Amy
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サンクスギビングデーって聞いたことありますか?
アメリカで毎年11月の第4木曜日に祝われるこの日、家族や友人が集まって食事を楽しみ、感謝の気持ちを分かち合います。
それでは、サンクスギビングデーの歴史や世界での祝い方についてはご存知でしょうか?
今回は、このアメリカを代表する祝日のひとつ、サンクスギビングデー(感謝祭)について紹介します。関連する英語表現も最後に紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
サンクスギビングデーの起源は、1621年に遡ります。
16世紀終わりから17世紀初めにかけて、イギリスでは国の宗教である「イギリス国教会」に反した一派である Puritans(清教徒)が登場しました。その清教徒たちが、国からの弾圧から逃れてイギリスの Plymouth(プリマス)から、アメリカのマサチューセッツ州プリマスにやってきたのは1620年のことです。
アメリカ大陸にやってきた清教徒たちは Pilgrim Fathers(ピルグリム・ファーザーズ)と呼ばれました。彼らはアメリカ到着後に農耕を始めましたが、最初はなかなかうまくいかなかったそうです。
この難しい状況のなか、ピルグリム・ファーザーズを助けてくれたのは先住民のワンパノアグ族。彼らの知恵と助けにより、農作物を収穫できるようになったピルグリム・ファーザーズは、1621年に先住民を招待して収穫を祝う宴を開きました。これが、サンクスギビングの始まりです。
このとき、彼らは食べ物を分かち合い、互いに感謝の気持ちを表しました。この伝統が続き、1863年に第16代大統領のAbraham Lincoln(エイブラハム・リンカーン)大統領によって正式に11月最後の木曜日が国家的な祝日「サンクスギビングデー」として制定されました。ちなみに、こうして日にちが定められるまでは、州によって異なる日に祝われていたのだとか。
さらに1941年には、第32代大統領のFranklin D. Roosevelt(フランクリン・D・ルーズベルト)がサンクスギビングを11月の第4木曜日に制定しました。
これにはクリスマスシーズンにもっと消費者の購買を増やしてほしいという経済界からの要請で、前倒しにされた理由があるそうです。こちらのページでは、実際の制定に使われた書類を見ることができます。
最初こそ宗教的な背景をもっていたサンクスギビングですが、現在は宗教とは関係なく祝われる祭日となりました。
最も一般的な祝い方は、家族や友人と集まり、感謝祭ならではの料理を囲むこと。実家から離れている人たちにとっては、帰省のタイミングと言えるでしょう。
そして、サンクスギビングデーの伝統的な食事といえば、七面鳥のローストです!
アメリカでは、家族が集まって巨大な七面鳥を焼き、マッシュポテト、クランベリーソース、パンプキンパイなどと一緒に楽しみます。みんなでテーブルを囲み、お互いに感謝の言葉を述べたり互いの健康や幸福を祈ったりする時間。想像するだけで、素敵な時間ですね。
サンクスギビングデーは主にアメリカで祝われる行事ですが、カナダでも祝われています。カナダのサンクスギビングは10月の第2月曜日で、収穫を祝う意味合いが強いです。食事はアメリカと似ているものの、カナダ独自の料理も楽しむことが多いです。カナダでの祝い方の違いについてもみていきましょう!
カナダのサンクスギビングデーは、毎年10月の第2月曜日に祝われます。これは、アメリカのサンクスギビング(11月の第4木曜日)より約1ヶ月早いですね。
この違いは、カナダの収穫時期がアメリカよりも早いためとされています。カナダの気候がアメリカよりも寒冷な地域が多いため、農作物の収穫が早く終わることに由来しているようです。
カナダのサンクスギビングデーは、収穫に感謝する意味が強調されていて、アメリカの由来とは、また違います。
カナダでは、イギリス人のマーティン・フロビッシャーという探検家がカナダにやってきて、1578年に航海の成功を祝ったことがサンクスギビングの始まりなのだという説も。
カナダでもサンクスギビングには七面鳥(ターキー)を食べるのが一般的ですが、地域によってはハムやローストビーフを食べることもあります。
伝統的なサイドディッシュはアメリカと似ていますが、カナダ特有の料理として、ナナイモバー(Nanaimo bar)というデザートが人気です。 ブリティッシュコロンビア州のナナイモ市が発祥の、チョコレートやココナッツが使われたデザートです。
カナダのサンクスギビングデーは全国的な祝日ですが、ケベック州など一部の地域ではあまり祝われていないこともあります。
また、アメリカではブラックフライデーがサンクスギビングの翌日に続くため、祝日と消費活動がセットで考えられますが、カナダのサンクスギビングは10月。そのため、アメリカとは異なり感謝祭の祝日とは関連がありません。
カナダのサンクスギビングデーは、アメリカのものと似ている部分も多いですが、日付や歴史的な背景、祝う文化に違いがあるのですね。
カナダでは特に収穫の恵みを祝う意味が強く、家族や友人と共に感謝の気持ちを分かち合う温かい祝日です。
サンクスギビングデーは、現在は主にアメリカとカナダで祝われていますが、他の国でも似たような祝日や収穫を祝う日が存在します。
それぞれの国での祝い方や意味が少しずつ異なるため、以下にいくつかの国を紹介します。
カリブ海の小国グレナダでは、1983年のアメリカ軍による介入後、感謝の気持ちを表すためにサンクスギビングデーが祝われるようになりました。
アメリカのサンクスギビングとは異なり、10月25日に祝われています。この日はグレナダにとって、アメリカの軍事支援への感謝を象徴する日です。
西アフリカの国リベリアは、19世紀初頭にアメリカから解放された奴隷が建国した歴史を持つため、アメリカの文化的影響を受けています。
リベリアのサンクスギビングは11月の第1木曜日に祝われ、アメリカの伝統に近い形式で感謝の気持ちを表しますが、食文化や祝われ方は現地のものに変化しています。
元はサンクスギビングの文化はヨーロッパからきたものだと言われています。しかし、現代では北米での祭日として広まっていますね。
オランダのライデンでは、ピルグリム・ファーザーズがアメリカに渡る前に一時期滞在していた歴史があるため、アメリカのサンクスギビングデーを記念する形で祝う人々がいるのだとか。(筆者はオランダに住んでいましたが、聞いたことはありませんでした。)
ドイツでは、エルンテダンクフェスト(Erntedankfest)という収穫感謝祭があり、通常は9月末から10月初めに祝われます。これは宗教的な意味合いが強く、教会での礼拝やパレード、伝統的な農作物のお祭りのようなイベントです。サンクスギビングとは違いますが、収穫への感謝を示すという点で似ていますね。
日本では「勤労感謝の日」がサンクスギビングデーに似た形で、11月23日に祝われています。
これは労働と生産を祝い、国民が互いに感謝する日ですが、アメリカやカナダの感謝祭とは異なり、収穫というよりは働くことへの感謝がメインです!
