英語のconnotationとは?意味は同じだけどニュアンスが異なる言葉たち
コノテーション(connotation)という言葉を知っていますか?
辞書には「言外の意味。含意。含蓄。」のように説明されています。
例えば、日本語で「父」「お父さん」「パパ」はどれも同じ意味ですが、それぞれの言葉から想起されるイメージは異なりますよね。言葉を選ぶ際、文字通りの意味の後ろに潜むニュアンス(コノテーション)を意識することはとても重要です。
なお、connotation の対義語として、denotation(デノテーション)というのがあります。これは、背後に隠された意味やニュアンスを考慮しない「文字通りの意味」を指します。
否定的なコノテーションを持つ言葉を文字通りの意味だけで使うとトラブルにもなりかねません! そしてこれは日本語でも英語でも同じこと。
今回は、英語における connotation について見ていきます!
Connotation とは
例えば、日本語で「一人暮らし」と「独居」は一人で生活するという意味を持つ同義語です。しかし、それぞれが持つイメージはどうでしょう?
試しにGoogle Imagesでそれぞれの言葉を検索してみてください。前者は明るく前向きなイメージなのに対し、後者は暗く孤独な印象です。
このように connotation には否定的 (negative)、肯定的 (positive)、そして、どちらでもない中性的 (neutral) なものがあります。「良く言えば〇〇、悪く言えば□□」というフレーズもありますよね。言葉の選び方次第では大変な失礼にもなってしまいます!
辞書に書いてある意味が同じだからといって必ずしも同じように使えるとは限らないということですから、それぞれの言葉が持つ connotation を知り、使い分けることはとても大事なのです。
英語の connotation 例を見てみよう
2021年にアカデミー賞を取った映画「ノマドランド/Nomadland」のなかでこんな一コマがありました。かつての教え子から「先生は homeless になったの?」と問われた主人公が、「homeless ではなくて houseless だ」と答えるシーンです。
Home(家庭、より所)と house(家という建物)。「家がない」といっても、どちらの言葉を選ぶかによってプライドまで違ってくるということです。
英語の connotation の例をもっと見てみましょう。
childish と childlike
Child(子供)という言葉を含んでいる通り、どちらの単語も「子供のようである」という意味です。しかし、childish は「子供っぽい、子供じみた」という否定的な意味合いになるのに対し、childlike の方は「純真で子供らしい」といった肯定的な響きになります。似た言葉ながら、伝わるニュアンスは真逆になってしまいますね。
cheap と inexpensive
英語で「安い」を表す言葉を考えるとき使いがちなのが cheap です。ただし、この言葉には単に「安い」だけでなく「安っぽい、品質が劣る」という好ましくない意味合いも含まれていますよ。ネガティブなニュアンスを含ませたくなければ inexpensive (手ごろな)という同義語を使うとよいでしょう。
glad, pleased, happy
「うれしい」を英語にするときも、どれを使うかによってニュアンスが変わってきます。
Happy は幸福感を感じるうれしさです。ちょうど日本語でハッピーというのと同じ感覚で使えるでしょう。Glad なら感謝の気持ちがこもったうれしさ、pleased は満足感を伴ううれしさといったニュアンスになります。選び方を間違えると正しい気持ちが伝わりませんね。
fat, plump, curvy, chubby, overweight
日本語では人に対して「太っている」のは失礼なので、代わりに「ふくよかな」などと言い換えたりしますよね。英語でも人に対して fat と言うのは失礼になるので、curvy(ふっくらして魅力的な)などといった否定的にならない言葉を使います。
また、赤ちゃんや幼児であれば chubby(ぽちゃぽちゃした)といった使い分けも可能です。しかし、chubby は大人に対して用いると否定的な意味合いになる可能性もあります。
一方、overweight は単に「標準体重を超えている」を意味するだけのニュートラルな言葉です。
skinny, thin, slim
一方で、「細い」や「痩せている」ことに対してもさまざまな表現があります。Skinny といえば、「痩せこけた」のような否定的な意味合いがあり、thin と slim は、状況に応じてニュートラルな言葉にも肯定的な言葉にもなります。
stingy と frugal
Stingy と frugal、どちらも「お金の使い方に慎重である」という意味の英語です。しかしながら、stingy は「けちけちした、みみっちい」という批判的な言葉なのに対し、frugal は「無駄なお金を使わない、お金の使い方が賢い」といった褒め言葉になるような表現です。
さらに、先ほど説明した cheap は、ケチな人を表す言葉としても使われますよ。
shy と reserved
Shy は「恥ずかしがり屋」や「照れ屋」のようなニュアンスを持ちます。「引っ込み思案」のような少し否定的な意味で使われることが多いです。
一方で reserved は、人との関わりを一般的に恐れているのではなく、誰と話したり関わりを持つのかを慎重に考えているというニュアンスがあり、日本語では「控えめ」と表現できます。
英語の connotation はどのように学ぶ?
言葉を使ううえで connotation を知ることが大事ということがよくわかりました。では、connotation はどのように身につければよいのでしょう?
意味は辞書で調べることができますが、connotation まで載っているとは限りません。
答えは、文章でも会話でも、使われている状況を含めてさまざまな表現に触れることです。
Connotation は、文脈から伝わってくる「感じ」を受け取ることで感覚的に身についていきます。
まとめ
Connotation の面白さ、connotation を知った上で言葉選びをする楽しさをわかっていただけたでしょうか。
表面的な意味は同じなのに伝わるニュアンスが違う言葉があるとなれば、知らずに使うと要らぬ誤解も生むわけです。
また、connotation には文化による違いもあるのも面白いところ。例えば、日本語でピンクといえば色っぽいイメージもありますが、英語の pink にはありません。単語一つでも奥深い楽しみや発見があるものです。