新井 リオ
(更新)
こんにちは、新井リオです。
僕は20歳の頃、英語にハマりました。
経済的に留学はできなかったので、代わりにオンラインレッスンを使った「英語日記」勉強法を考え、今日に至るまで約5年間、ほぼ毎日、英語で日記を書いています。(DMM英会話も、5年以上やっています)
一昨年までは、カナダでイラストレーター/デザイナーとして働いていました(本職です)。
まだミスもしますしネイティブレベルとは言えませんが、ひとまず英語は話せるようになったと思います。
そして、今年の1月に『英語日記BOY』という本を出版しました。
本の中でDMM英会話を紹介させてもらったこともあり、今回久しぶりにこちらのブログで連載を書かせていただきます。
勉強法については書籍で詳しく書いたので、連載では「対話」をしてみたいと思いました。
自分自身まだ未熟で、当たり前ですが今でも悩みます。
それでも自信を持って言えるのは、「5年間真剣に英語を勉強してきて本当によかったし、カナダでデザイナーとして働いたことで驚くほどタフになった」ということです。
僕が経験してきたことから答えられる範囲での回答にはなりますが、お手紙のやりとりのような連載が書けたらと思い、質問を募集させていただきました。
(質問はこちらから)
では、第一回、スタートです。
わたしは現在23歳ですが、海外や英語に関わることをしていたいという漠然とした夢があります。しかし、住んでいるところは田舎。英語環境はほどんどありません。
新井さんは、アイディアがあれば、どんな課題にも立ち向かえるとおっしゃいます。実際に、英語環境がないことで英語が話せないなんて、言い訳にすぎません。
ではなぜ行動に移さないのか。夢が漠然としているからだと思います。でも夢を具体的に作りだすことでモチベーションが上がるとは思えないのです。
漠然とした夢をお持ちだった時期、エンジンが空ぶかしの状態のときはありましたでしょうか。そんなときに何を考え、どんな結論に至り、行動に移されたのか教えていただけないでしょうか。
新井さんはご自身が思うこと・感じることを非常に大切にし、常に物事に対して誠実でいらっしゃる方だと感じています。なので、質問に対して新井さんが一生懸命考えて、答えてくださる様子が目に浮かびます。
ほんとうにありがとうございます。これからも応援しています。
今回の連載で答える最初の議題を、おたまさんからの質問にしました。
文章がすごく素直な方だと思いました。この“素直さ”って、「英語習得」に直結するのではないかと個人的には考えています。
正直、日本で生まれた日本人の僕たちにとって、「英語習得」「海外生活」どちらもけっこう大変です。そんなときに大事なのが「とりあえず言われたことを素直にやってみる力」だと思います。
実は、ツールも手法も既にインターネットに溢れています。無料でアクセスできる情報はかなり多く、「言語学習に経済格差は(ほぼ)なくなった時代だ」と強く思います。
つまりおたまさんがおっしゃるように、(あえてビシっと言うと)「英語環境がないことで英語が話せないなんて言い訳にすぎない」といえてしまう世界になってきたんじゃないかと、僕自身も感じています。
で、こんな状況なので、既存の優れたツールや有益なアドバイスに対して「でも私は〇〇だからできないんです。他に方法はないですか?」という返答をしてしまう人よりも、「なるほど、ちょっと一回やってみます」とすぐに受け入れ実践できる素直さを持った人がどんどん英語を話せるようになっていきます。
英語はダイエットと同じ原理です。方法を知っている人ではなくて、方法を実践した人が結果を出します。だから素直に取り入れようとする人はつよい。ここにはセンスとかはいらず、やるだけです。
話が逸れてすみません。本題にいきます。
いただいた内容、「海外や英語に関わることがしたいという夢がある。でも漠然としすぎていて本腰になれない。かといって夢を具体的に作り出すことでモチベーションが上がると思えない。エンジン空ぶかしの時はどうしていた?」ということでした。
おたまさんが懸念している点ですが、たしかに「夢を具体的に作り出してもモチベーションは上がらない」かもしれません。
夢って意図的に作り出すものではなくて、既に心に自然発生しているピュアな感情のことだと僕は思っています。
