「英語は可能性のカギ」☆Taku Takahashi(m-flo)が考える日本人に英語が必要なワケ

98年のデビュー以来、今なお日本、いや世界の音楽シーンに強烈なインパクトを与え続ける音楽ユニット「m-flo」

そのメンバーで DJ の ☆Taku Takahashi さんは、日英のバイリンガルとしても知られ、国内だけに留まらず、世界中で音楽活動を繰り広げている。

幼少期のインターナショナルスクールに始まり、アメリカへの大学進学、そして現在までの国内外での活躍を見る限り、Taku さんの人生は「英語」と切っても切り離せないものに思える。

今回は Taku さんに独占インタビューを行い、幼き日のグローバルな環境が人格形成や音楽活動にどう影響を与えているのか、また自身の音楽活動を通じて実現していきたいことなどについて迫った。

 

幼少期の英語、多様性との出会い

ー よろしくお願いします。
まずはこれまでの経歴を含めて、簡単な自己紹介をお願いします。

高橋拓です。1998年に m-flo という音楽グループを結成して今年でデビュー20周年なんですが、グループとしての活動以外にも個人で音楽のトラックをプロデュースしたり、DJ をしたり、あとは「block.fm」という Web サイトをやっています。

 
ー 多岐にわたって活動されているんですね!

デビューしてからの20年間で、音楽の世界での新しい出会いの積み重ねはもちろん、音楽の外の世界でもいろいろなご縁がありました。その中で、音楽を作るだけじゃなく Web メディアを作ったりだとか、本当に自分が大好きなことを仕事にできているので、とても幸せに思います。

 
ー 活動の拠点は日本に置きながらも、頻繁に海外に行かれているイメージなのですが、日本と海外生活のバランスはどんな感じなのでしょうか?

月一でアメリカに行っていますね。ロサンゼルスに行くことが多くて、そこで m-flo のライブのお話だったり、あとは「OTAQUEST」という、日本のアーティストをどうやってアメリカで成功させるか、というプロジェクトにも参加しています。

 
ー なるほど。プライベートでも海外に行くことは多いのですか?

しばらく行けてないですね。

 
ー ちなみに、行ってみたい国や都市はありますか?

タヒチですね。きれいな海で癒されたいです(笑)。どこかしら心の中で悲鳴をあげてるんじゃないかなって(笑)。

いつも都市で生活する中で、自然や地球を直で感じるには、やっぱりきれいな海が一番わかりやすいんですよね。人によっては山だったりすると思うんですが、僕の場合はきれいな海が一番感じやすいです。僕と海ってイメージが全然合わないと思うんだけど(笑)。

 
ー たしかに海のイメージはないですね(笑)。
海外に滞在中は、コミュニケーションは基本的に英語で?

はい、アメリカなので英語です。日本人の方もいらっしゃったりするんですけど、ほとんどはアメリカの現地の方たちと話すことが多いので。

 
ー インターナショナルスクールに通われていたということなんですが、学校外でも英語を使う機会はありましたか?

学校で日本語を喋ると居残りさせられちゃうので、学校では基本的に英語で、たまに隠れて日本語を話したりはしていました。学校の外に出れば日本語OKなんですけど、途中から日本語と英語が混ざっちゃうんですよね。

 
ー では英語を使うことは自然なことで、それほどストレスではなかったのですか?

いえ、僕は小学校1年生からではなく3年生からインターに入ったので、入学した当初はすごいストレスでした。授業が難しくて追いつけなくて、宿題が終わるのが夜の11時を過ぎることもありましたね。

若いときにいっぱい詰め込むのは良くないと思うんですけど、とはいえ、あのとき頑張った経験というのは意味があったと思っています。

 
ー インターナショナルスクールだと一般的な日本の学校に比べて、文化やトレンドなど、海外のものに対する感度が高そうなイメージがあるのですが、その辺りはどうでしたか?

そうですね。音楽もそうだし、当時はまだインターネットがなかったですが、本屋さんに行ったら海外の雑誌が買えたりして、その内容を理解できることで新しい情報をゲットできました。

あとはインターナショナルスクールなぶん、いろんな国の文化や価値観を勉強できる機会がありました。通っていたのはカトリックの学校なんですが、そこにはイスラム教の人もいれば仏教の人もいて、いろんな宗教観を持っている人たちと一緒に異文化を学べる環境でしたね。

そのような環境が、自分と同意見ではない考え方や価値観を理解しよう、と思えるいいきっかけになりました。もちろんきれいなことだけじゃなくて、ケンカとかもしながらそのことに気づかされたり。すごくいい環境だったと思います。

 
ー 日本のインターナショナルスクール(高校)を卒業されて、アメリカの大学に進学されたのはなぜですか?

