Mizuho
(更新)
安河内哲也先生といえば、誰もが知る人気英語講師。最近では海外NPO法人の理事や検定試験のアドバイザーをされたりと、実用英語のための教育に従事されています。
そんな安河内先生、実は自他ともに認めるオンラインレッスンの大ファンだそうで、この度、好きが高じて書籍を出版されました!
タイトルはズバリ、
「英語が話せるようになりたければ、今すぐオンライン英会話をやりなさい!」(NHK出版)
とてもストレートなタイトルです。
本記事では、安河内先生とDMM英会話代表・上澤との対談インタビューの模様をお届け。
英語を「話せる」ようになりたい方や、オンラインでの英語学習に興味はあるけど一歩を踏み出せない方は、必読の内容となっています。
東進ハイスクール英語講師。数多くの大学受験生を合格へと導いてきたカリスマ人気講師。TOEICテスト990点(満点)、英検1級、国連英検特A級、通訳案内士の資格を持つ。「英語が話せるようになりたければ、今すぐオンライン英会話をやりなさい!」(NHK出版)など英語関係の著書は、発行部数累計が350万部を超える。
DMM英会話事業責任者。2013年2月にDMM英会話をスタート。リリースから2年で業界No.1に成長させ、世界120ヵ国・7000人以上の講師、350名以上のスタッフを束ねる。
上澤:この度の書籍のご出版、おめでとうございます!
なぜこのタイミングでオンラインレッスンに特化した本を書くことにしたのですか?
安河内先生:コロナウィルスの影響で外出もできない、外国も行けないという状況のなかでも、オンラインレッスンならフィリピン、アメリカ、イギリス、セルビアなどの世界中の人たちと話せて繋がれるじゃないですか。それって最高に楽しいことなのに、やっている人がとても少ないと感じたんです。
私の周りには英語の先生が多いのですが、英語教育に従事している人でさえ、オンラインレッスンをやっている人ってとても少ない。感覚的には、30人に1人くらいです。それでいて「フレーズを覚えたり音読をしましょう」といっている場合が多いことに、違和感がありました。
それに本屋さんに行っても、オンラインレッスンについて書かれた本はほとんどありません。それはつまり、英語教育業界の人が、オンラインレッスンを推奨できていないわけです。
なので、「英語のプロがもっとオンラインレッスンをすすめていくべきだ」とある日思い立ち、1週間こもりきりで書き上げました。
上澤:すごい! 1週間で書けるものなんですね!
安河内先生:「英語を勉強するすべての人に、オンラインレッスンをやってほしい」という思いがあるんです。
楽しいし、私の最大の趣味でもありますからね。
上澤:もっと気軽に始めていただけるといいですよね。
安河内先生は、どうすればオンラインレッスンの利用者が増えるとお考えですか?
安河内先生:英語の先生には会う度におすすめしているのですが、上級者になるほど、間違ったりするのがこわいと感じるみたいです。それでもやはり、英語の専門家がもっとオンラインレッスンをすすめていくべきだと思います。
あとは「オンラインレッスンファンクラブ」のような、すでにオンラインでの英語学習を進めている人が、これから始めてみたい人にアドバイスする場があるといいかもしれません。そういうものがあれば、始め方や楽しみ方をより多くの方に知ってもらえると思います。敷居は本当に低いはずなので、実際にやってみてもらうチャンスの提供が大事ですね。
上澤:安河内先生の考えるオンラインレッスンの楽しいところってどういう部分でしょうか?
安河内先生:本当に「英語でコミュニケーションが取りたい」という人にとって、毎日世界中のいろいろな人と出会って、趣味から文化まで幅広い話ができるっていうのは、「楽しくないはずがない」と思うんです。
でも、この楽しさがなかなか伝わらないのは、日本人の心のなかに「間違った英語を話しちゃいけない」という気持ちが強すぎるんだと思いますね。
私がオンラインレッスンをすすめても、「まだ私はそのレベルまでいっていません」という人が多いんですよ。でも、ある程度のレベルにならないと英会話ができないということは、絶対にありません。
オンラインレッスン各社には、中1レベルから教材が用意されています。だから、たとえ英語力ゼロであったとしても、実際に話しながら進めていけばいいんですよ。
「最初はジャパニーズイングリッシュでも大丈夫だよ。徐々にうまくなればいいんだよ」という意識を浸透させないといけないのかもしれないですね。
上澤:日本人特有の完璧主義はたしかにありますよね。特に初級者の方には、やはりハードル高く感じてしまうかもしれません。
初級者の方がオンラインレッスンに取り組むときのポイントを教えていただけますか。
安河内先生:「ニュース教材」や「フリートーク」は挫折するもとになってしまうので、まずは「初級者向け教材」を10分だけでも予習して、思い切ってレッスンを受けてみるといいと思います。
そうはいっても、初級者の方はどの教材を選んで、どうやって進めればいいか悩んでしまうこともあるかと思います。上級者になると好きなようにやりたいという思いが強くなるのですが、初級者の方の場合は、やり方をはっきり明示してあげた方がいいのかもしれませんね。新刊はその「やり方がわからない」という方にとっても参考になるはずです。
上澤:なるほど。安河内先生が考える、最短で英語を話せるようになるための、オンラインレッスンの使い方について教えてください。
安河内先生:PDCAサイクル【Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(ion)(改善)】を回していかないとダメだと思います。
長い間、文法や単語を学んで「話す」準備に時間を費やしているのに、結局「話す」機会には参加しない人ってけっこういるんですよね。
