K. Inoue
(更新)
突然ですが、インチ、マイル、オンス、パウンドという言葉が表すものをはっきりとイメージすることができるでしょうか?
これらは長さや重さを表す単位なのですが、聞いたことはあっても具体的にどれくらいの長さや重さを表すかをイメージしにくい方も多いのではないでしょうか。
これらの単位が使われるアメリカでは当たり前なのですが、メートルやキログラムなどを普段使っている私たち日本人にとっては、この単位の違いがアメリカでの生活で困ってしまう要因になることもあります。
そこで今回は、アメリカで使われている単位についてご説明していきます。
訪米の際にはぜひ参考にしてみてくださいね。
まず長さ・距離の単位についてです。
短いものから順にインチ(inch)、フット(foot)、ヤード(yard)、マイル(mile)という単位を使います。
それぞれの長さはおおむね以下の通りです。
単位 | メートル法 | ヤード・ポンド法 |
1インチ(inch) | 2.54cm | - |
1フット(foot)[*1] | 30.48cm | 12インチ |
1ヤード(yard) | 91.44cm | 36インチ 又は 3フィート |
1マイル(mile) | 約1.6km | 1760ヤード |
※1…複数形はフィート(feet)
日本では、インチはテレビやタイヤのサイズなどに使われていますね。ヤードはゴルフをされる方にはお馴染みかと思います。マイルは飛行機に搭乗した際にもらえる特典としてよく聞きますね。
アメリカでは、身長をインチとフットで表す場面に頻繁に遭遇します。5フィートが約152cm、6フィートが約183cmですから、大人であれば多くの方はこの間に入るのではないでしょうか。
参考までに、150cm〜180cmまでの長さはフィートで下記のようになります。
センチ | フィート・インチ |
150cm | 約4フィート9インチ(4′9″) |
160cm | 約5フィート3インチ(5′3″) |
170cm | 約5フィート6インチ(5′6″) |
180cm | 約5フィート9インチ(5′9″) |
だいたいご自身の身長がどれくらいか覚えておくと、いつか役に立つかもしれません。
「身長はどれくらい?」
「5フィート6インチだよ」
なお、(4′9″)のように記号を使って表記することもできます。
水や穴の深さもフィートやインチを用い、飛行機の高度もフィートで表します。降水量や降雪量も一般にインチを使って表されます。
ヤードはゴルフや運動場での距離を表すのによく使いますが、野球場のホームベースからピッチャーのプレート、外野の壁までの距離にはフィートが用いられています。
移動時の距離や速度はマイルを使うのが一般的です。目的地まで10マイルという看板を見かけたら、おおよそ16kmということですね。
30MPHと書かれた標識を見かけたら、これは「制限時速30マイル」という意味で、つまり約50km制限ということです。MPHは "Miles Per Hour" の略で、毎時のマイル数を表しています。
どうでもいいことですが、英語のなぞなぞにこんなものがあります。
「英語で最も長い単語は何?」
答えは“Smiles”です。
「最初と最後の “s” の間に “mile” が挟まっているから」という理由です。
重さにはオンス(ounce)やパウンド(pound)を使います。前者は “oz”、後者は “lb” と略されます。
パウンドは「ポンド」とカタカナで呼ばれますが、「パウンド」の方がより正確な発音に近いです。
単位 | メートル法 | ヤード・ポンド法 |
1オンス(ounce) | 約28g | - |
1パウンド(pound) | 約454g | 16オンス |
グラムに置き換えると、上記のような具合です。
日常的には体重や肉などの食品の重さなどに使われることが多いです。
1パウンド約454gというのはとても中途半端なので、日常の買い物時などにはだいたい1パウンド0.5kg弱程度と大雑把に覚えておいてもそれほど困ることはないと思います。
「チェダーチーズを半ポンドいただきたいのですが」
下記は体重の参考までに。
キロ | パウンド |
40kg | 約88パウンド |
50kg | 約110パウンド |
60kg | 約132パウンド |
70kg | 約154パウンド |
ちなみにキログラムを基準にすると、1kgは約2.2パウンドですから、キログラムに2.2を掛けるとパウンドが導き出せることになるので、そのように覚えておくのも良いですね。
「体重はどれくらい?」
「132パウンドだよ」
