Hiroe H
(更新)
中学校の英語の授業で習った「have to」。
英語学習からしばらく離れている方でも、「〜しなければならない」という意味を覚えている方は多いのではないでしょうか。
この have to、実は「〜しなければいけない」という「義務」以外の意味もあるのをご存知でしたか?
「推量」や「不要」の意味を持つ have to や、must との違い、そしてくだけた言い方など、この完全ガイドでは have to のおさらいをしながら意味や使い方を徹底解説していきたいと思います!
中学校で習った have to を忘れてしまった、という方のために、まずはおさらいから始めましょう。
中学校で have to を「助動詞」と習った方も多いと思いますが、そうみなされているだけで、実は「一般動詞」なんです。(正確には have が動詞ということになります)
もちろん have は助動詞として使われることもありますが、have to の have は動詞なんですね。
ここで朗報!
have to が動詞ということは、基本的な文法のルールも一般動詞と同じということです。新しい構文などを覚える必要はありません!
では、have to を使った肯定文・否定文・疑問文がどのような構造になるか、実際に見ていきましょう。
肯定文は至ってシンプルですね。イメージとしては「to不定詞」の名詞用法(目的語)を思い浮かべてみると良いでしょう。
【to不定詞の名詞用法の例】
[動詞:like] + [目的語:to 動詞〜] =「[動詞をすること]が好き」
「私はピアノを弾くことが好きです」
【have to の肯定文の例】
[動詞:have] + [目的語:to 動詞〜] =「[動詞をすること]を持っている」
「私は放課後彼と話さなければいけない」
to不定詞の名詞用法を上の例文に当てはめてみると、「私は放課後、彼と話すことを持っている」となります。
この[動詞をすること]の部分が義務に相当するので、[義務]を持っている、すなわち[話す義務]を持っている、と言えます。
続けて否定文と疑問文も見てみましょう。こちらも基本構造は一般動詞の用法と同じなので、次のようになります:
「あなたは明日の朝、早く起きなくてもいい」
否定文は、have to の前に「do/does + not」を置きます。主語の You は二人称なので does ではなく do + not(don’t)でしたね。
最後に疑問文の構造を見てみましょう。
「彼女は明日働かなければいけませんか?」
疑問文は、文頭に「Do/Does」を置きます。主語は三人称単数の she なので does。
疑問文の場合、主語が三人称単数であっても、動詞に三単元の s を付ける必要はありませんので、has ではなく have を使います。
この2点に気をつければ、基本構造はバッチリですね。
have to も一般動詞と同じように、人称と時制を変えることができます。
【三人称の場合】
三人称は「私(I)」でも「あなた(You)」でもない第三者を指します。「彼(he)」や「彼女(she)」がその代表ですね。
「今夜、彼はテスト勉強をしなければならない」
主語が三人称単数で肯定文の場合は、have を has に変えてあげる必要があります。
「今夜、彼らはテスト勉強をしなければならない」
主語が三人称であっても複数の場合は、has ではなく have を使いましょう。
【未来の場合】
「彼らは明日また来なければいけない」
未来時制は、動詞 have to の前に will を置きます。主語が何人称であっても、単数でも複数でも「will have to」の形は変わりません。
【過去の場合】
「昨日私は一日中弟の面倒を見なければいけなかった」
過去時制は have to の have を had に変えます。過去形も人称や単数・複数に関係なく「had to」ですので、覚えやすいですね。
上記では義務の一般的な使い方を紹介しましたが、何らかの外的要因があり「〜しなければいけない」という責任の意味を含んだ意味の have to もあります。
「友達のカメラを落として壊してしまったので、弁償しなければいけない」
このように友達のカメラを壊したという外的要因のため、弁償しなければいけない(=責任)と言う場合にも、have to を使って表現することができます。
中学校で have to も must も「〜しなければならない」と習った人が多いと思います。確かにどちらも「〜しなければいけない」と訳せることが多いですが、この2つには明確な違いもあります。
簡単に言うと must が主観的なイメージなのに対し、have to は客観的なイメージです。
