DMM英会話 ブログ 英語でつながる インタビュー

「まずは英語ができない体質を改善しよう」西澤ロイ

「まずは英語ができない体質を改善しよう」西澤ロイ

イングリッシュ・ドクター として活躍中の西澤ロイさん。
英語が苦手、英語の勉強をどうやったらいいのかわからない、そういった多くの患者さんの悩みを解決しお手伝いをしてきた、という西澤ロイさん。
英語が苦手、話せるようになりたいけど何年やってもダメ、さて今日はそんな人にどんな処方箋を出してくれるのでしょうか?

多くの人の困った英語体質を改善していきたい

ー  セレン

今日はどうもよろしくお願いします。

ー  西澤ロイ

よろしくお願いします。

ー  セレン

ロイさんと言えばやはり「頑張らない英語」シリーズが有名ですが、まずは「頑張らない」の真意というか、ロイさんが本当に意味するところの頑張らないをズバリお伺いできますか?

ー  西澤ロイ

もともと、英語は頑張るものだと思ってる人が多いんですよね。
とにかくひたすらたくさんやればできると信じてしまう人が多くて、それではうまくいかない人が多いんですよね。
それが挫折を生んだり、自分には英語が向いていないと判断してしまう人が出てきたりするんです。
そうではなくて、まずは学びの質を高めましょうと。まずは頑張らない、の意味はその辺にあります。

あとは、やはり英語は暗記科目ではない、というところです。
イングリッシュ・ドクターとしてはですね、英語体質の改善を提案してましてですね(笑)

ー  セレン

衣装もバッチリ決まってますよね。
英語の体質ですか?

ー  西澤ロイ

はい、いくつか英語の体質がありまして。
暗記体質と直訳体質、そしてリスニングなどで問題になるカタカナ体質などです。
この辺りは大きく上達を妨げる要因になっていると思います。
ドクターとしてはこの辺を改善したいなと思っています。

ー  セレン

頑張らない、というのはラクにできちゃうよというような美辞麗句ではなく上達を妨げる要因を取り除いて、効果的に成長していこうという感じなんですね。
その英語の体質の中でも特に多いなと思われるものってありますか?

ー  西澤ロイ

やはり暗記体質かなあ。
英語をしっかり理解せずに、こういうもんだからこう覚えなさい、みたいなことを言われて無理やり覚えようとするんです。
でも腑に落ちてないのでなんだかしっくりこないんですよね。
なので英語が使えない、わかっているという手応えがない、自信がつかない、というようなことにもつながってしまうんです。

ー  セレン

暗記、というのはけっこう議論としては別れるところなので、その定義をはっきりしておきたいのですが、僕は「暗記」自体は必要だと思っていて、会話の中で出てくるフレーズ、単語、表現など、それは理解し落とし込んだあと記憶に定着したからなのだと思います。
それも広義においては暗記、なんだと思います。

ー  西澤ロイ

この場合私のいう暗記、は鵜呑みというか理解をともなわない強引な丸暗記のことを指しています。
重視したいのはやはり感覚として理解できているか、ということなんです。
英語の動詞も take =取る、というだけの理解ではなかなか実際に使えるというところまではいけないんです。

あとは感覚的に理解できていない暗記はすぐに抜けちゃうんですよね。
英語が昔話せたけど今は話せない、という人は当時は記憶だけに頼っていて英語を使う機会が減った今はもう忘れてしまって使えなくなる、ということはよくあるんですよね。

ー  セレン

大人の英語学習に一番大事なのは「納得」という感覚だと思います。
なんでもかんでも吸収できる子供とはフェイズが違いますものね。

ー  西澤ロイ

大事ですね、「納得」は。

自分の口から出る英語表現には無限の可能性がある

ー  セレン

「直訳型」の症状に関してはどう思われますか?

ー  西澤ロイ

直訳型の人はどういう人かというと
「彼は~~です。」
という文章が頭に浮かんだら「He is ____」という形しか浮かばない、という感じの人です。
「彼は優しい」なら「He is kind」
「彼は強い」なら「He is strong」
でも彼は頑固、というフレーズになると頑固、が浮かばないともうそこで固まってしまうんです。
単語力のあるなしに左右されてしまってるんです。

ー  セレン

確かに状況と言いたいことの意図を分解していけばまだまだ別の言い方ができる場面ですよね。

ー  西澤ロイ

まさに、そこなんです。でも多くの人がここでつまづいてしまうんですよね。

ー  セレン

そういった症状が見られる患者さんにはドクターとしてはどんな処方箋を出されるんでしょうか?

ー  西澤ロイ

僕は動詞で考える、ということをお勧めしています。
例えば、彼は優しいなら具体的に行為として、彼は何をするのか、というところに少しフォーカスを変えてみる。
そうすると彼の優しさを具体的な行為として表現できるんです。
彼はいつもドアを開けてくれる、とか、プレゼントをくれる、とか。
そういう風に考えると表現には無限の可能性が出てくるんですね。

ー  セレン

英語を話すことが楽しくなりますよね。英語という世界の中で少し自由になれる気がします。
これに対してはこれ、という正解がある、というような考え方は窮屈だしつまらないですよね。
実際そうじゃないですしね。
直訳体質の方に一番効くお薬ってなんだと思いますか?

