Kzy Shibata
(更新)
みなさんは「イギリスの都市」と聞くと、どこを思い浮かべますか?
多くの人は、ロンドンやリバプールといった、有名都市をあげるかもしれませんが、イギリスにはそのほかにも魅力的な都市がたくさんあります。
そこで今回は、イギリス南部に位置するロンドンを起点に、北へ順に主要都市の概要をご紹介します。
編集部独自の視点で、①留学②観光③住みやすさ、のポイントを☆で評価(最高3つ)していますので、留学や旅行でどこに行くのか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
ロンドンは誰もが知るイギリスの首都であり、人口905万人弱の世界的な大都市です。
国籍もさまざまで、他のヨーロッパ諸国からきている人もいれば、インド系、中国系、アラブ系、アフリカ、南米など多岐にわたります。語学学校も数多くあるため、いろいろな国の人を街中で見かけるでしょう。
街の発祥こそはっきりとはわかっていないものの、約50万年前には今のロンドンの真ん中を流れるテムズ川周辺に、人のコミュニティがあったとされています。本格的な都市になり始めたのは、11世紀ごろにウィリアム1世が即位してからで、そこから徐々に政治の機能がロンドンに集まりはじめ、人口も増えていったそう。
ロンドンにも日本と同じく四季がありますが、日本ほどは暑くならないため、とても過ごしやすいです。ただ、8月でも涼しい時があるので、上着などがあると便利でしょう。さらに雨も頻繁に降りますが、小雨が多く、降ったり止んだりを繰り返すので、現地の人は傘をささずにジャケットのフードをかぶるのが一般的です。
ちなみにロンドンは、物価が他の都市に比べて非常に高いのが特徴です。家を借りて住むにしても、ロンドンだとホームステイやシェアハウスでも1ヶ月あたり日本円で6万円〜9万円ほど、10万円を超える可能性もあります。
また、イギリスは消費税が20%と非常に高いですが、日用品や食料などにはかからないため、スーパーに並ぶ商品の値段はそこまで高くは感じないでしょう。
ロンドンは、イギリスの首都ということもあり、観光で見て回るべき場所はビッグ・ベンやロンドン・アイなど、たくさんあります。エリアによって、少し雰囲気が変化するので、色々な場所を訪れて、違いを体感してはいかがでしょうか。
イギリスの南部に位置するブライトンは、海辺に面している街であり、約930年前は漁村であったとされています。
そんなブライトンは、現在は有名なリゾート地であり、多くの観光客が訪れます。人口は約22万人ですが、留学生にも人気で、観光客も含めるとさまざまな国の人たちを見かけることでしょう。
ロンドンからは電車で約1時間と比較的近いため、ロンドンへ日帰り観光が可能です。
年間平均気温は10.9度で、夏でも日本のように暑すぎるということはありません。Tシャツで過ごすこともできますが、薄手の長袖なども持っておくと便利でしょう。逆に冬場はかなり冷え込むため、コートやマフラーなどが欠かせません。観光のベストシーズンは夏ですが、冬に行く場合は注意してください。
ブライントンの一番の魅力は、ビーチ。近くにはたくさんのショップや飲食店が並んでいるため、歩いているだけでも楽しめるでしょう。さらに、19世紀初頭にジョージ4世によって建てられたロイヤル・パビリオンは街のシンボル的存在です。
また、毎年5月にはブライトンフェスティバルと呼ばれるアートのお祭りが行われて賑わうので、もしこの時期に留学をするのであれば足を運んでみるのもいいでしょう。
ボーンマスはイギリスの南部に位置する都市で、ブライトン同様、ビーチのある街でもあります。保養地として訪れるイギリス人も多い一方で、ブライトンと比べると落ち着いた雰囲気です。
人口は約16万人と、ロンドンなどと比べると少ないですが、韓国コミュニティがあるため、韓国系の人を見かける機会が多いかもしれません。
