masa osada
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英語の「自動詞」と「他動詞」。「学校で習ったけどよく覚えていない」という方もけっこう多いのではないでしょうか。かくいう僕も、「動詞はとりあえず単語数をこなせばいいでしょ? そんな細かいことはあと」と、特に意識せずに英語学習を進めていました。
実際のところ日常会話で自動詞と他動詞を間違えて使っても、ネイティブの人はこちらの言いたいことはある程度理解してくれます。
ところがあるとき、自動詞と他動詞をしっかり理解することで、より正確に、より自然な英語の文章を作り伝えられることを知り、それからは両者を意識するようになりました。
そこで、自動詞と他動詞を間違えた時、ネイティブの人たちがどんな風に違和感を覚えるかを説明しつつ、自動詞と他動詞の違いを解説します。
今回は、ぜひ辞書を片手に読み進めてみてください。
自動詞と他動詞の違いを知る前に、まず知っておきたいことがあります。
それは「目的語」と「前置詞」とは何かです。この2つをしっかり理解していないと自動詞と他動詞の違いを理解したり、使い分けることはできません。
まず目的語とは「動詞の目的となる言葉」、つまり日本語の「何」「誰」にあたる言葉です。
例をあげれば、 "I watched a movie(私は映画を観た)" の "a movie" や、 "the dog is approaching you(その犬はあなたに近づいている)" の "you" が目的語です。
ちなみに「どこへ」「いつ」「どのくらい」などは目的語ではなく、副詞と呼ばれる修飾語です。
前置詞とは、言葉と言葉を繋ぐ役割を持った接着剤のような言葉です。多少日本語と英語でニュアンスは違いますが、日本語の「て・に・を・は」に近い役割で動詞と目的語をつないでいます。
例えば "I live in Tokyo(私は東京に住んでいます)" の "in" は、「〜に」という意味で "I live" と "Tokyo" を繋いでます。
"I saw your mobile phone on the table(あなたの携帯電話を机の上で見ました)" の "on" は、 "I saw your mobile phone(あなたの携帯電話を見た)" と "the table(テーブルの上)" を "on(〜で)" でつないでいます。
自動詞と他動詞という2種類の動詞。これらの大きな違いを一言で説明すると「動詞のあとに目的語を必要とするかしないか」です。
自動詞は「目的語を必要としない」ため、一番短い場合「主語+動詞」だけで文章を構成することができます。
簡単な自動詞を使った例文をご覧ください。
"come" の自動詞を辞書で調べると、「〜に来る」ではなく、単に「来る」と書いてあると思います。
これは、たとえ "to my home(私の家に)" がなくても、 "He came(彼が来た)" の2語だけで文章として成り立つということです。
もう1つ例文を見てみましょう。
"play" も "come" と同じように自動詞の意味を調べてみてください。
「遊ぶ」と書かれていますね。つまり "My son played(私の息子は遊んだ)" だけで文章が成り立ちます。
さらに文章の構成要素を増やして見ましょう。
自動詞の場合、動詞の直後に目的語を置くことができません。そのため、 "played" のあとにはまず前置詞の "with(〜と)" を置く必要があります。
上の図では説明のために自動詞の "play" と前置詞の "with" を別々にしましたが、普段は "play with" で「〜と遊ぶ」と覚えたり、別の単語、例えば "look" の場合は "He looked at me.(彼は私を見た)" の "look" だけで覚えるのではなく "look at(〜を見る)" と覚えるほうがいいでしょう。
それでは、もし "with"がなかった場合、ネイティブの人はどのように感じるのでしょう。
日本語にあえて訳すなら「私の息子は公園で犬 遊んだ」となりますが、明らかに違和感がありますね。
もし海外の人と日本語で話していて「私の息子は公園で犬 遊んだ」と言われても言いたいことはわかりますが、自然な日本語ではありませんね。それと同じように上の例文の場合、 "with" がないと英語ネイティブの人たちは意味は理解してくれても、どこか違和感を覚えています。
他動詞は動詞のあとに必ず目的語が付きます。そのため、一番シンプルな文章でも「主語+動詞+目的語」という3語が必要になります。
それでは他動詞を使った例文を見てみましょう。
ここでは "marry" を使った例を紹介しますので、まずは "marry" の他動詞を辞書で調べてみてください。辞書によって多少書き方が違うかもしれませんが「〜と結婚する」や「と結婚する」と書かれているはずです。
上の例文と日本語訳を見て、他動詞がなぜ必ず目的語を必要とするのか気づきましたか? もし目的語の「彼」がない場合、「彼女は と結婚した」という不自然な文章になってしまいます。
また "marry" は自動詞と勘違いされる単語で、 "to" や "with" といった前置詞を付けてしまう人がよくいます。試しに "with" を入れてしまった場合、どうなるのか見てみましょう。
これを敢えて日本語にすると「彼女は彼と、と結婚した」となり、とても不自然な文章になりますね。
次は、同じ他動詞でも目的語を2つ持つことができる他動詞を紹介します。
"give" や "make"、"leave" など他動詞のなかには目的語を2つ持つことができるものもあります。例えば "give" を辞書で調べてみると「give (A) B」という形があり、以下のような説明されています。
「give (A) B」
〈人が〉(無償で)(A〈人など〉に)B〈物金〉を与える, あげる, 贈与する; 寄付する
『ウィズダム英和辞書/ウィズダム和英指示書』(2007年 三省堂)より
それでは実際に "give" を使った文章を見てみましょう。
この場合、 "her" が抜けても「私はりんごをあげた」となり問題ありませんが、 "an apple(りんご)" が欠けた "I gave her" では「私は彼女に をあげた」となってしまい、文章として意味を成しません。
ここまでの説明で、自動詞と他動詞を間違えて使うとネイティブの人たちがどのような違和感を抱くのか感じてもらえたと思います。
そして、「動詞のあとに前置詞や目的語があるかどうか」に気をつければ、文中の動詞が自動詞として使われているのか、それとも他動詞として使われているのか見分けが付くようになりましたね。
でも、いざ自分で英文を作ろうとしたとき、それが自動詞なのか他動詞なのかわからない場合もあるでしょう。手元に辞書があれば調べられますが、そうでない時は一体どうすれば……?
