西東 たまき
(更新)
「ほとんど(何かが)ない」「ほとんど~しない」「ほとんど~できない」。
完全な否定とは違うこのような微妙な表現は、物事を正しく伝えるのに欠かせない表現です。きちんと言葉を話そうと思うなら、避けては通れませんね。
こういった準否定の表現を英語で作るのは難しそうに思われるかもしれませんが、そんなことはありません。英単語一つ使うだけでも表現できるのです。
当記事では、「ほとんどない」の英語表現を分かりやすくご紹介します!
英語で「ほとんどない」という表現を作るとき、数や量が「ほとんどない」のか、頻度、あるいは能力が「ほとんどない」のかによって使う言葉が変わってきます。
数量、頻度、能力のそれぞれにおける「ほとんどない」の表現方法を順番に見ていきましょう。
まずは、数・量が「ほとんどない」というときの表現からです。
few と次に挙げる little は、ともに非常によく出てくる表現です。
「ほとんどない」のが数えられるもの(可算名詞)なのか、数えられないもの(不可算名詞)なのかによって、この2つを使い分けなければなりません。
few と little は、セットで覚えましょう。要領は many(可算名詞)と much(不可算名詞)の使い分けと同じ。
few は、数えられるもの(可算名詞)が「ほとんどない」というときに使います。ですから、後ろに続く名詞は複数形になります。
「彼の本棚には、本がほとんどなかった」
この単語で注意すべきなのは、a を加えて a few とすると「ほとんどない」ではなく、「いくつかある」という意味に変わることです。
a があるかないかだけで、反対の意味になってしまうので注意しましょう。
「あなたに聞きたい質問がいくつかあります」
数えられないもの(不可算名詞)が「ほとんどない」というときに使うのが little。
数えられないものが対象なので、続く名詞は複数形がないタイプのものになります。
「私たちは、彼女のことはほとんど知らない」
few と同じで a の有る・無しによって意味が変わり、a little だと「少しある」になります。
「少量の塩を加えてください」
数と量が「ほとんどない」という表現を作るのに many と much を使う手もあります。
do not「しない」と many「(数が)多い」を組み合わせれば、「(数が)多くない=ほとんどない」という表現になりますね。
「私には、ほとんど友達がいない」
そして、量的に「ほとんどない」を表すには、量の多さを表すのに使う much「(量が)多い」と do not「しない」を組み合わせます。
「最近私は、あまり食べません」
almost「ほとんど」と nothing「何もない」を組み合わせれば、「ほとんど(何も)ない」という表現になりますね。
「私は、彼らの過去についてほとんど知りません」
next to は、物理的に「〇〇の隣」という意味ですが、almost 「ほとんど」という意味もあります。
そのため、next to nothing で almost nothing「ほとんどない」と同じ意味を作ることができます。
「私は、彼らの過去についてほとんど知りません」
scarcely は、フォーマルな響きのある「ほとんどない」の表現です。会話より文章で見かける方が多いでしょう。
few / little と同じように、単語自体に「ほとんど~ない」という否定の意味が含まれているので not を使う必要はありません。併用しないように注意しましょう。
「彼のパフォーマンスは、ほとんど上達していない」
次は、何かが起こる「頻度」が「ほとんどない」ときに使う表現を見ていきましょう。
「ほとんど~しない」を表現するのに、とてもよく使われるのが hardly です。
「私たちが顔を合わせることは、ほとんどない」
日本語でもよく使われている rare「レア」です。英語で「まれ」を意味する単語ですね。
副詞形の rarely で「めったに~ない、ほとんど~しない」になります。
「彼は、ほとんどマスクをしない」
使い方は hardly/rarely と同じ。少しフォーマルな言葉なので日常会話ではあまり耳にしないかもしれません。
「このタイプの機器は、ほとんど使ったことがない」
often は「しばしば」という意味ですね。not を付ければ「しばしばでない=ほとんどない」の意味になります。
「私たちは、ほとんどしゃべらない」
frequently「頻繁に」の反対語が infrequently「まれに=ほとんどない」です。
「この機能は、ほとんど使われていない」
ちょっと洒落たカジュアルなフレーズです。
「とてもまれである」を意味する very rarely や very seldom と同じ意味になります。
普通、満月はひと月に1回ですが、ごくまれに2回見られることがあります。2度目の満月は blue moon と呼ばれ、2年半~3年に1度の頻度で起きると言われています。
「ごくまれに彼から電話が来ます」
ここでは、能力的に「ほとんど~(でき)ない」を表す表現を見ていきます。
「できない」というと cannot を使いたくなるかもしれませんが、他にも表現方法があることを知っておきましょう。
「ほとんどない」を意味する単語と can「~できる」を組み合わせるのです。
「頻度」が「ほとんどない」というときに使った hardly は、can+hardly で「(能力的に)ほとんどできない」という表現になります。
「これは、君にはほとんど信じられないような話だよ」
can + hardly の言い換え表現です。
「彼の英語をほとんど理解できなかった」
only just は「つい今しがた」の意味で使われますが、「ごくわずかに、かろうじて」という意味もあります。
「かろうじてできる=ほとんどできない」ということですね。
「私が持っているお金は、せいぜいコーヒー1杯買える分くらいだ」
今回は、「ほとんどない」「ほとんどできない」を表す英語表現についてご案内しました。
「~ない」の意味がすでに含まれている単語を使うことで、not を使わずに否定表現を作れる点が特徴でしたね。
また、何かが「ほとんどない」というときは、それが数えられるものか、数えられないものかによって使う言葉が違ってくるというのもポイントでした。
最初は紛らわしく感じるかもしれませんが、英語の基本になりますので、何度か使って慣れていきましょう!