相談:AI時代に英語を勉強する意味はあるの?【新井リオの『Q&ABC』vol.10】

新井リオの『Q&ABC』vol.10

Q&ABC は、『英語日記BOY』の著者・新井リオが、「英語・海外生活」にまつわるみなさんからの質問に答えていく連載です。

(質問はこちらからできます)
第10回のテーマは、「AI時代に英語を勉強する意味はあるのか?」です。

【質問(みおさんより)】
英語はこれからAIに取って代わられる代表言語だと言われますが、それでも勉強する意味はあるのでしょうか。

I like you. と I love you.

I like you. と I love you.
「AI時代に英語を勉強する意味はあるのか?」ということですが、

僕は「ある」と強く思っています。

少なくとも僕は「ある」方の人間です。でも、「ない」人もいるんだと思います。

どういうことか?
すごく良いテーマなので、今日はこのトピックについて思うことを全部話したいです。

まず、今後いくらAIが発達しても、ニュアンスを完全に再現するのは不可能だと思っています。

なぜか?
ニュアンスは、その瞬間の人間の意思に由来するからです。

例えば、みなさんに「英語が母国語である結婚相手(パートナー)」がいて、日頃の感謝を込めて相手に「好きだよ」と伝えたいとします。

この「好きだよ」を自動翻訳に認識させると、AIはおそらく「I like you」と相手に伝えます。
しかし、この場面で「I like you」って、ちょっと軽いんじゃないかと僕は思います。

いや、うーん、「I like you」が一概に軽いといっているのではありません。

例えば、出会って日が浅いけど、徐々に仲が良くなってきた相手の目を見つめて「I like you」といえば、それはほとんど「好きです」と告白しているような雰囲気になると思います。

なので、「I like you」には「相手が好きだ」という思いを伝えるポテンシャルはあるんです。

でも、例えば結婚相手(または家族)に向かって「I like you」は、ちょっと違和感があります。

長い間寄り添ってきた相手に対しては、「大切な存在なんだよ」的な意味がもう少し含まれている「I love you」の方がマッチするんですね。

つまり、「好きだよ」という言葉は、その瞬間の発言者の意思によって「I like you」にも「I love you」にも訳せてしまう。これがいわゆるニュアンスです。

にもかかわらず、「ひとまず一番近いとされている言葉を機械的に当てはめてしまう」のが自動翻訳なんです。

人間の意思に由来するニュアンスを、AIは100%再現することができない。

つまり、自分の真意は、いつになっても自分自身が選び出した言葉でないと伝わらないのです。

自分はAIで満足できる人間か?

自分はAIで満足できる人間か?
別角度からもう少し踏み込んで話します。

この動画を見てください。Microsoftの自動翻訳システムのDEMO動画です。

純粋にすごいですよね!
2016年の時点でこれなので、今後精度はもっと上がっていくと思います。

ただ僕が思うのは、あれだけ叶えたかった「英語が話せるようになる」という目標の終着点がコレで、自分は満足できる人間なのか? ということです。

おそらくこのブログを読んでいる多くの方は、「自分自身が英語を話せる人になりたいと一度は憧れたことのある人」だと思うんです。

この感情って、いくらAIが発達しても、「自分が」英語を話せるようにならない限り一生満たされないものだと思います。

言い換えるなら、「一度はニューヨークに行ってみたい」と願った人が、「ニューヨークのGoogleストリートビューで満足できるか?」というのと似ているかもしれません。

