辻本 美有
(更新)
英語は日本語にくらべボキャブラリーが少なく、そのかわりに1つの単語がさまざまな意味を持ちます。たとえば、 "get” は一般的な「手に入れる」のほかに「達する」「理解する」「受ける」など文脈ごと意味を変化させますよね。
とはいえ、なかには逆に、複数の英単語が同一の日本語訳になるパターンもあります。
今回ご紹介するのは「主張する」を意味する8通りの動詞。
どういった場面で何を主張するのか、誰に主張するのか、主張する内容の確信度合いはどれくらいか……などに応じて、ネイティブは何パターンも単語を使い分けています。微妙なニュアンスの違いをつかめるようになったら、ネイティブらしい表現に一歩近づきますよ!
A. I insist that he sees the doctor.
(私は、是非医者に診てもらいなさいと彼に主張した)
B. I will do it, if you insist.
(君がそこまで言うのなら、そうしよう)
“insist” は、「主張する」の他には「強く要求する」「断言する」といった強めのニュアンスを持ちます。よって、 "insist" を使うと「頑固さ」が強調されます。例文Aは、彼の意見は関係なく自分の意見を主張していますね。
A. She persists that her answer is right.
(彼女は自分の答えが正しいと主張した)
B. They persist in their opinion.
(彼らは考えを曲げなかった(主張した))
“persist” は「主張する」の他には「やり通す」「言い張る」といった持続のニュアンスを持ちます。例文Aはいくら周りが彼女を間違っていると言おうと、彼女は自分が正しいと主張しています。
A.I maintained my innocence.
(私は無実だと主張し続けた)
B.I maintain that it is not true.
(私はそれが真実でないことを断言する)
「維持する」といった持続のニュアンスを持ちます。 “persist” と似ていますが、 “maintain” の場合は、以前から言い続けていることを主張するというニュアンスがあります。
A.I claimed citizenship.
(私は市民権を請求(主張)した)
B.I claim for damages.
(私は損害賠償を要求(主張)する)
日本語では「クレーム=苦情」の意味合いで使われますが、本来 “claim” には、「これは私の〜だ!」といった強い権利要求や補償請求のニュアンスがあります。
国際線の手荷物受け取りの際、 “baggage claim” の看板を見たことがあるかと思いますが、あれには「荷物を預かってくれてありがとう」というより「これは私の所有物だからきちんと返して!」といった強い主張が込められています。このように、自分の所有物に対する権利主張等に使われるのが “claim” です。
A. She affirms her ability.
(彼女は自分の能力を主張した)
B. He affirmed solemnly about it.
(彼はそれについて厳粛に断言した)
“affirm” は、「主張する」の他には「断言する」「肯定する」といった意味があり、自分を肯定する文脈でよく使われます。例文の女性は、「主張」を通して自分の能力を肯定していることになりますね。
A. She advocates peace.
(彼女は平和を唱えた)
B. He advocates a new idealism.
(彼は新たな理想主義を謳った)
“advocate” は「主張する」の他には「唱える」「擁護する」といった意味があり、議論やスピーチ等、比較的大きい場で話されるときに使われます。あまり多方面では使われませんが、ビジネス英語でも使用される単語のひとつです。
A. He pleads not guilty.
(彼は無罪を主張する)
B. They pleaded a cause.
(彼らは言い分を申し立てた)
“plead” は「弁護する」「申し立てる」「懇願する」といった意味があり、訴訟の場や、法律に基づく場で使われます。
My mom contends that money cannot buy love.
(お金で愛は買えないというのが私のママの持論だ)
“contend” は後ろにくる前置詞で意味が変わります。 “contend with~” は「〜と戦う、争う」といった意味があり、 “contend for~” は「〜を巡って争う」、 “contend over~” は「〜について論争する」、そして最後に “contend that~” は「〜だと主張する」と訳します。
他の意味からわかるように、戦ったり、争ったりという意味が強くありますが、持論などを主張するときや、強く主張する場合に “contend” が使われます。
今回は、8通りの「主張する」の言い回しを紹介しました。実は、「主張する」の単語はまだまだ存在します。たくさんのシチュエーションに合わせて言葉を使いわけることができれば、ワンランク上の会話が楽しめますね。
「主張する」以外にも、共通の日本語訳を持つ英単語をさがしてみてくださいね。