西東 たまき
(更新)
皆さんは仕事ですでに英語のEメールを書いていますか?
中には、これからマスターしなければならないという人もいるでしょう。でも、心配無用。英語のビジネスメールの書き方を教えてくれる本やサイトは多いので、それらを見れば一通り書けるようになります。
けれど、ビジネスメールの「常識」とされているいくつかの注意点が守られていないと、用は足せても相手に伝わる印象を損ねてしまいます。
当記事では、職業人としてきちんとしたビジネスメールが書けるよう、押さえておくべき注意点を挙げています。これからビジネスメールを書こうという人は、ぜひ目を通してください。
書き慣れている人も、いつのまにか独自のクセができているかもしれませんよ。この機会に再確認してみましょう!
日本語のビジネスメールでは「いつもお世話になっております」、社内であれば「お疲れ様です」といった決まり文句がありますね。英語ではどう書けばよいのか、最初はみな戸惑う点です。
しかし、英語のビジネスメールではこういった「習慣的フレーズ」を入れる必要はありません。
英語でも日本語でも、ビジネスメールは簡潔であることが重要とされますが、英語の場合はさらに意識するくらいが良いでしょう。日本語では当たり前の、こういった形式的なフレーズを挿入することを「ムダ」と感じる人は少なくありません。
慣れないうちは不躾に感じるかもしれませんが、英語のメールでは名乗った後に次のようなフレーズですぐ用件に入って大丈夫です。
・I am writing to inquire about ~
「~についてお伺いすべくメールしている次第です」
・This is to ask you about ~
「~の件についてお伺いいたします」
・We met at ~
「~でお会いした者です」
やり取りの流れや相手との関係性によっては、先方に気遣いを見せるフレーズで始めるのが適切なこともあるでしょう。
「お元気でしょうか」や「ご健勝のことと存じます」などに相当する次のような定番表現もあります。必要に応じて使います。
・I hope you are doing well.
「お元気でしょうか」
何度かやり取りをして相手の様子が分かって来たなら、状況に合わせて簡単な一文を添え、距離を縮めていくと良いでしょう。
・I hope you are feeling well now.
「体調は良くなったでしょうか」
適度にスラングを活用することで、こなれた印象や親しみを与えることができますね。
プライベートでは盛り上がるかもしれませんが、ビジネスメールでスラングを使うのは止めておきましょう。
場をわきまえない言葉遣いは、相手からの信頼もプロとしての自分のイメージも損ねてしまいます。もちろん、絵文字(emoticon)も避けましょう。
また、「!」(ビックリマーク/exclamation mark または exclamation point)も使い過ぎると子供っぽい印象を与えてしまいます。必要な場合のみにとどめておきましょう。
省略表記は文章を簡潔にすることができるので、上手に利用したいものです。
しかし、プライベートのSNSで使っているものをビジネスメールでそのまま使うわけにはいきません。ビジネス向けとプライベート向けを使い分けましょう。
略語 | 英語 | 日本語 |
approx. | approximately | 約 |
TBA | To Be Announced | 追って連絡 |
ETA | Estimated Time of Arrival | 到着予定日時 |
FYI | For Your Information | ご参考まで |
w/o | without | ~無しで |
略語 | 英語 | 日本語 |
Thx | Thanks | ありがとう |
doc | document | 書類 |
ASAP | As Soon As Possible | 早急に、できるだけ早く |
略語 | 英語 | 日本語 |
cuz | because | なぜなら |
U | you | あなた |
OMG | Oh My God | 何てことだ |
“I'm”、 “you're”、 “don't”、 “haven't”、 “shouldn’t” などの短縮表記は頻繁に使われますね。しかし、これらは「フォーマルな文章では使わない」ということを知っておきましょう。
ちゃんとしたビジネスメールを書こうとするなら、きちんと “I am”、 “you are”、 “do not”、 “have not”、 “should not” と書くようにします。
小さなことと思われるかもしれませんが、メールを受け取った方は印象が違います。頻繁に使う表現なので、きちんとしておくとイメージアップ効果が大きいポイントです。
相手の名前が分からないとき、“To Whom It May Concern” の表現を思い浮かべる人も多いことでしょう。日本語の「ご担当者様」や「関係各位」に相当するとされます。
しかし、このフレーズは最終手段にすべきものです。
日本語の「関係各位」とは、一斉にメール送信する際、各々の名前を書ききれないので代わりに使う表現ですね。一方、担当者の名前がどうしても分からないときに使うのが英語の “To Whom It May Concern” です。両者の違いがお分かりでしょうか。
「担当者」の名前が分からないとしても「担当課」が分かるのであれば、課宛にする方が適切です。このようにできるだけ相手を特定する宛て名を書く方が、“To Whom It May Concern” とするより責任を持って対応してもらいやすくもなります。
・Dear Development Team,
「開発チーム御中」
相手の名前に付ける敬称は、男性であれば一律 “Mr” が使えますね。しかし、相手が女性だと、「未婚」か「既婚」かによって “Miss”、 “Mrs”、はたまた “Ms” といった複数の選択肢が出てきます。
しかし、そもそもビジネスに「未婚・既婚」は関係ないですね。
相手からの指定がない限りは “Ms” を使うようにしましょう。“Ms” は女性であれば誰にでも使える一般的な敬称です。
ビジネスメールでは、文法的な間違いはできるだけなくすよう努力しましょう。
英語のネイティブではないので、文法やスペルに間違いがあったとしても目くじらを立てられることはありません。中にはそれを見越して、「意味が伝われば多少間違っても気にしない」と考える人さえいます。
しかし、間違いが多いほど取引相手としての印象は悪くなるし、信頼性も下がります。初歩的な間違いであれば、なおさらです。
文法ミスを完全に無くすのは難しいとしても(ネイティブだって文法ミスはありますしね)、少なくともスペルミスは無くすように努めましょう。スペルチェック機能が標準化しているので、それを利用すれば簡単ですね。
英語でビジネスメールを送るからといって、必ずしも相手は英語圏の人とは限りません。
英文に書き手の文化が透けて感じられることもあるものです。丁寧に挨拶文を入れたくなってしまうのも日本文化の影響でしょう。英文では不要だとしても、日本人らしい丁寧なメールも、それはそれで良いかもしれません。
丁寧であろうとする発想があれば、本文でご紹介した、プライベートと混同するような表現を避けたり、相手を尊重する表現を使おうといった注意点も腑に落ちると思います。
ちょっとした文面からも人柄が伝わるのは皆さんもご経験の通り。表情や声でカバーできないからこそ、きちんと姿勢が伝わるメールを書きたいですね。