ー  西澤ロイ

まずは日本語で考えてもいいんですよ。
まずは「する」「しない」で考えましょうと。
英語は主語が最初に来て動詞が来る、そういう順番の言語です。
だからまずは何をするのか、何をしないのか、を考えてみるんです。
例えば「今年もよろしく」でやってみましょうか。

ー  セレン

DMM英会話なんてuKnow?にもありましたね、今年もよろしくって英語でなんて言うの?って質問。

今年もよろしくって英語でなんて言うの?

ー  西澤ロイ

まずは頭に「今年もよろしく」が頭に浮かびますよね。
そこから何をしますか?何をしませんか?と自分で聞いてみるんです。

ー  セレン

今年もよろしく、という日本語にはもともと動作を表す言葉がないのでそこをはっきりさせないと英語にはならないんですよね。

ー  西澤ロイ

そうなんですよ。
そうすると動詞的な発想が出てきて「何をよろしくしたいのか」という考えになります。
そうするともう具体的な動作のイメージが出てくるはずです。

一緒に働きたいのか、今年も飲もうなのか、また旅行にいこう、なのか。
そこまで行けばシンプルな英語表現にすでに落とし込めているはずです。

同僚に「一緒に仕事をするのを楽しみにしている」なら「I’m looking forward to working with you」になるんですよね。

ー  セレン

look forward to ~ingという頻出表現にブレイクダウンされるわけですね。

ー  西澤ロイ

それを知らなくても「 Let’s work together」でもいいと思います。

直訳が全てダメ、と言ってるのではなく直訳できないときに対応できなくなってしまってはいけない、ということなんです。
そういうときにうまく別の発想を持てるかどうかなんです。

ー  セレン

直訳の全てが誤訳ではありませんからね。

ー  西澤ロイ

はい、ただかなりの語彙がないとできないものなんですよね。
直訳できる力は素晴らしいものです。その力があればその人には表現力があるはずです。
だからこそ、もう一つの別の発想を持ってみようということなんです。

ー  セレン

それはかなり即効性のあるお薬ですね。

単語を知らないから英語を話せない、という神話

ー  西澤ロイ

日本語で名詞のものは英語でも名詞でしか表現できない、と思ってしまうとボキャブラリー勝負になってしまって知らないと言えない、ということになってしまう。
英語は単語力だ、なんて言われて単語を知らないから話せないんだ、と思ってしまう。

ー  セレン

そうするとよし単語を丸暗記だ、という風に走ってしまうわけですね。

ー  西澤ロイ

はい、それもやはりある種の体質ですよね。
そうではなくて英語が話せる人にも話せない人にも共有していることがあって、それは自分が知っている語彙を使ってしか話せないということです。

もちろんその語彙を増やすことも当然大事なんですが、すでに持っているものをどう使いこなすか、という視点も同じくらい大事なんです。

その力がないまま語彙を増やしても使う力がないので使いこなせないんです。

ー  セレン

料理のスキルがないのに冷蔵庫の中の食材ばかり溜め込んでもしょうがないですもんね。
発信は全て what you have をいかに運用するか、に尽きるのだと僕も思います。

なんてuKnow?は英語の世界の大喜利だ

ー  セレン

DMM英会話なんてuKnow?のアンカーの中でもロイさんのその視点って僕はかなり際立っている気がします。

ー  西澤ロイ

僕はDMM英会話なんてuKnow?にくる「英語でこれをなんて言うの?」っていう質問は英作文だとは思ってなくて「お題」くらいにしか思ってないんです。

ー  セレン

大喜利みたいな(笑)
それ新しい解釈ですね。

ー  西澤ロイ

はい、英語大喜利みたいな(笑)

ー  セレン

たくさんの質問が来ています。
そしてロイさんの多くの回答はユーザーにも多くの共感を得ているのだと思います。

ー  西澤ロイ

これ英語でなんて言うの?っていう疑問は放置されることが多いんですよね。
きっと放置しててもいつかわかるようになる、とかいつか自然に言えるようになると信じているのかもしれません。
でも、なりませんからね。勝手に、なんて。
疑問は放置せずに解決しないといけない。
そういう意味ではとても面白い場所になってきていますよね、DMM英会話なんてuKnow?は。

あと、個人的には新しいDMM英会話なんてuKnow?の使い方を提案したいんですが、自分がアンカーの気持ちになって質問に答えてみる、という使い方です。
他人のQ&Aとしてみていると「へー」で終わってしまう。
自分だったらこれなんて言うだろう?っていうのを自分の持っている英語で表現してみる。
そうやってユーザーや見てくれる人も自分のこととして一度見つめ直してほしいなと思います。

ー  セレン

自分が1人称になってみる、という視点は大事ですよね。

ー  西澤ロイ

自分が言ってみたいことってたくさんあるはずですからね。
当然ですがアンカーの人の答えは参考になりますし、自分ならこう言ってみるな、でもいいんですよ。
自分のこととして見つめることが大事だと思います。

ー  セレン

ロイさんが回答の際一番気をつけていることってありますか?

