
Mizuho
(更新)
毎年ハロウィンが終わって「そろそろクリスマス」という気分のなか、アメリカやカナダでお祝いされる祝日があります。
その祝日とは、
Thanksgiving(サンクスギビング)!
海外ドラマや映画では、サンクスギビングを描いたシーンがよく登場します。日本語では「感謝祭」とも呼ばれていますが、馴染みがない人が多いかもしれませんね。
さて、そんなサンクスギビングデーですが、どのように誕生し、どんなことをする日なのでしょうか?
本記事では、サンクスギビングの歴史的背景や、世界のサンクスギビング事情をご紹介していきます。
サンクスギビングは特にアメリカとカナダで、それぞれ11月の第4木曜日と10月の第2月曜日に祝われるイベントです。
日本の新嘗祭(にいなめさい)と似ており、秋の収穫を感謝するための日。アメリカでは、初めは宗教的な意味も含めて祝われるようになりました。
16世紀終わりから17世紀初めにかけて、イギリスでは国の宗教である「イギリス国教会」に反した一派である「Puritans(清教徒)」が登場しました。その清教徒たちが、国からの弾圧から逃れてイギリスのPlymouth(プリマス)から、アメリカのマサチューセッツ州プリマスにやってきたのは1620年のことです。
アメリカ大陸にやってきた清教徒たちはPilgrim Fathers(ピルグリム・ファーザーズ)と呼ばれます。彼らはアメリカ到着後に農耕を始めましたが、最初はなかなかうまくいかなかったそう。
この難しい状況のなか、ピルグリム・ファーザーズを助けてくれたのは先住民。彼らの知恵と助けにより、農作物を収穫できるようになったピルグリム・ファーザーズは、1621年に先住民を招待して収穫を祝う宴を開きました。これが、サンクスギビングの始まりです。
そして1863年、第16代大統領のAbraham Lincoln(アブラハム・リンカーン)によって、11月最後の木曜日がサンクスギビングの日と定められました。こうして日にちが定められるまでは、州によって異なる日に祝われていたのです。
さらに1941年には、第32代大統領のFranklin D. Roosevelt(フランクリン・D.ルーズベルト)がサンクスギビングを11月の第4木曜日に制定。
これにはクリスマスシーズンにもっと消費者の購買を増やしてほしいという経済界からの要請で、前倒しにされた理由があるそう。こちらのページでは、実際の制定に使われた書類を見ることができます。
日本だと祝日は多くの場合に月曜日に設定されますから、「木曜日」というのはなんだか違和感を感じる人も少なくないかもしれません。
なぜ「木曜日」なのでしょうか?
これには諸説あり、残念ながら明確な答えはありません。しかし、そのなかでも最も有力な説は、Lecture Day(レクチャーデイ)という宗教集会との関連です。
マサチューセッツ州ボストンでは、牧師が平日に集会する人に向けて、木曜日のレクチャーデイにお説教をする習慣があったそう。それに金曜日はカトリック系の人たちが断食をする日だったため、祈りを捧げる日が被ってしまうのを避けて、木曜日にサンクスギビングを祝うようになったというわけです。
最初こそ宗教的な背景をもっていたサンクスギビングですが、現在は宗教とは別に祝われる祭日です。
家族や友人と集まり、サンクスギビングならではの料理を囲みます。家族と一緒にサンクスギビングを過ごすため、長距離移動をする人もいるほど。
DMM英会話の教材であるデイリーニュースの記事でも、アメリカの人々の大移動について触れられています。
このときによく食べられるのが、七面鳥やクランベリーソース、マッシュドポテト、パンプキンパイなど。七面鳥はピルグリム・ファーザーズがアメリカにやってきたときに狩猟していたといわれ、このゆかりでサンクスギビングはTurkey Day(ターキーデー)とも呼ばれます。主に家長が七面鳥を切り分け、食卓を一緒に囲む面々にもてなすのが一般的。
昨今では菜食主義者(vegetarian)や完全菜食主義者(vegan)も増えているため、豆腐やヒヨコ豆などの代替品を使った「七面鳥」のレシピも増えているそうですよ。
Macy’sというアメリカの大手デパートが、毎年サンクスギビングには盛大なパレードを行います。これは全国区でテレビ放映されるので、「アメリカの定番」といってもいいかもしれません。
1924年から始まったこのパレードでは、超巨大なバルーンや音楽隊などがニューヨークの街を練り歩き、歩道には多くの人が集まります。
サンクスギビング当日は、アメリカのフットボールリーグであるNFL(National Football League)などのプロをはじめ、大学などのアメリカンフットボールの試合が開催されます。
NFLの試合は1920年に始まってから、第2次世界大戦中を除いて毎年行われており、サンクスギビングにはテレビの前でみんな一緒に観戦するのが定番。
こちらの動画では、サンクスギビングに行われるアメフトゲームの歴史を見ることができます。
一般家庭ではごちそうとして振る舞われる七面鳥。しかしアメリカ大統領のいるホワイトハウスでは、まったく逆のことが行われます。
それは「七面鳥の恩赦」。「恩赦」は日本では司法の場で使われる言葉ですが、簡単に言えば「許しを与えること」です(サンクスギビングの日のホワイトハウスでは、七面鳥は命拾いをします)。
この習慣は実はリンカーン大統領時代から続いていますが、公式に「恩赦」を七面鳥にしたのは第35代大統領のJohn F. Kennedy(ジョン・F.ケネディ)だそう。
より詳しい歴史はデイリーニュースの記事に書かれているので、ぜひチェックしてみてください。
ここまでアメリカのサンクスギビングを主に見てきましたが、いわゆる「感謝祭」は世界中で祝われています。先ほどお伝えしたように、日本の新嘗祭(にいなめさい)もその1つ。現在は「勤労感謝の日」として国の祝日になっていますね。
例えばブラジルにも感謝祭はあり、アメリカと同じ日である11月の第4木曜日に祝われています。世界中で、感謝の気持ちを持つシーズンというわけですね。
その他の国の感謝祭については、こちらの記事で紹介されています。
日本でも最近「ブラックフライデーセール」という言葉を耳にするようになりました。
Black Friday(ブラックフライデー)とは、サンクスギビングの翌日の金曜日から始まるクリスマス商戦のこと。これに合わせて大規模なセールが行われ、量販店などの入り口には徹夜で並ぶ人が出るほど。
人びとはお得に買い物ができるうえ、お店にとっても1年で最も売り上げが大きくなる日なので、とてもにぎわいます。
近年では、サンクスギビングの次の月曜日に始まるCyber Monday(サイバーマンデー)も注目のイベント。サイバーマンデーはオンラインショップの大規模セールのことを指します。
ブラックフライデーとサイバーマンデーについてはデイリーニュース記事にもなっているので、ぜひチェックしてみてください。
年末にさしかかると忙しさに追われ、ついついイライラしてしまうなど、心の余裕がなくなっていくもの。
でもそういうときこそ、一度立ち止まって深呼吸をしてみてください。そして小さなことでもいいので、感謝をしてみてください。なんだか「ほっ」とするはずです。
「隣の芝生は青く見える」ことは常ですが、意外と恵まれていること、満たされていることに気づくはず。こちらの記事を参考に、「感謝」について考えてみるのもオススメです。
それでは、
Happy Thanksgiving!