西東 たまき
(更新)
英語には、大きく分けて「アメリカ英語(American English)」と「イギリス英語(British English)」があることをご存知の方は多いと思います。
同じ英語といえ、アメリカ英語とイギリス英語ではスペルが違う単語が多い上、ものによっては意味も変わってくるほか、文法が異なる場合もあります。何より、双方の英語を耳で聞き比べれば、発音やイントネーションの違いは明らかです。
当記事では、イギリス英語の「スラング」にフォーカスします。イギリス英語ならではの表現をみてみましょう!
「高級」、「上流階級的」、「スタイリッシュ」などといった言葉から浮かぶイメージ。それを言い表す言葉が “posh” です。
“luxurious(贅沢な)” や “upper-class(アッパークラスの)” といった形容詞の言い換え表現として使えます。
「彼女は良いところに住んでいる」
「彼らは上流階級風なアクセントで話す」
“rubbish” とは「ゴミ」のことです。
アメリカ英語だと “garbage”、“trash” などと言うところ、イギリス英語では “rubbish” と言います。
そして「ゴミ」とは、すなわち「つまらないもの、くだらないこと、ナンセンス」という意味にもなるわけです。
「くだらないことを話すのは止めなさい」
「あなた、そんなナンセンスなことを信じているの?」
この単語一つで “a cup of tea(一杯のお茶)” の意味になります。
日本語で「お茶」というと主に緑茶を指しますが、英語で “tea(お茶)” というと「紅茶」になりますよ。
「濃い紅茶が欲しいな」
なお、「好きなこと」、「趣味に合うこと」を “one’s cup of tea” と表現したりもします。紅茶好きで知られるイギリスらしいですね。
「それは私の好みにピッタリです」
「それは私の趣味ではありません」
普段、英語で「2週間」と表現するには “two weeks” と言いますね。イギリス式に表現するなら、“fortnight” という単語一つで言い換えられます。
“fortnight(2週間)” は、“fourteen nights(14日間)” から来ている表現です。
「私たちは2週間留守にします」
「あなたは2週間ですっかり変わりましたね」
直訳すると「ボブは、あなたのおじさん」という意味になるこのフレーズは、「ほらね!」、「できあがり!」、「それでOK!」といった感覚で使われます。
ちなみに、私たちにも聞き慣れた英語の人名 “Bob(ボブ)” とは、実は “Robert(ロバート)” の愛称です。“Bob Dylan(ボブ・ディラン)” も、“Bob Marley(ボブ・マーレー)” も本名は “Robert” なのですよ。
さて、このフレーズが指している “Bob” は、19世紀の終わりに3度に渡って首相を務めたイギリスの政治家・ロバート・ガスコイン=セシル(Robert Gascoyne-Cecil)のことです。
彼の後を継いだ甥のアーサー・バルフォア(Arthur Balfour)は、その地位をおじさんのコネで手に入れたとされることから、「何しろ、君のおじさんはボブだからね=だから簡単だよね、余裕でしょ」という表現が出来たと言われています。
「3分待ってごらん。さあ出来上がり!」
“bomb” は、ご存知の通り「爆弾」のことですね。しかし、イギリス英語では「大金」という意味もあります。
“cost a bomb” といえば「大金がかかる」になるし、“make a bomb” なら「大金を作る=成功する」、“go like a bomb” で「勢いがある、成功している」という意味になりますよ。
「彼女とデートするたび、ものすごくお金がかかる」
「君が本気になれば儲かるよ」
「彼の投資はタイミングが良かったね。今では大成功だよ」
そして “mint(ミント)” にもまた「大金」の意味があります。
“minted” と形容詞形にすれば “rich” の同義語になりますよ。
「そんなに高額ではありませんでしたよ」
「彼には金持ちの親がいる」
「(液体を)はね散らす」という意味の “splash” を使ったこの表現は、「お金を派手に使う」ことを意味します。
「古い車に、よくそんなにお金をつぎ込めたものだね」
「私は、ファッションにお金をつぎ込む気はありませんよ」
英語では “bathroom(バスルーム)” というと「トイレ」のことになります。他に、“washroom” や “restroom” といった呼び方もありますよ。
イギリス英語のスラングなら “loo” とも言います。
「おトイレ貸してもらえますか?」
イギリス英語で「男性」を意味するスラングが “chap” です。
若者から年配者まで、男性であれば年齢を問わずに使えます。ペットの動物だってオスであれば、愛情と親しみを込めて使うことができますよ!
「彼は信頼できるヤツだよ」
「愛らしいこの子をウチの家族として迎えることになりました」
「最高!」、「素晴らしい!」というとき、よく出て来るのは “Great!” や “Wonderful!” という言葉かもしれませんね。
“Brilliant” も、またそんなときに使う言葉です。
「それは素晴らしい考えだね!」
「気分は最高だよ!」
“a piece of cake(一切れのケーキ)” や “easy as a pie(パイを食べるくらい簡単)” といった表現は、「簡単」「朝飯前」を意味する定番フレーズです。
ここではもう一つ、イギリス風の “easy-peasy” という言い方も覚えてみましょう。
「そんなの簡単だよ」
「その作業はとても簡単だった」
今回は、イギリス英語ならではのスラングをご紹介しました。
日本では学校で習う英語も、社会で使われている英語も、アメリカ英語が断然主流のため、イギリス英語に親しむ機会はあまりありません。
しかし、動画で簡単に生の英語を聞ける時代です。時にはイギリス式の英語も聞いてみてはいかがでしょう。“R” の発音が強調されないので、日本人には発音しやすいとも言われています。
さらに、記事でご紹介したような「イギリス英語ならではの表現」も交えてみたら、きっといつもとは違う英語感覚を楽しめると思いますよ!