ー  西澤ロイ

答えはあなたの中にしかないんですよ、と思って回答しています。
僕は「こう言います」という言い方はしていなくて僕の場合ならこういうかな、というくらいの姿勢でやっています。
先生として答えを教える、という視点ではなく僕はこう言ってみましたよ、というようなイメージです。
同じ目線でみるようにしています。

自分を肯定することから始めてみよう

ー  セレン

何が正しい、何が間違っている、という二元論的なベクトルの話ではなくそうはいってもさすがにそれはダメでしょう、という英語学習を繰り返している人は多いはずです。
そういう方へ向けてロイさんからメッセージ、伝えたいことってありますか?

ー  西澤ロイ

話せない、という思い込みをまずは捨てて欲しいということです。最初の入り口としてはそこは伝えておきたいんです。
できない、話せない、という否定から入らない。
そうすると、いろんな原因を探し始めてしまいます。
記憶力が悪いからだ、とか発音が悪いからだ、とかそれこそ単語をしらないからだ、とか。
そうするとあれもやらなきゃこれもやらなきゃ、となってしまって結局挫折につながってしまう。
まずは自分は話せる、と肯定してあげてほしいんです自分を。
英語はとにかくまず使ってみるんです。そこで言えないこと聞けないことが出てくると思います。
そこで自分を否定しないこと。
経験値の問題として初めはできなくて当たり前なんです。
その中で文法が弱いなと思えば文法をやればいい。

ー  セレン

文法をやらなきゃ、ではなく文法ができればもっと自由になれるはずだ、という肯定の追い風を受けて前進するイメージを持つ、ということですよね。

ー  西澤ロイ

それがとても大事なんです。

ー  セレン

英語が話せない、の前に日本人特有の枕言葉が隠れていると思っていて、僕は「周りの人より」英語が話せない、という比較の視点で言っていることが多い気がします。

ー  西澤ロイ

それすごく大事であとは「ちゃんと」話せないってのもあると思うんですよね。
ちゃんと英語を話す、みたいな高い理想があって、それがいろんなものを邪魔するんですよね。
それを取っ払ってしまうことが大事なんですよね、まずは。

ー  セレン

「ちゃんと」する、ってとても窮屈な発想ですよね。

ー  西澤ロイ

ちゃんと字幕なしで英語が聞けないといけない、とかね。

ー  セレン

相当のレベルですからね。
ロイさんで平均的な英語の映画で字幕なしでどのくらいの理解度ですか?

ー  西澤ロイ

綺麗な英語だったとして7,8割かなあという印象です。

ー  セレン

長年英語に携われているロイさんでもそのくらいだということは、字幕なしの映画の英語が理解できるレベルというのは相当のものだということですよね。
こないだテレビでやってたダイハードの後半部分なんて僕なんか何言ってるかほとんどわかんなかったですよ(笑)

ー  西澤ロイ

泣きながらとか叫びながらとかになるとやっぱり難しいですよね。
アルマゲドンの " Damn glad to see you! " なんて簡単な英語がブルース・ウィリスの言い方が独特で全然聞き取れなかったのを覚えています。

ー  セレン

ちゃんとわからないといけないと思っている人は、もしかしたら自分以外は全員字幕なしで映画なんて簡単に理解できると思っているかもしれない。
英語試験の高得点ともまた違う世界ですよね。

ー  西澤ロイ

やっぱり試験でのリスニングは「ナマの英語」ではないので、その上にはまだ壁がありますよね。

英語を話す前にしっかりできることがある

ー  セレン

では最後に英語がもっと話せるようになりたい、という人にアドバイスはありますか?

ー  西澤ロイ

まずは積み上げれる学習をしてほしいと思います。
英語を難しくは考えすぎないでほしいんです。
なんでも勉強だとは思って欲しくない。
英語を話す機会がない、という人がいきなりネイティブのところに行くとかハードル高すぎますからね。

その前にこれって英語でなんて言うの?って考えてみることはできるはずです。
予行練習をしっかり準備してあげて、小さな階段を上っていくイメージを持ってほしいんです。

話す前にも書いてみるのも効果的です。
書けないことを話せるはずがなくて。
話すのってごまかせちゃうんですよね。
流れていってしまいますから復習もできないですからね。
いきなり英会話、だと何も言えずに終わってしまったりしてしまいます。

英語を話す機会を実戦だとすると練習の場があるわけですよね。
何も引き出しに入っていないのに何かが出ることを期待していてもしょうがない。
そう言う人には納得したかたちでしっかりインプットをまずはしてみてほしいです。
それから自由に英語を今日お話ししたような発想で表現してみる。
そうすると多くの場合うまくいくはずです。

ー  セレン

今日は具体的なお話、いや、お薬をたくさんいただけた気がします。
ありがとうございました。

ー  西澤ロイ

こちらこそ、楽しかったです。
ありがとうございました!

イングリッシュ・ドクター西澤ロイHP
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