「顔が小さい」は失礼?アメリカで広がる「Body Shaming」とは

Body Shaming

あなたは「顔が小さいね」と言われたらどんな風に感じますか?

褒められた!うれしい!と思うでしょうか?日本では、顔が小さいことが理想とされる風潮が強いので、そう感じる方が多いかもしれません。

しかし、日本から一歩外に出れば、「顔が小さい」は褒め言葉として受け取られない可能性があるということをご存知ですか?

“You have a small face!”(顔が小さいね)と褒めたつもりが、顏(頭)が小さい=脳みそが小さいってこと!?と、相手を不快な気分にさせてしまうこともあるのです。

国や文化によって価値観が異なるということは、英語を学ぶ際に合わせて知っておきたいですよね。

この記事では、近年アメリカで広がる ”body shaming” についてお話したいと思います。
 

Body Shaming (ボディ・シェイミング)とは?

Body Shamingとは

“body shaming” は比較的新しい言葉ですが、次のように定義されています(*1)。

【名詞】 body shaming:
The action or practice of humiliating someone by making mocking or critical comments about their body shape or size.
(和訳:身体の形や大きさを嘲笑したり、批判的な意見を述べることによって、人に屈辱を与える行動や習慣)

【形容詞】 body-shaming:
Expressing mockery or criticism about a person's body shape or size.
(和訳:人の身体の形や大きさに関する嘲笑や批判を表現する)

※実際には、“body-shame”という動詞としても広く使われています。
出典: https://en.oxforddictionaries.com/definition/body_shaming

簡単に言うと、「人の外見を批判したり、あざ笑ったりして、はずかしめること」ですね。

この「批判」には、欠点を指摘して正そうとすることだけではなく、特定の概念に基づいて物事を判定・評価することも含まれる、と考えるとわかりやすいかもしれません。

近年アメリカには、"political correctness"(政治的な正しさ)に基づいて、この “body shaming” を非難する動きがあり、“body shaming” がメディアで叩かれることも多く見受けられます。

では、具体的にどのようなことが ”body shaming” に当たるのか、見てみましょう。

※”political correctness”:人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること(*2)。
 

他人に対する Body Shaming

他人に対する
Body Shaming

「もっと痩せたらいいのに」
「もっと太ったほうがいいんじゃない?」
「あんなに足が太いのにミニスカートを履くなんて」

このようなコメントは、実生活やメディアで頻繁に見聞きされるのではないでしょうか。これらはすべて特定の価値観に基づいて他人の外見を判断している言葉であることから ”body shaming” だとみなされます。

特に、太っていることに対する ”body shaming” は ”fat shaming”(ファット・シェイミング)とも呼ばれ、タブー視されています。

「もっと痩せたらいいのに」といったコメントをする人の中には、それを言うことで痩せるきっかけになって本人のためになると考える人も少なくありませんが、アメリカではこれを相手の立場を認めない差別的な行為だと認識されているのです。

太っていることが非難されるのは想像しやすいかと思いますが、”body shaming” はそれだけではありません。

例えば、“fat shaming” に対して、”fit shaming”(フィット・シェイミング)という言葉も登場しています。”fit shaming” は、鍛えられた身体を持つ人に対して批判的な意見を述べることです。

「鍛えすぎていて気持ち悪い」
「ムキムキだと女じゃないみたい」
などですね。

これも太っていることへの批判と同様に差別的だと捉えられます。

”body shaming” はこの他にも、背が高いこと・低いこと、手足が長いこと・短いこと、胸が大きい・小さいこと、髪の毛が多い・少ないこと…といったあらゆる身体的特徴に向けられるものです。

髪の毛が少なくて悩む人もいれば、多くて悩む人もいます。鼻が高いことが魅力的だと感じる人もいれば、そうでない人もいます。人の価値観はさまざまです。

冒頭の小顔の例のように、こういった価値観は国や文化が変わるとさらに多様化します。誰かに対する ”body-shame” を避けるためには、多様な価値観について理解することが不可欠です。

「自分と相手の基準が必ずしも同じではない」と認識することが大切ということですね。
 

自分自身に対する Body Shaming

自分自身に対する
Body Shaming

“body shaming” は他人に対するものだけではありません。

特定の概念を基準にしたり、他人と比較したりすることで、自分の外見を批判する形でも現われます。

理想とされる外見と比較して、「私はあんなに細くないし…」などと自分を卑下してしまう人は多いですよね。これはアメリカでは自分自身に対する ”body shaming” だと考えられています。

では、理想とされる外見はどこから来ているのでしょうか?

雑誌やテレビなどのメディアで「これが理想だ」「これが美しい」とされるものが、知らず知らずのうちに意識の中に入り込んでしまうのではないでしょうか?

雑誌に加工した写真を載せたりすることで非現実的な美意識を植え付けるのはやめよう、という動きがあることはよく知られているかもしれません。理想化されたボディイメージがつくられ、それが蔓延することによって、それを基準に自分を蔑む人が増えてしまうからです。

最近のアメリカではこれにとどまらず、発言に影響力のある有名人の「私はなんて太っているのかしら」といった自身に対するSNSのコメントも、太っていることをネガティヴだとする ”body shaming” だという理由からバッシングの対象となることもあるのです。

アメリカでは、フィットネス雑誌もここ10年ほどで大きく変わってきた印象で、最近はいわゆるモデル体型の人や筋骨隆々な人だけではなく、いろいろな体型の人が頻繁に登場するようになりました

どんな外見でも、誰かと比べて ”body-shame” する必要はなく、まずは自分をありのまま受け入れることが健康への近道ですよということが啓発されているのです。

多様な価値観の中で、固定されたイメージに振り回されるのは、とても疲れることかもしれません。”body-shame” をやめて、ありのままの自分に自信を持つことで救われる人は多いことでしょう。

またこれは外見に限りませんが、自分を卑下することで相手を持ち上げるという文化がないところでは、自分を卑下する人は自分に自信のない人だと認識されることもあります

謙遜することで損をしてしまう場合もあるので、自分についてネガティヴなコメントをする際には、相手がそれをどのように受け取るのかを考えてみるといいかもしれません。
 

まとめ

“body shaming” とはどのようなものか、お分かりいただけたでしょうか。

どんな外見でも批判されるべきではない。どんな見た目でも自分のことに自信を持っていい。

そういったメッセージが ”body shaming” に対する非難の裏にあるのではないでしょうか。

個人の持つ価値観は多様で、その多様性は国や文化が異なるとさらに広がる可能性があるということは、コミュニケーションを取る上でぜひ覚えておきたいですね。

“body shaming” はシンプルな言葉ですが、考えてみると奥が深いものです。

外見に対してあなたが持っている特定の価値観はどこから来たものなのか、一度考えてみると面白いかもしれません。
 

【参照】
(*1) https://en.oxforddictionaries.com/definition/body_shaming
(*2) https://dictionary.goo.ne.jp/jn/205468/meaning/m0u/