新井 リオ
(更新)
Q&ABCは、『英語日記BOY』の著者・新井リオが、「英語・海外生活」にまつわるみなさんからの質問に答えていく連載です。
(質問はこちらからできます)
みなさん体調は大丈夫でしょうか?
COVID-19が流行するなか、気持ちが不安になりがちだと思います。自分もドイツへの移住が延期になりましたが、この期間を“長めの助走”だと思うようにしました。
ステイホームな今は、無理に結果を出すよりも“勉強に集中すること”を正しい努力とし、前を向こうとしています。
さて、第2回のテーマはオンライン英会話です。
僕は5年以上DMM英会話を続けているヘビーユーザーです。オンライン英会話に対する悩みも喜びも全て経験してきたような気がします。
とにかくオンライン英会話が大好きで、この連載はもともと、僕のオンライン英会話偏愛記を書きたいと思ってスタートしたくらいです。今回はこんな質問をいただきました。
リオさんの影響で最近英語の勉強を始めました。
自分のペースで進められる独学は楽しいのですが、普段英語を使う機会がないため、会話の練習がひとりごとくらいしかできません……。
そこで、オンライン英会話を始めたいと思っているのですが、緊張してどうしても躊躇してしまいます。1度だけ無料のトライアルを受けてみましたが、やっぱり英語が思うように喋れない恥ずかしさやこわさ、緊張感があり、申し込みまで踏み切れません。
でも、やってみたい気持ちはあるんです。
リオさんはオンライン英会話を始めるとき、こわくはなかったですか? アドバイスなど頂けたらうれしいです。よろしくお願いします!
不安定な日々が続きますが、くれぐれも体調にお気をつけください!
まとめると、「オンライン英会話はどうすればこわさを感じずに楽しめるか?」ということかなと。
僕はいま、オンライン英会話に対するこわさは全くありません。始めたばかりの頃はこわさもあったのですが、続けるうちになくなりました。
今日は、質問をくださったあべさんを含む、これからオンライン英会話を始めようとしている人、または始めたけどなかなか続かない人に僕ができるアドバイスを3つにまとめてみました。
①英語は間違えながら使うものである②オンラインでの英語学習は「ドライブ」のようなもの③(自分にとって)優しい先生に出会う
それでは順番に見ていきましょう。
まず、これはオンライン英会話に限らず、英語話者と話す全てのシチュエーションで思い出してほしいことなのですが、「英語は間違えながら使うもの」だと思っています。
というのも、英語は世界共通語であり、「第二言語として話されることが非常に多い言語」です。つまり、ネイティブスピーカーは「完璧ではない英語を聞き取ることに慣れている」と言えます。これが日本人にとっての日本語との違いだなと。
だからこわがることなく、たくさんミスをしながら話して大丈夫なんです。みんなかなり聞き取ってくれます。理解しようとしてくれます。
そもそも第二言語としての英語って、想像以上に「ツール」の要素が強いです。だから、「正しく話す」ことよりも、多少のミスは気にせず「実用的に使う」ことが実は一番大事です。
僕がすごく好きで、勇気づけられた言葉があります。
Never make fun of someone who speaks broken English. It means they know another language.
「英語を流暢に話せない人を馬鹿にしてはいけない。彼らはもう一つの言語を話せるということなのだから」
実際僕も、“ネイティブと同じレベル”で英語を話せるわけではなく、いまだにかなりミスをします。しかしカナダに住んでいた時、僕の英語を笑う人は、本当に、一人もいませんでした。
現地の友人は、「僕たちは母国語が英語ですごく得をしていると思う。だから第二言語として英語を学ぼうとする人を尊敬するし、聞き取るのはこちらの仕事だよ」とまで言ってくれました。
もちろんカナダの優しい国柄のおかげもあると思います。僕が出会っていないだけで、意地悪な人はどこかにいるかもしれません。
しかし「オンライン英会話」は、“レッスン”なので、日常生活よりもっと「間違って当たり前」の土壌が整っています。
25分間、画面の中には、
「ミスをして当たり前の自分」
「ミスを決して笑わずに一緒に高みを目指してくれる先生」
の二人しかいません。
こう考えると、実はこわがる要素ってないんじゃないかなと思います!