夢って言葉が大きすぎるから混乱しやすいです。「NYのブロードウェイでアニーを演じたい」くらい壮大なことを言わないと夢っていっちゃいけないんじゃないか、みたいな。
でもそんなことないです。
そもそも日本で生まれた僕たちは、英語を学ばなくとも、海外に住まなくとも、日本の中でもっとイージーに生きていけます。意外かもですが、「英語に全く興味ない人」が日本にはかなり存在します。街でアンケートをとったら、「別に話せなくていい」って言う人、いまだに4~5割くらいいるんじゃないかな。
それなのに自分は「英語を話せるようになり、海外に住みたい」と思っている。これは超夢です。この感情って、(おたまさんが思っている以上に)他の人が持っていないスペシャルなものだと思う。
だからもっと大切にしてほしいです。既に自然発生しているこのピュアな気持ちだけを掘り下げればいい。それっぽいものをわざと作り出すのではなくて。
おたまさんが今「英語」「海外」に対して純粋に抱いている感情って、「かっこいい」だと思うんです。話せたらかっこいいし、住めたらかっこいい。
これが嘘で作り出したわけではない本当の感情なんだとしたら、勉強する理由は「かっこよくなりたいから」で全然いい気がします。
なんとなく自分に嘘をつき、社会の夢の定義に翻弄されすぎて、「シ、シリコンバレーで、起業するために」みたいになっちゃうと本末転倒です。まあちょっと大袈裟ですけど。
夢は大きさじゃなくて強さです。
「それを本当に強い気持ちで思えているか?」が大事だと僕は思います。「おいしい卵焼きを絶対に作りたい」と思い、家で毎日練習している人がいたとしたら、僕はかっこいいなと思います。みんなが一流シェフにならなくていいんです。
もっと自分のためでいい。だから、あまり周りのことは気にせず、今の自分が英語と海外に対して嘘なく思っている、一番強い感情だけを大切にしてください。
ここでは仮に「かっこいいから」にして、話を進めてみます。(極論、「モテたいから」でも全然いいと思います。)
ちなみに僕も英語が話せることを「超かっこいい」と思っています。
でもなんでかっこいいんですかね。言語が一つ話せるだけなのに。僕たちも日本語話せますもんね。これもアメリカ人からみたらかっこいいのかな?
これは多分、英語が「世界言語だから」というのが一つ理由にある気がします。「英語だけ話せる人」と「日本語だけ話せる人」では、住める国・関われる人・できる仕事の数が全然変わってきますもんね。この優位性みたいなものに惹かれているのかな僕たちは。
あとはやっぱりカルチャーもあると思います。世界を牽引する映画や音楽は、今の時代アメリカ発のものが多いですよね。そういうのを見て育ってきたから、いつまでも憧れの対象なんだと思う。
まあとにかく英語は「かっこいい」です。それでいいと思います。
僕、いまだに自分の口から英語がでてくることに感動しながら話しています。
で、この感動は想像以上に“おかず”になります。「かっこよさ」って、それだけで、頑張れる理由になるんです。
今から英語を学ぶ人にも、この「英語が自分の口から出てくる感動」を忘れないでほしいと強く思います。
無理に英語を仕事にしなくてもいいと思うんです。日本は特にこの風潮が強くて、僕たちはついつい「仕事につなげてお金を稼がなきゃゴールじゃない」って思っている。でも、仕事は仕事でなるべくノンストレスなものを見つけて、趣味として英語を楽しむのも最高にかっこいいと思います。
だって、子供の頃そんなこと考えなかったじゃないですか。楽しいから、かっこいいから、僕はサッカーしてた。プロになれるほどうまくはなかったけど、サッカーをしている今が楽しすぎた。その楽しすぎる今の連続が生活になっていた。英語もそんな感じでいいのにな。
なんだか具体的なアドバイスができていない感じがして不安になってきたので、おたまさんが「今日にでもできそうなこと」を最後に頑張って書いてみます。
まず、繰り返すように、新しいモチベーションを捏造する必要はありません。
じゃあどうするかというと、既に抱いている「英語はかっこいい」という感情を守りながら、オリジナルワードで補強して、輪郭をつけていくのがいいと思います。
どういうことか?
