イネス・リグロンという、私の人生に影響を与え、道標を作ってくれた師匠と出会ったことで、「彼女のようになりたい」と感じたことも大きかったですね。
ー ミス・ユニバース・ジャパンのナショナルディレクターとして、たくさんの応募者の中から候補者を選考・育成される際、何を選ぶ基準としているのでしょうか?
「脳と骨」ですね。ビューティーコンテストなので、もちろん外見も大事ですが、見た目はある程度変えられるもの。ただ、「脳と骨」だけは私達が変えられないので、何をベースに持っているかというのを見るんです。
ー 具体的にはどういうことでしょうか?
身長はヒールを履けば高くなるし、足や腕も筋肉の付け方で、長く見えるものです。ファッションでスリムに見せることもできます。でも、骨格は変えられない。
脳は、ここでは知識のことではなく、"street smart"、つまり、スマートに生きていけるのか、ということです。「サバイバル能力」とも言えますね。
日本人だと、よく「何でもいいよ」「いっしょでいいよ」という場面があると思うんですが、海外では発言しないと消えてしまいます。そうした場面で、しっかり物事を考えて、自分の意見を発言し行動できるような「脳」を持っているか、というのは重要です。
ー そうした「サバイバル能力」も、ミス・ユニバースの大会で求められるんですね。
みなさんにとっては、ドレスを着てステージに立つのがミス・ユニバースのイメージかもしれません。ただそれは、大会の一番最後にすぎず、それまでの2〜3週間は出場国90〜100カ国の候補者たちと日常生活を送っているんです。
その中では、他の候補者たちとフレンドリーに過ごせているか、それとも下を向いて携帯をただいじっているのか、といった所作が見られています。
私が直接、候補者を教えられる期間は数ヶ月しかないのを考えると、脳を変えるには短すぎる。なので、ある程度のベースを持って、主体的に取り組める子を見極めるようにしています。
ー 美馬さんは日々世界基準の「美」と向き合われているかと思いますが、世界における「美」の共通点はありますか?
やはり、「自信を持っていること」でしょうか。自信を持つということは、自分自身を受け入れて愛してあげることです。
私自信、"Love yourself"という言葉をいつも心に留めています。人と比べるのではなく、自分が持っているものに自信を持つ。そうして自分のことを愛してほしいですね。
ー 日本人女性は海外の女性と比較しても、「人と比べる」傾向にあると感じられますか?
民族性はあると思います。日本は、島国で孤立した文化を持っているので、髪も肌も目の色も基本的に似ています。
一方、海外は、髪が金髪だったり、赤毛だったり。目がブルーの方がいれば、へーゼルの方も、ブルネットの方もいる。いろんな人種やカルチャーがミックスされていますよね。だから、そもそも比べづらい。
ー たしかに、そうですね。
あとは、日本人は洗練されているからこそ、誰かの真似をすることにすごく長けている人種だと思います。
ー どういうことでしょうか?
日本人は器用だしトレンドに敏感で、インフルエンサーのメイクやファッションを取り入れることも上手です。それがゆえに、行き過ぎると、同じ髪型にしてるけどこっちの子の方がかわいい、みたいなことになってしまうんです。だから、最初から真似しようとしない方がいいのかな、と思います。
したがって、“違い”に魅力を感じることに目を向けてほしいですね。「自分はこの人と違っている。良かった。ラッキー」とか、「違っていて素敵だな」と考えるようにした方がヘルシーだな、と。
ー 他人と違っている自分を肯定しませんか?ということですね。
そうです。"Love yourself" を大切にしていると言いましたが、ファッションやメイクだけグレードを上げても、「これが似合う私」と心から自信を持てないと、「私にはこんなの着られない」となってしまいます。
心から自信を持ち、美しさを持続させるためにも、みなさんに"Love yourself"という言葉を贈りたいです。
ー ただ、頭でわかっていてもどうしても人と比べてしまうこともあると思います。美馬さんは、そういうときに、どのように切り替えていらっしゃいますか?
もちろん、私も他人が気になることもあります。でも私がそうなるときって、必ずネガティブになっているときなんです。
ー なるほど。
自分が何かの壁にぶつかったときや、悩んでいるときにこそ、人と比べてしまうものです。例えば、何か困ったことがあったときに、イネス・リグロンのときはこうだった、と考えてしまったりとか。自分が尊敬しているからこそ、気にしてしまう。
そこから抜け出すためには、「例えば」を作るんですね。イネスだったらこうしてた、ではなく、「例えばイネスが私の年齢だったときはどうしたかな」とか、「例えばイネスがミス・ユニバース・ジャパンを始めた1年目はどうだったんだろう」とか。
すると、自然と打開策を考えることになるので、ネガティブにならないんです。でも、根本的な身長だったりはどうしようもないので、外見については人と比べても仕方がない、と考えるようにしています。
ー 最後に、世界での活躍を目指す読者のみなさまにメッセージをお願いします!
まず失敗を恐れないこと。
これをやったらこうなるだろうという過程を考えすぎず、「やりたい!」と思ったそのフィーリングを信じてほしいです。
ー 結果を過剰に意識するのではなく、とりあえずトライしようということでしょうか?
そう。例えば、世界にすごく興味があってこの記事を読んでいただいているとします。だとすれば、なぜあなたが世界に興味があるのか、留学したいからなのか、国際結婚したいからなのか、一歩踏みこんで考えてみてください。
そして、もしこの記事の言葉に勇気づけられたならば、仕事をやめて留学してみる。「やめるとお金が…」とか、「留学してこれが…」と考えず、一旦やめて留学する。行動すると、どうにかなるんです。
ー 力強いお言葉で鳥肌が立ちました。ただ、そうは言っても行動する勇気がでない人も多いと思います。
行動すればたとえ失敗しても、「経験そのもの」が自分を絶対大きくしてくれるんですよ。それに、成功するより失敗したときに得るものの方が大きいと私は考えています。
例えば、私の友達でカナダに留学して、「金髪の青い目の彼氏を作って帰ってくる」と言いながら、デートすら一度もせず帰ってきた人がいるんです。しかも英語もほとんど話せず。
でも彼女はその話を普通に人にします。「失敗しましたけど、何か?」という感じで。で、彼女自身その経験から「次に何かの言語を学ぶときは、明確なゴールを作るべき」と学び、今は韓国語を勉強しています。
仕事も、留学前にすごく良い仕事をしていたのに辞めてしまっていたんです。それで、帰ってきたときにお金が無いので「実家に帰ろうかな」と話していましたが、結局前の会社に派遣で戻れることになりました。
だから、行動すればどうにかなる。じゃないと、一生行動しないで終わってしまったときに、すっごく後悔すると思うんです。
ー 本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。美馬さんの熱いメッセージが伝わってきたのと同時に、とても勇気づけられました!
"Love yourself"
「人と比べない」
「行動すると、どうにかなる」
たくさんの力強い、そして背中を後押しされるような温かい言葉に溢れた美馬さんのインタビュー。
眩しいほどに美しい外見の内側にある、熱く燃え上がるような考え方に、終始鳥肌を立たせながら取材をさせていただきました。
ミス・ユニバース・ジャパンの候補者をはじめ、一般の方々も含めた多くの日本人女性の美を引き出し続ける美馬さん。
私自身も、"Love yourself"を心に留め、一歩前に踏み出すことで、それをさらに自分の自信につなげ前進していきたいと強く感じました。