実は、自動詞と他動詞を使いこなす方法は最終的に「慣れ」なんです。なぜなら、動詞のなかには "arrive(着く、到着する)" のように「自動詞のみとして使うもの」や、 "mention(〜に(ついて)言及する / 〜に軽くふれる)" のように「他動詞のみとして使うもの」もありますが、ほとんどの動詞は「自動詞としても他動詞としても使える」ものばかりだからです。
だからこそ、できるだけたくさん英文を読んだり、耳から聞いたりして英語に触れながら、「感覚を養っていく」必要があるんですね。
継続は力。一見遠回りに感じるかもしれませんが、なにごとも繰り返し学ぶことが一番の近道ですよ。
自動詞や他動詞には日本人が間違えやすいものがいくつもあります。そのなかでもよく試験に出題されるものを選りすぐって10個ずつ紹介しましょう。
Approach … 〜に接近する
Attend … 〜に出席する
Discuss … 〜について話し合う
Enter … 〜に入る
Marry … 〜と結婚する
Mention … 〜に(ついて)言及する / 〜に軽くふれる
Obey … 〜に従う
Oppose … 〜に反対する
Reach … 〜に到着する
Resemble … 〜に似ている
ここまで読んできた方ならおわかりかと思いますが、他動詞には「〜に」や「〜を」などが含まれているため、動詞の直後に前置詞を置く必要がありません。
上の3つの他動詞を使った例文を紹介します。
「電車は駅に到着した」
誤:The train reached to the station.
正:The train reached the station.
電車は / 〜に到着した / 駅
「彼はそのオフィスに入った」
誤:I entered to the office.
正:I entered the office.
私は / 〜に入った / そのオフィス
「私たちはそのニュースについて話し合います」
誤:We will discuss about the news.
正:We will discuss the news.
私たちは / 〜について話し合います / そのニュース
agree with … 〜に同意する / 〜に同意見である
apologize to A for B … AにBのことを謝罪する / 謝る
approve of … 〜を認める / 〜に賛成する
belong to … 〜に所属している / 〜のものである
complain of/about … 〜に不平/文句を言う
get to … 〜に着く
graduate from … 〜を卒業する
hope for … 〜を望む
object to … 〜に反対する
refer to … 〜に言及する / 〜をはっきり口にする
「〜に」や「〜を」という意味を持たない自動詞は "to " や "with " "for " などの前置詞と一緒になることで目的語を持つことができます。
こちらも上の自動詞を使った例文を3つ紹介します。
「私は彼に同意した」
誤:I agreed him.
正:I agreed with him.
私は / 同意した / 〜に / 彼
「彼女はそのサービスについて文句を言った」
誤:She complained the service.
正:She complained about the service.
彼女は / 文句を言った / 〜について / そのサービス
「彼は東京大学を卒業した」
誤:He graduated Tokyo university.
正:He graduated from Tokyo university.
彼は / 卒業した / 〜を / 東京大学
いかがでしたか? 自動詞と他動詞の違いを理解しても英語力が今すぐ大幅にアップすることはないかもしれません。
そのかわり、長い目で見た時、動詞のあとにくるのが目的語なのか、それとも "with" や "for"、"in" などの前置詞なのかなどをしっかり理解しておくと、今よりもずっと自然な英文を書いたり話したりできるようになります。
とはいえ、英語での会話中は「これは自動詞だから前置詞が付いて...」と考えすぎずに、どんどん思ったことをしゃべりましょう。また、たくさん英文を読んだり聞いたりしていると、「"He graduated Tokyo university" は不自然だな」と自然に感じる「英語の感覚」が身に付いていきます。
大切なのはとにかく英語に触れることです! 一緒に頑張っていきましょう。