当時はインターナショナルスクールを卒業した後の選択肢は主に3つで、アメリカの大学に行くか、イギリスの大学に行くか、日本の国際的な大学に行くか、だったんですね。

その中でもやっぱりアメリカに行きたいなっていうのがあって。そのときは今ほど学費が高くなかったのもあって、アメリカの大学に進学する人が多かったんですよね。もちろん決して安くはないので、行かせてくれた親には感謝しています。

そして進学したオクシデンタル大学が、何を隠そう、オバマ前大統領が通っていた大学なんです! と言ったらかっこいいんですが、*オバマさんが第一志望を落ちて滑り止めで入った大学なんです(笑)。

* オクシデンタル大学入学から2年後、ニューヨーク州のコロンビア大学に編入。

 

英語は「可能性のカギ」: 必要性があれば英語は身につく

ー 幼少期のインターナショナルスクールに始まり、今日までグローバルな環境で育ってこられたかと思いますが、そんな Taku さんは「英語」というものをどう捉えていらっしゃいますか?

「可能性のカギ」です。

日本人は機会ロスが多くて、それは英語ができないからだと思っています。もちろん海外にも素晴らしいものがありますが、日本の技術やプロダクト、クリエティブだってそれらに負けていないと思うんですね。

でも実際、そういった分野で大きな機会損失をしてしまっているのは、日本人が英語を喋れなくてコミュニケーションできないからで、それが日本の一番のネックだと感じています。

 
ー 確かに日本人で英語に苦手意識を持っている人は多いですよね。

英語を話せないからって卑屈になっちゃう人もいて、それは本当にもったいない。新しいことや言葉を覚えるのって大変ですが、どんどん積極的にやってみてください。必要になるとちゃんと身についていくはずです。

また、「コミュニケーションを取ろう」という気持ちが出てくると、完璧な英語じゃなくても相手に伝わったりするんですよね。実際、アメリカでもちゃんとした英語を喋れない人はいっぱいいますから。

「英会話は大変」といったハードルは持たずに、特に今はオンライン英会話のようなサービスを使えばいつでも練習できますし、そうしたツールを使ってやっていくことは、これからの日本にとって、また日本人にとって、すごく大事なことだと思います。

 
ー 「英語ができてよかった」と思う瞬間はありますか?

僕のアーティスト寿命は、英語を喋れてるから長くなってるんじゃないかなと思いますね。

活動の場も広がりますし、あとは取得できる情報量も全く違います。インターネット上には本当にいろいろな情報があって、中にはフェイクニュースもありますが、すごい量のデータベースや知識が集まっているんですよね。英語ができることでそうした情報にアクセスでき、いち早く世界中で何が起こっているのかを掴めるメリットは大きいと思います。

 
ー 普段、ネットニュースなどをチェックするときは英語が多いですか? 日本語が多いですか?

英語も日本語も両方見ます。日本のニュースは、世界情勢に関してあまり書かれていないことが多いんですよね。なので気になるニュースがあれば、CNN や BBC のような海外サイトをチェックするようにしています。

 
ー これまで世界中で活動されてきて、気づきだったり、印象的だったエピソードはありますか?

違う言語を覚えると、新しい性格が生まれると思っています。日本語だと、ちょっとフワっとさせないといけないことが多いんですよね。それがあったからこそ、絵文字が生まれたと思っているんです。

ー と言うと?

日本は相手がどう思うかみたいな部分をすごい気にしますよね。例えば「昨日はありがとうございました」という文章を送るのでも、柔らかいニュアンスを伝えるためだったり、空気を壊さないために語尾に「ニコニコるんるん」みたいな絵文字を使うじゃないですか。

逆にアメリカの場合は、ダイレクトに言わないと伝わらない。文章の構造もそうですし、しっかり自信を持って伝えないと相手が理解してくれないことが多い。そうした環境で生活していると、もともとそうじゃない人でも違う人格が生まれるんじゃないかなって。

例えば、ニューヨーク在住の日本人とかに出会うと、ドライというか、コミュニケーションに無駄がないなって感じるんですよね。もちろん全員がそういうわけじゃないですが。

*VERBAL は日本語で喋るときはすごい丁寧で物腰柔らかい一方、英語になると自信に満ち溢れた人格になるので、それを見てても面白いなあと思いますね。

* 日本の MC、DJ、音楽プロデューサー、デザイナー。m-flo ではラップを担当。

 
ー そうした使い分けは自然に身につくものなのでしょうか?