ロンドンからは日帰りでも十分訪れることができ、電車だと約2時間、バスだと約3時間で行けます。また、ヒースロー空港から長距離バスも出ているので、大きな荷物を抱えていても問題なく移動が可能です。
ボーンマスは「ボーン川の河口」という意味を持っていて、名前自体は14世紀頃に既にあったとされています。現在でこそ保養地としての地位を築いていますが、18世紀頃までは荒野のような土地でした。そんな中、19世紀ごろにボーンマスを開発する計画が立てられたことで、少しずつ街が発展していったそうです。
雨が多いイギリスの中では、比較的雨量が少ないとされているものの、25度を超えることはほとんどありません。そのため、夏は丁度いい気温のなかで快適に過ごせます。一方で、年間を通して風が強いのも特徴です。
保養地ということもあって、ホテルやデパート、レストランが数多く並んでいるため、十分に楽しめる街といえます。
また、10km以上続くビーチはぜひ訪れたいスポット。同じビーチでも、ブライトンのビーチは石なのに比べて、ボーンマスのビーチは砂浜です。さらに、イギリス王室の狩猟場でもあったニューフォレストという森もあるので、海も森も両方楽しむことができますよ!
ブリストルはイギリスの南西部にあり、ブリストル海峡に面した港の街です。
イギリスの中でも比較的人口が多く、約43万人が暮らしています。外国人もそれなりにいるものの、ロンドンほど人種が入り混じっている感じではありません。
ロンドンからは鉄道で1時間40分ほど、ヒースロー空港からもバスが出ていて2時間30分ほどで行けます。
古くからの港町としての側面があり、10世紀ごろから商業港として使われ、11世紀には羊毛貿易によって毛織物工業が栄えていました。現在、港は使われていませんが、街中では小船などを見かけることもあり、街の歴史を感じることができます。
平均気温は夏でも20度前後と涼しく、日中は快適です。しかし、日が沈むと冷え込むため、長袖などは常に持っておくと便利でしょう。
ブリストルでは、毎年夏に4日間の「ブリストル気球フェスティバル」が行われています。これは、熱気球を作ったのがブリストルの飛行機会社に勤めていたエンジニアだったため。したがって、気球はブリストルを象徴するものといっても過言ではありません。このフェスティバル中に限らず、週末も気球が飛んでいることがあるので、たまに空を見上げてみると面白いかもしれません。
また、街中にはかつて世界最大の蒸気船としてイギリス〜アメリカ間で活躍していたSSグレートブリテンが停泊していて、見学も可能です。当時の様子を垣間見れるので、オススメのアトラクションですよ。
バースはイギリスの南西部、ブリストルの隣に位置する、人口18万人強の比較的小さな街。
ロンドンのパディントン駅から電車で1時間半ほどの距離なので、ロンドンへの日帰り旅行も可能です。
温泉が湧くことで有名で、その歴史は紀元2世紀頃のローマ時代まで遡ります。当時の遺跡ももちろんのこと、ジョージ王朝時代に栄えた街の様子も残っており、ハニーカラーのバースストーンと呼ばれる石を使った街全体が世界遺産に登録されています。
気候に関しては、緯度が高いため、年間を通して気温が高くなることはあまりありません。雨がよく降るものの風が強く、傘はあまり使い物にならないので、カッパがあると便利でしょう。
いまだ湧き続ける温泉を使ったスパが開設されたため、イギリスのみならず世界中から観光客がやってきます。そのため、お土産品などは値段が張ることもありますが、学生生活に必要なものは比較的安価に抑えることができるので、留学生に向いている都市です。街全体を歩いて移動できるので、アットホームな環境で過ごすことができるでしょう。
現在でも「プライドと偏見」などファンが多い作家のジェーン・オースティンが数年間滞在していたことでも知られるバースでは、毎年9月に彼女の作品をテーマとした’Jane Austen Festival (ジェーン・オースティン・フェスティバル)’が開催されます。期間中は18世紀のコスチュームを着た人々が街中に現れ、まるで映画の中のような光景を目にすることができますよ。
