masa osada
(更新)
突然ですが、問題です。
友だちと見に行った映画が思ったよりも退屈でした。あくびをかみ殺しているのに気づいた友だちに "Are you OK?(大丈夫?)" と聞かれて「とても退屈です」と英語で答えたいとき、あなたならどう言いますか?
とてもよく似た2つの英文。boring とbored と、どちらも “bore(退屈〜〜)” の派生形を含んでいますが、実は内容が全然違います。紛らわしいため使い方を間違えてしまう人が多く、英語を習っているとよく最初に先生に指摘される文法の1つです。
同様に、同じ意味の単語でも語尾の「〜ing」「〜ed」で使うシチュエーションが異なるものはほかにもあります。今回は「退屈です」はもちろん「疲れました」「驚いた」など日常的に使う単語を中心に、それぞれの使い分けを簡単にマスターできる方法を紹介します。
まずは先ほどの問題の答え合わせからしていきましょう。
「とても退屈です」と英語で答えたい場合は2番の
を使います。
では、 "boring" を使うのはどういったケースか。それは主語が「私」ではなく、「映画」の場合です。
このとき間違えて "I'm so boring" と言ってしまうと「僕はとても退屈な人です」という意味になってしまいます。
では、どうして主語に応じて "boring" と "bored" を使いわけるのでしょうか。
"boring" と "bored" は一見、動詞 "bore(退屈させる)" の「進行形」と「過去形」に見えますね。ところがこの2つの単語は "beautiful(美しい)" や "delicious(美味しい)" と同じ「形容詞」なんです。2つの単語を辞書で調べてみると以下のように書かれています。
日本語訳を見ただけでは、 "boring" と "bored" の違いはわかりにくいですね。そこでここではあえて「形容詞」であることや日本語訳を忘れて、単語のイメージを掴みましょう。
言葉のイメージを掴みやすくするために、まず抽象的な印象の強い "bore(退屈させる)" ではなく、もっと具体的な動きがあってわかりやすい単語 "ask" を使って説明していきます。
こんなシチュエーションを思い浮かべてください。
あなたは、JohnがSarahをデートに誘っているところを目撃して、それを別の友人に話そうとしています。
まずはJohnを主語にした場合はこのように言い方になります。
それではこの状況を図にしてみましょう。
JohnがSarahに尋ねているので、動きをあらわす矢印はJohnからSarahに向かっています。
今回の例文では "John was asking" という過去進行形を使いましたが、シチュエーションによっては過去形の "John asked Sara out" や現在進行形の "John is asking Sarah out" 、さらに未来形の "John will ask Sarah out" とすることもできます。
では、Sarahの立場に立ってこの状況を英語にするとどうなるのかというと
このようになります。この状況も上と同じように図で見てみましょう。
Sarahは尋ねられる側なので、Sarahが矢印を受け止めているイメージです。
気が付いた方もいると思いますが、この主語が矢印(アクション)を受け止めている状態は「受け身(受動態)」と同じです。「受け身」を「be+過去分詞」を使って表現するのは学校で習いましたね。
askの説明を踏まえて矢印を意識しながら、最初の例文「とても退屈です」を英語で言いたい時に "boring" と "bored" のどちらを使えば良いのか振り返ってみましょう。
まず、主語を「映画」にした場合は
このようになります。主語である「映画」が、「退屈にさせる」というアクションを起こしています。
これを英文にした場合は以下のようになります。
では、主語を「私」にした場合はどうなるのかというと
こうなります。主語が矢印を受け止めている「受け身」と同じ形です。そのため英文はこのようになります。
ここまで "ask" と "bore" の2つを使って説明してきましたが、この「主語から矢印が出ている」のか、それとも「主語が矢印を受けているのか」を意識すると、 "surprise" や "interest" といった動詞も簡単に使いこなすことができます。
「退屈です」「疲れました」「ビックリした」など日常的に使う単語をどういったシチュエーションで受け身にしなければいけないのか説明してきました。
慣れないうちは会話の中で常に矢印の方向を意識するのは大変かもしれません。
そういうときは敢えて意識して語順を逆にして受け身にしたり、逆に受け身で言うところを対象を主語にして言ってみたりすると、あっという間に身につきますよ。
また、そうすることで、よりたくさんの言い回しも覚えることができるので、皆さんぜひチャレンジしてみてください!