ちなみに、日本では勤労感謝の日がその年で一番最後の祝日だと、ご存知でしたか?
このように、世界のさまざまな国で、違う形であったとしても感謝祭は存在するのですね!
みなさんも聞いたことがあるはず! むしろこちらの言葉の方が馴染みが深いかもしれませんね。
「ブラックフライデー=セールの日」と認識されている方も多いかと思いますが、これはサンクスギビングデーと密接な関わりがあります。ここからは、ブラックフライデーについて解説していきます!
ブラックフライデーは、サンクスギビングデーの翌日、つまり毎年11月の第4木曜日の次の日にあたります。サンクスギビングで家族や友人と感謝の食事を楽しんだ後、すぐにショッピングのシーズンが始まるという流れになっているようですね。
「ブラックフライデー」という名前の由来には諸説ありますが、そのひとつは、小売業者にとってこの日は1年で最も売上が高まる日であり、帳簿の赤字(赤インクで記録)から黒字(黒インクで記録)に転じる日だという意味から広がったと言われています。
「黒字になる」というこのポジティブな意味が強調され、ブラックフライデーは小売業にとって利益を上げる重要な日として広まり、現在のような大規模なセールイベントが定着しました。
ブラックフライデーは、クリスマスシーズンに向けたショッピングの開始日とされ、多くの小売業者がこの日を利用して大規模なセールを行います。
サンクスギビングデーの後、特に夜遅くから始まる「ブラックフライデーセール」に参加するために、早くから店舗に並ぶ人々が増えています。近年では、サンクスギビングの夕食後から店舗が開店することもあり、家族が集まる場からすぐにショッピングに移行する傾向が強まっているのだとか。
サンクスギビングデーとブラックフライデーは、アメリカ経済にとって非常に重要な時期です。多くの企業がこの期間の売上に依存しており、消費者の動きが景気に大きく影響します。
元々はサンクスギビングデーの翌日のみのイベントでしたが、現在ではセールがブラックフライデーの週全体やサイバーマンデーまで拡大し、オンラインでのセールも盛んになっています!
日本でも、サンクスギビングについては詳しく知らなくても、ブラックフライデーを楽しむ人は増えています。
ブラックフライデーは、もはや1日のみのイベントではなく、年末商戦の始まりを告げる象徴的な期間となりました。
このように、サンクスギビングデーとブラックフライデーは、感謝の気持ちを示す特別な日から、消費者活動の高まりへとつながる重要なイベントとなったのです。
この期間には、家族や友人との絆を深めるだけでなく、お得な買い物を楽しむこともできます。ブラックフライデーとサンクスギビングデーはセットで楽しめる、お得なイベントとも言えますね!
最後に、サンクスギビングデーに関する英語表現を紹介します。
サンクスギビングの夕食。家族や友人と共に食べる特別な食事を指します。
~に感謝している。感謝の対象を述べる際に使います。 サンクスギビングは、大切な人に感謝を伝えるいい機会です。
感謝の気持ち。サンクスギビングデーの本質を表す言葉です。
収穫祭。サンクスギビングの背景には、収穫を祝う意味があるため、この表現も使われます。
七面鳥の日。カジュアルな表現で、サンクスギビングデーを指します。
テーブルの周りに集まる。食事を共にする際の表現。
一緒に食事をする。親しい関係を築く行為を表します。
単に食事をするというだけでなく、食事を通じて人々がつながること、または和解や友好を築くことを象徴的に表す表現です。
自分の恵みを数える。恵まれていることに感謝する。感謝の気持ちを意識することを促すフレーズです。
このような表現を使って、サンクスギビングデーの雰囲気をより深く感じましょう!
サンクスギビングデーは、感謝の気持ちを分かち合い、家族や友人と過ごす素晴らしい日です。
歴史的な背景を知ることで、この日がどれほど特別な意味を持つかを感じることができたのではないでしょうか?
みなさんも、この時期には感謝の気持ちを大切にし、大切な人と素敵な時間を過ごしてみてくださいね。今回紹介したサンクスギビングの歴史や祝い方も、頭の片隅に置いておいていただけると幸いです!
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