オックスフォードは、世界トップクラスの大学の1つ「オックスフォード大学」がある街です。こちらの大学が12世紀頃に開校以来、多くの学生・学者が集まり、現在も大学都市として世界的に知られています。
人口は約15万人で、その中でもオックスフォードの労働年齢は人口の約1/4が学生だと言われているほど、学生が多く暮らす街です。欧米の人が多いイメージですが、アジア系やアフリカ系など、その他の地域の人もよく見られます。
オックスフォードは、オックスフォード大学を中心に歴史が築かれて、今も大学が街の中心であると言っても過言ではありません。
ロンドンからも比較的近く、パディントン駅から約1時間強、バスで約1時間40分、ヒースロー空港から約2時間弱となっています。
気候は、夏は過ごしやすく、冬は最高気温が10度を下回って冷え込むものの、しっかりと着込めば問題ありません。
そして、オックスフォードは観光地として多くの人が訪れる場所です。1525年創設と古い歴史を持ち、ハリーポッターの撮影に使用されているクライストチャーチというカレッジは特にオススメのスポット。
クライストチャーチは実は「不思議の国のアリス」を書いたルイス・キャロルが在籍していたことでも知られており、目の前にはアリスショップもあります。二つの物語の世界を一度に楽しめる、そんな雰囲気がクライストチャーチにはあります。
また街を流れる川ではパンティング(ボート漕ぎ)を楽しむこともでき、皆こぞって川へ繰り出します。夏のみの営業となりますので、夏にオックスフォードへ行かれる方は是非試してみてください。
ケンブリッジは、オックスフォードと並び、イギリスを代表する世界的な「ケンブリッジ大学」がある街で、大学都市です。こちらも学生の街ということで、街中では学割が効くお店が多く、学生にとっては暮らしやすいといえます。街の規模は小さく、中心部から少し離れるだけで牧場や農場などが現れる、のどかな土地です。人口は約12万人で、そのうち1/10は学生だとされています。
ロンドンからは鉄道で約50分と近く、気軽に遊びに行くことが可能。バスだと1時間30分〜2時間ほどかかります。
ケンブリッジ大学が、街の構成に大きく関わっていることは間違いありませんが、街自体の歴史は大学ができるよりも前に遡ります。大学ができたのは13世紀と、オックスフォード大学よりも少し後で、オックスフォードからきた学生が住み始めたのがきっかけだそう。
気候は比較的温暖で、夏は過ごしやすいですが、寒暖差があるので注意しなければいけません。真冬は防寒対策必須です。
現地を訪れた際には、街の中心地を流れているケム川沿いの散策やボート遊びなどのアクティビティのほか、ニュートンが設計したとされる「数学の橋」やノーベル賞受賞者を多数輩出している「トリニティカレッジ」の見学など、田舎ではありますが十分に楽しむことができるでしょう。
ストラトフォード=アポン=エイボンはロンドンの北西、イングランドの中部に位置している、比較的緑が豊かな街です。7世紀頃にはすでに存在していて、かつては商業の都市として栄えていました。
ウィリアム・シェイクスピアの故郷として世界的に有名な街でもあり、街のいたるところでシェイクスピアの面影を感じられます。また、生家は観光地になっているほか、ロイヤル・シェイクスピア劇場では演劇を楽しむこともできるなど、シェイクスピア好きにはたまらない場所です。ロンドンからは約150km離れていて、鉄道・バスともに2時間〜2時間30分ほどで行くことができます。
人口こそ約2万5000人と少ないですが、年間50万人以上の観光客が訪れるため、街中では色々な国の人を見かけるでしょう。
気候に関しては、夏場は20度を超えますが、年間を通して気温はそれほど高くなく、長袖中心で過ごせます。加えて、冬は最低気温が氷点下を下回ることはほとんどないので、寒すぎるということもありません。