「5パウンド増えました/減りました」
液体の量は、液量オンス(fluid ounce)、パイント(pint)、ガロン(gallon)を使って表します。
比較的少量のものにはオンスとパイントを、量の多いものにはガロンを使います。
ミリリットルやリットルに置き換えると、おおむね次のようになります。
単位 | メートル法 | ヤード・ポンド法 |
1液量オンス (fluid ounce) | 約30ml ※イギリスでは約28ml | - |
1パイント (pint) | 約473ml ※イギリスでは約568ml | 16液量オンス |
1ガロン (gallon) | 約3.8L ※イギリスでは約4.5L | 8パイント |
液量オンスは略して “fl. oz” ですが、単に “oz” と書いてあることも多いです。
重さのオンスと区別する必要があり、コーヒーショップの紙コップやペットボトルなどに書かれてある “oz” を見ても「重さ」だとは思わないようにしてください。(あまり数字を気にすることもないとは思いますが。)
ジョッキやグラスに入れられたビールなどにはパイントが使われ、レストランのメニューなどにも一杯当たりのパイント数が表示されていることもあります。
「ビールを1パイントもらえますか?」
ガロンは牛乳やガソリンの量を表すときに使われます。
日本の牛乳の多くは1本1リットルの紙パックで売られていますが、アメリカでは1ガロン(または1/2ガロン)の取っ手付きの巨大な容器で売られています。
4リットル近く入っているので見た目のインパクトもすごく、だいたい冷蔵庫のポケットに入りません。
「牛乳2ガロン買ってくるよ」
ガソリンスタンドでの料金もガロン単位で表示されています。
「この車は15ガロン入ります」
なお、パイントは “pt”、ガロンは “gal” などと略されることがあります。
温度は日本が摂氏(Celsius)を用いているのに対して、アメリカでは華氏(Fahrenheit)が使われています。
記号は摂氏が「℃」、華氏が「℉」です。
摂氏(Celsius) | 華氏(Fahrenheit) |
0℃ | 32℉ |
5℃ | 41℉ |
10℃ | 50℉ |
15℃ | 59℉ |
20℃ | 68℉ |
25℃ | 77℉ |
30℃ | 86℉ |
35℃ | 95℉ |
38℃ | 100℉ |
換算するとこのようになります。
摂氏で5度上がると、華氏では9度上がることになりますね。
天気予報では毎日見聞きする温度ですが、これも慣れないうちは大変です。
私も渡米してすぐの頃はよく分からずにアメリカの天気予報を見て、翌日の予想気温が95度なんて言われた日にはびっくりしたものでした。
華氏68度~77度くらいがポカポカと過ごしやすい気温ですね。
「月曜日の最高気温は70度、火曜日は77度まで上がりそうです」
もちろん気温だけでなく、体温も華氏ですから、発熱時などのためにもおおよその数字を覚えておくとよいでしょう。
平熱が摂氏36度6分であれば、華氏98度です。華氏100度を超えると摂氏38度以上ですから、かなりの高熱になります。
「私の平熱は98.2度です」
料理をするときの油やオーブンなどの温度も華氏です。
摂氏180度が華氏356度、摂氏200度なら華氏392度という具合です。
「オーブンを350度に設定してください」
最後に面積についてです。
すでにご紹介したフットやマイルを使って、1平方フット(1 Square foot)や1平方マイル(1 Square mile)のように表します。
また、エーカー(acre)という単位もよく使われます。
それぞれの広さは、下記のようになります。
単位 | メートル法 |
1平方フット | 0.09平方メートル |
1平方マイル | 約2.6平方キロメートル |
1エーカー | 約4047平方メートル |
「1エーカーはアメリカンフットボールのフィールドほどの大きさです」
いかがだったでしょうか。
世界の多くの国で日本と同じメートル法が採用されている一方、華氏のようにほとんど使われていない単位が用いられているなど、アメリカの単位事情はかなり特殊です。
そのせいで数字に混乱が起こりやすくなってしまっています。
アメリカの映画などを見ていても、セリフとしては “Ten (miles).” と言いつつ、字幕では「16キロ」になるなど、単位の違いによる外面的な数字の違いが登場する場面もしばしば。
それはそれで面白くはありますが、いざ現地で直面すると、慣れるまではとてもややこしく面倒でもあります。
ぜひ今回の記事をご参考に、混乱しないように役立てていただければ嬉しいです。