must は話し手自身の意思でしなければいけないことを表します。何らかの内的要因で「〇〇しなければいけない」とひしひしとプレッシャーを感じているニュアンスです。
それに対し have to は何らかの外的要因(状況や他人)からの方向づけが関係してきます。
「私はもう家に帰らないといけない」
この人には門限があるのかもしれません。何かとても大事な用事があるのかもしれません。ここで重点が置かれているのは、この人が自分の意思で「帰らなければいけない」と感じているところです。
「帰る」という判断が自分の考えに基づいているので主観的だと言えますね。
この例文は have to に置き換えて言うこともできます。その場合、「家に帰らなければいけない」度合いが must より弱くなり、また「帰らなければいけない理由」が外的要因に起因します。
「携帯が壊れたので、新しいのを買わないといけなかった」
携帯が壊れたという外的要因のため、新しい携帯を買わなければいけなかった、と言っています。これは客観的(事実や誰が見てもわかること)だと言えますね。
実際に例文を見ながら使い方とニュアンスを確認してみましょう。
「行かなきゃ。あと5分で授業が始まっちゃう」
ここでは「授業に遅れないように行かないといけない」という義務を表しています。または、あと5分で授業が始まるという事実があるので、客観的とも言えますね。
この例文は must に置き換えて言うことも可能です。
must を使って言うと、話し手の「行かなきゃ」というプレッシャー感が have to よりもっと強くなり、授業がもうすぐ始まるという外的要因より、自分の「行かなければ」という内的要因の方に重点が置かれていることになります。
「ジェーンは明日のランチデートに来られない。歯医者に行かなければいけないんだって」
虫歯の治療か、親不知を抜くのかわかりませんが、歯医者に行くことはジェーンにとって「せざるを得ないこと」です。
虫歯や親不知という外的要因から、歯医者に行かなければいけないと判断しているわけで、これは客観的とも言えますね。
have to には「義務」以外にも「きっと〜に違いない」という「推量」の意味もあります。
これは確信度が高いときに使うことが多く、have to の後ろにはbe動詞がくることが多いです。そしてこの「推量」の have to は must に置き換えて言うこともできます。
「冗談でしょ!」
これは「あなたは冗談を言っているに違いない!」という話し手の推量で、絶対に冗談を言っていると思っているわけです。
「あなたが食べられる物が何かしらきっとここにはあるはずよ」
例えば、好き嫌いが激しい人に対して、ここのレストランはメニューが豊富だから、あなたが食べられるものが何かきっとあるに違いない、と推量しているわけです。
次に、have to は否定文「don’t/doesn’t have to〜」として使うと「〜しなくてもよい」の意味になります。
これは「don’t/doesn’t need to〜」に置き換えて使うことも可能です。
「謝らなくてもいいよ」
では must を否定文として使うと、どういう意味になるのでしょう。
「運転中に携帯を使ってはいけない」
このように must の否定文は「〜してはいけない」という「禁止」を表します。
不要の意味として使う場合は、don’t have to または don’t need to を使い、「禁止」の意味として使う場合は must not としっかり覚えましょう。
ネイティブと会話をしているときや、映画などを見ていて、「have got to」と言っているのを聞いたことがありませんか?
これは have to と同じ意味ですが、have to よりもくだけた言い方で、通常、会話でのみ使います。主語が一人称 I の場合は have は省く場合もあります。
「そろそろ行かなきゃ」
この got to は gotta と略して使うことができます。
「暗くなってきたから、帰らなきゃ」
また、主語が二人称・三人称の場合も、かなりインフォーマルですが have/has が省略されることもあります。
「近いうちにお母さんに電話しないといけないよ」
have to の意味と使い方、must との使い分け、have to のくだけた言い方を紹介しましたが、いかがでしたか?
「義務」以外の意味があったり、have to と must の使い分けでは、微妙に異なるニュアンスを出すことができたり、中学校で習った当時は、ここまで奥深いとは思いませんでしたよね。
英語学習で大切なことは、丸暗記するのではなく、しっかり使い方やニュアンスの違いを理解することです。そうすることで、英語力がアップするだけでなく、会話の幅もグンと広がりますよ!