人間の能力が身につくかどうかは、その必要性があるかないかだと思っていて、英会話もそうです。

単純に「英語を覚えたいな」だけじゃなくて、「いつまでに英語で○○をできるようにしたい」「英語を喋ってやらなきゃいけないことがある」のように必要性を感じながら学習していくことで、より身につきやすくなるんじゃないかな。

VERBAL の場合もアーティストとしてだけでなく、いろいろなビジネスをやっていく中で、シーンに応じたコミュニケーションの重要性を感じたんじゃないかなと思います。

 

英語が話せる人が勝ち組になる

ー 続いては音楽活動について。精力的に海外でも音楽活動をされている理由は何ですか?

まず第一に、できるから。これは僕だけじゃなくて、日本で活動しているアーティストたちが、アメリカで今チャンスがあるから。もっといろんなアーティストと(アメリカに)一緒に行きたいですし、自分自身もそのきっかけを作りたいと思っています。

僕の名前である「高橋拓」は、"高"い"橋"に開拓の"拓"と書くじゃないですか。そういう人になれたらなって。名前負けしないように日本と海外の架け橋になっていきたいですね。

そのときに僕が英語を喋れるっていうのは大きくて、英語がまだ話せない人もいるし、そういう人たちをどんどん呼んで連れて行きたいし、結果も出していきたいと思っています。

もう一つは、エンタメビジネス自体が、海外に目を向けなきゃいけない状況になってきているんですよね。日本はどんどん人口が少なくなっていく、CD というものが以前ほど売れなくなっている。エンターテインメントをビジネスにしていく中で、その範囲をしっかりと広げていく。これはエンタメだけじゃなくて、今後日本のいろんな分野で関係してくると思っています。

これまでの日本って、インターネットがあるのに関わらず自ら鎖国を選んできた状況だと思うんですけど、それだと日本国内からダメになっていってしまいます。なので、しっかり外を見ていかなきゃいけない。それを本当は15年くらい前にやるべきだったんですけど、今からでも最後のチャンスだと思って頑張れば間に合うんじゃないかなって。

 
ー 海外での音楽活動と日本での音楽活動に違いはありますか?

いっぱいありますよ。音楽を作るというのは同じなんですけど、ビジネスの構造が違いますね。

音楽事務所があってアーティストがいてレコードレーベルがあって、その関係や仕組みも違います。あと、実際に曲を作ったりプロジェクトを動かそうと思ったときも、日本と海外では考え方やスピード感、リズム、どこに重点を置くかのような哲学が違ったりしますね。

 
ー なるほど。
音楽活動を通じて Taku さんが実現したいものやビジョンはありますか?

日本のアートやポップカルチャー音楽、そういったいろんな日本の作品がアメリカはもちろん、世界中でもっと認められることが大きな目標です。

あとは、とにかく行動するのみなんですよね。動けるときにどんどん動いていくことを自分は大事にしていて、それプラス、どうやったら成功させられるかというロードマップと向き合いながら、成功の可能性を高めてやっていきたいと思います。

 
ー では最後に、英語を頑張るブログ読者に向けてメッセージをお願いします。

日本は義務教育で英語が入っているのに関わらず英語が苦手な人が多いですが、だからと言って、そこで学んだことは決して無駄ではありません。

例えば学校を卒業した後でも、オンライン英会話のようなツールで英語を練習することで、当時学んで脳のどこかに溜まっていた単語や知識が出てきたりすると思うんです。

あと、やっぱり大事なのは使うことで、英語は使ってなんぼなんですよね。今はPCやスマホがあれば、実際に英語を使って会話ができるじゃないですか。

僕ももともとは日本語しか喋れない中で英語を覚えたので、別の言葉を覚えるのは大変だっていう気持ちはすごい分かります。でも、今の日本の現状を考えると、「英語を喋れるようになろう」と思った人がどんどん勝ち組になっていくと思うんですよね。

英語ができることで、みんなが知り得ない新しい情報を一足早く入手できたり、人との繋がりが広がっていったり。ひょっとしたら、今このインタビューを読んでくれている英語学習者が、日本の未来を担うことになるかもしれない。

また、先ほども言ったように、日本人は機会ロスが多くて、それの原因は本当に英語なんです。そこに気づいて英語を学ばれてる皆さんは素晴らしいですし、大変だとは思いますが、オンライン英会話のようなテクノロジーを駆使して機会を作って、表に出て行くきっかけを見つけてくれたら嬉しいなって思っています。

 
ー 素晴らしいお話をありがとうございました!

 

Interview Photo:ENO SHOHKI

 

おわりに

グローバルな環境で育ち世界を肌で感じてきた Taku さんだからこそ訴える、英語の重要性。

学生時代から m-flo の大ファンだった筆者は、インタビュー前はかなりの緊張でしたが、終わってみると非常に楽しく夢のような時間でした。また、Taku さんの言葉からたくさんのエネルギーをもらい、今一度「英語を頑張ろう!」と思えたインタビューでした。