平 理沙子
(更新)
みなさんが「英語を学ぶ理由」は何ですか?
今回取材したのは、福岡在住・ITエンジニアの山田智也さん。
エンジニアとして仕事をする上で必須のツールは、基本的にアメリカ・シリコンバレー発。そのため、最新の情報を得たり、わからないことがあったときにカスタマーサポートとやり取りするために、英語が欠かせないとのこと。
しかし、そんな山田さんが英語を学ぶのは「仕事のためではない」と言い切ります。
山田さん
「エンジニア用語は、英語をそのままカタカナにしたものがほとんどなので、仕事上の英語はあまり苦労しないんです。
私が英会話をするのは、20年近く通っている行きつけのインターナショナルバーでもっと外国人のお客さんと英語で話したいから。日常会話をもっと楽しめるようになりたいんです」
本業とは別に、個人でエンジニアの勉強会等を開催するなど「人と話すことが根っから大好き」と語る、山田さんの休日に密着しました。
休日は8時頃に起床。ベッドには、なんとDMM英会話公式キャラクターのぬいぐるみが!
山田さん
「今年の5月に福岡で開催されたDMM英会話のセミナーに参加したのですが、そのときにこのぬいぐるみが当たって。最初は何だろうと思っていたのですが、だんだん愛着が湧いてきて、今は枕元に置いています(笑)」
洋画を観るのが趣味という山田さん。休日の午前中は家で映画を観ながらゆっくりと過ごすそう。アクション系が特に好きということで、『ワイルド・スピード』『トランスフォーマー』などを繰り返し観ていると言います。
山田さん
「洋画を字幕なしで観たい、というのも英語を勉強する1つの理由です。吹き替えではなく、やっぱり役者さんのオリジナルの声を聞きたいですからね。
最近うれしかったのは、キッチンに立ちながら映画を流していたときに、字幕を見ずに音声だけでなんとなく内容がわかったこと。英語力の成長を感じた瞬間でした」
この日は、午後の外出前にDMM英会話を受講。平日はお仕事が終わった夜の時間に受講することが多いとのこと。
レッスンの受講スタイルについて聞いてみると。
山田さん
「今は、1日おきにレッスン→復習→レッスンとスケジュールを組むようにしています。なので週に2〜3回レッスンを受けていますね。
レッスンは同じトピックを2回受けるようにしています。中日の"復習"のタイミングで、前日の教材の内容をざっと確認しておくだけでも、次の日のレッスンがスムーズになり、定着率が上がる気がしています。
あとは、同じトピックでもフィリピンの先生とセルビアの先生で考え方が違ったりするので、2回受けてもいろんな発見があるんですよ」
ちなみに、山田さんはこの11月に2週間のフィリピン留学に行かれるとのこと。この日のレッスンはセブ出身の講師で、セブのおすすめ料理や観光スポットの話題で大盛り上がりでした。
山田さん
「『会話』教材など、一応教材を使うようにはしているのですが、脱線して違う方向にいくことも多いですね(笑)」
EQRoy / Shutterstock.com
午後からは外出。
技術に関する海外の最新情報を得るため、カフェに行ってiPhoneを片手に、GoogleやAmazon、Appleの新製品発表会などの動画を観ることが習慣になっているそうです。
字幕なし、音声のみで観ている姿に、思わず筆者が質問してみると。
山田さん
「こういったITや技術に関する内容は、字幕がなくてもある程度理解することができます。エンジニア用語は基本的に英語をカタカナにしただけで、共通ですからね。
会社でシステム開発をするとき、こうした新しいサービスを参考にしながらドキュメントに起こしていくので、そのための情報収集です」
本業とは別に、プライベートで講師としても活動されている山田さん。
カフェでYoutubeを観た後は、とあるオフィスへ向かいます。取材をさせていただいた日も、月に1回程度の頻度で開催するエンジニアのスキルアップ勉強会『博多テック塾』があるとのことで、筆者もお邪魔しました。
たくさんの企業が進出している福岡市では、テック界隈も賑わいを見せており、このイベントの運営母体となるコミュニティーのメンバー数は、なんと700人を超えているそう。