リバプールといえばかの有名なロックバンド、ビートルズの出身地。かつては港湾都市として栄えでいましたが、現在は、博物館や美術館、ビートルズ関連の建物やアートが多くあるほか、「海商都市リバプール」として世界遺産に登録されるなど文化的な都市となっています。また、サッカーチーム「リバプールFC」でも有名です。
人口は約46万人とイギリスのなかでも比較的大きな都市であり、ロンドンからは、鉄道で2時間30分で行くことができます。
リバプールの起源は12世紀にまで遡るとされていますが、16世紀ごろまでは人口も少ない小さな街だったそうです。その後、港を中心に商業が栄え大きくなっていき、街が発展していきますが、第二次世界大戦の影響で衰退し、現在のような文化都市へと変貌を遂げていきました。
夏でも最高気温が20度に届かないなど1年を通して涼しく、冬も冷え込みますが氷点下になるようなことはほとんどないため、防寒対策をすれば大丈夫です。
マンチェスターはイングランドの北西部に位置するイギリス第3の都市。かつては工業が盛んでしたが、現在では近代的なビルが建ち並び、産業都市としての側面が強くなってきています。
人口は約50万人。ロンドンからは離れており、鉄道で約2時間、バスだと4時間半〜6時間かかります。気候は日本よりも寒いものの、寒暖差はそこまでないため、過ごしにくいことはありません。例えば天気予報を見ると、2018/11/24の東京は最高気温16度、最低気温6度の予報ですが、マンチェスターは最高気温8度、最低気温5度の予報となっています。
マンチェスターといえばサッカーが有名で、'マンチェスターシティ'と'マンチェスターユナイテッド'という2つのチームが地元を二分しているといっても過言ではありません。また、1966年のサッカーワールドカップ イングランド大会の決勝戦で使われたボールやマラドーナ選手が着用していたユニフォームなどが展示されている、国立フットボール博物館もあります。
サッカー以外だと音楽の街としても有名で、ライブハウスが多くさまざまな音楽に触れられるため、ライブハウス巡りをするのも面白いかもしれませんね。
エディンバラは、イギリスを構成する国の1つであるスコットランドの都市で、その首都でもあります。古い建物が点在していて、ヨーロッパらしい街並みといえるでしょう。人口は約50万人。観光客が多いですが、ロンドンほど多国籍ではありません。
ロンドンからは鉄道で4〜5時間、バスで9〜10時間と遠いため、エディンバラを目的にイギリスに行くのであれば、エディンバラ空港へ行くことをおすすめします。
イギリスの北部に位置していることもあり、涼しく過ごしやすい気候となっています。夏であれば日中は半袖でも過ごせますが、日が沈むと冷えるため、長袖を常備するようにしましょう。冬は氷点下を下回ることはあまりない一方で、風が強いのが特徴です。厚手のウィンドブレーカーがあると安心でしょう。
そしてエディンバラには、16世紀に建てられた古い建物が残るオールドタウンと、18世紀に建てられた比較的新しい建物が残るニュータウンという新旧2つの街が同時に存在しています。
この2つの街並みは「エディンバラの旧市街と新市街」として世界遺産にも登録されていて、エディンバラの魅力の1つです。そのほかにも、キャッスル・ロックという岩山に立つ城塞「エディンバラ城」や、イギリス王室の船としてかつて活躍した「ロイヤルヨット・ブリタニア号」など、街全体を通して歴史を感じられます。
今回はイギリスの各都市についてその概要を紹介してきました。
イギリス=ロンドンというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、ロンドンはイギリスの1つの側面にすぎません。
これからイギリスへ留学する、観光で訪れるという場合は、ぜひロンドン以外の都市にも訪れて、イギリスを堪能してみてください。