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自分のカラダに自信を!世界で広がる「ボディ・ポジティブ」 とは?

自分のカラダに自信を!世界で広がる「ボディ・ポジティブ」 とは?

InstagramやX(Twitter)で外国人のファッションブランドやモデルなどをフォローしていれば、body positivity(ボディ・ポジティビティ)という言葉を聞いたことある人もいるのではないでしょうか。

日本語では「ボディ・ポジティブ」とも呼ばれます。

今回は、この概念がどのようにして誕生したのか、また英語で body positivity について会話するときに役立つ知識や表現を紹介したいと思います。

「ボディ・ポジティブ(body positivity) 」ってどういう意味?

簡単に言うと、「ありのままの身体を、前向きに受け入れる」という意味になります。

太っていても痩せていても、自分自身の身体を受け入れ、ポジティブに考えようという概念です。

しかし body positivity は、人によってさまざまな意味合いがあり、なかにはこのように捉える人もいます。

  • 自分の身体を大切にすること
  • 自分の身体に自信を持つこと
  • 自分の体型や大きさを受け入れること
  • 自分の思う「欠点」を受け入れ、身体を大切に想うこと
  • 自分の身体を楽しむこと

近年普及しているSNSは、特に若者の考え方に大きな影響を与えています。

DMM英会話のオリジナル教材「デイリーニュース」に掲載されているこちらの記事によると、InstagramとSnapchatは若者にもっとも悪影響を及ぼしているSNSだと研究で明らかになりました。

中毒性があるSNSですが、これは睡眠の質の低下、不安障害やうつ病、孤独感、そして自分の身体や外見に対するマイナスなイメージなどの症状をもたらしていると言われています。

筆者も、インスタグラムで美しい女優やモデルの写真を見ると、少し嫉妬してしまうところがあり、メンタルに良くないのであまり見ないようにしています。

そう考えると、自分の外見がどんな形でも色でも大きさでも、「それが自分なんだ」と受け入れることは本当に大事なのだなと思います。

Body positivity movement はいつ始まったの?

身体にコンプレックスを抱いてしまうのはよくあることです。社会によって広く受け入れられている「美しさ」の定義があると、自分はその条件に当てはまっていないと思ってしまい、余計コンプレックスが生まれることもありますよね。

しかし、このコンプレックスにより、人によっては摂食障害、うつ病、不安障害、薬物乱用などを含むさまざまなメンタルヘルスやフィジカルヘルスの問題が生じてしまうことがあります。

そんな状態を防ぐ、コンプレックスを抱く人たちを減らす、という思いで生まれたのが body positivity movement(ボディ ポジティブ ムーブメント) なのです。

Body positive という言葉は、1996年に心理療法士と摂食障害の治療経験者が、thebodypositive.org というウェブサイトを開設したことにより誕生しました。

しかし実は、それ以前からこの運動は始まっていたのです。

1969年に、ふくよかな人の権利を守り、生活の質を向上させることを目標とした団体が NAAFA(National Association to Advance Fat Acceptance)という名前で設立されました。この組織は、ボランティアによるNPO (Non-Profit Organization:非営利団体) です。

NAAFAは教育や支援を通して、体格による差別などをなくすために現在でも日々活動しています。

そんな長い歴史を持つ運動ですが、body positivity という言葉自体は、2012年になってから世間的に普及されるようになりました。

この運動の一番の目的は、非現実的な女性の美の基準を、より現実的なものに移行させることです。

ちなみに、body positivity を主張する芸能人もたくさんいて、そのなかでも歌手・フルート演奏者のLizzo(リゾ)や、プラスサイズモデルのAshley Graham(アシュリー・グラハム)に影響力があるとされています。

「ボディ・ニュートラル(body neutrality)」との違い

ヨガをしている女性

Body positivity とは別で、body neutrality(ボディ・ニュートラリティ)という言葉があります。日本語では body neutral からそのまま「ボディ・ニュートラル」と表現されます。

実は、body positivity の活動を肥満に伴う医学的合併症を軽視する不健全な文化として捉えている人も多いのです。

しかし、痩せている人が全員健康ということもありません。

また、body positivity 運動により、外見を気にする人が逆に増えてきているのではないかと考える人もいるそうです。

それに伴い生まれたのが、この body neutrality という概念。

これは、自分の身体がどんな形・大きさでも愛するということに焦点を当てるのではなく、身体が自分に何をしてくれるかに焦点を当てた考えです。

自分の身体をありのままに受け入れ、外見ではなく、その優れた能力などを認めることを促進する運動です。

たとえば、「脚」を body positive に捉えるとしたらこうなります。

I love my legs even though they are not muscular or thin.
「自分の脚は、筋肉質でも細くもないけど、大好きだ」

そして、同じ「脚」を body neutral で考えると、以下のようになります。

I love my thick legs because they are strong and help me walk.
「自分の太い脚は強い。そして歩くためにも必要だから大好きだ」

前者は、外見に中心を当てた考え方ですが、後者は脚の機能を大切にする考え方なのです。

ボディ・ポジティブにまつわる英語表現

英語で body positivity について語るときは、さまざまな単語や表現を聞くことがあります。そのなかで、みなさんに知っていただきたいワードを抜粋しましたので、よかったら覚えていってください!