山田さん
「飲み会で出会った方とたまたま『もっと福岡のテック業界を盛り上げたい!』という話で意気投合したのをきっかけに、コミュニティーが始まったんです」
仕事ではなく、あくまで個人として活動するその熱意はどこから来るのか、山田さんに伺いました。
山田さん
「一番は『福岡でもテック業界を盛り上げていきたい』という気持ちです。
私自身、よく東京に出張に行くのですが、やはり東京はエンジニアやテックに関する勉強会が多いです。それに負けていられないなと思いますね。あとは、単純に自分がイベントや人と話したりすることが好きなので(笑)」
参加者が集まり、いよいよイベントが始まります。イベントの前半は山田さんが講師となり、システムエンジニアの基礎を伝えます。
取材当日は、連続講座の5講座目。最終回ということもあり、参加者の方が懸命にメモを取っている姿が印象的でした。
イベント後半は、参加者の方との交流会です。ここからは、筆者も参加者の一人として参加。
既にエンジニアとして働く人や、これからエンジニアに転身したいと考えている人、東京から福岡に移住してエンジニアになった人など、さまざまなバックグラウンドの人たちが集まっていました。
山田さん
「みなさん色んな悩みや考えを持っているので、交流していておもしろいですよね。
今日の回でも、エンジニアになりたい人に、既にエンジニアとして働く人が業界のリアルを教えていたり、東京から福岡に移住した人が、福岡の良さを語って在住の方たちがその良さを再認識したり。バックグラウンドがさまざまな人が集まって起きる化学反応も、イベントの醍醐味の一つです」
イベントの後は、山田さんが20年通い続けているという、外国人オーナーが経営しているバー『Off Broadway』へ。週に1〜2回、仕事仲間と行ったり、一人で行くこともあるそうです。
この日は、ラグビー・ワールドカップの開催期間中ということもあって店内は大盛況。訪日観光客の間でも口コミで評判だそうで、海外からのお客さんが多いのが印象的でした。
山田さん
「私は20歳くらいから通っているのですが、このお店で旅行者の方たちと、『お互いの国の食べ物や文化について話せるようになったらおもしろいな』と思ったのも、英語を学びだした動機の一つです。
お店のスタッフさんも海外好きな人が多いので、自然と『英語っておもしろそうだな』と思ったんですよね」
山田さん
「オーストラリアやカナダなど欧米のお客さんが多いので、聞き取りにはまだまだ苦労しますが、それでもDMM英会話を始めたことで、外国人のお客さんが話すジョークがわかるようになって、一緒に笑えるようになったんです。それがすごくうれしいです。
ただ、まだまだ自分の発音がカタカナ英語で、通じない場面もあるんです。そういうときは、英語が堪能なスタッフに伝えてもらったりしているのですが、もどかしい瞬間も多いんですよね」
最後に、今後の目標について伺いました。
山田さん
「最近はエンジニアもオフショア開発など、日本と海外で一緒に仕事をすることがかなり増えてきています。我々の業界では "bridge SE" というのですが、文字通り、日本と海外を橋渡できるような立ち位置のエンジニアになれるとおもしろいかな、と思いますね。
そのためには、英語力やエンジニア力だけでなく、相手の文化を理解する姿勢も必要です。そうしたコミュニケーション力は、バーやDMM英会話でいろんな国の人と会話することで身につけていきたいです」
人と人との橋渡し。仕事でも、バーでも、周りに人が絶えない山田さんの姿が強く印象に残る取材でした。
そんな山田さんにとって、英語とは、英語学習とは、を聞いてみると。
山田さん
「私は、英語は『人と話すためのツール』としか思ってないんです。海外の人と話したいから、英語を覚えているだけ。『話したい』という気持ちが先にあるので、日々のレッスンも無理なく続いています」
学習だからと肩肘張らずに、「話すことを純粋に楽しんでみる」 ー それこそがコミュニケーションツールとしての英語を学ぶ一番の近道かもしれませんね。