どんなレベルの人でも今日から始められるのがオンライン英会話の良いところです。
次は、数ある勉強法の中でもなぜ「オンライン英会話」がいいか、について話します。これを理解すれば、もっと心地よくオンライン英会話を始められるのではないかと思います。
まず、オンライン英会話自体は「目的」ではなく「手段」です。
旅行でいうところの「交通手段(どうやってそこまで行くか)」にあたります。
僕たちの多くが叶えたい「目的」は、あくまで「英語を話せるようになること(現地に着き、旅行を楽しむこと)」です。
これ、本当に意外と忘れちゃうので紙に書いて部屋に貼っておいてもいいくらいです。つい足元ばかり見てしまうんです。
で、その目的を叶える「手段」として、海外語学留学、英会話スクール、参考書など、いろいろな方法があります。
この中で僕は、ぶっちぎりでオンライン英会話を推している、ということです。
これらの学習方法を、「旅行先に行くまでの交通手段」に置き換えると、以下のような感じかなと、個人的に思っています。
そう、オンラインでの英語学習は「ドライブ」のようなものです。
それは、「主導権を握り、自分で運転できるところ」が似ていると思うからです。
留学も英会話スクールも素晴らしいサポートをしてくれると思いますが、「生徒である自分が、先生から教わる」というスタンスが強いように感じます。まさに、お金を払って交通機関に乗っている感覚です。
もちろんこれでも良いのですが、どんな手段を使ったとしても、結局勉強とは「限りなく自分自身のおこない(能動的なもの)」です。
「やらされている感」、または「英語とはだれかに教わるものだ」という受動的な意識がありすぎると、踏ん張りがきかなかったりします。
一方でオンライン英会話は、
「自分が英語を話すのがレッスンのメインである」
「自分でカスタマイズした内容について学べる」
という意味で、かなり能動的です。
やらされている感よりも「やっている感」の強い学習法だと感じます。
こうして能動的に練習していると何が良いかというと、それこそドライブの道中で「自分だけのお気に入りスポット」を見つけるように、「プロセスそのものが楽しい」ということが起こります。
「発音、こうしたらもっと上手く言えるじゃん!」とか、「この前覚えたあのフレーズ、ここでぴったり使えるじゃん!」みたいな「攻略的な楽しさ」に出会うことができます。
プロセスを楽しめるものは続きます。逆に、英語に対して「勉強だ」「授業だ」というネガティブな思いが強すぎる間は、なかなか継続は難しいのです。
最後のポイントは、「優しい先生に出会う」ことです。
いろんなコツを書きましたが、正直自分も最初はこわくて、レッスン開始ボタンを押すのが憂鬱な時がありました。
それが何をきっかけに「楽しいもの」に変わったかというと、紛れもなく「優しい先生に出会ったこと」だと言えます。
ここまで、「英語はミスしてもいいんだ!」「オンライン英会話はドライブのように楽しいんだ!」ということを伝えてきましたが、それを体現してくれるような先生に出会えると、この記事に書いたポイントが一気に自分事になり、スっと身体に染み込んでいくと思います。
優しい先生に出会うには、
加えて、
が大事です。
というのも、「気の合う先生」は人によって違います。
会社に入社しただけで、最高の上司と巡り合えるわけではないのと同じように、こちらから能動的に見つけ、積極的に距離を縮めていくのです。
僕にとっての優しい先生は、「自分が間違えた英語表現を、それ違う!と指摘するのではなく、あくまでマイルドに教えてくれ、サッとチャットボックスに書き込んでくれるような先生」です。
初心者の方であれば、いちいちミスを正してもらうよりも、まずは「英語を口に出すこと」に慣れた方がいいと思うので、「ゆっくり丁寧に辛抱強く、自分の英語をウンウンと聞いてくれる先生(笑顔が絶えなければなおよし!)」みたいな感じかと思います。
結局僕たちは、素敵な人と話したいんです。
オンライン英会話って、極論「海外の友達とのおしゃべり」です。
僕自身、「この人のおかげでオンライン英会話が大好きになった」と言える先生が何人もいます。
例えば、僕の大好きなDaniel先生は、質問に対する答えがうまく英語で言えなかった時、「僕にもそういうことがあるから全然大丈夫だよ!これはネイティブスピーカーにとっても難しい話題だから気にしないでね。リオは本当に頑張っているよ」と声をかけてくれ、救われる思いでした。この気遣いの一言があったおかげで、「たとえ言葉に詰まっても、積極的に英語を話してみよう」と思うことができました。
また、Rhocille先生は、僕が毎回日記を書いてきて添削をお願いすることに対して、「こんな生徒は初めて!私も面白いから、遠慮せずに毎回見せてね」と言ってくれました。添削をお願いする前は「先生の負担になってしまうかな」と心配していたので、とても気が楽になりました。
Ruben先生は、もし普通に出会っていたとしても親友になっていたんじゃないかと思えるほど気が合います。日本人の友達に話してもだれも知らなかったような僕の好きなバンドを、たまたま彼も好きだったのです!「このバンドが好きならこれはどう?」とオススメの音楽をたくさん教えてくれました。
みんな、涙が出るほど優しいんです。
僕は基本的に毎朝6:30~から25分間のオンライン英会話レッスンを受けることにしているのですが、「明日の朝はDanielと会えるから早く起きよう」みたいなことを考えながら寝ます。
毎日でも会いたい先生が、スクリーンの向こう側にたくさんいるのです。
オンライン英会話は、世界中に友達ができた感覚を味わえる、これまでにない素晴らしいツールだと心から思います。
勉強勉強…と思うとつい忘れてしまいますが、そもそも僕たちは「海外の人と英語で話したくて」英語の勉強を始めたんじゃないでしょうか?
だとしたら、今まさにその夢が叶っている(叶えられる)んですよ!
もちろん「まだ十分な英語が出てこなくて…」と悩む人もいるかと思いますが、だからこそオンライン英会話をやって、少しずつ上手くなろうとしているんです。間違えるのはデフォルトで、ここに後ろめたさは要りません。
僕たちは今、最高の“途中”をやっているんです。
だれに急かされて始めた勉強ではありません。勉強は「自分のもの」なので、マイペースに楽しめたら素敵だなーと思っています!
新井リオへの質問はこちらから。
次回の連載更新は5月上旬予定です。
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