Body image(ボディ・イメージ)

自分の身体に対するイメージで、日本語では「身体像」と言います。

ここで、body image という言葉を使った例文を見てみましょう。

In order to have a positive body image, you must remind yourself that looks don’t define you.
「ポジティブなボディイメージを持つには、外見がすべてではないと思い出すことが大切です」

Beauty standards(ビューティー・スタンダード)

社会が作りあげる「美の基準」のことを指します。

たとえば日本では、化粧品の広告などを見ていると、「小顔」や「透明感のある白い肌」、「サラサラとしたツヤのある髪の毛」などの外見的な特徴が美しいとされているように思えますよね。Beauty standards はこういった暗黙の美の基準のことを意味します。

Not being able to meet modern beauty standards causes many young people to feel bad about their appearance.
「現代の美の基準を満たせないことで、多くの若者が自分の外見を悪く思っています」

Plus size(プラスサイズ)

現在は「プラスサイズモデル」や、洋服を買うときに「プラスサイズ」という言葉をよく見かけるかと思います。

お店やブランドによっては、XLから9XLまで、幅広いサイズが置かれていることがあります。

お店でプラスサイズの洋服があるのかどうかを知りたいときは、このように聞くことができます。

Does this store have plus size clothing?
「このお店はプラスサイズの洋服を置いていますか?」

Curvy / thicc(カーヴィー / シック)

curvy は「曲線美を持った体型」を表す言葉で、thicc は thick(厚い・太い)から生まれたスラング。こちらの言葉は、失礼にもなる fat や big の代わりに使われることが多いです。

I’m curvy and I’m proud.
「私は曲線美のある体型を誇りに思っている」
My legs are thicc and I love them.
「私の脚は太いけど、それが大好き」

Cellulite(セルライト)

皮膚に現れるデコボコした脂肪細胞や繊維組織のかたまり。主に太ももやお腹、二の腕やお尻などにつきます。

セルライトの見た目を気にして除去する人もいますが、これは自然なのでわざわざ落とす必要はないと考える人も増えてきています。

Having cellulite is natural; we shouldn’t be ashamed of it.
「セルライトがあるのは自然なことだ。恥じる必要はない」

Fatphobia(ファットフォビア)

Phobia(恐怖症)という単語が含まれているとおり、太ることへの恐怖感、または太った人に対する恐怖のことです。そして、このような思想を持つ人のことを a fatphobic person と言います。

しかし、この言葉はあまり使わない方がいいとされています。なぜなら、単なる差別的な言動を「恐怖」と表していて、これは違うのではないかと批判している人が増えてきているからです。

代わりに使える言葉としては、以下が挙げられます:

  • anti-fatness(アンチ・ファットネス)
  • anti-fat bias(アンチ・ファット・バイアス)
  • sizeism(サイズイズム)
  • fatmisia (ファットミジア)

こういった言葉に言い換える方が無難ですが、fatphobia という言葉も存在するので覚えておくといいでしょう。

Instead of saying “fatphobia,” you can use terms like “anti-fatness” or “sizeism.”
「『ファットフォビア』と言う代わりに、『アンチファットネス 』や 『サイズイズム』といった言葉を使うと良いでしょう」

fat-shaming(ファットシェイミング)

Fat-shaming とは、太っていることを批判したりわざと目立たせたりして、人に恥ずかしい思いをさせる行為のことです。

また、体型に関わらず誰かの外見を批判することは body-shaming と言います。

Fat-shaming someone in public or in private is unacceptable.
「公の場であれ私的な場であれ、誰かの体型を侮辱することは許されない」

Eating disorder(イーティング・ディスオーダー)

日本語では「摂食障害」と言います。

不健康な食習慣を引き起こすさまざまな心理状態を指し、自分の体重や体型への執着から始まることが多いそう。こちらは性別や年齢関係なくかかる病気ですが、もっとも多いのは10代から20代の女性だと言われています。

また、このなかで一番よく聞く病名は anorexia(拒食症)、bulimia(神経性大食症)、そして binge eating disorder(過食症)です。

Eating disorders most commonly affect women in their teens and twenties.
「摂食障害は、10代から20代の女性がもっとも多くかかります」

Self-esteem(セルフ・エスティーム)

自尊心」という意味。

また、self-love(セルフ・ラブ) や self-acceptance(セルフ・アクセプタンス) という言葉もあります。self-love はナルシスト的なニュアンスはなく、いい意味で「自分を愛する」や「自分に自信を持つ」というふうに使われます。

Self-acceptance は「自分を受け入れる」と、ポジティブな意味で使われますよ!

Negative body image leads to low self-esteem in many young kids and adults.
「ネガティブなボディイメージは、多くの若い子供や大人の自尊心を低下させる原因となります」
It's important to practice self-love and self-acceptance, as it leads to more confidence.
「自己愛と自己受容を実践することは、自信につながるため大切なことです」

どんなカラダでも愛そう!

Body positivity movement は海外では進んでいますが、日本ではまだ浸透していない文化ですよね。

どんな体型でも、自分らしく過ごせることが一番大事です。

そして、こういう社会運動によって、コンプレックスを抱えて生きている人たちや、自分の外見へマイナスなイメージを持っている人が減っていくのは素晴らしいことだと思いませんか?

そうとはいえ、健康に気をつけることも大事です。

適度に運動をして、健康的な食事を食べつつ、自分なりに自信を持てる身体にしていくことが良いのではないかと思います。

ぜひみなさんも英語で身体の話をしたり、body positivity について話を広げてみてください!