「来年の夏、アメリカに好きなバンドのライブを観に行くとき、本人に感想を英語で伝えられる私はすごくかっこいいから、英語を勉強する」
「大学の英語のクラスで好きな人がいて、英語を流暢に話している姿を見せられた俺は絶対にかっこいいから、英語を勉強する」
みたいな。
既にピュアに思っている「かっこいいから」を厳守しつつ、こうやってオリジナルワードでかっこよさの詳細を補強します。
目標の輪郭をはっきりさせると何がいいかと言うと、「今日の自分が何から勉強すればいいか」がわかります。
本当に言いたい英語だけ言えるようにする。
前者の「アメリカのバンドに感想を伝えたい」人は、「You are cool.」以上のオリジナル褒め言葉を言えるようにするんです。例えばこんな文章を、ググりながら作ってみます。
I’ve been listening to your music since I was in high school. Your music literally changed my life. I’ve always wanted to express my gratitude.
「高校生の頃からあなたの音楽を聴いていたんです。本当に、人生を変えてくれました。ずっとこの感謝を伝えたかったんです」
次は、この英文が一瞬で言えるように何度も口に出して練習します。実際に本人に伝えるとしたらどんな感じになるかなーとワクワクしながら、そしてアメリカのライブハウスを頭で想像しながら言う。100回くらいは繰り返します。
そうすると、「口がこの英文を覚えている状態」になり、瞬時に言えるようになります。
これが「英語が話せる」の正体なんです。
「自分が言いたい英語」だけ言えればいいんです。
そして、このストックを増やしていくようなイメージ。これだとあまり勉強感なくできそうじゃないですか?
ハードルを下げて勉強しやすくデザインするところまでが努力だと思います。
最初におたまさんが言ってくださったように、僕たちは漠然としたことに対しては頑張れないんです。
だから具体的にしたほうがいい。ただ、具体的にする方法は、大きな夢を無理に外部から作り出すんじゃなくて、自分の中から探す。
そもそもなんで英語が話せるようになりたいんだっけ?
なにがきっかけだった?
思い出してください。ここにコツはないです。めちゃ考えて思い出す。心と向き合う。たぶん僕にはわからない、おたまさんなりのドラマがあるんだと思う。勉強は自己理解だとさえ思います。
そのあとは、今すぐにでも手をつけられる小さい単位に落とし込みます。「これが言える私はかっこいい!」と思える英語フレーズを、一日一つ覚える。これだけで立派な勉強です。
最後に一点、ちょっとした励ましの言葉になれば嬉しいのですが、おたまさんが既に得しているのは、「英語が話せた方がよさそうだから」という理由ではなく「英語が話したいから」という理由で悩んでいるところだと思います。
何度も言いますが、自然発生以外の感情(例えば、なんだろう、利益だけを優先した結果生まれた感情とか、心で納得してはいないけど社会的に良いとされている考え方)を糧に毎日頑張るのって、けっこうむずかしいんです。
だからこそ、おたまさんが既に「英語・海外にピュアに憧れを抱けている」のは超強みだと思いますから、本当に大切にしてほしいです。
勉強は本来楽しいですからね。今日新しいフレーズを習得した自分に感動しながら、マイペースに。
新井リオへの質問はこちらから。
次回の連載更新は4月上旬予定です。
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