利便性を享受するのと、自分自身で体感するのってやはり違います。

特に、そこに個人的な「叶えたい」というドラマがあるなら、それは「自分で一度やってみないと」一生後悔し続けると思います。

AIはめちゃくちゃ便利で「使えるアイテム」ではあるのですが、「英語が話せるようになりたい」という人の夢を代わりに叶えてくれるものではないんです。

自分の感動のために勉強する

自分の感動のために勉強する
僕自身、英語の勉強を始めてから7年ほど経ちます。今、ある程度話せるようになりましたが、ここで自分にこんな質問を問いかけてみます。

「自動通訳が今よりもっと発達した世界が待っているとして、7年間勉強してきたことを無駄だったかと思うか?」

答えは絶対にNOです。

なぜなら、自らの努力で言語を一つ習得したという出来事が強い自信になり、今の自分のアイデンティを形成しているからです。

こんなこと自分で言うのは恥ずかしいですが、僕、いまだに自分の口から英語が出てくることに自分で感動するときがあります。

「今、この口から出ている言語は、日本で普通に暮らしていたら使うことのなかった言葉であるにも関わらず、自分自身が勉強を重ねてきた結果、使うことができているんだ」という事実が、自己肯定感の低かった自分を、根底から支えてくれているんです、今。

勉強しなくてもいい人

勉強しなくてもいい人
とはいえ、AIの発達によって「勉強をしなくてもいい人」も現れると思います。

それは、「〇〇のために必要という理由だけで勉強していて、英語自体に個人的な思い入れが特にない人」です。

そういう方は、むしろ今は本職を磨き上げることにフォーカスして、まさしく海外に出る際のアイテム/ツールとして自動翻訳を使えばいいと思います。

ちなみにこれ、僕も例外ではないんですね。

僕は英語が大好きですが、「全ての言語が好き」というわけではないので、例えば「ポルトガル語を使って世界に進出したい」と思ったとき、自動翻訳がその夢を補助してくれるなら、もうバリバリ使っちゃおうと思います。

判断基準は、「その言語を自分の口から話してみたいと個人的に思ったことがあるか否か」です。

言語学習はエンタメ化していく

言語学習はエンタメ化していく
まとめるなら、言語習得は今後、「エンタメ化」していくような気がします。

「AIがこれだけやってくれるのなら、自分は話せなくても全然いいや」と本気で思える人にとっては、真面目にコツコツと勉強しなくても良い時代がもうすぐくるのかもしれません。

しかし、このブログに行き着いてくれるような方の多くは、英語を話せるようになりたいと思った発端の一つに「憧れ」があるのではないでしょうか?

繰り返しになりますが、「憧れ」はAIでは絶対に埋められない穴です。

だから「自分が」やるんです。

僕はイラストレーターですが、これだけ無料で使えるイラスト素材が溢れているにも関わらず、「自分で絵が描けるようになりたい」という憧れを持っているが故に、毎日絵を練習しています。

で、これってもうエンタメだと思いませんか?

誰からやれと言われたわけでもないのに、個人的にやりたいからやる。

「楽器を弾く」、「絵を描く」といった行為の同列に「言語を学ぶ」が来ているんです。

誰から強制されたわけでもないのに、ご自身が「英語を話せるようになりたい」と思った事実に、もっと自信を持って欲しいです。

「何かを叶えたい」という自然発生的な思いは、想像以上に貴重な感情です。

人生でそう何度も出てくる感情じゃないと思います。

そんな自分のピュアな欲望に忠実になってみた人生、きっと楽しいです。毎日ワクワクしちゃいます。

僕は毎日英語を勉強するたび、あー、自分の人生を生きているなと思います。

さいごに

さいごに
色々書きましたが、少なくともあと5~10年は、「母国語の感覚で話せるAIツール」は出ないと思います。

で、すごいスピード感で時代が流れる今、5~10年って超大事じゃないですか。

10年って、30歳の人が40歳になるんですよ。

その期間、「AIよ、頑張ってくれ〜〜」と祈り続けるくらいなら、1年間本気で英語に向き合って、翌年からガンガン英語を使って人生を豊かにしていく方を僕は選びたいです。

あと、最後にひとつ。

一番最初に出した、英語話者のパートナーに「好きだよ」と伝える例ですが、

仮に「I love you」とAIが伝えることができたとして、そのアイラブユーは、機械に言ってもらうのですか?

絶対に自分の口から言いたくないですか!

どれだけAIが優れても、生身の人間が持つパワーには勝てないのだと思います。

質問も引き続きお待ちしています!
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人に話すと楽になると思います。

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