西東 たまき
(更新)
「ほとんど」「たいてい」といったニュアンスを英語で表現するとき、真っ先に思い浮かぶのは「most」や「almost」といった単語ではないでしょうか。
どちらの単語も和訳だと「ほとんど」「たいてい」という意味になりますが、実は、英語の「most」と「almost」では使い方がまったく異なります。
たとえば、most Japanese と almost Japanese では、それぞれの意味は「大多数の日本人」と「日本人ではないのだが、ほぼ日本人」というまったく違った意味になってしまうんです。
一体どういうことなのでしょうか? 本文に進んで「most」と「almost」のそれぞれの意味と使い方を確認してみましょう。
most も almost も、とてもよく使われる単語ですし、度合いを説明するときの微妙なニュアンスを伝えるにも必要な英語表現です。
まずは most と almost の違いを知るため、シンプルに英語辞書を調べてみましょう。
オックスフォード英英辞典のサイトを見ると、most と almost の定義はそれぞれ次のようになっています。
most: the majority of, nearly all of
almost: very nearly
日本語だと、どちらも「ほとんど」という意味なのに、英語だと意味が違うようですね。
では、そもそも日本語の「ほとんど」とは、どんな意味なのかを改めて確認してみましょう。
大辞泉によると、次のように定義されています。
1. 全部とはいえないが、それに近い程度に。おおかた。大部分。
2. もう少しのところで。すんでのことに。
お分かりでしょうか。
どちらも「ほとんど」という和訳で使われるものの、さらに突き詰めると、1の意味に相当するのが most、2の意味に相当するのが almost なのです!
では次は、例文とともにそれぞれの具体的な使い方を見て行きましょう。
何かの「大部分」というときに使うのが most です。
「日本人のほとんど」
「ほとんどの場所では」
気をつけていると、most~ のほかに most of~ というバージョンがあることにも気付くかもしれません。
most と most of の違いが分かるのが次の例です。
「ほとんどの人と同様に」
「私が出会ったほとんどの人」
どちらも「ほとんどの〇〇」という和訳になるのは同じですが、一般的な何かを指すときに使うのが most、「私が出会った人」のように特定の何かを指すときは most of を使います。
「彼らのほとんど」
「私の人生のほとんど」
また、most を使った次のフレーズで usually「たいていは、普段は」の言い換え英語表現になります。
「ほとんどのときは=たいていは、普段は」
「ほとんどのケースでは=たいていは、普段は」
「もう少しで完全にその状態になるが、あと少しだけ足りない」状態を表すのが almost です。
「ほとんどパーフェクトだけど、完全ではない」
「完全にではないけれど、ほとんど出来た」
いろいろな言葉につけて使えます。
「ほとんど正解」
「ほとんどすべて」
「ほとんど1日中」
「ほとんどいつも」
ちなみに、英語で「惜しい!」というには Close! と言うほか、Almost! とも言います。
「もう少しで完全にその状態になるが、あと少しだけ足りない」という意味であることを思えば納得ですよね。
「惜しい!」
「惜しい!」
なお、ここでの there とは、必ずしも「そこ=どこか特定の場所」ではなく、主語の人物が「目指している場所」を指しています。
今回は most と almost の違いについて特集しました。
日本語だと、どちらも「ほとんど」という意味なので違いが分かりにくいのですが、双方の違いは掴めましたか?
英単語の意味を理解するにあたり、改めて日本語の意味を振り返ってみましたが、そうすることによって、かえって英語の意味が分かりやすくなる場合もあるという例でもありました。
英語を話すとき、「正しい英語表現ではなかったけれど、意味は伝わった」という経験をされた人は多いと思います。
でも、most と almost に関しては、間違ってしまうと意味をなさなくなるということが文頭の例でも明らかでしたね!
今回の記事を参考に、ぜひ使い分けてみてください。