P:文法や音読、単語暗記などのインプットで終わってしまって、永遠に「PPPPサイクル」になっている学習者が多いのですが、「話せる」ようになるために大事なことは、PからDにいくことなんです。
なので私は、最初から「話す」を入れていくのが、最高の習得方法だと考えています。
ちょっと準備をしたら【P】、話してみて【D】、チェックして【C】、また話してみて【A】、それから【P】に戻るというように、インプットとアウトプットを少しずつ交互に組み合わせながらやってみることが大事なんです。
毎日30分ずつでも、学習の中でオンラインレッスンというアウトプットをしていけば、誰でも最短でできるようになると思いますよ。
上澤:インプットとアウトプットのバランスが大事ということですね。
安河内先生:そのようにオンラインレッスンでの会話(アウトプット)とインプットの勉強を組み合わせれば、やればやっただけ話せるようになると思います。
毎日続けたら、1年半から2年くらいで絶対話せるようになるはずです。
上澤:おっしゃる通り、毎日続けるというのはすごく大切だと実感しますね。オンラインレッスンを利用しているみなさんを見ていて、一時停滞しても、がんばって継続すれば伸びるケースをよく目にします。
安河内先生:オンラインレッスンって始める人は多いものの、続けられる人が意外に少ないんですよね。だから自分で「続ける仕組み」をつくることが大事だと思うんです。
本にも書いているのですが、私は必ず朝9時からオンラインレッスンをすると決めています。チャイムつきの時計があって、8時55分と59分にそれぞれレッスン開始を知らせるチャイムが鳴るようにしているんです。
それに加えて、25分のレッスンが終わったあとの9時27分にもチャイムが鳴るんですよ。これは「明日の予約をしましたか」チャイムです。こうやって、歯磨きのように習慣化して、生活の一部に組み込むことが、継続のポイントですね。
上澤:毎日オンラインレッスンをしていらっしゃるということですが、どのように講師を選んでいますか?
安河内先生:上級者と初級者で要求は異なると思いますが、私は毎日違う講師を予約しています。
また、新しい講師が表示されたら、すかさずその方を予約するようにしています。ある意味、私の方が新人講師よりオンラインレッスンのベテランなんですよ。だから「Welcome!」という感じです(笑)。
オンラインレッスンの講師陣は本当に多様で、年齢層はもちろん、バックグラウンドもそれぞれ違うので、話していてとても面白いんですよね。ただ初級者にとっては、その多様性が逆にハードルに感じてしまうかもしれません。そういう場合は、初級者指導が得意な講師のレッスンを受けるといいと思います。
上澤:オンラインレッスンをこれから始めたい方向けに、安河内先生おすすめの学習法はありますか?
安河内先生:初級者のみなさんは、まず基本的な中高レベルの英文法を学ぶといいでしょう。本を使うなら、一番薄くて簡単そうなものを選んで、オンラインレッスンと並行して進めるといいと思いますよ。
また、事業者には各社無料の英文法教材がありますから、それを利用してもいいですね。先ほどもお話した通り、英文法を勉強してから会話をするのではなく、「英文法を勉強しながら会話も練習していく」ことがポイントですよ。
上澤:「英語が話せるようになる」という点以外で、オンラインレッスンの魅力ってどのようなところにあると思いますか?
安河内先生:いろいろな話題で会話できることもメリットの1つですが、オンラインレッスンって実は、すごく文化交流にも貢献していると思うんです。オンラインで日本のみなさんが世界と繋がることで、世界中に「日本に興味がある人」を増やしているわけです。
例えば、非英語圏の国の講師から、おすすめの日本アニメを聞かれることが多いんですが、レッスン中に教えてあげるとその後日、「面白かったからもっと教えて」と言うんですね。
これって日本と、フィリピンや東欧、いろんな国との文化交流になっているわけですよ。飛行機に乗って外国に行く必要もなく、オンラインでできるわけですから、1人でも多くの方に、この交流に参加していただきたいです。
上澤:たしかに、文化交流を体験できるっていうのは、オンラインレッスンならではの魅力ですね。
安河内先生:オンラインによって、東洋と西洋の「オンラインシルクロード」ができたわけですよね。おそらく私たちだって、オンラインで繋がることがなければ、セルビア人やボスニアヘルツェゴビナ人と喋る機会なんて一生なかったと思うんです。
学校教育でも長いこと「グローバル」を掲げていますが、実際に外国の人とコミュニケーションをとっていないんですよね。だから、口だけ「グローバル」と言うのではなくて、英語をマスターしたいなら、みんなオンラインレッスンを受けるべきだと思うんです。
上澤:アツいオンラインレッスンへの想い、ありがとうございます。
では最後に、英語学習者のみなさんに先生からメッセージをいただけますか。
安河内先生:この本の中では、オンラインでの英語学習の魅力だけでなく、「始め方・続け方・楽しみ方」の3つに関して、使える英語表現と一緒に紹介しています。
ぜひ読んでいただき、オンラインレッスンを始めていただきたいです。また、オンラインレッスンを受けているみなさんは、周りにおすすめするときに、この本をツールとして使っていただければと思います。
世界と繋がるために英語を勉強しているわけですから、準備はやめて、とにかく1歩を踏み出し、オンラインレッスンを始めてみてください!
やってみたら、良さがわかりますよ!
上澤:ありがとうございました!
いかがでしたか?
オンラインレッスンって怖い…緊張する…まだそんなレベルではない…
そう思っていた方も、背中を押され「オンラインレッスンやってみよう!」と思えるインタビューだったのではないでしょうか?
まずは小さな【Do(話す)】を英語学習に組み込むことから始めてみてくださいね!